(※)当記事は解説の都合上、漫画「金色のガッシュ!!」終盤及び完全版15~16巻に収録されたガッシュカフェのネタバレを含みます。
未読かつネタバレを避けたい方はブラウザバックを推奨いたします。
「君が竜族の神童、アシュロンか。僕は『滅亡の子』クリア」
「『魔界を滅ぼすこと』が、僕の役目」
概要
漫画「金色のガッシュ!!」におけるラスボス。
プロフィールは公開されていないため、人間換算年齢や好物等は一切不明。
本の色に関しては、作者ブログ「雷句誠の今日このごろ。」にて「透明」だと明かされている。
本の持ち主はヴィノー(詳細は個別記事を参照)。
作中で「滅亡の子」「魔物を滅ぼそうとしている魔物」と称される通り、生まれた時から魔物を滅ぼすという意思を持ち、その実現のためだけに王の座を目指す魔物の子。
後述の理由から、作中における全ての戦闘において力を半分しか発揮できておらず、その上で「少しだけ本気を出した」だけで「竜族の神童」たるアシュロンやバオウ覚醒後のガッシュをほぼ無傷で圧倒できるほどの実力を持つ。
よってフルスペックを加味すれば「作中最強クラス」ではなく文字通りの「作中最強」であり、現に完全体の能力も含めれば単独でクリアを倒せる魔物は誰一人存在しない。
しかも後述の特殊なバリアによって本の持ち主を常に守っているため、誰もクリアの本を燃やすことができない。
つまりルール上は絶対に敗北しないことが確約されているも同義なため、正確に評価するのであれば「最強」というより「反則」や「番外」といった方が相応しいであろう規格外の存在。
それこそガッシュカフェにおけるモノローグ、つまり作者自身の言葉に等しい地の文でも「化物。クリアの正体を表す最も適した名前です」とまで称されているほど。
そのような規格外過ぎる実力以外にも、以下の各項目で述べるように、他の魔物たちとは一線を画し過ぎている実力・思想を持つ点からも、「他の魔物とは存在としての意味合いそのものが異なるのではないか?」と考察されるほどの非常にイレギュラーな存在でもある。
存在についての解説や考察等は「実力/規格外な描写の数々」の項目を参照。
人物像
容姿
ボリュームのある無造作な白髪を持つ、人間に近い姿をした美少年。
服装も、白いシャツ+これといった柄の無いジーパンという飾らないものであり、ある意味では素朴な印象を受ける。また、ズボンにベルトは通していない。
原作終了時点ではカラー絵で描かれたことはなかったが、2012年に作者Twitterにて「髪は透明に近い白、目の色は透明感のあるグレー」だと回答されている。
後に描かれたカラー集合絵を見るに、ズボンの色は水色、シャツは真っ白というより少し灰色っぽくなっている(シャツに関しては影を表しただけかもしれないが)。
このように飾らない爽やかな印象を抱く容姿をしているが、実際には一目見た瞬間に分かる程の黒く禍々しい膨大な魔力が滲み出ており、作中でも上位の実力者であるブラゴとシェリーですら彼の姿を一目見ただけで冷や汗を流していた。
性格、思想等
ラスボスという立ち位置、及び作中での言動から「絶対悪」と解釈されがちではあるが、実は見方によっては「必要悪」のような存在とも解釈できる独特な魔物でもある。
よって、当項目では一方の見方のみではなく、多面的な解釈を両方とも順に述べていく。
- 1:魔物にとっての絶対悪としての側面
「『魔物を滅ぼす』これは僕の本能だ」
「そういう意志、使命が、生まれた時から僕の中に存在してた」
初期形態では戦闘中や会話でも笑みを浮かべるシーンが多いが、それは優しさや爽やかさを持っているというより「あまりにも超然としている」「自身の目的や行動に一切の罪悪感を抱いていない」からだと言う方が正しいと思われる。
現にブラゴを消す際には無表情で喜びも憐れみもせず「いなくなって当たり前」という態度しか見せず、ミールから「悪魔」と評されるほど。
王の特権を持って全ての魔物を消すという行為の理由をガッシュに問われた際も、「自分が魔界を滅ぼすために生まれた存在だから」と微笑みすら浮かべて当たり前の事のように答えるなど、自分の目的を「使命」と言い何の疑問も迷いも抱いていない。
作中において「黒幕」「ボスキャラ」のような立ち位置であった魔物としてゾフィス・リオウ、ゼオンがいるが、当然ながら彼らはいずれも魔界の王になるために戦っており、非道な行いも「王になる」という思いを抱いているからこそであったり、目的に対する過程としてのものであった。
この点すら異なっているのがクリアの異常性であり、彼は「王の特権で全ての魔物を消した後は自害する」と告白しており、そもそも王になる目標を持つどころか魔界や自身の人生を存続させる気すらない。「王になる」ことすら最終目的ではなく「目的を実行するための手段を入手する」ための通過点である。
ゾフィスの記事にも比較が書いてあるように、総じて他の魔物とは思考や価値観が根本的に異なっており、一般的な倫理観等における善悪の概念で物事を考えていない絶対悪のような存在だといえる。
一部の読者からは「己をそうした存在として徹底できる」在り方が脅威だと言われることもあるが、前述のようにクリアは「自身の気持ちや倫理観より使命を優先している」のではなく「自身の使命を全く疑いもしないような思考や価値観だけを持って生まれている」ため、在り方を徹底している(=自身に何かを強制したり、何かを耐え忍んでいる)わけではない。
最終決戦におけるブラゴとの戦いの最中では、とある理由によってさらに凶悪な人格に変わっていったが、これに関してはネタバレを含むため「クリア完全体」の項目にて解説。
- 2:魔物にとっての必要悪としての側面
「魔物の進化が魔物を滅ぼす力や意志を生む。それのどこがおかしい?」
「君達人類だって、進化の果てに『科学』という力を持ち、『核兵器』という人類を滅ぼす力を生み出したじゃないか?」
「考え方の違う嫌いな魔物を消すというのは、魔物という『種』が生き続けるための有効な手段かもしれないな」
「人類だって、考え方の違いから争いが生まれる。話が通じないから、力で白黒つけようと、戦争が絶えない」
一方、見方によっては彼は単なる敵役ではなく、「魔界(=魔物という種族)の存続と滅亡を天秤にかけ、審判を下すような『必要悪』だったのでは?」とも考察されている。
現に上述の「君達人類だって~」や「人類だって、考え方の違いから~」という台詞のシーンでは普段の爽やかな笑みが消え、真剣な表情と鋭い目つきで自論を述べている。
また、ガッシュが「お主に魔界は滅ぼさせない」と明確に敵対宣言をした際にも「ならばこれでお互いの気持ちがハッキリしたな」と意外にも怒りや嫌悪、否定を一切示すことなくサッパリと受け入れており、清麿のアンサー・トーカーが一時的に復活した際には、
「考え方は違うにせよ、その強さや力は僕の心を躍らせる」
「さあ、全てをかけろ!! 僕はその上をいく力でお前達を、魔物を滅ぼす!!!」
と活き活きした様子を見せ、敵対が明確になった後で尚ある種の敬意を払うかのような発言すらしている(もっとも、形態変化に連れて相手を見下すような発言も増えていったので、これらが「クリアとしての本質」とまでは言い切れない面もあるが)。
加えて本編においても、
- 後述のバリアがある以上、クリア本人を無視して本を燃やす形での勝利は不可能であり、クリア本人を死亡させなければバリアは解除されない。
- だがクリアは戦闘能力が規格外なため、必然的に魔物同士の連携が求められ、クリア完全体に関しては生き残っている魔物だけではなく魔界にいる魔物の協力も無ければ打ち勝つことができない。
- そして、それらを実行するためには「本人の実力が高く、運ではなく実力で終盤まで生き残っている」「ただ出会った相手を倒すのではなく、戦いの中で時には絆を育み、時には敵対者からも実力や志を認められてきた」「己の私利私欲ではなく『民』のために戦う精神性」といった要素を全て兼ね備えた魔物が不可欠であり、そのような存在がいるのであれば既に次代を託せる王が誕生しているも同義。
- 上記に関連して、後に完全版16巻に収録されたガッシュカフェにて、前王も「金色の本は都合良く発動するものではない」「もし彼が諦めてクリアが勝利すれば、本当に魔界が滅んでいた」と発言している。つまり、クリア討伐を成し遂げられたのは決して魔本側が都合よく介入したからではなく、あくまで当事者達の尽力があったからこそ可能だったことが明示されている。
といったように、「クリア討伐が可能か否か」が「次の1000年を託せる存在がいるかいないか」に直結しているも同然であり、ある意味でクリアは「王たる存在を見出すためのやられ役」を担わされているようにも読み取れる。
実際、原作最終話における清麿への手紙でも、
「最後の敵、クリアは、自分のことを人間界の『核兵器』と言っていた」
「魔物や人間は、そのような恐ろしい力を生み出してしまう」
「そのような恐ろしい力から我々を守るのは、我々の持つ強き心の力ではないか?」
とガッシュは思いを述べており、戦いの中で得た学びを負の側面から再認識させるための存在であったのかもしれない。
- 趣味嗜好(?)
