「『何か』が手に入る、『何か』が変わるきっかけをくれるのは、ここに力がある奴じゃねえ…」
「ここに力がある奴だ…」
「自分より一回りも二回りも強い奴と戦い、得るものはでかいぞ…」
「たとえ血みどろになり、死にかけようとな…」
「そいつの持つ力、戦い方、心の持ち方、全てが身に染みて手に入る。吸収すればするほど、高い所が見えてくる」
「昔敗れた一人にこだわるなど、小さなことだ…」
「オレはもっと高い所へ行く」
プロフィール
(公式ファンブック「金色のガッシュ!!まるかじりブック」内の魔物大百科、及び魔物発見場所マップから引用)
本の色 | コバルトブルー |
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術属性 | 光 |
人間換算年齢 | 17歳→30歳(続編「金色のガッシュ!!2」)(※注1) |
好きな食べ物 | 魚、赤ワイン、木炭、ステーキ |
趣味 | 強い奴と戦うこと、角みがき |
魔界から降り立った場所 | フィンランド |
CV | 置鮎龍太郎 |
(※注1):石版編時点で発売された公式ファンブック「金色のガッシュ!!まるかじりブック2」では17歳と表記されており、続編第20話にて「金色のガッシュ!!2」の世界が前作から約13年後(クリア編からカウントした場合は約12年後)であることが明示されたため。
概要
頭に特徴的な二本の角を持つ長身の魔物の子であり、「強き王」を目指して孤高に戦い続ける強者。
本の持ち主はグスタフ(詳細は個別記事を参照)。
作中において初めて主人公のガッシュに明確な「敗北」を覚えさせた魔物であり、たった2体しかいない「1vs1の戦闘でガッシュに勝ち越した魔物」の1体でもある(もう1体はリオウ。キャンチョメに関してはハンデ有りの模擬戦だったので割愛)。
また、公式情報として人間換算年齢が判明している魔物の中では最年長である(アースやアシュロン等も同年齢~年上である可能性は高いが、ファウード編以降に登場した魔物達は公式から年齢が明かされていない)。
登場当初から強キャラの代表ともいえる存在だったが、原作のファウード編にて大きな成長が描かれ、心技体を極めた本物の強者となって再登場(ちなみに、ネット上で偶に書き込まれる「作者ブログでバリーとアースが互角だと回答されていた」という情報はデマなので注意。詳細は「余談」の項目を参照)。
その目覚ましい成長ぶりから人気が急上昇し、連載が終了した現在でもなお全キャラクターの中でトップクラスの人気を誇る魔物となった。
現に作者ブログの質問コーナーでも、作者の雷句先生が「バリー関係の質問は本当に多い。人気だなあ」とコメントしていたり、2023年7月にマイナビが実施したアンケート「金色のガッシュ!!で1番好きな魔物の子は?」でも4位にランクインしているほど。
人物像
容姿
前述した青い角と、荒々しさを表したような鋭く大きな目が特徴的。
登場当初は角が二本とも揃っていたものの、ファウード編での再登場の際には後述の戦闘で一生ものの傷を負った結果、左角が失われており、身体全体にも多数の傷痕が残っている(とはいえ、ファンの間ではファウード編での姿の方が人気であり、Pixivにおけるファンアートでも傷だらけのバリーが描かれることが多い)。
ちなみに角は自在に動かすことができるので、術を使う時に後ろへ回して発射方向を変えることも可能。
服装については、両肩の一部が棘のように盛り上がり、襟の硬そうな青色の長袖と青い長ズボンを着用。
服の腹部~胸部は白く、両手の手袋やシューズも白色であったりと、全体として少なめの色で統一されているような印象を受ける。
人間換算年齢が10代後半ということもあり、身長は非常に高い。
原作90話の描写を見るに、身長172cmの清麿より一回り以上大きな体格を誇っているため、おそらく身長は180cm後半~2mを超えているほどだと思われる。
性格
