(※)はじめに
当記事では漫画「金色のガッシュ!!」及びアニメ「金色のガッシュベル!!」における術(呪文)について解説しています。
- 作品そのものについて知りたい方は金色のガッシュ!!、
- 今作に登場するキャラクターについて知りたい方は金色のガッシュ!!登場人物一覧、
- 「王を決める戦い」や「魔本」について知りたい方は魔物の子の本
の記事をそれぞれ参照してください。
また、2023年6月現在、公式情報として判明している術の系統や等級はガ系、ラージア系、オウ系、ギガノ級、ディオガ級のみです。
ギガノ級、ディオガ級は作中で明言されており、ガ系、ラージア系、オウ系が明言されたのはこちら(作者ブログ140ページにおける質問コーナー)。
厳密にはラージア系は作者ブログでも「ラージア」としか記載されておりませんが、作中での描写や作者ブログの文脈から系統であることがほぼ確定なので、当記事では系統の一種として扱います。
以上のような点を踏まえ、当記事における内容は、作中の描写からほぼ確定的なものが大半ではありますが、あくまでファンの考察や解釈が入り混じったものであり、全てが公式情報ではない事をご了承ください。
Pixiv百科事典では考察や意見を書くことは禁止されておりませんが、利用規約で「嘘を書いてはいけない」と決められているので、混乱を防ぐためにも予め「当記事の内容は予想や考察も含み、全てが公式情報ではない」という点を明記させていただく次第です。
また、原作終了時点までの情報も含めて解説する都合上、当記事はネタバレを含みますのでご注意ください。
尚、外部サイトや各種掲示板サイト、動画投稿サイト等では術の強さランキング・最強ランキングを紹介している場合もありますが、
- そもそも何を以て術の強弱や優劣を図るのかという前提は読者やファンによって異なり、外部サイト等におけるランキングも大小なり個人的な意見や好き嫌い、解釈の違いが混じり、客観性を欠いた結果になることもある。
- レインやゼオンのように、術の威力が本来のレベルを遥かに超えている例もあり、全ての術を一概に術名の系統や等級だけで比較できるわけではない。
- キャンチョメのシン・ポルクやティオのチャージル・セシルドン、モモンのオラ・ノロジオ等、単純な破壊力という一面的な見方では強さを正しく評価できない術も数多く存在する。
- ディオエムル・シュドルクの「炎の槍」のように、素の威力では負けていても応用技で上の等級に打ち勝つ場合がある。
- 作者の雷句先生もブログにて、「魔物の戦いは心の力によって優劣が別れるため、単純にランクで示すのは難しい」と回答している。
等の理由から、当記事においては術を系統と等級に分けて列挙するに留めますのでご了承ください。
概要
術とは、「金色のガッシュ!!」に登場する全ての魔物にとって欠かすことのできない戦闘手段であり、今作のバトルを盛り上げる重要な要素の一つでもある。
作品内外ともに「術」と「呪文」の2つの呼び方をされているが、特に意味が変わるわけではない。
ただ、今作において魔物の術を指す場合は、基本的に上記の「術」「呪文」という呼び方のみが使われており、「技」「必殺技」「能力」「奥義」「魔導」「スペル」等とは表現されないので注意。
一応、「特別編 二人の王女」でティオが「魔法」という表現を使っていたり、「外伝:友」にてアースが術を「魔術」と表現しているシーンはあるが、やはり作中を通して一貫した呼称は「術」「呪文」のみである。
特に「能力」に関しては作中において「魔本や術に頼らずに行使できる、魔物本人が持つ能力」を指す場合に使用され、「術」「呪文」とは明確に使い分けられている。
他にも外部サイト等で見かける誤記として「最強呪文」があるが、作中で魔物の最も強力な術を表現する際には「最大呪文」となっている。
また、魔物にとっての「第一の術」や最も下の術を作中で示す際には「基本術」ではなく「初級術」と表記される。
特徴
本来、魔物は自らの意思や力で術を発動することが可能なのだが、今作における「王を決める戦い」に参加する場合に限り、術は魔物本人の力ではなく本の持ち主となる人間の「心の力」を源として発動するようになる。
魔物の子の本の記事に記載してあるような理由以外に、魔物が本の持ち主を第一に守る/交流を深める等の行動を取らざるを得ないのは、本の持ち主に術を唱えてもらわなければマトモな戦闘すら叶わないからである(一応、作中トップクラスの魔物であれば術無しでも並の魔物を圧倒できるのだが、ここでは割愛)。
よって、今作における術(及び術の発動に不可欠な魔本や、術に関する制約)は単なる戦闘手段に留まらず、「魔物と人間がペアとなって戦う」という戦いのルールそのものを成立させる上で欠かせない重要な要素にもなっている。
また、今作における術は他の漫画・アニメ・ゲーム・ラノベ作品に登場する魔法や魔術と比べても個性的な特徴を多く持っており、単なる戦闘手段に留まらないような作り込みを感じさせられる。
以下は今作における術の特徴や共通点、及び関連事項である(無論、全てが他作品における魔法等の特徴と一切被らないわけではない)。
また、以下で述べるのはあくまで原作終了時点の情報であり、続編「金色のガッシュ!!2」での変更や追加等は割愛する(後日談である「外伝:友」の内容は含む)。
- 最低でも3文字であり、2文字以下の術は存在しない。
- 術名は全てカタカナで表されており、ひらがなや漢字は一文字も入らない。
- 一応、原作ではファウードの「十指砲」のみ漢字で表現されているが、これは術というより兵器の一種であり、魔本を通じて発動する攻撃ではない。
- また、ディオエムル・シュドルク状態のウマゴンが使う「球の盾」や「炎の槍」は応用技の名前であり、術名そのものではない。
- 「ファイア」、「サンダー」、「ダーク」等、多くのバトル・ファンタジー作品で登場しがちな「聞いただけで属性や系統を連想できるような語」や、「スーパー」、「ウルトラ」、「スペシャル」、「アルティメット」等の「強さや格をイメージしやすいような語」が登場せず、今作オリジナルの言葉で表現されている。
- おそらく「術は魔界の言語である」点や「魔界と人間界が完全に別の世界である」点を反映させているのだと思われる。
- 一応、「ファング」や「コブラ」等の人間界における言葉と全く同じものや、「アム」(=アーム)、「エムル」(=フレイム)、「エクセレス」(=エックス)等、どことなく人間界における言葉を連想させるような語も見受けられる。
- 術には術属性を表す語や、系統と等級を表す語、及びそれらを包括した命名法則があり、術の名称や語感などを参考にして性能や威力を測ることもできる。
- よって、今作における術名は一部の例外を除き「属性+系統+等級」という式で表すことができる。
- 系統や等級についての一覧は非常に長くなってしまうので、当記事における各項目を参考していただきたい。当項目では「系統と等級の違いについて」のみ後述する。
- また、どうやら術名に使われる語には同音異義語や他の語との組み合わせで意味が変わる語、あるいは単に語感が被っているだけであったりこれといった特定の意味を持たない語もあるように見受けられ、必ずしも術名の一字一句に決まりきった法則があるわけではないと思われる。また、語感の都合で元の形から多少なり変化しているような語も散見される。
- 例えば「拘束系の術であるジケルド」「棍を強化するエルド」「盾呪文全般に付くシルド」はいずれも「ルド」を含んでいるが、だからといって「ルド」そのものに「前述の3種全てに付いても矛盾しないような意味合い」があるとは考えにくく、上記のような同音異義語などの可能性を考える方が自然ではないだろうか。
- 他にも例を挙げるなら、「バオウ・ザケルガは名前に『バオ』こそ含んでいるものの、どう見ても『~バオ系』のような瞬間爆発の性質は持っていない」「ディオウ・ギゴリオ・ギドルクは名前に『オウ』こそ含んでいるものの、どう見ても『オウ系』のように何らかの生物を召喚してはいない」等だろうか。
- 人間界における術は全て本の持ち主の心の力を源として発動される。人間界においては魔物自身の魔力や体力を消費しない。心の力以外の要素を源として発動されたことは一度も無い(原作における「金色の本」については特例なので割愛)。
- 術は必ず魔物自身の身体、もしくは身体の一部に等しい物を介して発動される。魔物本人の代わりに術を放つ道具や兵器の類は存在しない。
- 術は一つずつしか発動できない。
- 術を発動する→対象に直撃させるor何らかの効果を発揮する/相殺or押し負けて消滅する/中断する→次の術を発動……という流れが絶対。
- なので、「一度に複数の術を発動して同時攻撃する」「術を重ね掛けして疑似的に強化する」等の使用法は不可能。
- 例えば「ザケルを放つ→打ち終える→次のザケルを放つ」という流れでの連射は可能だが、「ザケル2発を同時に発射する」ことはできない。
- 術は実際に発声しなければ絶対に発動しない。心の中で呟いたり唱えたりしても発動しないし、「発声していないのに術が勝手に発動した」等のイレギュラーなケースも一度も起きていない。
- たとえ「まだ赤子のため発音がままならない」「高齢のため入れ歯が無ければ正確な発音ができない」という仕方のない事情があったとしても、正確に発音しない限り術は発動しない。他、水中でも正確な発音とは見なされないのか、原作201話と202話では清麿とサンビームが水面から顔を出した上で術を唱えている。
- 逆に発音さえきちんとできていれば、多少は途切れ途切れになってもよい模様(原作136話にてナゾナゾ博士がミコルオ・マ・ゼガルガを、原作214話にて清麿がザグルゼムを途切れ途切れで唱えているが、いずれも問題なく発動している)。
- また、術は発声した瞬間に即座に発動するため、「発声から間を置いて時間差で発動する」「数回分の詠唱を予め済ませておき、後で一斉に発動する」等の戦術は不可能。
- 映画・アニメオリジナルではあるが、複数の本の持ち主(及び魔物)が力を合わせて1つの術を発動したケースもある。
- 一度覚えた術が消失することは決してない(白い魔本による影響については割愛)。
- 既に覚えた術の派生術や上位術を修得する際も、一度覚えた術そのものが置き換わって使用不可になったり、消滅するわけではない。
- たとえ魔物本人や本の持ち主自身であっても、実際に発動するまで術の効果を知ることはできない(アンサー・トーカーは例外)。
- ただ、クリアのザレフェドーラ/バードレルゴは「クリア自身が生み出した術」であるため、予め効果を把握していた可能性がある。
- 誰もが必ず弱い術から順番に覚えていくというわけではなく、既に覚えた術の下位術や派生系を後から修得するケースもある(ガッシュのバオウ・ザケルガ→バオウ・クロウ・ディスグルグ等)。
- 術の威力自体は系統や等級によってある程度決められているものの、必ずランクに応じた威力しか出ないわけではなく、実際の威力は魔物本人の魔力や実力によって変動する。
- 初級術がギガノ級以上の威力まで底上げされているゼオン、逆に魔鏡による強化抜きではマッチほどの小さな火しか発動させられないグリサ等が例に挙がる。
- 本の持ち主が心の力を込めるのとは別に、術そのものを鍛え上げて威力を上昇させたり、新たな応用性を得ることも可能。
- 稀少な部類ではあるが、術の威力を強化するための術も存在する。