自身の使命以外に興味や関心を向けるものや好物等は描かれていないが、ガッシュカフェに登場した際の注文はアップルクランブル、トライフル、ニンジンジュース。
どちらかといえばあっさりした食べ物が好きなのだろうか?
実力/規格外な描写の数々
原作終盤で登場したため、戦闘シーンが描かれた回数自体は少ない。
作者ブログでは「ゴームと出会う前に戦ったのはアシュロンのみであり、クリアと戦って消されてしまった魔物はいない」と回答されているため、本編を含めてもクリアが直接戦闘したのはブラゴ・アシュロン・ガッシュ・ゴームの計4体のみということになる(ウマゴンとティオに関しては直接対峙したわけではないので割愛)。
よって、戦闘経験に関しては邂逅編で退場した魔物達と同程度かもしれないが、以下のように戦闘能力を含めた数々の描写が魔物としての常識を逸している。
実際、クリアとの初戦を終えた後、清麿とシェリーも迷わず共闘を提案しているし、アシュロンから「『脅威』はファウードだけではない」とまで言われるほどの存在である。
仮に邂逅編~ファウード編の段階でクリアの存在を多くの魔物が知った場合、物語そのものが大きく変わったと考える読者もいる。
とはいえ、もしブラゴやアシュロンほどの強者達が物語初期の段階で組んだとしても、実際に倒せたかどうかは大きく疑問が残る。
それほどまでにクリアは非常にイレギュラーな存在であり、他の魔物と比べても規格外な描写があまりにも多いので、幾つかの小見出しに分けながら解説していく。
代名詞ともいえる「消滅の術」と「無敵のバリア」
消滅の術
そもそもとして修得している術の属性が唯一無二であり、千年前の魔物を含めても他に類を見ない「消滅」属性となっている。
この「消滅」という属性に関しては、
- ランズ・ラディスによって抉られたアシュロンの右胸は、一般的な「傷跡」のように「傷口が塞がっている」のではなく、右胸の一部が丸ごと消えてしまったかのような「空洞」となっている。
- 原作286話でもシェリーが「手を向けた所を消し去っている」と述べているように、ブラゴが術を被弾した際には服が「破ける」「千切れる」というより「一瞬で跡形もなく消えてしまった」かのような演出となっている。
といった点から、クリアの術は他の物理的な攻撃やエネルギー系の攻撃とは異なり「消滅」という現象そのものを直接的に引き起こす術だと解釈できる(作中では「消滅波」と表現されている)。
そのため、クリアが戦った際には周囲の環境に甚大な被害が出るほどであり、原作304話では初級~中級呪文5発だけでロッキー山脈の一部を容易く更地と化し、自分好みの戦場に作り替えるという芸当を見せた。
その特殊な属性、及びクリア自身も魔力が非常に高い故か、初級術(第一から第二の術の段階)でディオガ級と渡り合える術すら修得している。詳細は術の項目を参照。
無敵のバリア
作中では戦闘時・非戦闘時を問わず、完全な球状であり死角も無く、魔物の術を完全無効化するバリアでヴィノー(本の持ち主)を常に守っている。
そのため、「どんな強者でも本さえ燃やされれば終わり」「常に本の持ち主を守りながら戦わなければならない」という作中における大前提のルールすらも通用しない。
そしてバリアを解除させる方法はただ一つ、クリア本人を死亡させるしかない。
このバリアに関しては、
- 修行でアンサー・トーカーを安定させた清麿が、原作315話で「ヴィノーのバリアは魔物の術を無効化する」と明言している。
- ブラゴとの初戦でヴィノーがアム・ドュ・スプリフォを唱える際、ゴームのワープゲートから少し横に逸れているにもかかわらずニューボルツ・マ・グラビレイの引力に引き寄せられている様子が無く、ブラゴとの再戦時もボルツ・グラビレイの引力に引き寄せられている様子が無い。また、クリアを庇うためにガッシュのザケル(バオウ覚醒後の威力)を防御した際にもバリアに焦げ目が全くついていない。
- ガッシュはバオウをクリアとの初戦より遥かに強く鍛え上げており、かつ修行を経てシン級呪文を2つも修得したブラゴと共闘しているにもかかわらず、清麿は「バリアを徹底的に攻撃し、本を燃やして勝つ」及び「ガッシュかブラゴのどちらかがクリアを足止めし、その間に強力な術でバリアを破壊する」といった戦術をアンサー・トーカーを使用した上で一度も取っていない。
- 決戦の最中でガッシュの本が「金色の本」へ変化し、数多くのシン級呪文を事実上無制限に使用できるようになった時でさえも、やはり清麿は「強力なシン級呪文でバリアを破壊して勝つ」戦術を一度も取っていない。
- 加えて、「金色の本」のおかげでキャンチョメのシン・ポルクすら使用可能になっているのだが、「クリアの脳に命令を下し、バリアを解除させる」ような戦術も取っていない。
- 更に、作中最強の攻撃力を誇るシン・ベルワン・バオウ・ザケルガですらバリアには傷一つ付けられていなかった。
- 尚、シン・ベルワン・バオウ・ザケルガで直接バリアを噛み砕いたというのは誤解である。解説には必然的に最終決戦のネタバレが含まれるため、「クリア完全体」の項目で解説。
- 同じくアンサー・トーカー状態の清麿が「シェリーの持っているフレイルの鉄球でバリアを破壊する」「修行後ガッシュのマントや怪力、ブラゴの殴打でバリアを破壊する」といった術に頼らない物理的な攻撃でバリアを破壊するような戦術すら一度も取っていない。
- また、シェリーも術の詠唱を妨害する目的で鉄球を何度も叩き付けているが、バリアが凹むどころか掠り傷すら付いている様子が無い。
等の描写から、おそらくファウードの内部施設に使用されている「絶対魔力防壁」と同様の「術によるダメージ、及び術による影響を絶対的に無効化する」性質と、いち個人が持ち得るような物理的手段では破壊できないほどの硬度を兼ね備えていると読み取れる。
そのため、キャンチョメのシン・ポルクやパピプリオのダレイド、モモンのオラ・ノロジオ等の「直接的な攻撃力は持たないが、相手を無力化するためには非常に有用」であったり「本を奪うために有効」な搦め手の類すら効果のない可能性がある。
とはいえ、これほど強力なバリアを無条件で生成できるわけではなく、作中でクリアが「僕の力を半分ほど削ってバリアを作っている」と発言している(※注1。詳細は後述)。
これが当記事の初めで述べた、作中における全ての戦闘において力を半分しか発揮できない理由でもある。
また、修行でアンサー・トーカーを安定させた清麿が「あのバリアはクリアでもヴィノーの分を作るので精いっぱい」と述べているので、さすがにクリアが自身の分まで新たにバリアを生成することは不可能な模様。
(※注1)この「力」というのが具体的に何を指すのかは不明だが、作中や作者ブログでも、何か特定の要素だけが弱体化しているといった解説はされていない。
よって、おそらく魔力や身体能力、生命力等といった何か一つの要素ではなく、それらを包括した意味合いでの「力」だと思われる。
また、
- 上述のように、クリアはバリアを「能力で展開している」等ではなく「力を半分ほど削って」と表現している。
- 繰り返しにはなるが、シン・ポルクをもってしても解除させられない、つまりクリアやヴィノーの意識とは無関係に張られている物だということが逆説的に証明できる。