登場当初は正直なところ「力こそ圧倒的だが、精神的には未熟」といった印象が強く、現にグスタフからも「最近のお前は戦って勝ってもイライラし、満足していない」と指摘されていた。
だが、この苛立ちは「王を決める戦い」や「他者の実力(手応えの無さ)」というより「明確な目標や志を見出せない自分自身」に向いていたようであり、ガッシュとの戦闘を経て「強き王になる」という目標を見出した際には「この戦いも面白くなってきたじゃねえか!」と笑顔を見せた。
もっとも原作91話の回想を見るに、ガッシュ達と戦う前から、
「何かが足りねえ。敵を倒しても満たされねえ」
「倒せば倒すほど王に近付く。それは間違いないはずだ」
「だが、なぜイライラはどんどん募るんだ?」
と、自身の態度や考え方に思うところがあったようなので、むしろ自分自身の至らなさを心のどこかで客観視し自覚できる素養があったからとも解釈できる。
そしてファウード編においては、「竜族の神童」たるエルザドルとの死闘を経て、実力だけでなく人間的にも大きく成長。
現にガッシュと再会した際には、
「ガッシュ、確かにオレはお前を倒したかった…」
「力で勝ってながら、最後にお前の気迫に怯み、殴れなかった」
「そんなお前を完全に倒したくて、強くなろうと、『強き王』になろうと、戦いをくり返した」
「中には、オレが死にかける戦いもあった。だがよ…」
「そうやって、強くなればなるほど、お前にこだわっていた自分が、小せえことに気づいたのよ…」
と語り、ガッシュとの再戦(=個人的な拘り)ではなくファウードを止めること(=客観的に見ても今やるべき事)を実行する面を見せた。
協力を仰ぎに来たナゾナゾ博士も「前とは違う大人の静けさも感じた」「この場面で助けを求められる『何か』があった」と評し、ファウード内で再会したガッシュも「その背中が、姿が、とても大きく見えるのだ」と述べている等、作中でも屈指の精神的成長を遂げた。
作品外での評価も一気に好転し、現在では多くのファンから今作における「漢」「兄貴」筆頭と見なされているほど。
実力
結論から述べると、ファウード編で成長を遂げた後のバリーの実力は作中最強クラス。
非公式の通称ではあるが、ファウード編における強さを見たファンから「鬼神」と称されることも(あくまでファンの間での通称であり、作中や公式情報において「鬼神」と表記されたことはないので注意)。
それこそ邂逅編時点でも並の魔物であればバリーの圧倒的な実力を前にすぐさま降参や逃走を選んでしまうほどであり、ファウード編での回想では死闘の末に「竜族の神童」たるエルザドルに勝利していたことが明かされた(詳しくは「活躍」を参照。)
成長した現在は実力を垣間見たキャンチョメから「おいガッシュ、よくアイツと戦って生き残れたな」と驚かれ、ガッシュからも「私が戦った時より段違いに強い」とまで称されるほどになった(概要の項目でも触れたが、「作者ブログにて『ファウード編時点でのバリーとアースは互角』と回答されていた」という情報はデマなので注意)。
頭脳面、身体能力
初登場時は粗暴な印象が強かったが、実はファウード編での成長を遂げる前から技巧派な面が強く、相手の隙を突く(もしくは作る)・無防備な状態を作り出してから術を打ち込む・術を有効活用して本来の用途以上に使いこなす……等、作中屈指の頭脳派、テクニシャンでもある。
現に作中では、
- 肉体強化系やフェイ系でもない普通の攻撃呪文の発射方向を調整し、実質的な飛行呪文として活用する。
- ガッシュ戦では戦場が屋内であることを利用し、二階の床を破壊してガッシュと清麿を空中に放り出し、逃げ場を失くしてからギガノ級を撃ち込む。
- キース戦でも不用意に上級呪文を撃つことはせず、立て続けにダメージを負ったキースが冷静さを欠いた行動を取った一瞬の隙を突いて背後を取り、確実に強力な呪文をヒットさせる。
といったように、ただ呪文を発動して火力に頼るのではなく、自身の術を活かす機会を着実に作り上げてから勝ちに行くための戦況判断力や観察力が非常に優れている。