- ビクトリームのチャーグルとガッシュ(及びゼオン)のザグルゼムがこれに当たる。
- 術には弱所が存在するため、そこを的確に突けば威力差を覆すことも可能。作中でこれが可能なのは清麿、デュフォー、バリーのみ。
- 尚、この技能は作者ブログでも「弱所突き」という呼称が用いられている。
- また、術は外的要因によって強化することも可能。
- ただ、やはりそのような強化方法はイレギュラーということなのか、作中では負の面も併せて描写されることが多い。
- 原作において該当するのは「ゴデュファの契約」のみだが、アニメ版ではグリサの使った魔鏡やマエストロの使った特殊なコイル、ファウードのサポートシステム(原作における「ゴデュファの契約」とは別物)が挙げられる。
- 上述の通り、術の発動自体には魔物自身の魔力を使わないものの、魔物同士の力を合わせて術を強化した例が2つだけ存在する(ファウードを倒した極大バオウ・ザケルガと、シン・ベルワン・バオウ・ザケルガ)。
- アニメオリジナルの演出ではあったものの、術同士が融合したことも一度だけある(アニメ版98話で登場した黒いバオウ・ザケルガ)。
- 術による攻撃、及び術による影響は術を発動している間(本の持ち主が本を持ち、心の力を込めている間)のみ持続し、術が停止・中断しても効果が永続するようなことは基本的にない(無論、術を唱え終えた後も術による負傷や環境破壊の類が治るわけではない)。
- ただ、ビクトリームのチャーグル、ガッシュのザグルゼム、ゴーレンのディオガ・ゴルゴジオ等、何らかの条件を満たすまで効果が持続する術も少数ながら存在する。
- 作中で明言こそされていないものの、基本的に術(特に攻撃術)の射程は概ね目視可能な範囲であり、街や国を跨ぐほどの超遠距離や、視認できないほど遥か遠方から一方的に狙い撃ちできるような術は僅かであり、射程距離という面では近代兵器に劣る面もある。
- 前述の通り、術が人間界における他の戦闘手段より優れた威力を持つのは確かだが、作中では魔物の術を無効化する物体が幾つか登場しており、それらに対しては通常の物理的な手段での対処を強いられる場合もある。
- 作中で該当するのは、ファウードの内部設備を保護するための「絶対魔力防壁(マジック・シールド)」及び「防御壁(ヘビー・シールド)」、ファウードのコントロールルームに使用されている「魔力を通さない特殊な鉱物」である。
- また、原作315話にて、修行でアンサー・トーカーを安定させた清麿が「ヴィノーのバリアは魔物の術を無効化する」と明言しているため、クリアが生成したバリアも単に硬度が高いだけでなく、ファウードの設備と同じく術に対する絶対的な耐性を持つと考えられる。
- 他にも「外伝:友」では「王の身を守る絶対的な盾」として「王杖(ワンド)」という特殊な杖が登場している。
- この杖を持つ本人には何の制約もかからないのだが、持っている本人から半径50m以内の魔物は術を出せなくなるという、作中でも唯一の術を使用不可にする道具である。
- ただ、この杖はあくまで「魔物が自身の魔力を用いて術を出す」ことを封じるのであり、「魔物自身の魔力とは異なる力を源にして術を発動する」ことは封じられない。
- 術同士の相性や上下関係、有利/不利の関係性がほぼ存在しない。それこそ作中で術の相性関係が明確に描写されたのはガッシュvsパティ戦のみである。
- いわゆる「暗黒」「闇属性」「闇堕ち」「ダークヒーロー」「オルタ」的なポジションの術が登場しない(強いて当てはまりそうなものを挙げるとするならば、覚醒直後のバオウやゴームの術くらい?)。
- 催眠・洗脳・魅了といった、心や精神、意思や思考を操るタイプ(いわゆる精神干渉系)の術が一つも存在しない。
- 一応、キャンチョメのシン・ポルクは神経を介して脳に干渉し、無意識下の行動や錯覚を引き起こすことは可能だが、相手の意識や思考そのものを操れるわけではない。
- また、ゾフィスやワイズマンの能力は術ではなく魔物自身の持つ能力である。
- 味方を補助するための術が非常に少ない。それこそ明確に「他者を助ける」効果なのはティオのサイフォジオとコルルのシン・ライフォジオ程度。
- おそらくこれは、今作における戦いにおいて、共闘や協力をする制約が無く、たとえ協力して勝ち残ったとしても必ず最後の1人を決めなければならない(=必然的に個として戦う力が求められる)からだと思われる。
- ごく僅かながら、術そのものが意思を持つ場合もある。
- 「戦闘には必ず術を用いなければならない」「術を用いて相手を倒さなければ勝利とは認められない」等の制約は無い。
- また、「一定の日数や時間ごとに必ず術を使わなければ使用不可になる、魔力が溢れ返る」等のデメリットや強制力も無く、戦闘と日常生活のどちらにおいても術の使用は魔物と本の持ち主の自由である。可能ならば呪文抜きで相手に勝利してもよい。
- 術を用いて戦いとは無縁の一般人や建物、道具等を傷付けたり破壊しても、デメリットやペナルティの類は一切無い。
- 人間社会に根付いた文化や生活手段ではないため、戦いとは無縁の一般人には認知されていない。
系統と等級の違い
まず、これらの違いについては作中、及び公式情報として厳密な定義が語られたことはないので、あくまで考察である。
作中の描写を総合し、「ガ」と「オウ」が作者ブログにて系統として扱われていること等を踏まえると、
- 系統
- その語が付く術同士に、見た目や性能など、何らかの共通した要素が見受けられる(ガンズ系であれば「小型化、連射」、オウ系であれば「動物や幻獣の見た目をしている」等)。
- いわゆる「連射」「広範囲攻撃」等の「元となった術からの派生や特性変化」を表現していたり、「生物を象る」等の「特徴的な外見的変化」を表現している。
- 同じ術名の中に共存可能。系統を表す複数の語が入り混じっている場合、術もそれらで表される複数の要素を兼ね備えている場合が多い。
- 例えばガッシュのバオウ・ザケルガであれば、「オウ系」と「ガ系」が共存しており、術も「動物の見た目」と「(貫通)収束」を兼ね備えている。
- よりわかりやすい例を挙げるなら、ウマゴンのディオエムル・シュドルクは「エムル系」と「~ルク系」が共存しており、「炎属性」と「肉体強化」を兼ね備えている(あくまで肉体強化と炎を両立できるようになったのであり、決して肉体強化が炎属性に上書きされたわけではない)。
- 等級
- 系統とは違い、何らかの特徴的な外見的変化や性能変化を起こすわけではなく、単に元となった術の威力やサイズを大きくしただけのような印象を受けるもの。
- 上述の系統における説明で挙げた語とは異なり、他作品で例えるなら「ハイパー」「ウルトラ」「スペシャル」「アルティメット」「超」「真」等の「強さやパワーアップを表現する語」と同様の役割を担うもの。
- 術名の中で共存することはなく、基本的には等級を表す語は一つの術に一つしか付かない(ゾフィスのディオガ・テオラドム等、一部例外はある)。稀に複数の語が共存する場合もあるが、系統とは違い、何かしらの要素が複合しているような印象を受けることは無い。
- 既存の術の上位術を修得する場合、元の術に付いていた等級を示す語が上位の等級を示す語に入れ替わる。以下はその一例である。
- ギガノ・ラギュウル→ディオガ・ラギュウル。
- ゴウ・コファル→ディオガ・コファルドン。
- テオブロア→ディオガ・ブロア
- ニューボルツ・マ・グラビレイ→ニューボルツ・シン・グラビレイ
等の点から区別することが可能だと思われる。
全体として、「系統」が呪文の「種類」「傾向」を表すものであり、「等級」は呪文の「強さ」「格」「ランク」「単位」といった力関係を表す指標だといえるだろう。
ここまで述べてきたような一定の法則が作中全体を通して(厳密に)決められているからこそ、今作における術は単なる戦闘手段に留まらず、ファンの間でもその内実に関する考察が盛んになるほどの魅力を含んだ要素になっていると言えるだろう。
威力
術の威力は後述のような系統や等級によってある程度分けられており、防御術や特殊な術でもない限りは、たとえ初級術であろうと人間界における他の戦闘手段(殴る蹴る等の暴行、鈍器、刃物、銃火器等)を遥かに上回る殺傷力を誇る。
また威力は術の系統や等級だけでなく、呪文を唱えるときの感情の込め方次第で威力や使える回数なども調整可能であり、それをコントロールできれば高威力な呪文を短期間で連発することも可能。
作中で明言こそされていないが、今作における戦いにおいてほとんどのキャラクターが武術や近代兵器を用いないのは、ひとえに術の殺傷力が非常に高い(=他の戦闘手段で代替する必要が無い)からだと思われる。
術属性
基本的には魔物はそれぞれ固有の術を使用するのだが、中には術属性が被っており、似たような術や全く同じ属性の術を修得しているケースもある。
ちなみに「属性」や「術属性」という表現は、作中でこそ使用されていないものの、公式ファンブック「金色のガッシュ!!まるかじりブック」及び「金色のガッシュ!!まるかじりブック2」の解説コーナーで使用されているので、公式としての正式名称である。
術属性が初めて公表されたのは公式ファンブック「金色のガッシュ!!まるかじりブック」内の「魔物大百科」コーナーである。
この時点では原作11巻までに登場した魔物についてしか触れられていないが、それでも17種類もの属性が記載されている。
具体的には雷、氷、水、植物、風、息、地、重力、光、爆発、音、聖、強化、格闘、操り、はがね(ひらがな表記)、機械である。
その後、「金色のガッシュ!!まるかじりブック2」にて新たに公表された属性が、砂、エネルギー、怨霊、鉄紺の4種である。
以下は上記に挙げた計21の属性それぞれに該当する魔物の一覧である(人数が多いものについては一部省略)。
- 雷
ガッシュ、ゼオン
- 氷
レイコム、フリガロ
- 水
パティ、ビョンコ
- 植物
スギナ、ポッケリオ、カルーラ
- 風
フェイン、ザバス等
- 息
パピプリオ、バーゴ等
- 地
エシュロス、ドグモス
- 重力
ブラゴ、イソジン(千年前の魔物。戦闘描写無し)
- 光
ビクトリーム、バリー、ロブノス等
- 爆発
ゾフィス、ゾボロン
- 音
ヨポポ、ドンポッチョ等
- 聖
ティオ、ザクソン(千年前の魔物。戦闘描写無し)
- 強化
キャンチョメ、ウマゴン、バランシャ等
- 格闘
ウォンレイ、キクロプ、ツァオロン等
- 操り
ロップス、バルトロ、レイラ、パムーン等
- はがね
マルス、ボルボラ
- 機械
キッド、ニョビイオ(千年前の魔物。戦闘描写無し)
- 砂
イバリス(バランシャと戦闘した千年前の魔物)、ムカロン(千年前の魔物。戦闘描写無し)
- エネルギー
アルム、ニンニン(原作143話でシェリーにネシルガを打った千年前の魔物)
- 怨霊
ベルギム・E・O
- 鉄紺
デモルト
上述のように、公式では同じ肉体強化系の魔物でも「強化」と「格闘」に細分化されているようだが、これらにどのような違いがあるのかは現状不明。
区分されている顔ぶれや、キャンチョメも「変化」ではなく「強化」と定義されている点を踏まえると、
- 直接的な攻撃力強化に留まらず、自身の「見た目」や「肉体強度」に何かしらの変化をもたらす場合は強化属性。
- 全身というより手足等が部分的に強化され、四肢を用いた殴る・蹴るといった格闘を主体とする場合は格闘属性。
といった違いなのだろうか?