- 原作296話では、ヴィノーがなぜかバリアを展開したまま食事をしているシーンがあり、ロッキー山脈でもバリアを展開したまま食事している。
- 現実的に考えても、たとえ食事中であろうと迂闊にバリアを一時消滅させてしまったり、何かの誤りで中途半端に開いてしまった場合、ミールとゴームがすぐさま離反し本を燃やすことも可能になってしまう危険性がある。
等の点を踏まえると、おそらくこのバリアはクリアの力を抽出して固形化した物体、いわば「クリアの意識とは独立して成立する物体」である可能性が高い。
また上記の描写から、「24時間365日ずっと自動展開しており、ヴィノーの生活に必要な物だけは任意で通過できる」ような性質を持っていると思われる。
異常な身体能力
術の性能やバリアの特性だけでも無敵に等しいのだが、術に頼らない素の身体能力すら大多数の魔物を完全に上回っている。
- ギガノ級の呪文を指で弾き、ブラゴのパンチを片手で捌き、並のディオガ級すら破るバオウ・クロウ・ディスグルグをも肉体強化呪文抜きの素手で軽々と対処する肉体強度、筋力。
- ガッシュのテオザケルが超至近距離かつ無防備で直撃しても傷一つつかず、素肌どころかシャツやジーパンに焦げ目すら付かない程の防御力。
- アンサー・トーカーが使えない状態の清麿や、並の攻撃呪文であれば自力で回避できるほどの動体視力を持つシェリーですらいつどこに動いたのか全く目で追えず、ブラゴやアシュロンといった作中最強クラスの強者でなければ見切れないほどの圧倒的な移動速度。
- 鎧形態になった際は、ヴィノーがラージア・ラディスを唱えて術が発動するまでの1秒にも満たない内に一蹴りでブラゴの目前まで距離を詰めるという神速にも等しい驚異的な瞬発力をも披露している。
- 事前に予測していたとはいえ、シン・フェイウルクを発動したアシュロンの音速を遥かに超える突撃さえ反応し回避行動を取れる卓越した反射神経、敏捷性。
- 該当シーンの状況を具体的に数値化して表現した場合、事前に備えていれば数十メートル程度の間合いからマッハ5~6以上で突進されても回避可能なほどの異常な対応力を持つと解釈できる。
- 半径5000km内にいる魔物の位置を呪文抜きで正確に把握できる作中最高の感知能力(修行後のガッシュやティオ、ウマゴンも同様の感知能力を修得しているが、クリアは元から可能であったと思われる)。
- 原作304話では日本を離陸したばかりのガッシュ達をロッキー山脈から感知しているため、マント形態以降の感知能力は約7000~8000kmという異常な範囲に達している。
- しかも該当シーンのガッシュとティオは「魔力を可能な限り小さくしている」、つまり魔力隠蔽能力を使用しているガッシュ達を7000km以上先から感知しているため、そのような点も踏まえれば魔力感知の精度も作中最高と言えるだろう。
- 腹部に大穴を開けられ、位置的にほぼ全ての臓器、間違いなく心臓も破裂した状態に陥っても死亡せず、僅か数秒程度で意識を取り戻すほどの驚異的な耐久力。
- 比較対象として、作中でも屈指の肉体を誇るウォンレイですらデモルトによって腹部に大穴を開けられた際には仮死状態同然となり、ティオのサイフォジオを長時間に渡って何回も使用しなければ目を覚まさなかった。
- しかも10ヶ月という長い時間が必要ではあるが、それほどの致命傷を肉体強化や回復呪文抜きで自己回復させ、同時に「完全体」になるための身体へ切り替えていけるほどの回復力、生命力。
- レインやアシュロンのように、自身の身体を「変化」させられる魔物は何体か存在するが、自身の身体を呪文抜きで「進化」させられる魔物はクリアのみである。
このように、術の性能/本の持ち主に対する安全性/術に頼らない身体能力の全てが超高水準かつイレギュラーであり、その実力はまさに「ラスボス」である。
しかも繰り返しになるが、上述してきたスペック全てを加味しても半分ほどの力しか出しておらず、形態変化による強化こそあるものの、他の強者達と違って魔界や人間界で修練を積んでいる描写や設定すら一切無い。
魔物としての常識を逸した描写
更に、クリアのイレギュラー性は戦闘能力に留まらず、いち魔物という生命としても有り得ないような描写が散見される。
- 「本の持ち主が幼すぎるため本を読めず、長期に渡って育児をしなければならない」という露骨なほど終盤まで参戦できない制約をただ一人だけ与えられていた。
- フルネームが「クリア・ノート」であり、全魔物の中で唯一「魔本」と関連性があるとも解釈できるネーミングとなっている(本とノート。ゲームオリジナル魔物であるビブリオについては割愛)。
- クリアが人間界で早期に出会ったのは、かたやゴームという都合の良すぎる魔物、かたやアシュロンという都合の悪い魔物だけであった。
- 魔界の実力者について精通しているであろうゼオンやブラゴ、更には超広域の魔力感知能力を持つモモン・ザルチム・コーラルQ達もクリアについて一言も言及していない。
- もし「魔力感知されない」性質を持つゴームの異空間内で長らく育児をしていたとしても、ヴィノーやゴームに出会うまでの期間はそれなりにあったはずだし、その間に強者達の誰にも一切感知されなかったとは考えにくい。
- この事実から、超広域かつ精度の高い魔力感知能力を掻い潜れるほどの極めて練度の高い魔力隠蔽能力を持っている可能性も高い。
- ゼオン・ブラゴ・「竜族の神童」といった強者を認識していたキースや、ファウードやバオウの詳細を把握しているほど博識なアースですらクリアについて一言も言及していない。
- 更に「王を決める戦い」が始まるまでは、なぜか現魔界を治めるベル家ですらクリアの存在を知らなかったことがガッシュカフェで確定した。
- このような点から、真に恐ろしいのは「これほどの実力を持ちながら誰にも知られなかった秘匿性」だと考えるファンもいる。
- 「完全体」に至るまでの過程でシン級かつ自律的な意思を持った派生呪文を新たに二つも生み出すことが可能。これらに関しては、他の魔物のように「魔物の想い」や「修練の成果」が反映された結果ではなく、クリア自身が文字通り「自ら生成した」ことが示唆されている。
- しかも、それらが倒された場合には「力の塊」としてクリア自身の元へ還元される。作中における呪文は「人間の心の力を魔本に込めることで発動し、使用後には自然と消滅する」ものなので、術の力が魔物の身体に還元されていること自体が異常である。
- 更に、自身のシン級呪文たるセウノウスを「撃破される」ことが完全体への引き金になっている。つまり術を倒さなければ当然やられるし、倒してもクリアの成長を促進させてしまうという理不尽な戦いを強いることが可能。
- 後述の「完全体」に至った際には本の持ち主の自我を強制的に剥奪し、心の力を出すためだけの炉心も同然の状態に変えてしまう。
- 石版編でもヴァイルがデモルトによって意識を失わされているが、彼の場合はデモルトに食べられてしまったショックや影響で一時的に気を失っていただけである。
- 対してクリアの場合は、物理的な干渉をせずとも、完全体の顕現とほぼ同時にヴィノーの自我を瞬間的に剥奪したような描写となっている(おそらく「完全体の顕現」が「本の持ち主の意識剥奪」のスイッチになっているのだと思われる)。
