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バオウ・ザケルガ

ばおうざけるが

バオウ・ザケルガとは、漫画「金色のガッシュ!!」「金色のガッシュ!!2」及びアニメ「金色のガッシュベル!!」に登場する呪文の一つである。
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概要編集

金色のガッシュ!!」の主人公である魔物、ガッシュ・ベルが使用する第四の術。作品内外ともに「バオウ」と略されて呼ばれることが多い。


ガッシュが持つ術の中でも最大級の威力を誇る、文字通りの「最大呪文」であり、ガッシュを代表する知名度を誇る呪文。

作中で初めて登場したオウ系呪文でもある(他のオウ系も含めた系統としての詳細は「術(金色のガッシュ!!)」の記事を参照)。


性能編集

(※)先に述べておくべき注意事項として、バオウは作中に登場する全ての術の中でも特異な存在であり、ゼオン戦以降のバオウ(いわゆる覚醒後)の解説には必然的に多くのネタバレが含まれるので、当項目では覚醒前の性能に絞って解説する。

原作258話以降のネタバレを避けたい方は、当記事における「バオウの秘密」以降の項目を閲覧しないことを推奨する。



他のオウ系呪文の例に漏れず、この術も伝承上の生物を召喚し攻撃する呪文。

バオウ・ザケルガの場合は、巨大な龍を模した電撃を発生させる

龍は咆哮と共に大きく開いた口で対象に喰らい付き、そのまま噛み潰すように電撃を浴びせて破壊する。

その圧倒的な迫力に違わぬ凄まじい威力を誇り、初級術のザケルではまるで損傷を与えられなかったキクロプの鎧を一撃で粉砕しギガノ級の肉体強化をかけたバランシャを一撃で戦闘不能に追い込むといった活躍を見せた。


また、通常の魔物の術は使用すればするほど心の力を消耗するが、バオウ・ザケルガは「他の術を使用し、心の力を消費するほど威力が増大していく」という特殊な性質を持つ

逆に言えば、戦闘開始時にいきなり発動したり、咄嗟の迎撃手段として利用する事はできない(仮にできたとしても威力が不十分となる可能性が高い)。そういった不便さも他の最大呪文では起きるはずもないバオウ独自のデメリットとなってしまっている。


また、この術自体も莫大な心の力を消費するだけでなく、一度発動すると清麿に相当な肉体的負担をも掛けてしまい、一時的な全身疲労に襲われ、まともに動く事もできなくなってしまうほど(ガッシュに負担がかかるのかは不明)。

このような性質から、何らかの手段で体力や心の力を回復しない限り、一度の戦闘において一発しか使えない「最後の切り札」とも言える存在である。


とはいえ、確かに初級術とは比較にならない強力な術ではあるものの、覚醒前は上述の理由から使い勝手が悪い上、ザグルゼムの強化なしではディオガ級呪文にも劣る程だった。

現に「石版編(千年前の魔物たち)」~「ファウード編」においては徐々に威力不足が露呈し始めてしまい、最大呪文の打ち合いに押し負ける・押し勝って命中させても決定的なダメージを与えられないという描写が増えてしまう。

それでも、ガッシュのザケルガより強い攻撃呪文はバオウしかなかったこともあり、ザグルゼムによる強化や清麿の作戦、仲間のサポートなどによって弱点を補強しながら切り札として使われ続けた。


そのような経緯から、作品外でも「不遇」「弱い」等と微妙な評価をされがちではあったが、ゼオン戦での覚醒を経て最上位の等級であるシン級相当の術へと大幅にパワーアップ


原作における「王を決める戦い」においてガッシュが最後に使った術、つまりトリを飾ったのもバオウであり、今では名実ともに「主人公の相棒」「最強の切り札」たる呪文となった(詳細はネタバレ有りの項目にて)。


バオウの秘密(重大なネタバレ注意!)編集

実は、バオウはガッシュの父親、即ち現在の魔界の王ダウワン・ベルが所持していた「最強の術」である(※)。

魔界の法律を守るアースの一族からはファウードと並ぶ『魔界の脅威』」と称されるほどの危険性を孕む極めて強大な術

(※)ネット上では「ダウワンが独自に開発していた術」と書き込まれていることもあるが、これはデマなので注意。

作中の描写・及び作者ブログやTwitterでも「ダウワンが開発した」と説明されたことはなく、原作261話におけるゼオンの「父はバオウの力を使って王になったと聞きました」という台詞からも、「開発した」のではなく「千年前の戦いの中で修得し、その後も鍛え上げ続けた」と解釈する方が正しいと思われる。