事実、意外にもバリーが修得している術の大半はシンプルな攻撃呪文であり、他の魔物のような特殊な用途の術や利便性の高い術を備えていない。
なので、それでもなお圧倒的な実力で勝ち抜いてこれたのは術の性能そのものに頼らないバリー自身のセンスが高いからだと見て間違いないだろう。
呪文を抜きにした素の身体能力も相当に高く、ガッシュ戦では初級の上程度とはいえ貫通力に優れたザケルガを肉体強化抜きの拳1発で弾き飛ばし、防御呪文を使ったとはいえバオウ・ザケルガをマトモにくらっても立ち上がるほどの頑強さで清麿を驚愕させた(覚醒前の威力とはいえ、バオウをくらってもなお戦闘を続行するほどの体力を残していたのはバリーが初であった)。
更にガッシュと組み合った際には、超至近距離かつ右腕を掴まれた体勢からザケルガを完全に見切って回避するほどの反射神経をも披露。
そしてファウード編では身体能力・戦術面ともに更に鍛え抜かれており、
- 「ゴデュファの契約」により力を増したキースのギガノ級を受けてもほぼ無傷であった体内魔物「デゴスミア」を、肉体強化抜きの貫手1発で悶絶させるほどの腕力。
- キースのバーガス・ギニスガンによって襲い来る20発近い光弾を1つ残らず掴み取ったり、中距離からキロン・ギニスを放たれた際にも余裕で回避できるほどの動体視力、反応速度。
- 戦闘の途中では、一旦距離を取ろうとしたキースを(おそらく敢えて)強力な呪文ではなく初級術のゾニス連発で追撃し、冷静さを失わせるといった戦術的思考。
等、「ゴデュファの契約」によって大幅に強化された魔物相手にもタイマンで圧勝できるほどの凄まじい総合戦闘力を披露した。
「強者の目」による「弱所突き」
そして上述の通り、元から観察力や判断力に優れていた賜物なのか、ファウード編においては戦いを重ねて得た「強者の目」により、清麿とデュフォーがアンサー・トーカーによって行っている「弱所突き」を肉眼で行えるまでに成長。
無論、作中に登場する全魔物の中でアンサー・トーカーと同等の「弱所突き」が可能なのはバリーのみである。
尚、これに関しては「単に作中の表現が似通っている」「ファンが勝手に清麿達とバリーの技能を同一視している」わけではなく、作者ブログにてアンサー・トーカーの「弱所突き」とバリーの「弱所突き」は同じものだと回答されている。
しかも同じく作者ブログでは、
- ゴデュファの契約を重ね掛けした後のキースが放ったディオガ・ギニスドンは演出通り3倍~それ以上の威力があった。それを打ち破ったのが「弱所突き」をしたディオガ・ゾニスドンであり、それだけバリー自身の技量が凄まじかったということ。
- 魔物同士の戦いでは、やはり本の持ち主が司令塔なので、指示が遅れれば弱所への攻めも遅れてしまう。よって、いざ実践で考えると、弱所をすぐに見極め、本の持ち主と距離を置いている状況でも自力で「弱所突き」ができるバリーの方が「弱所突き」に関してはアンサー・トーカーよりも優れている。
とも述べられているので、状況によってはアンサー・トーカーを超えるほどの対応力を発揮できるほどにまで成長していたことが明言されている。
他、作中で明言こそされていないものの、原作89話で来日した際に、
「だいたいの位置は『感じ』でつかめる」
「ソイツが『力』を使えば正確な位置まで特定できる」
と述べているため、強者であるブラゴ達と同様に物語開始時点から広域かつ精度の高い魔力感知能力を持っていた可能性が高い(現に原作241話でも、ガッシュの中でバオウが目覚めていることに気付いているかのような台詞を発している)。
総じて、現在のバリーは素の身体能力や本に頼らない能力、術を活かす技量や戦闘センスが最高峰にまで磨き抜かれた作中最強クラスの強者になったといえるだろう。
術
術属性については、公式ファンブック「金色のガッシュ!!まるかじりブック」にて「光」と表記されている(邂逅編時点で登場した魔物であればロブノスも同じ属性)。