また、以下はファウード編以降に登場した魔物やアニメオリジナル魔物達の属性予想である。
あくまでファンとしての考察の類であり、ここから下は上記までとは違い公式情報ではないという点だけ留意していただきたい(一応、ハイドの「風」、ファンゴの「炎」、クリアの「消滅」に関しては公式情報として確定だと思われる)。
- 風
ハイド
- 地
アカツキ
- 光(もしくはエネルギー?)
ロデュウ、レイン、キース、ワイズマン
- 強化
カルディオ、モモン、リーヤ、ニャルラト、ノリトー・ハッサミー、マジロウ
- 格闘
テッド、ギャロン
- はがね(もしくは強化、格闘?)
ブザライ
- 機械
コーラルQ
- 本(もしくは漫画、操り?)
ビブリオ
- 骨
ソーマ
- 磁力
マエストロ
- 剣
アース
- 影(もしくは操り?)
ザルチム
- 獅子
リオウ
- 炎
ファンゴ、グリサ
- 宝石
チェリッシュ
- 蛇(もしくは地?)
ジェデュン
- 竜
エルザドル、アシュロン
- 闇?腐食?
ゴーム
- 消滅
クリア
他、現在ではここに記載されていない魔物や、上記のような予想について様々な意見があれば、気軽に随時追記していただきたい。
系統:基本系
攻撃呪文
~ル系
口や手から電撃やエネルギー弾、音波等を放つ放射系の初級呪文。
使い手は人型の魔物から爬虫類系の魔物まで様々であり、作中でも幾度となく目にすることになる術でもある。
例:ザケル、ギコル、アクル等
~ス/~ツ系
ル系とほぼ同じ放射系の初級呪文。
威力や性能的にも特に違いは見受けられないため、同じ初級術の一種だと思われる。
例:レイス、ゾニス、ビライツ等
~ルド/~イド系
口などから液体や炎、ガス等を放出する放射系の初級呪文。
ル系にも似ており、初級の攻撃呪文も含まれていると同時に「単純な破壊力ではなく、妨害や拘束に重点が置かれた術」等、単なる攻撃力では測れないような術が複数見受けられる。
例:ジケルド、モケルド、ダレイド、ビレイド等
~セン系
手や肘、腹から弾丸や錐体といった物質状の攻撃を放出する呪文。
一度に複数の数が発射されることが多いのが特徴。
例:リグロセン、ゼルセン、べギルセン等
ニュ系
粘性のある液体の放出等を行う呪文。作中ではビョンコとパピプリオが使用。
例:ラージア・ニュルセン、ギガノ・ニュシルド、ニュレイド
~ロン系
軌道がやや曲線的かつ、リーチが長いタイプの呪文。いわゆる「しなり」が強い攻撃が多いのも特徴的。
攻撃呪文のみならず、肉体強化呪文にも多く見受けられる。
例:ジュロン、ガロン、アムロン、ロンド・ラドム等
キロロ系
鋭利な刃や、刃状の攻撃を繰り出す。
肉体強化の場合は身体に鋭利な刃物が生える。おそらく切断力に重点を置いた術だと思われる。
例:アクル・キロロ、リュウズレード・キロロ等
ソルド系
術のエネルギーを剣の形にして攻撃する。
上記のキロロ系が「刃」なのに対し、こちらは柄までしっかりと付いた明確な「剣」であるという違いがある。
例:ジャン・ジ・ソルド、シドナ・ソルド、ソルド・ザケルガ等
ドル系
回転するドリル状の攻撃を行う呪文。
見た目通り貫通力に優れているのか、盾呪文を破壊する描写が多い。
例:ドルゾニス、グルガ・ドルファノン等
ラドム系
爆発を起こす呪文。
ゾフィス固有の系統(属性)も同然だが、バリーも一つだけ修得しているので、当記事では系統として扱う。
例:ラドム、アラドム・ゴウゾニス等
~バオ系
上記のラドム系に似ているが、爆発する火球を放つのではなく、自身を中心とした至近距離で瞬間的な爆発を起こすタイプ。作中で使用したのはエシュロスとダルモスのみ。
ちなみにクリアの「バ・スプリフォ」も挙動や効果が似ており、バオ系の亜種の可能性もある。
例:べギルバオ、グランバオ
防御呪文
~シル/~シルド系
盾を呼び出す防御系の呪文。
作中に登場するほぼ全ての魔物は、修得した防御呪文に「~シル」または「~シルド」を含んでおり、全ての系統の中でもメジャーな術である。
全体としてはシルド系を修得する魔物が大多数であり、シルの付く術を使用したのはエシュロス、ティオ、リーヤのみ。
また、シルまたはシルドの前に各魔物固有の言葉が入る場合が多い。
一部のファンや外部サイトでは、「シル系はシルド系の下位術」のように見なされていることもあるが、
- 「盾が足元の地面からせり上がる形で発生する」という特徴はラシルドやスケイプ・ギシルド、アーガス系も同じであり、ディゴウ・シルシオは地面から発生しているわけではない(=地面からせり上がることが下位術を表す共通点とは一概に言えない)。
- 「シル系はシルド系に比べるとやや脆いように見える描写もある」という意見もあるが、ティオのセウシルはビクトリームのマグルガ連打を暫く防いでおり、パムーンのファルガ4発で破壊されたガッシュのラシルドと比べても防御力に大きな差があるようには見えない。
- 逆にウォンレイのレルドはサイズが小さい上に、ツァオロンの初級呪文であるエルド一発で破壊されるほど耐久性も低い。
等の理由から、単に語感の都合で変化しているだけであり、一概に「~ル系に対する~ルガ系」のような下位/上位を表しているわけではないと見なし、当記事では同列として扱う。
後述のアーガス系と比べると、前方のみに盾を展開するため、回り込まれての攻撃に弱いという特徴を持つ。
一応、ウォンレイのレルドやバリーのゾルシルド等、盾が大き過ぎないが故に自力で動かせるようなタイプも存在する。
- シル系の例:クレイシル、セウシル、ギガ・ラ・セウシル、ディゴウ・シルシオ
- シルド系の例:ラシルド、ゾルシルド、ファシルド、他多数
アーガス系
シル系よりも強度が高い全方位型の盾を発生させる。作中で使用したのはレインとリオウのみ。
獣の牙が対象や自身を呑み込むような形で展開する。
シル系と違い盾が半透明ではないので、発動中は視界が遮られてしまうという面もある。
例:アーガス・ファノン、アーガス・アボロド
クエア系
おそらく防御呪文だが、盾の形が角ばっていること以外には特徴が無く、具体的な性能も不明。作中で使用したのはクリアとブラゴのみ。
尚、厳密に言えばブラゴの術は防御呪文かどうか不明なものの、作中では防御的な使われ方をされているので便宜上ここに記載。
例:クエア・スプリフォ、クエアボルツ・グラビレイ
肉体強化呪文
(※)外部サイトや一部のファンの間では「身体強化」と表記される場合もあるが、原作本編では一貫して「肉体強化」と表記されており、「身体強化」と表現されたことは一度も無いので注意。
~ルク系
肉体強化系の初級呪文。
身体が一回り大きくなる、全身に鎧を纏う等、基本的には全身が一律に強化される。
ドルクを基本に「シュドルク」「ギドルク」等、文字がプラスされたり、魔物固有の語感にアレンジされることが多い。
主に動物系の魔物が使用しているが、その汎用性の高さから動物系以外の魔物も修得していることの多い系統。
例:ラウザルク、シュドルク、ギドルク等
アム系/ナグル系
全身というよりも、拳や腕全体といった腕部のみを強化する傾向にある系統。
また、肉体そのものが変形・変化する場合もあるが、全身あるいは特定の部位自体は変化せず、対象の部位に術のエネルギーを纏っているような描写が多い。
例:アムゼガル、アム・グラナグル、ドラグナー・ナグル等
また、アム系・ナグル系以外にも、
等、特定の部位を表していると思われるような肉体強化系も存在する。
ウルク系
肉体強度や筋力というより移動速度を高めるタイプの強化呪文。
現にこの系統では肉体そのものが強化・変化しないパターンがほとんど。
例:ウルク、リア・ウルク、シン・フェイウルク等
フェイ系
飛行能力や高い跳躍力を手に入れる術。元から翼の生えている魔物が使用した場合、純粋な飛行速度が上がると思われる。
基本的には肉体強化のルク系に繋がることが多い。
例:ミンフェイ・ミウルク、シン・フェイウルク、フェイ・ファルグ等
ガル系
発動と同時に魔物の身体が高速回転する呪文。
これに関しても肉体そのものが強化・変化するというより、自力では不可能な回転力を生み出すといった強化方法だと思われる。
攻撃呪文として使われる場合、術そのものが回転している場合が多い。
例:ガルゾニス、ガル・レドルク、ガルファノン等
クロウ系
文字通り爪に関する強化を行う。
例:アクロウク、ディガル・クロウ等
シザルク系
腕がハサミや鋏といった切断力のある形に変化、あるいはそういった武器を装備する術。
例:アムド・シザルグ、シドナ・ディ・シザルク
ヨーヨー系
こちらも文字通り両腕をヨーヨーに変化させる。
例:マグル・ヨーヨー、リュウズ・ヨーヨー
攻撃、防御に属さないもの
ジオ系
対象の身体に何らかの影響を与える呪文。
ダニーやティオの呪文から「回復」の印象が強いが、ゴーレンのディオガ・ゴルゴジオやモモンのオラ・ノロジオ等もあるので、ポジティブな効果だけではなく「何かしらの作用」と定義付ける方が正しいのかもしれない。
例:ジオルク、サイフォジオ、ディオガ・ゴルゴジオ等