本来のバオウは、対象の怒りや憎しみ等の「悪」を喰らい尽くすための力であったが、そのような負の心を長年に渡って喰らい続けた結果、いつしかバオウ自体が大量の悪意に染まっていき(満たされてしまい)、ダウワンでさえ制御が難しくなってしまった。


現に、この術そのものが意思を持っていると明言されてはいないものの、ゼオン戦における覚醒バオウは「内側に貯め込んだ悪意がガッシュの心を駆り立てる」ような演出がされており、実質的には意思を持った術のように描写されている(※)。

(※)ネット上では「『意志を持った末に術を発動した魔物の意識を乗っ取る呪文』というのは、クリアのシン・クリア・セウノウスにも共通した特徴であり、バオウ・ザケルガにのみ見られる特徴ではない」と書き込まれていることもあるが、これは厳密には誤解なので注意。

確かに表面上の現象こそ似通っているものの、バオウとシン・クリア・セウノウスは本質的には大きく異なっている。違いについての詳細についてはクリア・ノートの記事を参照(そちらにもネタバレが含まれるので注意)。



年老いた事で自身の力の衰えも感じた王は、バオウが魔界の全てを破壊すべく暴走し始める前に、その力を発現させる可能性が低いと見たガッシュに術を継がせる決断をし、彼を民間の町へ移して生活させる事でバオウそのものを隠滅する決断を下した。

この辺りの事情はゼオン視点で述べた方が解説しやすいため、記事内容の重複を避けるためにも、詳細はゼオン・ベルの記事を参照(そちらにもネタバレが含まれるので注意)。


だが、そこまでして平和を望んだ魔界の王の意に反するかのように、(おそらくダウワンの手から離れた事が原因で)本編における覚醒バオウは見境も無くあらゆるものを喰らい尽くす危険な力に変貌していた。遂にはガッシュの中で覚醒し、危うくガッシュをも食い尽くす寸前まで暴走してしまうのだった。

そしてファウード編におけるゼオンとの決戦において、ガッシュが仲間達の支えもあり完全なコントロールに成功。

ガッシュから奪った記憶から王やガッシュの事情を垣間見たゼオンとも和解できたことで、ダウワンの苦悩はようやく晴らされる事となった。


強化・派生・関連術(ネタバレ注意!)編集

黒いバオウ・ザケルガ編集

アニメ版のエピソード「マエストロ編」にて、ブラゴのバベルガ・グラビドンと融合し変色したバオウ(なので、厳密には黒というより濃い紫に近い)。

当時発売していたカードゲームにおいても「黒いバオウ・ザケルガ」という名前で収録され、隣接するページにバベルガ・グラビドンがあれば威力が上がる効果となっている。


強化バオウ編集

「バ、バオウが…」

「形を変えた!? より強く、大きく…」


ガッシュの電撃を誘導し、威力を増大させる第七の術「ザグルゼム」の性質を利用し、複数のザグルゼムをバオウに食わせる事でより強大な電撃へと昇華させたもの。姿もより巨大で力強く、そして恐ろしいものへと変異している。食わせたザグルゼムの数に応じて、全身の大きさや角の形が段階的に巨大化していく。


分裂バオウ編集

「均等な距離に四つ、ザグルゼムがあると、電撃はどう動くと思う?」


リオウ戦でのみ登場した、四体に分裂するバオウ・ザケルガ。

当時発売していたカードゲームでは「バオウ・ザケルガ(4体分離)」という名前で収録されている。

等間隔の四方、その中心(起点となる位置)、集合地点(相手の魔物)にザグルゼムを打ち込んだ状態でバオウを発動。

起点から四方へバオウを枝分かれさせ、最終的に相手の魔物に打ち込んだザグルゼムへ誘導させることで、強化バオウを前後左右から同時に叩き込んだ。


バオウ・クロウ・ディスグルグ編集

ガッシュの第十の術。巨大なバオウの右腕のみを召喚する。発動中もガッシュの意識がハッキリしており、ガッシュの腕と連動させ自在に動かす事ができる。

出だしで術の力を発揮する前とはいえ、ファウードの細胞で強化された魔物のディオガ級相当の術と激突しても完全に受け止めて押し返し、術ごと敵を刈り取るほどの凄まじい力を持つ。