- ネタバレのため詳細は後述するが、「クリア」としての本体は「魔物の子としてのクリア」ではなかったかのような描写がある。
等、他の魔物では考えられないような描写が数多く見受けられる。
ガッシュカフェにて
完全版15巻に掲載されているオマケ漫画「ガッシュカフェ」ではゼオンと対談しているのだが、むしろここでも謎が深まることになった。
原作版では謎だった出自について語っているのだが、
- 「父は『セブン・ノート』、母は人型の魔物『レミー・ヴィム』さ」と述べた際、ゼオンは「聞いたことがない」とハッキリ答え、「お前ほどの力を持つ一族ならベルの耳に入っていないはずがない」と、ベル家でも存在を全く把握できていなかったことを示唆している。
- 更に、「父も母も僕のような力は持っていなかった……と思う」「両親の記憶が少ししかないんだ」と、なぜか実の親についての記憶が曖昧な様子を見せる。
- 両親は「小さい頃になぜかいなくなってしまった」らしく、「クリア自身が消した」のか「親がクリアを捨てて逃げた」のかはわからず、「気付いたらいなくなっていた」顔色一つ変えずに淡々と語る。
等、家族についても謎や異質さを感じさせた。
そしてデュフォーから「お前には産まれた時から『愛』という概念自体が存在しない」と指摘された際には、「凄い!! まさに君は答えを言い当てた!!!」と歓喜を露わにし、最終的には「僕には生命が栄えている意味が分からない」とすら発言。余談だが、その時にクリアが凄まじい顔芸を見せている。
その余りにも危険すぎる思想にゼオンですら戦慄、「何故オレはクリアを見逃していた? なぜ最初にコイツを消しておかなかった?」と後悔を滲ませる……という、ガッシュカフェとしては非常にシリアスな回となっている。
読者からの考察
ここまで述べてきた数々の要素から、
- クリアは「王を決める戦い」、及び魔本そのものが生み出したラスボス役。
- 魔界の滅亡という運命(試練)そのもの、あるいは代行者。
- 家族の記憶は「王を決める戦い」の運営側から適当に植え付けられたものであり、実際は家族など最初から存在しない「人口生命体」や「生物兵器」の類。
- 他の魔物達99人を「参加者(プレイヤー)」とするなら、クリアは「協力して倒さなければ全員がゲームオーバーになるレイドボス」のような存在。
等、とにかく規格外の存在という説が読者の間では有力になるほど。
加えて、続編「金色のガッシュ!!2」で魔物とは別の勢力たる『カード』(魔物狩り)が登場してからは、実はクリアもそのような「魔界を滅ぼすために外部から遣わされた存在」だったのでは?と考察する声も上がっている。
また、名前に付いては消滅を意味する「clear」はもちろん、核兵器を意味する「nuclear」、もしくはそれらのダブルミーニングなのでは?とも考察されている。
根拠としては、
- 作中でもクリアが自身を核兵器に例えている。
- 「王を決める戦い」という「戦い」におけるラスボスであり、かつクリア自身も争いの意味合いについて真剣な目つきで述べるシーンがあり、総じて「争い」という概念と関係が深いようにも見える。
- シン・クリア・セウノウスの派生術であるバードレルゴとザレフェドーラは、魔物の術としては明らかに異常な射程を誇っており、見た目や性能についてもバードレルゴは戦闘機、ザレフェドーラは長距離ミサイルをモデルにしているようにも見える(両方とも核兵器と関連のある兵器である)。
といった点が挙げられる。
2023年11月現在では、公式から名前の由来が明言されているわけではないが、「消滅」という言葉以外にも何らかの意味合いが含まれている可能性もあるだろう。
術
公式情報としての術属性は明かされていないが、ここまでの解説で述べてきたように「消滅」属性で確定だろう。
クリアが発した呪文が直撃した物や術は被弾箇所が抉り取られたように欠け、人や魔物に直撃した場合は肉体強度に応じた分の筋肉が消滅しやせ細ってしまう。
無論、肉体強度が消滅の力を下回っていれば一撃で部位欠損、あるいは即死させられてしまうと言及されている。
基本的には物体を消す「ラディス」と呪文を消す「スプリフォ」の二系統に分かれており、シン級等の上位術は物体と術の両方を同時に消滅させる力を持つ。
クリア自身の絶大な実力に威力が引き上げられているのか、スプリフォ系は初級でもディオガ級を一方的に消してしまう程の威力を持つ。
ラディス系は初級でも人間や自然環境、並の魔物を一撃で消滅させてしまうほど。
このように凶悪な殺傷力を持つ術を行使するが、対処法が無いわけではない。
「消滅」といっても術のランクに応じた度合いは設定されており、問答無用で何もかも消されてしまうというわけではない。
強力な呪文であればスプリフォ系に押し勝ち、完全に消されることなく攻撃を通すことができる。
ラディス系に関しても強靭な肉体を持つ魔物ならば、筋肉は減少すれど一撃での消滅は免れる。
また、アシュロンの鱗やガッシュのマントといった高い強度を持つ防御手段を用いれば無傷で済ませることもできるし、強力な呪文で迎撃あるいは防御して対処することも可能。
消滅させられた肉体が二度と戻らないというわけでもなく、回復呪文によってある程度の再生はできる。強力な回復呪文であれば即完治も可能(とはいえ、アシュロンの負った傷が全く塞がっていなかったため、術による治療でなければ二度と戻せない可能性もある)。
部位欠損ではなく筋肉の減少で済んだのであれば、再び身体を鍛え直せば時間は必要なものの元に戻すこともできる。
スプリフォ
呪文消滅系の基本呪文。手をかざした正面に不可視の消滅波を放つ。
初級術のこの呪文ですら、ブラゴの上級術であるバベルガ・グラビドンを一部とはいえかき消しており、初級術にもかかわらずディオガ級相当の対応力を持つ。
ラディス
「さすがにこの呪文では君の体は消えないか…」
「タフな… 良い体を持ってるね」
「でも… もう終わりだ…」
物質消滅系の基本呪文。同じく手をかざした正面に不可視の消滅波を放つ。
この呪文ですら、人間や並の魔物相手なら一撃で消し飛ばす。
ブラゴとの初戦では、作中の魔物でも上位の肉体強度を誇る彼にこの術で攻撃を始めた際、20秒も経たない内に両手と右足の筋肉を削ぎ落とし息切れさせた。
また、ブラゴとの初戦ではバベルガ・グラビドンによって陥没した大地を挟んだ距離(およそ10メートル以上)から放っても尚、修行前のブラゴが回避しきれないほどだったため、作中に登場する全ての初級呪文の中でも圧倒的な発生~着弾速度を誇ると思われる。
バ・スプリフォ
全身から全方位に呪文を消滅させる波動を放つ(挙動からして「~バオ系」の亜種?)。
シェリーが「厳しい修行でやっと出た強力な呪文」と称するほどの術、ディボルド・ジー・グラビドンを一瞬で消滅させた。
ちなみに、この術は効果範囲に加え、術の発動時に特定の動作をほぼ必要としないという長所がある(せいぜい「身体をやや広げる」程度)。
現にクリアがディボルド・ジー・グラビドンの中で空間ごと捻じ曲げられている時でも、術は問題なく発動していた。
アム・ドュ・スプリフォ
呪文を消滅させる力を持つ巨大な二本の腕を呼び出し、相手の呪文を包み込む(握りしめる)ようにして消し去るアム系の消滅呪文。