ブルク系
分体に関わる系統の術。
本人の身体を分離したり、分身を生み出す。
例:レリ・ブルク、ゼブルク、コブルク、ディマ・ブルク
ボル系
自身の幻を生み出す呪文。
相手の術の無駄撃ちを誘ったり、緊急回避に使用する。
例:ボルク、ボルセン
グル系
自身の呪文の威力を高めるために使用する補助呪文。
例:ザグルゼム、チャーグル及びチャーグル・イミスドン
生活呪文(仮称)
魔界において、魔物の呪文は戦いのためだけに用いるわけではないようで、原作最終回ではコーラルQがトラックに変形していたり、デモルトが腕をツルハシに変化させるといったように、生活のための術も存在する事が示唆されている。
ちなみに、デモルトに関しては「デモルトはああいう術も使える。腕の角はまだまだ変化する」と作者ブログにて術を使って角をツルハシに変形させたことが明言されている。
系統:派生系/上位系
ガ系
ル系の上位系。公式名称。
一部のファンや外部サイトでは「ガ級」と称されることもあるが、作者ブログでは「ガ系」と表記されており、等級ではなく系統の一種である。
炎や電撃などがビーム状に収束し、ル系よりも貫通力を増した系統。
ル系よりも(基本的には)攻撃範囲が狭まる代わりに威力は高まっており、作中でもロデュウがガッシュのザケルガを「初級の上程度」だと述べている。
もっとも、魔物の身体的特徴や所有武器との相乗効果によって、変則的な軌道をとれる柔軟性が加わる術も混ざっている。
例:ザケルガ、ゼガルガ、ネシルガ等
ガンズ系
初級術を小型化し連射する系統。
見た目的に1発当たりの威力は初級術よりも低いと思われるが、手数が多いため牽制にも使える。
例:ガンズ・ガロン、ガンズ・バウレン、ガンズ・ゼガル等
バル系
こちらも連射や連続攻撃をする系統だが、上記のガンズ系とは違い術を小型化しない上での多段攻撃となっている。
例:バルジュロン、バルド・ガズロン、バルド・ニオセン、バルギルド・ザケルガ
ラージア系
広範囲を制圧するタイプの系統。公式名称。
破壊力というより、攻撃範囲を重視した強化になっている。作者ブログによると、威力に関しては「初級に毛が生えた程度」らしい。
ラージア・ジュガロやラージア・ゼルセンのように「物体の大きさ」を拡大するパターンもある。
攻撃範囲を拡大する例:ラージア・ザケル、ラージア・ラディス等
物体の大きさを拡大する例:ラージア・ジュガロ、ラージア・ゼルセン等
バーガス系
四方八方から攻撃を仕掛けるタイプの系統。
上記のラージア系をいわゆる「無差別範囲攻撃」とするなら、こちらは「対象を定めた上で全方位から攻撃する」系統だといえる。
例:バーガス・ファーロン、バーガス・ギ二スガン、バーガス・グノビオン
~ジャス系
地面から初級術を出す系統。
地面から出る攻撃が単体だとエイジャス、複数になると上記のガンズ系と合わさりガンジャスとなる。
例:エイジャス・ガロン、ガンジャス・ネシルガ、ガンジャス・バルフレイ等
オル系
操作性や機動力を高めた系統。
相手を自動追尾する機能を持っていたり、魔物自身で軌道を自在に操作できる。
例:オル・ウィガル、オル・ミグルガ、オルダ・ビレイロン等
ラ系
反射の性質を術に加える系統。ほとんどが防御呪文に付く。
例:ラシルド、ギガ・ラ・セウシル、ラ・ロボガルグ等
コ系
小型化に関する性質を付与する系統。
例:コポルク、コブルク
リ系
該当する術は3つしかないが、他の系統や等級と組み合わさり、かつ術の先頭の文字が「リ」である場合、両手で二発同時に発動する術となる。
例:リオル・レイス(リ+オル系)、リゴン・ゼモルク(リ+ゴウ級の亜種?)、リマ・チャージル・セシルドン(リ+マ級)
チャー〇ル系
何らかの条件を満たす度に威力が向上していく系統。
ティオが攻撃、防御共に習得している他、前述のグル系と実質的に融合した術をビクトリームが使用している。
例:チャーグル・イミスドン、チャージル・サイフォドン、チャージル・セシルドン
エムル系
元々の系統や属性に加え、炎属性を追加する系統。
炎属性をメインとしない魔物が派生形として覚えた場合、これになりやすいと思われる。
例:エムルロン、エムル・リュウガ、ディオエムル・シュドルク等
エクセレス系
Xの字に術を放射する系統。作中の使用者はパムーンとガッシュのみ。
厳密には「系統」か「等級」なのか不明であり、一部のファンからは「エクセレス級」と称されることもあるのだが、X字という明確な外見的特徴を持つため、当記事では「系統」として扱う。
どの等級に匹敵するのかも不明だが、
- パムーンの場合、ディオガ級や、バオウ・ザケルガを打ち破ってなお有り余るペンダラム・ファルガを有していながら、エクセレス・ファルガをゴーレンへのトドメに使おうとした。
- ガッシュの場合は、ブラゴのディボルト・ジー・グラビドン(シェリー曰く「ディオガ・グラビドンやバベルガ・グラビドンよりも強い」、つまりディオガ級相当は確定)と相殺した。
等を踏まえ、おそらくディオガ級相当は確定だと思われる。
例:エクセレス・ファルガ、エクセレス・ザケルガ
ディスグルグ系
主に「竜族の神童」であるエルザドルとアシュロンが使う系統。
作中で登場したのは僅か3種、使用者もエルザドル、アシュロン、ガッシュの3名のみと稀少な部類。
これもファンから「ディスグルグ級」と称されることもあるが、
- 語感が「~ルク」と似通っており、効果も間違いなく肉体強化の上位系だと思われる。
- 「竜」という明確な共通点が見受けられる。
等の理由から、当記事では系統の一種として扱う。
竜の体の一部を強化し攻撃する術で、作中ではアギオ(牙)、テイル(尻尾)、クロウ(爪)という部位を指定する単語3種と合わせて使用されている。
威力に関しては、一応「ディ」が入っている点を踏まえると、おそらく上級に近いと思われるが、
- 強力なのは間違いないとはいえ、さすがにエルザドルのアギオ・ディスグルグやアシュロンのテイル・ディスグルグがディオガ級相当の描写には見えない。
- ガッシュのバオウ・クロウ・ディスグルグはディオガ級に押し勝っているが、これは「バオウの腕を呼び出す」術であり、エルザドルやアシュロンのように自身を強化しているわけではない。また、バオウ覚醒によってガッシュは全呪文の威力が底上げされている。
等を考慮すると、オウ系のように強弱があり、平均的な威力はディオ級前後という可能性もある。
例:アギオ・ディスグルグ、テイル・ディスグルグ、バオウ・クロウ・ディスグルグ
バルスルク系
肉体強化系の非常に特殊な上位系統。作中で使用したのはデモルトとリオウのみ。
こちらも「バルスルク級」と称されることもあるが、
- 術の語感、性能や外見的変化を踏まえても間違いなく「~ルク系」の上位、つまり系統の一種としての上位術である。
- 「ギル〇〇ドム・バルスルク」という明確な命名法則がある。
- 「禁呪と呼ばれ慎重に使用される」「身体が禍々しく巨大化し、圧倒的なパワーを得る」「理性を失うほど凶暴化し、見境なく暴れ回る危険性も内包している」といった、性能・外見の両方で複数の明確な共通点が見受けられる。
等の要素から、当記事では系統の一種として扱う。
作中ではリオウの本の持ち主であるバニキスが「獰猛で力も10倍近く上がっている」と述べているので、相応のリスクはあれど、単純な強化度合いなら全ての肉体強化系の中で最強クラスだと思われる。
例:ギルガドム・バルスルク、ギルファドム・バルスルク
~フォウ系
自身が修得しているオウ系呪文の一部を召喚する(と思われる)系統。
作中ではウォンレイのみが使用していた。
単に「動物の一部を召喚して攻撃する術」という可能性も否めないが、
- 「~フォウ」と「~オウ」は語感が非常に似ており、術名の締めも「ディバウレン」で共通している。
- 同じく「動物の一部を出す」ラギコル・ファングとは異なり、爪や頭部をウォンレイの手に合わせて動かす術となっており、挙動が「オウ系の一部を召喚する」バオウ・クロウ・ディスグルグと似通っている。
- ウォンレイの召喚している爪や頭部が(ほぼ間違いなく)ラオウもしくはゴライオウそのものである。
- カードゲームに収録された際は水色、アニメ版140話では紫色で表現されている。水色であればラオウ・ディバウレンと、紫色であればゴライオウ・ディバウレンとカラーリングが共通している。
- カードゲームに収録された際、ロウフォウ、ガーフォウ、ゴライオウのいずれも「このターン中、自分がカード名に『ディバウレン』を含むウォンレイの術を使っていれば」という条件で追加効果を得るカードとなっており、明らかに関連性を意識したようなデザイナーズコンボとなっている。
等の点を踏まえ、上記のように定義する。
ガッシュのバオウ・クロウ・ディスグルグは「~フォウ」ではなく「ディスグルグ」となっているが、どのような棲み分けがされているのかは不明。
通常であれば「~フォウ」、竜が関係すれば「ディスグルグ」が優先される……等だろうか?