真のバオウ・ザケルガ(制御前)編集

「これは…なんだ!?」

「今までのバオウとは全く違う… 大きさも… 力も…」


清麿の死に直面し、ガッシュが強い憎しみを覚えた事で覚醒したバオウ。

発動した時点で明らかに今までのバオウはおろか強化バオウとも比較にならない程の大きさを誇り、所々が漆黒に染まった異様で禍々しい雰囲気を放っている。また、見ようによってはまさしく「王冠」にも見える形をした装飾(鎧)が頭部に追加されている。


敵の術はもちろん、ガッシュや清麿、更には彼らに触れている人間や魔物までも喰らい始めるというとてつもなく危険な術。

その対象となったものは体が闇に浸食されていくように少しずつ黒ずんでいき、その黒ずんだ部分からはエネルギーはおろか存在そのものが感じられなくなっていく。またこの時、黒ずんだ部分から影のようなものがバオウの口まで伸びていき、文字通りの意味で「喰われて」いく

今までバオウを使う度に清麿が全身疲労に襲われていた現象は、この「術者をも喰らう」性質の一端だったと考えられる。

更に、このバオウを発動した際には清麿が自身の意思とは関係なく本から手が離せなくなり、今までのように全身に力が入らないどころか、意識まで吸い取られるように遠のいていく異常さに危機感を抱いた。


初めて使用した際にはゼオンの「ジガディラス・ウル・ザケルガ」に押し負けて消滅し、結果的に辛うじてガッシュや清麿は食われ尽くされずに済んだ(それでもガッシュはしばらく完全に意識を失い、清麿も立ち上がれなくなるほどに消耗する羽目になり、ゼオンでさえもその惨状に隠し切れないほどの恐怖と動揺を覚えた)。


真のバオウ・ザケルガ(制御後)編集

「お前の主は今ここに戻った!!!」

「私の意志に従うがよい!! 私の感じるこの温かな光を守るためにお前はおる!!!」


真のバオウ・ザケルガを完全に制御下に置いた状態。ゼオン戦ラスト~原作最終回まで使用する形態である。

見た目が制御前と比べて大きく変わったわけではないが、漆黒に染まっていた箇所が無くなり、全身が眩い金色の雷で統一されている。


力が制御前よりも更に高まっており、威力もシン級に等しいところまで引き上げられた。また、ガッシュや清麿への負担も大きく軽減されている。無論、ガッシュや清麿を「喰らう」現象も起きなくなり、発動後に清麿が倒れてしまうこともなくなった。

更に、覚醒前のデメリットも完全に克服されており、一度の戦闘中に複数回発動可能となり、「予め他の術を使用しておかなければならない」制約も解消されたため、名実ともに「純粋に頼れる最大呪文」へと昇華された。


ちなみに「他の術を使用し、心の力を消費するほど威力が増大していく」という長所も消失してしまったかのように見受けられるが、素の威力が格段に上昇したため特に問題にはなっていない。


クリア編での修業で更なる強化を遂げ、クリアとの決戦では「消滅波を食らってから粉々に砕く」「雷の力を牙先の一点に集中する」といったコントロールも可能となった。

ブラゴとの決戦ではシン・バベルガ・グラビドンに真っ向から打ち勝ちガッシュの勝利を決定づけるという、まさしく主人公の切り札に相応しい有終の美を飾った。


極大バオウ・ザケルガ編集

「ゼオン…」

「力を… 借りるのだ…」


ファウードを止めるため、双子として二つに分かれたゼオンとガッシュの雷を一時的に一つに戻し、魔界の王が全盛期の頃から鍛え上げ続けた状態(=本来の状態)に近づけたバオウ。

魔界でファウードと並ぶ「脅威」と称されているのも納得の大きさと破壊力を誇り、山よりも遥かに高いファウードの身長をさらに上回るほどの超巨大な龍の姿となっている。真のバオウでもファウードの頭部(コントロールルーム)に収まる大きさであったことを考慮すると、その数十倍以上はある程の巨大さを誇る。