窮地の中で覚醒した新呪文、ブラゴのニューボルツ・マ・グラビレイをあっさりと消し、シェリーを絶望させた。
また、最終決戦においてはクリアの形態変化に応じて術も強化されたのか、片腕でテオザケルを、もう片腕でニューボルツ・マ・グラビレイを押さえこんでいる描写もあり、片腕がそれぞれディオガ級相当だと見なせば非常に恐ろしい。
ラージア・ラディス
「さ、片づけよう。ヴィノー」
「今度は逃がさぬよう、『ちょっとだけ強い術』を唱えるんだよ」
物質消滅系の範囲型呪文(ラージア系)。広範囲に消滅の力を放つ。
本来であればラージア系の威力は「初級に毛が生えた程度」だと作者ブログにて解説されているのだが、この術に関しては明らかに規模が異なっており、まるでブラゴがバベルガ・グラビドンを放って陥没させた時のように一瞬で大地を数十メートル底まで消滅させ、地形すら変えてしまう。
クエア・スプリフォ
呪文を消滅させる(と思われる)盾を出す防御呪文。
攻撃に対してやや斜めに構えたとはいえ、アシュロンのディオガ級を後方に受け流すほどの防御力。
尚、外部サイト等では「アシュロンのディオガ級を防ぎきる」「ディオガ・ブロアを消滅させた」等と誤解が書き込まれていることもあるが、直後に後方で大爆発が起きていたので、ディオガ・ブロアを消滅させたわけではない。
真正面から防ぎきったり消滅させたわけではないので、消滅の性質を持っているか否かは現状不明。
ランズ・ラディス
「あの時あんなに痛い思いをしたのに、また勝負を挑んでくるなんてね…」
物質を消滅させる細長い槍を出す呪文。
過去にアシュロンとの戦闘で使用した際には、右胸に今も治らないほどの重傷を負わせた(貫いているのは胸部なので、直接的にアシュロンの鱗を穿ったのかは不明)。
ギール・ランズ・ラディス
「だが、僕の力もまだまだ上があるのだよ」
先端に三日月型の刃が付いた槍を呼び出す中級呪文。上記のランズ・ラディスの上位呪文だと思われる。
ランズ・ラディスを防ぐために修得してきたというアシュロンのディシルド・ドラゴルクを一撃で破壊し、格の違いを見せつけると共に重傷を負わせた。
また、原作289話でガッシュに回避されているシーンでは一振りで触れた大地を数メートル以上底まで抉っており、アンサー・トーカーが一時的に復活した清麿が並のディオガ級を弾くマーズ・ジケルドンで対処しているので、この術の性能もディオガ級相当だと思われる。
リア・ウルク
「アシュロンが消えて少し休んだら、今度こそ残りの魔物の掃除だ」
スピードを上げるシンプルな肉体強化呪文(ウルク系)。
クリア本人も「弱い術」と吐き捨てる程度の術ではあるが、元々規格外のスピードを持つクリアなので、回避に徹すればシン・フェイウルクによる音速を遥かに超える突撃すら真正面から避けきれるとのこと。
ちなみに、バランシャの「グ・リアルク」と名前が似通っているようにも見えるが、作中の描写でもこの術に透明化するような性質は一切見受けられないため、単なる同音異義語であり共通の意味は持っていないと思われる。
現に作中でも、
- 「~ルク」系であれば肉体に何かしらの強化がされてもおかしくはないが、「ウルク」系は単にスピードを向上させる術であり、肉体そのものを強化・変化させる系統ではない。「術(金色のガッシュ!!)」の記事でも解説しているように、そもそも「~ルク」系と「ウルク」系は厳密には別物である。
- クリア本人も「スピードを上げる術」「弱い術」としか話しておらず、言葉通りに受け取るのであれば特殊な性質を秘めているとは考えにくい。
- また、該当シーンでは「既にアシュロンの本が燃え始めており、時間稼ぎに徹してアシュロンを魔界に帰してからガッシュ達を殲滅する」という明確な狙いの元で発動しているので、仮に何かしらの性質を秘めているならば、それを隠したり出し惜しみする必要が無い。
- リア・ウルクを発動した後にニューボルツ・マ・グラビレイとシン・フェイウルクをくらっているが、どちらの術に対しても威力や性能を軽減したり消滅させている様子が無い。
等と、クリア自身に何かしらの強化や効果が付与されているような描写は見受けられない。
おそらくグ・リアルクのリアは「透明」を意味する語であり、リア・ウルクのリアは「使用者の名前(=クリア)」を指しているだけの語で、単に語感変化しているだけだと思われる。
テオラディス
物質消滅系のテオ級呪文。
元から発生~着弾が非常に速いラディスの上位術なだけあり、最終決戦でブラゴに回避された際には、数十~数百メートル以上遠くの山々を一瞬でまとめて抉るほどの射程距離と速度を見せた。
ディオガ・ランズ・ラディス
クリアのディオガ級呪文。
左手を前方にかざし、勾玉の様な刃が7つ付随した巨大な槍を打ち出す。
さすがに修行後バオウには一方的に噛み砕かれてしまったものの、修行によってアンサー・トーカーを安定させた清麿がバオウでの迎撃を選んでいる時点で、相当に強力な呪文であったことは間違いない。
尚、この術もクエア・スプリフォと同じく性能を誤解されがちではあるが、決してバオウと「相殺した」わけではない。
バオウはダメージや消滅の力で消えてしまったのではなく、単に術を打ち終えたから消えただけである。
現に作中の描写等を踏まえても、
- バオウが見開きでディオガ・ランズ・ラディスを噛み砕くシーンをよく見ると、勾玉がバラバラに飛び散っており、槍本体のサイズもバオウの口に収まる程度だったことが窺える。
- 修行前のバオウですらシン・クリア・セウノウスを頭部以外ほぼ全壊まで追い込む(=ほぼ相打ち)レベルだったため、等級の差を踏まえてもディオガ級に相殺されるはずがない。ましてやクリアとの再戦に向けて「以前より遥かに強く鍛え上げられ、消滅の力で内側から消されることもなくなった」修行後バオウなら尚更である。
- クリアが消滅波で術を消す時の効果音は「バシュゥ」「ボシュ」等であり、「スゥゥゥゥ」は作中において術を解いたり解除される時に使用される表現である。
- クリアの術でバオウが消される際の描写は「身体の一部が千切れ飛ぶ、吹き飛ばされる」ような描き方で一貫しており、ディオガ・ランズ・ラディス後の1コマのように「全身が薄くなって消えていく」描き方はされていない。
等、バオウと「相殺した」わけではないことは幾つもの点から立証できる。
外部サイトや、修正前の当記事を丸映ししたと思われるYouTubeチャンネルでは「ディオガ・ランズ・ラディスはバオウと相殺した」と解説されてしまっているが、それらは誤解なので注意。
バ・ランズ・ラディス
「どうした? 2組協力してこの程度か?」
クリアを中心にやや金属製にも見える消滅の槍を無数に展開する呪文。
名前の通り、上記のバ・スプリフォとランズ・ラディスが複合したかのような術。
威力も高く、ガッシュとブラゴを吹き飛ばしつつ、修行後のガッシュのマントにも大穴を開けるほど。
フェイ・ガンズ・ビレルゴ
空中を高速かつ自在に動き回る、魚に似た形状の消滅波を大量に撃ち出す呪文。
何気にクリアが使う消滅系の呪文の中で唯一「スプリフォ」も「ラディス」も付かない術である。
「ビレルゴ」の語感が下記の「バードレルゴ」と似ており、術の性能にも似通った点が見受けられるので、固有名詞によって間接的に消滅の属性を意味しているのだろうか?