例:ロウフォウ・ディバウレン、ガーフォウ・ディバウレン
オウ系
ガッシュのバオウ・ザケルガをはじめとする、魔物の放った術が何かしらの生物(主に伝承上の存在)を象っている系統。公式名称。
一部のファンや外部サイトでは「オウ級」と称されることもあるが、作者ブログでは「オウ系」と表記されており、等級ではなく系統の一種である。
作中でも希少なタイプの術であり、原作・アニメ・ゲーム作品・番外編を含めて登場したのは僅かに11種のみ(金色の本による影響で発現した術はネタバレ防止も兼ねて割愛する)。
修得者も、戦いの参加者ではないジーザを除けば僅か8名(千年前の魔物であるツァオロンを除けば7名のみ)であり、王を決める戦いに参加した100人の中の1/10にも満たない。
作者ブログではオウ系について、
- その魔物の持つ特別な才能が異形の形をとる呪文。
- 普通の時はディオガ級と同等だが、オウ系の中でも個人の力や元々持っている才能の差があるため、同じオウ系でも少しだけ強弱がある。
と語られている。
実際、作中でも威力はまばらな印象が強く、ギガノ級より少し上程度の威力しかないものもあれば、ディオガ級に匹敵するものもある。
ウォンレイのラオウ→ゴライオウのように、過去に習得したオウ系の上位術を新たに修得する場合もある。
他にも関連事項として、アースのバルバロス・ソルドンは作中での説明は一切無いものの、作者ブログにて「オウ系の呪文を相殺する力に優れている」と解説されている。
上記の「特別な才能」に関しては何がどう反映されているのは不明な点も多いが、
- ガッシュのジオウ・レンズ・ザケルガは「雷の竜とは別に、本の持ち主が鱗のようなパーツを動かして追撃」という清麿のバックアップがあってこそ真価を発揮できる。
- つまり「誰かと協力してこそ最大限の威力を発揮する」というガッシュらしい素質や性格を反映したような術となっている。
- また、仮に術名を漢字に当てはめた場合、バオウは「覇王」なのに対しジオウは「慈王」「次王」「治王」と表せるため、ガッシュ自身の素質が術名に反映されているのではという考察もある。
- ウォンレイは原作71話の回想シーンにてリィエンから武術を教わった際「筋がいい」と評価され、ザバス戦にて「白王・虎爪」なる技(術ではなく武術の一種)を披露している。
- これらの描写から、「ウォンレイが元から秘めていた素質」と「人間界で修得した虎を模した武術(=人間界での経験)」が合わさって白虎を象るオウ系が発現したとも考察できる。
- ザルチムのジボルオウ・シードンは死神を召喚する術である。死神は不吉さや悪といった負のイメージを抱かれがちなものの、「最高神に仕える農夫としての側面」や「魂が現世で彷徨い続けて悪霊にならないよう、冥府へと導く役目を担う」等の善性を含むこともあり、そのような「一見すると悪役のようだが、実は他者に貢献する一面も持っている」という性質はザルチムの人物像と似通っているようにも思える。
- また、タロットカードにおいて死神の逆位置は「再スタート」や「新展開」、正位置は「離別」や「清算」「終焉」等を意味することもあり、これらは偶然にも原作におけるザルチムの心情や顛末にも近しいような印象を受ける。
- パティのスオウ・ギアクルは角がツインテールのように垂れ下がっており(原作102話の初使用時がわかりやすい)、パティの見た目が反映されているようにも見える。
- また、やや強引かもしれないが、上述のバオウやジオウのように漢字で表す場合、スオウは「好王」と書くこともできる。
- リオウのファノン・リオウ・ディオウは「リオウの種族を象った感じ」と作者Twitterにて回答されている。
等、「特別な才能」とまで表現できるかは意見が分かれるものの、魔物自身が持つ何かしらの要素が反映されていると考えられる点を挙げることはできる。
- オウ系呪文、及び象っている生物の一覧(登場順)
- ガッシュのバオウ・ザケルガ(雷の竜)
- パティのスオウ・ギアクル(水の竜)
- ウォンレイのラオウ・ディバウレン(白虎)
- ツァオロンのザオウ・ギルエルド(鮫)
- ジェデュンのバビオウ・グノービオ(多頭蛇)
- ウォンレイのゴライオウ・ディバウレン(白虎)
- リーヤのシャオウ・ニオドルク(幻獣?リーヤが変化した姿なのでモデルは不明)
- ザルチムのジボルオウ・シードン(死神)
- リオウのファノン・リオウ・ディオウ(リオウの種族を象った三つ首の獅子)
- ガッシュのジオウ・レンズ・ザケルガ(東洋竜。いわゆる蛟)
- ジーザのネグロノ・ゾオウ・ビドュン(大きな口と多数の触手が特徴的な異形の怪物。「外伝:友」にて登場)
また、作中では「オウ」が付かなくとも何らかの生物を象っている呪文が多数確認でき、単純な総数ではオウ系の倍近く存在する。
以下がそれらの一覧である。こちらも金色の本による影響で発現した術はネタバレ防止も兼ねて割愛する。
- オウ系ではないが生物を召喚する術、及び象っている生物の一覧
- スギナのラージア・ジュガロ(巨大な花)
- フリガロのラギコル・ファング(巨大な氷の狼?全身ではなく頭部のみ)
- エシュロスのグランバイソン(巨大な蛇)
- ポッケリオのバルジュロン(木の怪物)
- ドグモスのグランガ・コブラ(巨大なコブラ)
- エルジョのダイバラ・ビランガ(光の精霊)
- カルーラのバズ・アグローゼス(牙の生えた巨大なバラ)
- キッドのミコルオ・マ・ゼガルガ(機械の精霊)
- パムーンのペンダラム・ファルガ(星の精霊)
- レインのガルバドス・アボロディオ(レイン本人を模したような巨大な魔獣)
- ゼオンのジガディラス・ウル・ザケルガ(破壊の雷神)
- クリアのシン・クリア・セウノウス(精霊あるいは女神?)
- クリアのシン・クリア・セウノウス・ザレフェドーラ(巨大な砲台に付随する砲手)
- クリアのシン・クリア・セウノウス・バードレルゴ(巨大な怪鳥)
- ゼオンのゼオ・ザケルガ(バオウ・ザケルガに似た雷の竜。ゲームオリジナル)
- ハイドのギガノ・ジキルガ(風の鳥。ゲームオリジナル)
- ワイズマンのキルデスゾル(竜にも似た細長い魔獣。劇場版オリジナル)
- ノリトー・ハッサミーのギガノ・シザルク(ハサミでできた怪物。アニメオリジナル)
- マエストロのマグネ・シド・デュランガ(磁力で構成された武士?アニメオリジナル)
これらの術とオウ系にどのような差異があるのかは現状不明。
また、生物を象っていると言えるかは微妙なものの、テッドのアニメオリジナル呪文であるマキシマム・ナグルも「テッド本人を模したような人型の巨大なエネルギー」を放つ術となっている。
等級:中級
ゴウ級
初級を超える威力や性能に強化された等級。
ウォンレイやウマゴンの活躍から肉体強化系に付くイメージが強いが、実際には攻撃・防御呪文にもそこそこ見受けられる。
ギガノ級と比べてどの程度の差があるのかは不明だが、作中全体を通して見るとギガノよりは威力やサイズ感で劣るような印象を受ける。
攻撃呪文の例:ゴウファノン、ゴウ・コファル等
防御呪文の例:ゴウ・レルド、ゴウ・ゾルシルド等
肉体強化の例:ゴウ・バウレン、ゴウ・シュドルク等
ギガノ級
実力者として一つの目安となる等級。公式名称。
ギガノ・○○のように、ギガノの言葉の後に初級術の名前が付く形で強化される。
「ギガ」と省略される場合もある。
ギガノ級に関しては、強力な術ではあるものの作中上位(=特筆すべきレベル)とまでは言えない点、数が多い点も踏まえて一覧は割愛させていただく(一覧を作成したい方がいらっしゃれば、ご自由に追記していただいて構いません)。
ギガノの例:ギガノ・レイス、ギガノ・ゾニス、ギガノ・ゼガル等
ギガの例:ギガ・ラ・セウシル、ギガラド・シルド、ギガロロ・ニュルルク
テオ級
ギガノ級に匹敵すると思われる等級。
原作218話におけるゼオンの台詞にて「中級呪文」に「テオザケル」のルビが振られているので、中級であることは公式設定と見なして間違いないだろう。
ギガノ級と同様に、テオ○○のように初期呪文が強化される。
意外にも使用者が少なく、作中でテオ級を使用したのはゾフィス、ゼオン、ガッシュ、アシュロン、クリアの5名のみ。
ゾフィスがテオラドムとギガノ・ラドム両方を修得しており、作中の描写では性能の差を比較することはできないものの、公式ファンブック「金色のガッシュ!!まるかじりブック2」では、
- テオラドム:ラドムより大きめで、スピードがある爆発弾。
- ギガノ・ラドム:テオラドムほどのスピードはないが高威力の爆発弾。
と解説されており、「テオ級はギガノ級よりもスピードで勝る」と解釈できるような記述になっている。
とはいえ、同じくテオ級を修得しているガッシュ、ゼオン、クリアはギガノを冠する術を修得しておらず、比較ができないため、「上記のスピード差が全てのギガノ級とテオ級に共通した事項」なのか「あくまでゾフィスの術同士で比較した場合の差」なのかは不明。
例:テオラドム、テオザケル、テオブロア、テオラディス
ディ~/ディオ級
中級相当、場合によってはディオガ級に並ぶほどの威力や性能を持つと思われる等級。
攻撃呪文から肉体強化呪文まで、幅広い術に強さの指標として冠されることが多い。
略されて「ディ」、やや変化して「ディノ」(※)、上述のガンズ系やゴウ級と合わさり「ディガン」「ディゴウ」等、術の語感や性能に合わせて変化することも多い模様。
また、後述のマ級と合わさった場合の「ディマ」については、当記事ではディオではなくマ級の一種と見なし、マ級の項目で解説する。
こちらもギガノ級と同じ理由で一覧については割愛させていただく。
(※)「ディ級」や「ディノ級」のようにディオ級とは全く別の可能性もあるが、ディとディオに明確な差が見受けられない点、ディノを冠する術が原作では1つしか登場していない点を踏まえ、当記事では語感の都合として同一視する。
- ディオの例:ディオエムル・シュドルク、ディオギコル・ギドルク、アボロディオ等
- ディの例:レード・ディラス・ザケルガ等
- ディノの例:ディノ・リグノオン
- ディガンの例:ディガン・テオラドム
- ディゴウの例:ディゴウ・ロボルク、ディゴウ・グラビルク
等級:マ級~上級
マ級
他の等級と比べても非常に特殊な性質を持っており、全ての術の中でも希少な部類。
他の等級が「ハイパー」「アルティメット」等の「単純に強さを表す語」であるのならば、マ級は「スペシャル」のような立ち位置であり、単純な破壊力や攻撃範囲では測れないような特殊な強化が含まれている。
作中で登場したのは11種のみ(接続詞としてのマ級は6種のみ)であり、オウ系やシン級並に数が少ない。
修得者も僅か9名、千年前の魔物であるレイラを除けば8名のみ(接続詞としてのマ級修得者はレイラを除けば5名のみ)であり、オウ系と同じく王を決める戦いに参加した100人の中の1/10にも満たない。
威力や性能がどの等級に近しいのかは不明だが、ファンからはディオ~ディオガ級に匹敵する等級だと考察されている。
キッドのように早い段階で修得していた魔物もいるが、ファウード編以前にマ級を習得している魔物は魔界に送還されるのが早かったため、ファウード編ではディオガが最上位という認識となっているのかもしれない。
同じマ級同士でも、術によって強化されるベクトルが異なるというべきか、現状では、
- パターン1:ギガノやディオ、ディオガと同じく、元となった術の純粋な威力や破壊力、制圧規模を拡大する。