また、光線が渦を巻いた軌道になっていたり、下記のガルゾニスやドルゾニス(及びその上位術)を多く使用していることから、「回転」の印象が強い魔物でもある。
連載当時発売していたカードゲームでは、一部のカードにおいて光線の色が黄色になっているが、アニメ版やゲームでは紫色で統一されている。
人型の魔物にしては珍しく、術を口や手ではなく角から放つ。ちなみに上述のようにファウード編では左角を失ってしまったが、術の威力が下がっているような描写は特に見受けられない。
他、原作版では術を放つ際に「ゾゾゾゾ」「ゾニッ」といった独特の効果音が描かれており、これらについては公式ファンブック「金色のガッシュ!!まるかじりブック2」にて「光線の音」だと明言されている。
術構成自体は全体的に見るとシンプルに手広くといったところ。
元々の威力の高い術も多いが、作中ではバリーの技量の高さも相まったが故により高い効果を発揮している面も強い。
ゾニス
竜巻状の光線を角から放つ。
角を後ろ向きに反転させ、後方に発射した勢いを利用して空を飛行することもできる。
ガルゾニス
光線を放つのではなく、自身の身体を高速回転させて突進する。
「~ルク」こそ付かないが、ザバスのガルウルクやウォンレイのガル・レドルクと同種の肉体強化系だと思われる。
前方ではなく上方に向けて発動すれば飛行することも可能。
ドルゾニス
右手にドリル状のエネルギーを纏って攻撃する。
「ドリル」というイメージ通り貫通力に優れているのか、ガッシュ戦ではラシルドを一撃で破壊するほどの威力を見せた。
後述のようにバリーのシン級がドルゾニスであり、作中でも技巧派な使われ方をされたので、ファンからは「ドルゾニスはバリーの代名詞」と見なされることも。
ギガノ・ゾニス
ゾニスのギガノ級呪文。数メートル~十数メートル以上はあると思われる、まさに「竜巻」も同然な巨大な光線を発射する。
作中に登場するギガノ級の中でもかなりのサイズを誇り、ドンポッチョ戦では6階以上もある建物の屋根を1/3ほど吹き飛ばし、ガッシュ戦では一撃で2階建ての廃工場を半壊させるほどの威力。
やはり相当な出力を誇るのか、ファウード編で再登場した際にはゾニスと同じように後方へ発射し、遥か先のヘリからファウードの首元まで海を渡って到達するほどの飛距離を見せた。
ゾルシルド
バリーの角のような棘が付いた盾を出現させる防御呪文。どことなく盾の模様もバリーの服装に似ているようにも見える。
「~シルド系」にしては珍しく盾が小さく、地面から出現しないタイプのため、作中ではバリーが頭上に掲げて踏ん張るような防御法として使われた。
ディガル・ドルゾニス
両腕を前方に突き出したまま両手を合わせ、全身を伸ばすような姿勢で高速回転する呪文。
名前的にガルゾニスとドルゾニスが複合・強化されたと思われ、身体にエネルギーを纏う点はドルゾニス、高速回転という挙動はガルゾニスと似ている。
首筋にある僅かに層が薄い場所(弱所)を突いたとはいえ、仮にも魔導巨兵であるファウードの身体を外部から貫くという相当な威力を見せた。
おそらく同音異義語であり、系統が共通しているわけではないと思われるが、何気にエルザドルの「ディガル・クロウ」と術名の一部が被っている。
アラドム・ゴウゾニス
「大きなスキも作ってないのに最大術か?」
「弱い術の連発を食らい、自分の攻撃全て返されて、冷静さを失ったか?」
「言ったろ? お前が弱いだけだと…」
ゾフィスが使用する術以外で唯一のラドム系であり、バリーが修得した術の中でも非常に高い威力を誇る「決め技」のような呪文。
術名の「アラドム」は「アム系」+「ラドム系」が合わさり語感変化しているのだと思われる。
片手から竜巻状のエネルギーを多方向に同時発射し、爆発が起きたかのような衝撃を与える。
作中では貫手と合わせて発動しており、相手の体内で爆発を起こして粉砕するかのような必殺級の術として使われた。貫手をせずに発動した場合はどのような演出になるのかは不明。