シン・クリア・セウノウス・バードレルゴ
「征け… セウノウスの大いなる翼」
クリアが完全体になる経緯で作り出したセウノウスの大いなる翼たる「左手」。
クリアのシン級呪文という肩書きに恥じないどころか、作中に登場する全ての術の中でも最強クラスとまで言えるほどの凄まじい強さを誇る。
現に、
- 修行でアンサー・トーカーを安定させ、いつでも引き出せるようにした。
- バオウを以前より遥かに強く鍛え上げ、消滅の力すら粉々に噛み砕けるほどにまで大幅強化。
- 新たに強力な呪文であるエクセレスやジオウを修得。
等の大幅な成長を遂げてきた清麿にすら、「もし飛行機の外に出てガッシュの術で攻撃したとしても、危険が大き過ぎる上に勝率が低い」とまで言わしめたほど。
全身に肉が無く、頭部・胴体・両翼の全てにおいて骨が剥き出しになった禍々しい巨大な怪鳥を呼び出す。
相対したサンビームも「鳥の骨」と称しているが、ジェット機の数倍以上もの巨躯を誇るため、もはや鳥というより怪物や恐竜に近い。
作中でも術を感知したガッシュが「飛んでくる術そのものに『意志』を感じる」と述べているように、この怪鳥はある程度の自律的思考と意志を持った術であり、一度発射すればクリアが照準を合わせ続けなくとも自動で敵のいる場所まで飛んでいく。
そして作中の描写から、射程範囲は約7000~8000km以上とダントツで作中最長。
何より恐ろしいのは並の術とは比較にならないほどの圧倒的な速度であり、飛行機のコックピットから全く視認できないどころかレーダーにすら探知されない距離から一瞬で目前に姿を現すほどの異常な速さで突撃してくる。
作中や公式情報として正確な速度が明示されたことはないが、ガッシュ達と接敵した地点をロッキー山脈から約6000kmと仮定した場合、バードレルゴの速度は驚異の分速125km、つまり秒速約2.1km(=マッハ6相当)である。
しかもこの数値はあくまで仮定なので、ガッシュ達と接敵した地点によっては更に速い可能性もある。
更に、クリアの𠮟咤を聞き届ければ全身を消滅の力の塊に変化させることも可能であり、そうなれば触れただけで相手を消滅させる文字通りの「全身兵器」と化す。
一度その状態になってしまえば元に戻ることができず、時間経過と共に自らの肉体が消えてしまう(=最終的な自壊が確定してしまう)デメリットも発生するが、当然ながら肉体が徐々に軽くなっていくことを意味するため、時間経過と共に速度は更に上がっていく。
しかも時間経過だけでなく、バードレルゴ自身の意志で全身の至る所を骨単位で分離させ、全方位から襲い来る無数の消滅弾と化すことすら可能。
このような規格外の射程距離や速度、全身兵器の特性だけでなく、
- ゼオンのジガディラス・ウル・ザケルガすら防いだティオのチャージル・セシルドンに勢いよく正面衝突しても消滅せず、続けてシン・シュドルク状態のウマゴンによる突進を10発以上連続でくらって海面に打ち付けられ、休む間も無く近くの小島に叩き付けられてもなお消滅しないほどの耐久力。
- ただチャージル・セシルドンに触れても消滅しないだけでなく、盾ごと押し返した上でジェット機のエンジンを1機完全に止めてしまえるほどのパワー。
- シン・シュドルク状態のウマゴンを疲労困憊にし、ガッシュの援護が無ければ死が確定していた状況まで追い詰めるほどの超高速空中戦を展開する旋回能力。
- ガッシュの新たなオウ系呪文であるジオウ・レンズ・ザケルガですら、頭部だけの薄皮になってようやくウマゴンが脱出できる程度の穴を空けられたほどの防御力。
これらを全て兼ね備えており、実質的には対処するだけでシン級相当の術が3種必要になったという異常な性能を誇っている。
シン・クリア・セウノウス・ザレフェドーラ
「現れろ、全てを無に帰すセウノウスの重砲よ」
同じくクリアが完全体になる経緯で作り出した、セウノウスの重砲たる「右手」。
シン・クリア・セウノウスの派生術として双璧を成すバードレルゴと同じく、こちらも作中に登場する全ての術の中でも最強クラスの性能を持つ。
キャンチョメとパプピリオの本を燃やした際の描写と、最終決戦における描写では術の性能が変化しているようにも見えるため、当記事ではクリアの回復前後に分けて解説する。
- 繭形態クリアが使ったバージョン
ゴーム戦後に遠距離からキャンチョメとパプピリオへ向けて使用したバージョン。
この時はヴィノーが術を唱えた際、クリアが繭の一部を破って腕を外に出し、掌から消滅波を発射したような描写になっている。
演出の都合で砲台が映っていなかったのか、あるいは砲台そのものを召喚せずに手から直に撃っていたのかは不明。
また、この時はおそらくキャンチョメ達がクリアの感知範囲外にいたためか、魔物本人ではなく本の持ち主であるヴィノーが目で照準を合わせるという特殊な使用法になっている。
しかも至近距離で照準を合わせていた故か、フォルゴレとパピプリオは本を投げた際には本へ向けて消滅弾がほぼ直角に軌道を変えるという恐ろしい追尾性能が垣間見えた。
- マント形態クリアが使ったバージョン
周囲の山脈に匹敵するほどの全長を持つ無数の砲門が備わった巨大な台座と、台座の正面に座する老年の男性のような見た目をした砲手を召喚。
そして照準を合わせるための仮面をクリアが装着することで準備完了。
クリアが術に頼らず使用可能な広域の魔力感知能力と合わせ、対魔物相手なら最大射程が半径約5000kmにも及ぶ消滅弾を連発する超々遠距離狙撃呪文。
こちらの砲手もバードレルゴと同じく自律的思考と意志を持っており、クリアと流暢に会話する場面すらある。
シン級呪文なだけあり、砲弾一発ごとの大きさが並の飛行機すら上回るティオのチャージル・セシルドンに匹敵している。
威力も非常に高く、弾一発を受け止める度にティオにシン級相当であるチャージル・セシルドンの使用を強いらせるほど。
また、こちらはバードレルゴと異なりクリアが正確に照準を合わせた上で弾を放つので、シン・シュドルク状態のウマゴンのような作中最強クラスの速度と旋回能力を併せ持っていなければ回避すら困難だと思われる。
連射力も極めて高く、作中の描写からおそらく弾数は百を超えている。
しかも最終手段として、砲門や台座そのものも山のように大きい超強力な弾として撃ち出す事すら可能。
総じて、こちらもただ防御や回避を行うだけでもシン級呪文を絶え間なく連発しなければならないという異常な性能を誇っている。
余談だが、砲手が「ファイア!」を連呼するシーンにて、ヴィノーが明らかに本から両手を離しているコマがあるのだが、なぜかザレフェドーラは消滅していない(ヴィノーがバンバンと両手で本を叩くようなコマ)。
これが単に演出の都合だったのか、あるいは「一度発動すれば自律して活動できる」クリア完全体への伏線だったのかは現状不明。
シン・クリア・セウノウス
「これが『ベルのバオウ』… バオウ・ザケルガ…」
「でかく、凶悪な力だな。『滅ぼし』が必要だ…」
ヴィノー曰く「クリアの術の頂点」に位置する最大呪文。「シン」の術の一つ。
両手を交差して術を発動。触れた術や物質を消滅させながら相手へ迫る、精霊あるいは天使を象った超巨大消滅エネルギーを出現させる。
女神のような顔立ちや巨大な(おそらく純白の)翼など、シェリーですら神々しいと評する外見ではある反面、なぜか両手首は球体のようなもので固定されており、宛ら手枷で拘束されているような印象も受ける。
ガッシュとの最初の戦いではバオウに食べられても消滅の力は消えないことを利用し、内部からバオウの腹を破り破壊するという荒業を見せた。
その際に残った頭部だけの突撃でも、ガッシュを庇ったアシュロンの両翼を消滅させた上で大量の血を背中に滲ませ、彼に激痛で苦悶の表情を浮かばせる程の威力を誇っていた。
上述のようにクリアが「完全体」になる過程でバードレルゴ、ザレフェドーラという二つの呪文に分かれ、この二つが破られた事によって力の塊がクリアの身体に戻る。
最終決戦では、ガッシュとブラゴの連携によって深手を負った鎧形態のクリアが「使っていい」とヴィノーに促し発動。
見た目は特に変わっていないが、初戦とは違って全体から神々しい光のようなものを放っているので、クリアの形態変化(あるいはバードレルゴとザレフェドーラがクリアに還元されたこと)によって強化された可能性もある。
現に初戦では修行前のバオウとほぼ相打ちに持ち込まれていたが、最終決戦では修行後ブラゴのシン・バベルガ・グラビドンにすら押し潰されず、文字通りブラゴに手が届く所まで進撃する耐久力を見せる。
だが、修行の末に「地球の力を借りる」応用性を身に付けていたブラゴの奮闘によりシン・バベルガ・グラビドンの威力が増し、作中で初めて明確に押し負け始める。
その直後にバオウの追撃によって破壊され、クリア自身もバオウに嚙み砕かれたかのように見えたのだが……。
クリア完全体(重大なネタバレ注意!)