- パターン2:威力やサイズを強めるというより、元となった術の基本的な「性質」や「挙動」を強化・拡大・発展させる。
の2種類が見受けられる。
そのため、単純な攻撃範囲や術のサイズというよりも、高い性能や利便性を備えていたり、個人を対象にした際に大きな効果を発揮するような術が多いような印象も受ける。
また、
- ティオは第三の術という早い段階から「マ・セシルド」を覚えているが、オウ系やディオガ級相当の攻撃には歯が立たなかった。
- キャンチョメの「ディマ・ブルク」は威力面に関してはギガノ級相当であり、アースの「ゴディマ・ソルド」やジェデュンの「ディマ・グノビオン」はそこまで超強力な印象を受けない(これらもおそらくギガノ~ディオ級相当?)。
等の理由から、
- 「接頭詞としての使用」と「接続詞としての使用」では威力に大幅な差があり、接続詞としての使用が強力である(ティオのリマ・チャージル・セシルドンのみ例外だが、これは元となったチャージル・セシルドンが既に超強力だからだと思われる)。
- 「ディオ」と合わさって「ディマ」になった場合は、上級ではなく中級寄りの強化になる。
等の推察が可能だと思われる。
そのような「術名の中で配置される場所」によって性能に差が出るという点でも、やはりマ級は特殊な等級であることが窺える。
- マ級、及び修得者一覧(登場順)
- マ・セシルド(修得者:ティオ。パターン1)
- ミコルオ・マ・ゼガルガ(修得者:キッド。パターン1)
- ミベルナ・マ・ミグロン(修得者:レイラ。パターン2)
- 「自身の一部である月を自在に操る」という性質そのものの拡大であり、「26個もの三日月を一斉に呼び出し自在に操る」効果となっている。
- ジェルド・マ・ソルド(修得者:アース。パターン2)
- 「剣術で相手を攻撃する」という挙動に関連した強化であり、「神速の居合抜きを行う」効果となっている。
- ジェルド・マ・ソルド(修得者:アース。パターン2)
- ディマ・ブルク(修得者:キャンチョメ)
- これに関してはキャンチョメの覚える術の中で唯一「ポルク」系ではないため、下位術と比べてどのような強化がなされているのかは不明。
- ディマ・ブルク(修得者:キャンチョメ)
- ディオ・マ・バスカルグ(修得者:ギャロン。パターン1)
- 作中ではゴデュファの影響で術の効果が大きく変わってしまったことが明言されているが、おそらく元は肉体強化の純粋な上位術だと思われる。
- ディオ・マ・バスカルグ(修得者:ギャロン。パターン1)
- ゴディマ・ソルド(修得者:アース。パターン1)。
- ディマ・グノビオン(修得者:ジェデュン。パターン1)
- グラード・マ・コファル(修得者:チェリッシュ。パターン2)
- 「宝石を弾丸のように発射する」という性質に関連した強化であり、「宝石を弾丸として発射する特殊な銃を召喚する」効果となっている。
- ニューボルツ・マ・グラビレイ(修得者:ブラゴ。パターン1)
- リマ・チャージル・セシルドン(修得者:ティオ。パターン2)
- 「掌から盾を出す」という挙動に関連した強化であり、「両手から同じ盾を出す」効果となっている。
ディオガ級
ほとんどの魔物にとって最大呪文となるほどの威力を誇る、強者の証である上級呪文。公式名称。
この等級の命名法則に関しては、
- パターン1:頭に「ディオガ」が付き、最後が「~ドン」で終わる。
- パターン2:「ディオガ」のみが付き、「~ドン」が付かない。
- パターン3:「~ドン」のみが付き、「ディオガ」が付かない。
という3パターンが確認できる。
この命名法則に沿っている術は23個+2個。
分けた「+2個」に関しては、ザルチムのジボルオウ・シードンをオウ系で紹介したため割愛し、ティオのチャージル・セシルドンはディオガ級ではなくシン級相当なので含めないという意味である。
ただ、あくまで上記の命名法則を満たす術という意味合いであり、ディオガ級に相当する威力の術は他の系統や等級にも多数存在する。
この等級に関しては、破壊力やサイズが見た目でもわかるほど最大級に膨れ上がるような強化がなされており、全長が数メートル~10メートルを超えるような巨大な術が該当している(アシュロンのディオガ・アムギルクのみ例外)。
物語中盤にあたるファウード編までは、作中においても最大呪文と認識されており、ディオガ級の呪文を持つかどうかが戦力の境目とされていた。
ファウード編では如何にしてディオガをより効果的に使うかが鍵となっており、クリア編においても依然強力な呪文として用いられた。
以下はディオガ級と修得者の一覧である。
ただ、ここでリストアップするのは、あくまで上述の3パターンに当てはまる術のみである。
- 命名法則こそ満たすものの、充分な威力を出すには充填が必要なパターンの術を修得したビクトリームとティオ。
- 「戦闘描写が少なく上級呪文を披露してはいないが、実力的に間違いなくディオガ級相当を修得している」エルザドル。
- 「ディオガや『~ドン』の付く術こそ披露していないものの、間違いなくディオガ級相当の威力を持つ術やディオガ級を超越した術を使用している」レインやゼオン、ゴーム。
- 「ディオガ級こそ修得していないが、シン級は修得している」キャンチョメやウマゴン。
のように、単にディオガの命名法則を満たす術を修得しているか否かで実力を判断できない魔物も複数存在している。
そのため、「下記の一覧に名を連ねていない=ディオガ級以上の力を有していない」とは一概に言えないので注意していただきたい。
- ディオガ級、及び修得者一覧(登場順)
- ディオガ・グラビドン(修得者:ブラゴ。パターン1)
- チャーグル・イミスドン(修得者:ビクトリーム。パターン3)
- ディオガ・リュウスドン(修得者:ベルギム・E・O。パターン1)
- ディオガ・ゴルゴジオ(修得者:ゴーレン。パターン2)
- ディオガ・ファリスドン(修得者:パムーン。パターン1)
- バベルガ・グラビドン(修得者:ブラゴ。パターン3)
- ディオガ・テオラドム(修得者:ゾフィス。パターン2)
- ディオガ・ラギュウル(修得者:ロデュウ。パターン2)
- バルバロス・ソルドン(修得者:アース。パターン3)
- チャージル・サイフォドン(修得者:ティオ。パターン3)
- ディオガ・ガズロン(修得者:ブザライ。パターン2)
- ディオガ・ギニスドン(修得者:キース。パターン1)
- アルセム・ガデュウドン(修得者:ファンゴ。パターン3)
- ディオガ・コファルドン(修得者:チェリッシュ。パターン1)
- ギャン・バギャム・ソルドン(修得者:アース。パターン3)
- ディオガ・ゾニスドン(修得者:バリー。パターン1)
- マーズ・ジケルドン(修得者:ガッシュ。パターン3)
- ディボルド・ジー・グラビドン(修得者:ブラゴ。パターン3)
- ヴァルセレ・オズ・マール・ソルドン(修得者:アース。パターン3)
- ディオガ・ブロア(修得者:アシュロン。パターン2)
- ディオガ・アムギルク(修得者:アシュロン。パターン2)
- ディオガ・ジョボイド(修得者:パピプリオ。パターン2)
- ディオガ・ランズ・ラディス(修得者:クリア。パターン2)
準シン級(仮称)
作中でも非常に稀ではあるが、後述の「ディオガを超える等級」たるシンの名を冠してはいないものの、ディオガ級を完全に上回っているほどの威力を誇る術も存在する。そのような描写があるのはレインとゼオンの術のみ。
それらには共通した等級を示す語が存在しない点、他の術とは異なり「ちょうどディオガ級とシン級の中間に位置する」点も踏まえ、当記事では準シン級と仮称してカテゴライズする。
また、ゼオンのジガディラスに関してはデマが広まってしまっている。デマについては当記事における「術に関する誤情報、デマ等」の項目、及びゼオンの記事を参照。
- 準シン級、及びその理由
- レインのガルバドス・アボロディオ
- ロデュウのディオガ・ラギュウルが小さく見えるほどの圧倒的なサイズを誇り、ディオガ・ラギュウルを拮抗する様子も無く一方的に粉砕、余波で数十~数百メートル以上先の大地をも抉り取るほどの圧倒的な威力を見せた。これほどのサイズ感や規格外の破壊力はディオガ級という枠組みを越えていると見なしてよいだろう。
- レインのガルバドス・アボロディオ
- ゼオンのジガディラス・ウル・ザケルガ
- 作中の描写から並のディオガ級以上が確定しているレード・ディラス・ザケルガを一嚙みで粉砕した覚醒バオウ(=シン級相当)と拮抗するほどの超強力な電撃を放出可能。
- 更に、隙を突いた際には覚醒バオウを完全に消し飛ばし、二度目の対決でも制御後バオウを押し返して仰け反らせる等の描写から、限りなくシン級に近い性能を誇っているのは間違いないと思われる。
- ゼオンのジガディラス・ウル・ザケルガ
他、上記の術と比較して「準シン級」とまで評せるかは微妙なものの、
- ザグルゼムによって2段階強化されたバオウ3体を完全に相殺した(=実質的にディオガ級×3相当)の力を持つリオウのファノン・リオウ・ディオウ。
- それほどまでに強力なファノン・リオウ・ディオウを真っ向から撃破したゼオンのジャウロ・ザケルガ。
- 作者ブログにて「ヴァルセーレの剣が今まで吸い取った魔物の力を吐き出す術なので、ゴーム戦ではディオガ級3~4はあったと思います」と解説されているアースのヴァルセレ・オズ・マール・ソルドン。
- それほど強力な状態であったヴァルセレ・オズ・マール・ソルドンによって生じた無数の剣を完全に消し去った上で余力を残しているゴームのディオボロス・ザ・ランダミート。
等は、ディオガ級(及びディオガ級相当)の中でも最上位レベルの強さを誇ると思われる。
シン級相当(仮称)
上記の準シン級とはまた異なり、シンの名を冠してはいないものの、作中の描写からシン級と同等の性能が確定している術も存在する。そのような描写があるのはガッシュとティオの術のみ。
- シン級相当、及びその理由
- ガッシュのバオウ・ザケルガ(制御後)
- 覚醒かつ制御が完了した時点でも既にシン級相当の強さを持っており、クリアとの初戦(=まだデュフォーの指導を受ける前の状態)でもシン・クリア・セウノウスの下半身を一撃で噛み千切り、消滅の力によって腹部を破られても尚セウノウスに喰らい付き、最終的には頭部以外をほぼ全壊にまで追い込む等、修行前の状態でもクリアのシン級と渡り合っている。
- クリアとの決戦では清麿が「オレ達の修行で以前のクリア戦より遥かに強く鍛えた」と述べるシーンがあり、現にブラゴとの同時攻撃だったとはいえシン・クリア・セウノウスを完全に粉砕しつつ鎧形態のクリア本人すらも噛み砕くほどに威力が向上。ブラゴとの決戦でもシン・バベルガ・グラビドンと競り合うほどにまで強化されている。
- ガッシュのバオウ・ザケルガ(制御後)
- ティオのチャージル・セシルドン及びリマ・チャージル・セシルドン
- 初使用の時点で(途中でデュフォーの心の力が尽きたとはいえ)ジガディラス・ウル・ザケルガを完全に防ぎきり、原作32巻ではクリアのシン級呪文たるバードレルゴによる超高速の突撃を真正面から受け止めても全く破損している様子が無く、ザレフェドーラによる消滅波の砲弾や砲身そのものを完全に受け止める等、明確にシン級と渡り合っている。
- ティオのチャージル・セシルドン及びリマ・チャージル・セシルドン
また、ブラゴとの決戦ではガッシュの使う何らかの術がニューボルツ・シン・グラビレイと相殺している描写があるのだが、これが何の術かは現在不明(厳密にはブラゴ側も術名が明記されていないものの、術に使用されているスクリーントーンからニューボルツ・シン・グラビレイだと判断できる)。