あまりにも大きいためか、ガッシュの口や背後の空間等ではなく、足元の大地から幾筋もの電流が天へ昇るような形で召喚されている。

当然威力も壮絶なもので、一瞬にしてファウードの全身を焼き尽くした。


尚、原作275話にて極大バオウを見た後のブラゴが「もっと強くなるぞ」と述べているが、これが「バオウが更に強くなる」という意味なのか「自分達(=ブラゴとシェリー)が負けないようにもっと修行するぞ」という意味なのかは解釈が分かれる(おそらく後者だと思われるが)。



ダウワン本来のバオウ・ザケルガ編集

「父が使っていた時のバオウは千年近く鍛え上げられ、究極の強さを持っていた」


原作終了時点において、ダウワンが使っていた本来のバオウが完全に再現されたことはないが、作中の描写から逆算して性能を推し量ることはできる。

詳細はダウワン・ベルの記事を参照。


シン・ベルワン・バオウ・ザケルガ編集

「ウヌ、やるぞ! 清麿!!!」

「ああ… 強い思いで皆の力を一つに…」


クリア完全体との最終決戦において、「金色の本」に集った魔物達の力を結集して発動させたシン級のバオウ・ザケルガ。

なので、厳密に言えば「ガッシュ自身が新たに修得した術」ではなく「一時的に集った仲間達の力をガッシュの術という形で解き放った」という方が正しいと思われる(あくまで「皆の力」で発動するためか、ガッシュも発動時に白目を剥いていない=気絶していない)。

現に、この術はブラゴとの純粋な1対1での決戦では使用できないと思われる旨を清麿が話しており、「金色の本」があくまで「魔界にとっての脅威であるクリアを倒す」ための力であったことも踏まえると、ガッシュや清麿個人の力では発動できないと見て間違いない。


クリア完全体の大部分を口内に納められるほどの巨大なバオウの頭部から、さらにもう一つの頭部と左右の腕(この腕にも頭がある)が伸び、最初の頭部が胸部に位置する形の巨龍の姿となる。

もはやクリアの消滅波さえ全く通用しないほどの力を有しており、シン級呪文の直撃でさえ大したダメージを負っていなかったクリア完全体を一撃で噛み砕くほどの威力を見せ、決戦に終止符を打った(※)。

また、バオウ本来の性質である「悪を喰らい尽くす」効果は変わらず搭載されていたため、クリアは消滅の力や記憶などを失いながらも生存していた(ガッシュが王の特権で生き返らせることができた)ことが最終話で語られている。


(※)ネット上では「ヴィノーのバリアを喰い破った」と書き込まれていることもあるが、これはデマ(誤解)なので注意。

ヴィノーのバリアに関しては作中でも「魔物の術を無効化する」と清麿が述べており、クリア完全体を倒すシーンでも「クリアの力の球が粉々になる(クリアが完全に死亡する)→(クリアの死亡という条件を満たしたため)バリアも砕ける」と順序立てて描写されているため、シン・ベルワン・バオウ・ザケルガの威力そのものでバリアを破壊したわけではない。


金色のガッシュ!!2において(ネタバレ注意!)編集






「美しい」

「コレがあれば全ての夢が叶う」


単行本2巻で登場。

といってもガッシュが発動したのではなく、他の術と同じく敵勢力によって奪われてしまったことが判明。

しかも他の術のように「記号化されて瓶詰めにされる」のではなく、なぜか巨大な龍の形を保ったまま巨大な水槽と思わしき物の中に囚われている。

敵勢力の重要人物と思わしきベリエルはバオウを見ながら上記の台詞を述べており、何かしらの特別な用途として利用されてしまうのかもしれない。


純粋な破壊力という面でももちろんだが、バオウの「悪を喰らう力」(及び「悪を喰らい過ぎるとバオウ自体が悪に染まりかねない特性」)が関係しているのだろうか……?


関連項目編集

金色のガッシュ!! 金色のガッシュベル!! 金色のガッシュ!!2

術(金色のガッシュ!!)


ガッシュ・ベル高嶺清麿……現在の使い手。

ダウワン・ベル……元々の使い手。


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