「イヤ… もう『クリア』ではない…」
「『力の支配』が… 始まる…」
「そんな…」
「術の力は敗れて消えたハズなのに…」
上記の通り、シン・クリア・セウノウスはガッシュとブラゴの連携によって敗北を喫し、クリア本人もバオウに噛み砕かれた……はずだった。
だが直後、なぜかヴィノーが術を唱え直していないにもかかわらず、セウノウスが復活。
そしてセウノウスが自らの顔に触れると、隠されていた真の姿が明らかになった。
「礼…を、言…う…」
「これで…我は、『完全体』へと…な…れた」
女神の様な顔は実は仮面であり、白く硬質な表情の下には目の奥が発光し、眉間の上にも第三の目がある骸骨のような恐ろしい素顔を隠していた。
更に、仮面を外すと同時に全体の色がどす黒く変化し、新たに二本の腕、両肩の棘(角)、巨大な尾が生える等、さらなる異形の姿へと一瞬で変化していた。
この際、前述の両手首を固定していた拘束具のような球体は、クリアの体内にあった最後の球体が破壊されると同時に消失しており、両腕が完全に自由な状態となっていた。
もしかしたらこれらの球体は、「力の本質」が封印されている事を示唆するデザインだったのかもしれない。
そして「魔物の子としてのクリア・ノート」は上半身裸かつ息絶えたような生気の無い表情でセウノウスの額に生えており、唯一の弱点とされる「力の球」を守るための「抜け殻」となっていた。
また、この状態になるとセウノウス自体が明確な思考と意思を持っており、一人称も魔物の子としてのクリアとは違い「我」である。
性格や言動に関しても超然としていたクリアとは違い、魔物を消す事に愉悦を感じて高笑いし、弱者の抵抗をあざ笑うなど残虐非道な面が目立つ。
クリアが今まで語っていた「完全体」の正体とは、クリアの「消滅の力の本質」であるセウノウス、つまり呪文の方が魔物であるクリアを支配し取り込んだ状態のことであった。
鎧形態になった際にクリアの人格が変貌し、冷酷さや凶暴さが前面に出ていたのも、術に人格が支配され始めていたからだとブラゴは推測している。
「術の方が魔物を支配する」という点ではガッシュのバオウ・ザケルガも似ているように思えるかもしれないが、
- そもそもとして、バオウは元々ガッシュの術ではなく、本編においては前王の制御下から外れてコントロールが利かなくなっていた。
- ファウード編にてガッシュを一時的に喰い尽くしたのは、長年に渡って喰らってきた他者の「悪」が内側で溢れ、バオウ自体が大きく変質してしまっていたという事情がある。
という点からも、バオウは元から術の使用者に害を与えたり人格を支配する危険な術というわけではない。
また、あくまでバオウは「ガッシュの中の憎しみを膨れ上がらせる」「その上でガッシュを喰らい尽くす」という描写であり、バオウがガッシュの肉体を乗っ取ったり、存在そのものを入れ替わったわけではない。
一方、シン・クリア・セウノウスは、
- 元々、魔物としてのクリアも最初から「魔界を滅ぼすこと」を目標としており、かつ自らの意志で完全体になることを目指していた。つまり、完全体になる過程で変化したのは凶悪さだけであり、思想や価値観そのものが全く別物へと塗り替えられていってしまったわけではない。
- 原作315話では完全体とクリアの抜け殻が連動しているような演出がある。
- 完全体になった後も、術を見ただけでアシュロンの存在を勘付くほどに彼を覚えていた。
等の描写がある。
よって、シン・クリア・セウノウスは厳密には「支配」や「別人格の表出」というより「共生」のような関係性であり、記憶も引き継がれていることが読み取れる。
つまり、明らかに初めからクリア・ノートと「クリアとしての存在」を入れ替わるために備わっていた呪文であり、本質的にはバオウと大きく異なっている。
このように、シン・クリア・セウノウス(≒クリア完全体)は他の魔物が行使するあらゆる術とは一線を画す性質を持っており、戦闘能力に関してもあらゆる術を超越している。
また、まさしく自身の分体とも言える存在であったバードレルゴとザレフェドーラの能力を彷彿とさせる要素を併せ持っている。
作中では、
- 全身が消滅の力の塊であり、尾を軽く振っただけで足元の大地や遠くの山脈を軽々と切り飛ばす。
- 「全身を消滅の兵器と化す」バードレルゴの特性。
- 肩に生えた複数の巨大な角を細かく分離させ、数えきれないほどの消滅弾として上空から降り注がせる。
- 「全身を細かな弾に分離させて襲いかからせる」バードレルゴの特性。
- 呪文の詠唱無しで口や全身から強力かつ広範囲な消滅波を発射する。
- 「一度召喚しておけば術を唱え直さなくても自動的に消滅波を発射し続けられる」ザレフェドーラの特性。
- 下半身に装着してある山のように大きい巨大な球状の消滅弾を投げつける。
- 「自身に付随した巨大な武器を消滅弾として発射する」ザレフェドーラの特性。
- 自身の身体からロケットのようにエネルギーを噴射し、自力で宇宙空間にまで到達できるほどの推進力。
- (自身を弾として撃ち出す際に)「自力での飛行を可能とする」ザレフェドーラの特性。
- 地球の自転を借り受けて威力を増したシン・バベルガ・グラビドンと、牙先に雷の力を集約したバオウ・ザケルガによる一点集中攻撃を受けても全くダメージを受けず、全方位消滅波一発だけでそれら二つを一方的に打ち破る。
- クリアの抜け殻は上記のようにシン級呪文2つの直撃を受けても破壊できず、バリーのシン・ドルゾニスのような破壊力と精密さを併せ持った術でようやく分解できる程の堅牢さを誇る。
- 「生命」ではなく「意思を持った力の塊」であるため、宇宙空間でも問題なく活動可能。
- 充填時間が必要ではあるが、地球の1/10を消し飛ばすほどの特大消滅波を放つことすら可能。
- このような圧倒的強さ故か、アンサートーカーを持つ清麿すら作中で唯一「奴を倒すための『答え』が出ない」と狼狽えさせ、不屈の精神を持つシェリーをも「何をやっても勝てない」と絶望させた。
- 極めつけに、完全体になってもヴィノーを守るバリアは消えていない。つまり名前こそ「完全体」ではあるが、顕現後もなお半分ほどの力しか出していないということになる。
等、まさにラスボスにふさわしい規格外ぶりを見せつけた。
そうして修行後ガッシュとブラゴをも圧倒するほどの力を見せるが、魔界の危機に奮起したガッシュを感じ取り、「ガッシュを助けたい」と願った魔物達によって「金色の本」が発現した結果、形勢は逆転。
「宇宙空間から消滅波を撃ち、地球ごとガッシュ達を消し去る」という反則的な手段に出るも、コルル・ウマゴンのシン級呪文を掛け合わせたガッシュに追い付かれてしまい、更には特大消滅波もキャンチョメのシン・ポルクによって狙いを逸らされる。
最後は多くの魔物の力を結集したシン・ベルワン・バオウ・ザケルガによって喰い尽くされ、クリアが死亡したことでバリアも消滅。本にも火が着き敗北となった。
仲間達の力を合わせて無事討伐は果たせたものの、クリア完全体を倒し切るまでにシン級呪文17種+ジオルク+ファルセーゼ・バーロン+トドメのシン・ベルワン・バオウ・ザケルガという計20種もの超強力な呪文が必要となっており、まさに「魔界の脅威」に匹敵する存在であったことに異論は無いだろう。
尚、「実力/規格外な描写の数々」の項目でも少し触れたように、決着シーンにおいてシン・ベルワン・バオウ・ザケルガはクリア完全体とバリアを同時に噛み砕いたわけではない。
該当シーンでは、
- 1:バオウによってクリアの『力の球』が砕け散る。
- 2:『力の球』が粉々になったことが2コマ目でも強調される。
- 3:ヴィノーを守っていたバリアが割れる。
- 4:バリアが割れたことで雷が届き、本が燃える。
と順序立てて描写されているため、あくまでバリアが壊れたのは「クリアの死亡」という条件を満たしたからだと読み取れる。
前述の通り、清麿はバリアを「並の術では壊せない、破壊できない」等ではなく「術を無効化する」と表現しているため、「どれだけの破壊力を持っていようと、術である以上は絶対に魔力を通さない」と解釈する方が自然である。
ちなみにヴィノーについては、バリアが壊れた直後に清麿がコルルの術を唱えたことで死亡せずに済み、現在はナゾナゾ博士の元に預けられているとのこと。
博士は「手掛かりは少ないが、なんとか両親を捜してみせる」と言っているらしく、絵本(?)を読ませているようなシーンが1コマだけ描かれている。
原作最終話における「本の持ち主達が手紙を読む」シーンでも登場していないので、現状ではヴィノーがどうなっているのかは不明。
その後(ネタバレ注意!)