これまでガッシュが修得した術を踏まえても、ほぼ間違いなくジオウ・レンズ・ザケルガだと思われるのだが、
- 頭部や鱗といったジオウの外見を表す特徴的なパーツが見当たらず、ガッシュも非常に小さく映っているため「前ならい」のポーズをしているかも判別がつかない。
- 何らかの術をアンサー・トーカーやザグルゼムで強化した上で相殺した、あるいはバオウを使用した等の可能性もゼロではない(クリア編修行後の清麿であればバオウを連発可能)。
- バードレルゴ戦に関しては作者ブログにて使用した術がジオウだと明言されているが、ブラゴとの決戦のシーンについては2023年6月現在では作者ブログ・作者Twitter共に言及が無い。
等の点から、現状ではジオウだと断言まではできないため、当記事では割愛する。
シン級
クリア編にて初登場した新たな等級。
作中ではディオガ級を超えるほどの威力や性能を披露しており、クリアの本の持ち主であるヴィノーがシン・クリア・セウノウスを「クリアの術の頂点」と称しているため、ほぼ間違いなく術の最高位を示す等級であると思われる。
それだけの強力な術である故か、修得には非常に厳しい鍛錬が必要でもあり、原作終了時点かつ「金色の本」による影響を含まないもので判明したのは僅かに8つのみ。
シン級修得者は僅か5名、自力での複数修得者はブラゴとクリアの2名のみ。
更に言えばクリアの術は「クリア自身が生み出した術」なので、真の意味での鍛錬を経て複数修得を成し遂げたのはブラゴただ1人。
一応、シン級相当であればティオも複数修得を成し遂げており、上述のジオウが確定すればガッシュもシン級相当の複数修得を成し遂げたことになる。
術の圧倒的性能や修得者の少なさからも、まさに王を決める戦いに参加した100人全員の中でも最上位といえる至高の領域である。
- シン級呪文、及び修得者一覧
- シン・フェイウルク(修得者:アシュロン)
- シン・ポルク(修得者:キャンチョメ)
- シン・シュドルク(修得者:ウマゴン)
- ニューボルツ・シン・グラビレイ(修得者:ブラゴ)
- シン・バベルガ・グラビドン(修得者:ブラゴ)
- シン・クリア・セウノウス(修得者:クリア)
- シン・クリア・セウノウス・ザレフェドーラ(修得者:クリア)
- シン・クリア・セウノウス・バードレルゴ(修得者:クリア)
- 金色の魔本によるシン級呪文
クリア完全体との最終決戦時に、ガッシュの魔本が金色に発動した際に発動した呪文。それぞれの効果は呪文の持ち主の記事を参照。呪文の持ち主が魔界でシン級を修得したかどうかは定かではないが、ここでは便宜上修得者として扱う。
中にはシンの名前を冠していない呪文も幾つが存在するか、これがシン級そのものなのか、シン級と同格の呪文なのかは不明。ここではシン級と同格の呪文として扱う。
1. ジオルク(修得者:ダニー)
2. シン・ゴライオウ・ディバウレン(修得者:ウォンレイ)
3. シン・ガルバドス・アボロディオ(修得者:レイン)
4. シン・ヴァルセレ・オズ・マール・ソルドン(修得者:アース)
5. ミコルオ・シン・ゼガルガ(修得者:キッド)
6. ミベルナ・シン・ミグロン(修得者:レイラ)
7. ファルセーゼ・バーロン(修得者:パムーン)
8. シン・チャーグル・イミスドン(修得者:ビクトリーム)
9. シン・ドラゴノス・ブロア(修得者:アシュロン)
10. シン・ドラグナー・ナグル(修得者:テッド)
11. シン・グラード・ガンズ・コファル(修得者:チェリッシュ)
12. シン・ドルゾニス(修得者:バリー)
13. シン・ヨポポイ・トポポイ・スポポポーイ(修得者:ヨポポ)
14. シン・スオウ・ギアクル(修得者:パティ)
15. シン・ニュシルド(修得者:ビョンコ)
16. シン・サイフォジオ(修得者:ティオ)
17. シン・ライフォジオ(修得者:コルル)
18. シン・シュドルク(修得者:ウマゴン)
19. シン・ポルク(修得者:キャンチョメ)
20. シン・ベルワン・バオウ・ザケルガ(修得者:ガッシュ)
イレギュラーな術
その他、作中ではこれまでに述べてきたような分類に当てはめるのが難しく、正確な系統や等級が図れない術や、名前が非常に複雑(独特)な呪文も多数存在する。
その中でも特にイレギュラーな術としては、
- 昆虫類的な外見や各種器官の構造等、作中で登場したどの魔物と比べても異質な外見と生態をしているゴーム(生態の詳細についてはゴームの記事を参照)。
- 魔界を滅ぼすために戦っており、死生観どころか魔物としての在り方そのものが他の魔物とは隔絶しているクリア。
- そもそも正式な参加者ではなく、魔本すらも本来であれば自身に対応した物ではないワイズマン。
- そもそもの修得経緯が非常に特殊な術。
等、他の魔物や術と比べて何かしらの特異な要素が関わっている呪文が挙げられる。
- ゴームの例
「ウィー・ムー・ウォー・ジンガムル・ディオボロス」、「ディオボロス・ザ・ランダミート」等、名前が異様に長く、語感も非常に独特な上級呪文を複数修得している。
ちなみに「ウィー・ムー・ウォー」の部分は掛け声の類ではなく、術名の一部だと作者ブログにて明言されている。
- クリアの例
「シン・クリア・セウノウス・バードレルゴ」及び「シン・クリア・セウノウス・ザレフェドーラ」はクリアが自ら生み出した術であるためか、元から覚えていたシン級呪文の語尾に新たな固有名詞が付き、外見や性能が全く違うものに変化するという独自の派生術となっている(実質的には派生術ではなく新呪文に等しい)。
更に「フェイ・ガンズ・ビレルゴ」に関しては、消滅を意味する「スプリフォ」と「ラディス」がいずれも含まれていないにもかかわらず消滅の力を持つという、術名の系統と実際の効果が一致しない術となっている(一応、ビレルゴの部分がバードレルゴと似通っているため、間接的に消滅の系統を表しているという可能性もあるが)。
また、「バオ」ではなく「バ・スプリフォ」、「アム・ド~」ではなく「アム・ドゥ・スプリフォ」等、系統を含めた語感が他の魔物と微妙に違うような印象も受ける(これらに関しては単なる語感変化かもしれないが)。
- ワイズマンの例
「ウノデスゾル」は一応「~ル系」の一種だと判別できるが、上位術である「ドスデスソル」と「キルデスゾル」に関しては他の魔物と共通した系統や等級が一切見受けられない独特の名称となっている。
仮に既存の系統に当てはめるならば、ドスデスソルはラドム系(追尾機能があるのでラドム系+オル系?)、キルデスゾルはオウ系に近しいと思われる。
これらに関しては一部のファンから、「白い魔本はワイズマン自身に対応した本ではないため、何かしらのバグやエラーが生じて術名がおかしくなってしまったのでは?」と考察されることもある。
- 習得経緯が非常に特殊な術:バルドフォルス
劇場版「101番目の魔物」にて登場した映画オリジナル呪文。
ワイズマンによって追い込まれたガッシュ、ティオ、キャンチョメ、ウマゴンの四人が同時に同じ術を覚えるという非常に珍しい現象が起きている。
ちなみに、「レインの術も他の魔物と比べて名前がイレギュラーなのではないか?」という意見も見受けられるが、
- アボロディオ=アボロ(レインの固有名詞)+ディオ級
- アーガス・アボロド=アーガス系+アボロ+「~シルド」の略あるいは語感変化
- ガルバドス・アボロディオ=ガルバドス(ファンゴの「アルセム」等と同じ上級用の固有名詞)+アボロ+ディオ
と、いずれの術も既存の命名法則に沿って分解できるため、特段イレギュラーというわけではないだろう(一応、等級を表すディオが術名の先頭ではなく末尾に付くのは珍しいが)。
術に関する誤情報、デマ等
今作は連載終了して10年以上経った現在でも非常に人気の高い作品であり、いわゆる最強ランキング等の番付を初めとした、各種コミュニティサイトの盛り上がりも大きい。
一方で、中には「ファンの考察・推測に過ぎない情報を公式設定であるかのように伝聞する」「そもそも作中の描写の解釈を間違えている」ような情報が出回ってしまうことも稀にある。
ここではファン同士の意見のすれ違いを避け、より多くの方々が作品を楽しめるよう、そういった誤情報も列挙しておく。
- 誤情報1:ラウザルクの発動時間は30秒である。
よく「30秒間だけ」強化する術と思われがちだが、原作において厳密な制限時間が言及されたことはない。
ナゾナゾ博士が「残り30秒」と発言したシーンや、チータが30秒をカウントしているシーンも、ラウザルクを「発動した瞬間」から数えているわけではないので、「少なくとも30秒よりは長いが厳密には不明」と考える方が自然である。
- 誤情報2:ゼオンのジガディラス・ウル・ザケルガは「シン級未満」であると作者が発言している。
発言していない。
確かに「ジガディラスがシン級には至っていない」という意味のツイートはしているが、その際の表現は「ファウード編で出たあのウルはまだシンに負ける」というものであり、「シン級未満」という表現は作者ブログ・作者Twitterを通して一度も使用していない。
このデマについての詳細は、ゼオンの記事内におけるジガディラスの解説を参照していただきたい。
- 誤情報3:キャンチョメのシン・ポルクは最強無敵の術であり、誰もキャンチョメに勝つことはできない。今作の最強キャラはキャンチョメである。
これも完全な誤解である。
確かにシン・ポルクが超強力なことに異論は無いだろうが、作者ブログにて「キャンチョメやフォルゴレは術を使うにしては策の練り込みが浅い」「アンサー・トーカーの力を使えば簡単にシン・ポルクを破れる」と明言されており、具体的な対処法も併せて述べられている。
よって、公式設定として少なくともガッシュペアとゼオンペアはキャンチョメに勝つことが可能なため、決してキャンチョメは「最強」ではない。
また、雷句先生の回答は上記のように「アンサー・トーカーの力を使えば簡単にシン・ポルクを破れる」というものであり、「アンサー・トーカーでなければ勝てない」とは回答していないので、ガッシュとゼオンしかキャンチョメに勝てないと解釈するのは安直な面もある。
作中の描写をしっかりと理解し、シン・ポルクの効果を正しく理解した上で考察すれば、キャンチョメに勝てる可能性のある魔物が多数存在することにも気付けるだろう。
このような弱点を含めた解説はキャンチョメの記事を参照。
他、シン・ポルクに関して度々見かける誤解として、
- 1:術の発動中はキャンチョメがイメージした通りの姿や景色を相手に錯覚させることができる(=相手に催眠をかけ、第三者からは見えていない姿や幻を見せることができる)。
- 2:作者はシン・ポルクをあまりにも強くし過ぎた(=クリアですら倒せるような術を出してしまった)ため扱いに困り、ザレフェドーラによる長距離砲撃という形で雑に退場させた。
というものもあるが、これらも誤解なので注意。内容がキャンチョメの記事と被ってしまうが、特によく見かける誤解なので当記事でも触れておく。
- 1について
キャンチョメが相手の脳に錯覚を起こすのは、あくまで変身した姿や幻に付与する「激痛の錯覚」の方である。
現に作中における説明でも、
- 「周りの景色を本当に変えるから、催眠術と違って相手の意志で元の景色に戻ることはない」
- 「変身した身体には、キャンチョメの想像した力を持たせられる」
- 「相手のダメージに合わせて衣類が傷ついていく幻を作っていけば、もう現実とは区別がつかなくなる」
と述べられており、「幻の風景を周囲に展開する」「自身の姿を自在に変化させる」「幻を生み出す」の3点は実際に姿を変えたり幻を生成しているのであって、石版編でゾフィスがレイラにかけていたような「相手に暗示をかけ、第三者からは見えない幻覚を見せている」能力とは別物である。
デュフォーが「今までの術を全て合わせたような最強の術」と説明しているように、変身はポルクの延長線上、多種多様な幻を生み出すのはディカポルクの延長線上だとイメージすればわかりやすいと思われる。
尚、作中ではシン・ポルクを発動された後のミールが「キャンチョメが術を発動した瞬間から私達は催眠術にかけられた」と分析しているが、デュフォーがシン・ポルクを解説する回想シーンでは(上記の「催眠術と違って」という否定の台詞以外には)「催眠」や「催眠術」という単語が一度も出ていない。
なので、あくまでミールの発言は自論であり、術の効果を正確に見抜けてはいなかったという演出だと解釈できる。現にミールはフォウ・スプポルクに対しては「術を消された」、ミリアラル・ポルクに対しては「術を全く同じにコピーできる」と、いずれも術の効果を勘違いしてしまっている(あくまでフォウ・スプポルクは「術を中断させる」効果であり、ミリアラル・ポルクは「錯覚を起こすガス状物質を術に似せて放出する」効果である)。
- 2について
上述のアンサー・トーカーとは違って公式から明言されてはいないものの、そもそもキャンチョメが単独でクリアに勝てないのは明白であり、キャンチョメがゴーム戦後に退場した事にもきちんと意味がある。
まず、キャンチョメがクリアに勝てない理由としては、
- クリアのバリアは魔物の術を無効化するため、キャンチョメが「電撃」や「回転する刃」等の幻に命令を付与しても幻そのものがヴィノーに届かないため効果を発揮できない。当然ながらキャンチョメが直接触れることもできないので、ヴィノーがバリアの中で目と耳を塞いだ状態で術を唱えられれば中断させられず、為す術もない。
- 「バリアを解除させればいい」という意見もあるが、作中ではクリアが完全体に変わった(=魔物の子としてのクリアの意識は途絶えた)後でもバリアは消えず、ガッシュの魔本が「金色の本」になった後でも清麿が「キャンチョメのシン・ポルクを使ってバリアを剥がす」という戦術をとっていないので、おそらくクリアの脳に命令を下す形では解除できないのだと思われる。
- クリアは肉体強化呪文抜きでも視認できないほどの速度で移動できるため、キャンチョメが変身した自身の身体や幻を命中させることが困難。一発でも殴られれば間違いなく痛みで術が解けてしまうし、そもそもクリアが超スピードでフォルゴレから本を奪うor叩き落とせば終わり(一応、フォルゴレの幻をすぐさま生成すれば一時凌ぎできる可能性はあるが)。
- クリアの術は全て消滅波、あるいは触れた相手を消滅させる物質のため、ゴーム戦で披露したようなキャンチョメが触れる形での中断は不可能(触れればキャンチョメの身体が間違いなく消滅する)。また、術の発動から着弾までが非常に速いため、命令による中断が間に合わない可能性もある。
- クリアは腹部に大穴を開けられて大量出血&大量吐血し、心臓を含めた臓器が破裂するほどの重傷を負っても死亡せず、僅か数秒しか白目を剥かないほどタフなので、激痛の「錯覚」で気絶したり精神崩壊を起こすわけがない。
等、キャンチョメがクリアに勝てない理由は幾つも挙げることができる。
次に、キャンチョメがゴーム戦後に退場した意味合いについては、
- キャンチョメがゴームに「友達になろう」と約束し、かつキャンチョメが魔界に送還された(=ゴームが温もりだけでなく「温もりを失うこと」も覚えた)からこそ、ゴームはクリアに反逆した。
- ガッシュ陣営の描写でも、キャンチョメがやられたことを聞いてティオが不安を抱く→ガッシュが己の姿勢を話す→ティオが魔界に帰る際の「また明日」に繋がる……という一連の流れがある。
- キャンチョメに対してクリアがザレフェドーラを使ったからこそ、ガッシュ達は事前の対策を立てて決戦に臨むことができた(デュフォーのアンサー・トーカーでもバードレルゴについては詳細を把握できなかったため、仮にザレフェドーラの情報がなければ具体的な作戦立案そのものができず、最悪の場合1人ずつ順番に長距離砲撃で消されていた可能性もある)。
等、物語上の意味合いは多数含まれている。
また、クリア編のデマについて作者ブログで触れる際にも雷句先生は「クリア編は元々描こうとしていた話であり、引き伸ばしで無理やり書かされた話ではない」「漫画『金色のガッシュ!!』は自分なりに責任を持って最後まで描き上げた漫画です。余分な話など一切ありませんし、すべてのエピソード、キャラを愛しています」と明言しているので、今作のクオリティを踏まえても「雑に退場させた」わけがないだろう。
- 誤情報4:ヨポポのシン・ヨポポイ・トポポイ・スポポポーイは術名としては有り得ないため、術ではなくヨポポ自身の技能である。
完全な誤解である。
現に作者の雷句先生が作者Twitterと作者ブログの両方で「ヨポポの術」と明言している。
ちなみに、外部サイト等ではこの術に関して「作者曰く『あれはれっきとした技です!』」と書き込まれていることもあるが、「あれはれっきとした技です!」という表現は用いておらず、部分的にはデマなので注意(一応、ガッシュがサンデー本誌で連載していた頃のホームページや作家コメント等でそのような表現を用いていた可能性もゼロではないが、外部サイトでも出典が示されていないため、現状ではデマだと判断せざるを得ない)。
- 誤情報5:クリアのディオガ・ランズ・ラディスはバオウ・ザケルガと相殺するほどの威力である。
該当シーンではバオウが無傷で打ち勝っているため、そこまでの威力は無い。単純に迎撃して術を打ち終えたため消えただけである。
おそらく原作312話でバオウがディオガ・ランズ・ラディスを迎撃し、次ページの2コマ目で消えていくため「相殺した」と誤解されたのだと思われる。
だが、消える際のバオウにはどこにも消滅したような部位が見受けられないし、見開きでディオガ・ランズ・ラディスを噛み砕くシーンをよく見るとディオガ・ランズ・ラディスの勾玉がバラバラに飛び散っており、術のサイズもバオウの口に収まる程度だったことが窺える。
何よりクリアが消滅波で術を消す時の効果音は「バシュゥ」「ボシュ」等であり、「スゥゥゥゥ」は作中において術を解いたり解除される時に使用されていることからも、バオウがダメージを負って消えたわけではないことは確定である(演出の違いについては、上記のバオウが透けていくシーンと原作290話でシン・クリア・セウノウスがバオウを消滅させるシーンを見比べてみるとわかりやすいと思われる)。
- 誤情報6:強い攻撃呪文を覚えるためには、強い憎しみや殺意が必要になる。
結論から述べると、そういった設定が作中で語られたことは一切無い。
厳密に言えば、「強力な攻撃呪文の修得」と「強い憎しみや殺意」に因果関係があるのは確かだが、強力な攻撃呪文の修得には強い憎しみや殺意が「必要」「必須」「不可欠」等と表現するのは誤りである。
おそらく、
- キッド戦における「魔物が新しい術を覚えるためには、強い想いが必要になる」
といった旨の描写と、
- ファウード編における「ガッシュが清麿の死によって強い憎しみを抱き、強力な術を覚えた」(と思われる)
描写を合わせ、
- 「魔物が新しい術を覚える際には強い想いが反映される。よって強力な攻撃力を持つ術を覚えるには強い憎しみや殺意が必要」
と解釈された結果、誤情報が独り歩きしてしまったと思われる。
それこそ作中の描写でも、
- ウマゴンは強力な攻撃力を持つディオエムル・シュドルクを習得する際、「ここでカルディオを倒したい、殺したい」といった感情ではなく、「ガッシュ達の元へ帰りたい」という想いを抱いていた。
- ブラゴ、ウォンレイ、キッド、アース、テッド、アシュロン等、「強い憎しみや殺意」ではなく「純粋な修練や戦闘経験」によって強力な攻撃呪文を習得したと思われる魔物が多数存在する(どちらかといえば勝利を望む気持ち、闘争心、克己心といったポジティブ寄りな感情だと思われる)。
- 現にウォンレイはファウード編にて数コマだが修行をしている回想シーンが描かれ、クリア編ではシェリーがディボルド・ジー・グラビドンを「厳しい修行でやっと出た強力な術」だと明言している。また、ガッシュとブラゴはクリアとの決戦に備えた純粋なトレーニングを経て有用な攻撃呪文を複数習得している。
- 「そもそも王の座に興味が無いのに強力な術ばかり覚えてしまう」レインや、「戦闘慣れしていないにもかかわらずディオガ級を習得した」チェリッシュ、「生まれ自体が特殊であり、ほぼ間違いなく殺意や憎しみを抱いたことなどないように見えるが、強力な呪文を数多く習得している」ゴーム等、自身の感情や経験とは関係なく強力な攻撃呪文を習得している魔物も見受けられる(どちらかといえば感情や経験ではなく、元から秘めている才能や素質が優れているが故に強力な術を修得したと考えられる)。
等、一概に「強力な攻撃力を持つ術を覚えるには強い憎しみや殺意が必要」とは言えないケースの方が多い。
更に言うならば、作中において「ガッシュが憎しみを覚えた」事と因果関係が明示されているのは「バオウの覚醒」のみであり、一度に新呪文を複数習得した理由自体は明示されていない。
もちろん、ガッシュの抱いた憎しみによって攻撃呪文が増えた可能性も否定できないが、「バオウの覚醒に引っ張られる形で新呪文が増えた」「バオウの覚醒によってガッシュ自身の魔力(雷の力)が上昇し、使用できる術が増えた」等の可能性もあるだろう。
現にガッシュが新たに習得した術の中でも、ガンレイズ・ザケルだけはそこまで強力な術とは言い難く、単にレパートリーが増えただけといった印象もある。
ティオのチャージル・サイフォドンの発現や、ゼオンではなくガッシュにバオウを継がせたダウワンの危惧などを鑑みるに「その時に抱いていた想いに合わせた術が発現しやすい」という方向性こそ確かにあるものの、攻撃呪文を発現させる想いは「怒り・憎しみ・殺意」だけではないと言える。
- 誤情報7:「ディオガ級はギガノ級の〇〇倍~」といった具合に、等級ごとの威力差は数値化して比較することができる。
作中において術の威力を「〇〇は〇〇の〇〇倍」といった数値を用いた比較で表現したシーンは一切無い。
それこそ当記事冒頭の繰り返しにはなるが、作者の雷句先生もブログにて「魔物の戦いは心の力によって優劣が別れるため、単純にランクで示すのは難しい」と回答している。
確かに、ファウード編辺りから作中でも「初級」「中級」「ギガノ級」「ディオガ級」といった表現が使われるようにこそなったが、公式設定としてそれぞれの威力差がどれほどかという数値等が明示されたことはない。
そもそも今作における呪文は人間の心の力を源とするため、状況や感情によって威力が変動するケースは多々ある。
もちろん等級ごとに基本的な威力は決められているのかもしれないが、「いつでも等級に応じた一定の威力しか出ない」という解釈は「心の力」という今作の根幹を無視してしまうので不適切である。
関連タグ
金色のガッシュ!! 金色のガッシュベル!! 金色のガッシュ!!2
ザケル バオウ・ザケルガ ジオウ・レンズ・ザケルガ……Pixivにて個別記事が作成されている術。