最終決戦にて死亡したと思われたが、実は消滅の力と以前の記憶を失いはしたが生きており、王となったガッシュに「ワイト」という名前と新しい肉体を与えられて生活している。
この事を知っているのはガッシュ本人と、手紙で教えられた清麿のみ。
ちなみに、該当シーンでワイトが食べているのは「アジフライをパンでサンドしたもの」だと作者ブログにて解説されている。
一応「王を決める戦い」に参加した本人という扱いになっているのか、最終話の集合写真でもスギナとロップスの間に映っている。
尚、スギナの術属性は「植物」、ロップスの術属性は「操り」なのだが……。
どことなくクリアの存在を示唆するような属性の魔物が固まっている、と考えるのは深読み過ぎるだろうか……。
また、完全版16巻のガッシュカフェにおける祝賀会にもワイトとして出席している(バーゴ、ビクトリーム、ジェデュンの3人に囲まれるような席にいる)。
関連人物、術(ネタバレ注意!)
「竜族の神童」たる魔物の一人。
作中でクリアが唯一「ライバル」と称し、ある種の友好さを向けていた魔物。
クリア完全体ですら金色の本によるアシュロンの術を見た際には「アシュロンか!?ガッシュの後ろにお前がいるのか!?」と名指しで動揺しており、彼なりに特別な感情を抱いていたのは間違いないと思われる。
作中でクリアと長く関わっていた魔物。
アシュロンを「ライバル」とするならゴームは「ビジネスパートナー」に近いと思われる。
作中では、
- 本の色がゴームはエボニー色(黒檀、つまり黒に近い)、クリアは透明(白を彷彿させる)。
- 「魔物の方が幼い」ゴームペア、「本の持ち主が幼い」クリアペア。
- 「人間界での出会いを通じ、孤独や寂しさを覚えてクリアに反逆した(=在り方を変えた)」ゴーム、「アシュロンというライバルに巡り合って尚、魔界を滅ぼすという自身の在り方を変えなかった」クリア。
と、対になっているような要素も幾つか見受けられる。
今作の主人公。
「魔界を守る」ために戦うガッシュとは思想の面で完全に敵対したが、「術に自我を支配される」という作中でも稀有な経験をした共通点を持つ。
石化の術を用い、千年前の戦いで甚大な被害を出した魔物。
どことなく立ち位置が似ていることもあり、一部のファンからは「ゴーレンもクリアと同じく『魔界を滅ぼすための魔物』だったのではないか?」と考察されることもある。
作中でアシュロンから同じ「脅威」と見なされていた魔導巨兵。
「術を無効化する特殊な防御手段を持つ」という共通点もある。
ガッシュの最大呪文。
制御の有無によっては、シン・クリア・セウノウスと同じく「術者をも喰らう」性質を持ってしまう呪文(ただ既に述べたように、本質的には全く異なる術なので注意)。
また、こちらもアースからファウードと並ぶ「脅威」と称されていた。
余談
ファンからの異名
作中では「滅亡の子」「魔物を滅ぼそうとしている魔物」以外に異名のようなものは見受けられないが、ファンからは「実力・性格・思想、その全てが『最も強力』で『最も凶悪』で『最も恐ろしい』まさしくサイキョウの存在」と称されることも。
キャラ崩壊(?)
本編では魔界を滅ぼす使命のためだけに行動し、無慈悲な言動を数多く見せていたクリアだが、文庫版のカラー集合絵等ではニッコニコの笑顔を浮かべて手を振ったり、ピースをしている姿が描かれている。
作中に登場したほぼ全ての魔物に囲まれるという、彼にとっては(おそらく)決して好ましいとはいえない状況の中、本編では一切見せなかった爽やかな笑みを浮かべているのは不思議というか何というか……。
さすがラスボスなだけあり器が大きく、読者へのサービスを優先してくれたということなのだろうか……?
珍回答(?)
クリアとの最終決戦での描写に対して、作者ブログの質問コーナーに、
- 「クリア完全体が宇宙空間で消滅波を放っているが、これはジェット噴射の要領で、敵に当たるどころか自分が吹っ飛んでしまうのでは?」
- 「同じく宇宙空間でヴィノーのバリアが破れたとき、バリアの中の空気が瞬間的に四散してしまい大変なことになるのでは?」
等の論理的な回答を求めるような質問が届いたことがあった。
これらについて雷句先生は「〇〇〇〇〇から」と回答している、のだが……。
同じ質問が公式ファンブック「金色のガッシュ!!20周年ありがとうなのだ!ブック」にも収録されており、そちらではコーラルQのリアクションも楽しめるのでオススメである。
クリア編のデマについて
厳密にはクリア・ノートというキャラ本人の余談ではないのだが、彼がメインである「クリア編」に関するデマについてもここに記載する。
ファンの間では少々有名な話なのだが、連載終盤~連載終了後辺りの時期に「クリア編は本来、作者の雷句誠は描く予定がなく、ガッシュの漫画はファウード編で終了する予定だった」という根も葉もない噂がネット上に出回っていた。
これについては作者の雷句先生がブログで直々にデマだと断言しており、同じくブログ内にて、
- クリア編は元々描こうとしていた話であり、引き伸ばしで無理やり書かされた話ではない。
- 確かに編集から引き伸ばしの案を出されて断ったことはあるが、それは「ガッシュの弟か何かが来て、更に100人魔物が増える」等の露骨なものであり、クリア編を指しているわけではない。
- そもそもクリア編を描かなければ魔界の王が決まらない。皆さんがここまで愛してくれたガッシュという作品を、王様を決めずに終わらせるなんてできるわけがない。
- 漫画『金色のガッシュ!!』は自分なりに責任を持って最後まで描き上げた漫画。余分な話など一切ありませんし、すべてのエピソード、キャラを愛している。
とも述べている(実際のブログはこちら。2019年1月4日更新分)。
なので、もし当記事を読むまでデマだと知らなかった方は、上記の内容をしっかりと認識していただき、作者に迷惑をかけるような誤情報を拡散しないよう気を付けていただきたい。
関連タグ
ファウード/バオウ・ザケルガ……作中で「魔界の脅威」と見なされたもの。
ゼオン・ベル……本編での絡みは無いが、完全版に収録されたガッシュカフェにて共演。
同作者作品の関連キャラクター
- ギラー・ギラー・ギラー
作者の雷句先生がガッシュの連載終了後に連載していた作品「どうぶつの国」に登場するメインキャラクター。
「生命にとって死こそが幸福である」と考え、全ての生命を執拗なまでに殺害しようとする危険思想の持ち主であり、生命にとっての脅威という意味ではクリアと共通。
だが、ギラーに関してはとある複雑な事情からそのような思想に至ってしまったのであり、クリアのように先天的に思想が狂っているわけではない。