その威力はキースのギガノ級を受けても平然としていた体内魔物「デゴスミア」を一撃で消滅させ、ゴデュファの契約により肉体強度の増したキースにも自力では立ち上がれなくなるほどのダメージを与えるほど。
ゴウ・ゾルシルド
ゴウ級に強化されたゾルシルド。盾の大きさも数倍ほどに増しており、バリーの角を表したような棘も増えている。
アム・ラ・ゾルク
「腕の見せどころだ、バリー!!」
両手に術のエネルギーを纏う呪文。
相手の術を反射する「ラ系」の大半は防御呪文なのだが、この術は肉体強化の「~ルク」と「ラ系」が同居した珍しいタイプ。
作中ではどう見ても「術の効果そのもの」ではなく「バリーが自力で」相手の術を掴んで跳ね返しているのだが、相手の攻撃を自動で反射しない場合でも「ラ」が付くのはこの術のみである。
とはいえキース戦ではバーガス・ギニスガンによって襲い来る20発近い光弾を全て掴み取ってから跳ね返しているので、相当な対応力を持つのは間違いない。
ディオガ・ゾニスドン
「キースよ、くもった目で術を放っても、力の焦点が合わず、スキだらけだぞ」
「どんなでかい力でも、そのスキが『弱所』となり、その『弱所』を突かれれば、その力は半分も発揮できん」
ゾニスのディオガ級。
ギガノ・ゾニスの時点で「巨大な竜巻」というビジュアルになっていたためか、ギガノ・ゾニスと比べてもそこまで外見やサイズの変化が感じられないが、ディオガ級なので威力が大幅に向上しているのは確かだろう。
シン・ドルゾニス
「フン…」
「てめえごときにオレの力をなめられたくはねえな…」
ガッシュの思いに呼応し、クリアとの最終決戦にて「金色の本」を介して発動されたシン級呪文。ドリル状のエネルギーを片手ではなく両手に装着する。
作中ではシン級呪文の一点集中攻撃を受けても全くダメージを負っていなかった「クリアの抜け殻」に対し、単純な火力ではなく精密さによって繋ぎ目を正確に裂くというバリーらしい活躍を見せた。
自力修得していたか否かについて
ファウード編ではシン・ドルゾニスを使用していなかったが、一部のファンからは「バリーほどの実力者、かつ鍛錬を積んでいたのであれば既にシン級を自力修得していたのでは?」と考察されることもある。
だが、これについては作者ブログ「雷句誠の今日このごろ。」の質問コーナー(2008年05月30日分)にて、
「キース戦でのバリーは余力を残していたように見えますが、ディオガ・ゾニスドンはあの時点での最大呪文だったのでしょうか?」
という質問に対し、作者の雷句先生は、
「はい。あの時点ではまだシン・ドルゾニスは会得していません」
と回答している。
もっとも、バリーの実力や成長度合いを考慮すれば、もしクリア編まで生き残った場合にシン級を自力修得できた可能性は非常に高いはずだろう。
以下は原作では使用していない術。
オルゾニス
連載当時に発売していたゲーム「金色のガッシュベル!! 友情タッグバトル」シリーズに収録されたゲームオリジナルの術。
相手を追尾する機能を持った、細い竜巻状の光線を放つ(術に「オル~」が含まれているので、おそらくバリー自身が軌道を操作しているといった演出だと思われる)。
活躍
初登場は原作89話。
「王を決める戦い」に参加した当初の彼は、「目の前の敵を倒していけば王になれる」という安直な考えの元、目指すべき王の形を見い出せない自身に対し常にイライラしていた。
それこそ本の持ち主であるグスタフからも「欲しいものが手に入らなくてワガママを言っている小坊主のよう」と評されてしまったほど。
そんな時、ドンポッチョ戦後にグスタフから「日本にいるガッシュという魔物に挑んで帰ってきた者は一人もいないらしい」との噂を知り、戦闘のため日本に渡る。
公園でガッシュがナオミちゃんにいじめられていたところに遭遇。
ナオミちゃんをガッシュと間違えた為に彼女に馬鹿にされてしまった事に腹を立て、ナオミちゃんを蹴り飛ばして泣かせている(本編中におけるバリーの唯一と言っていいギャグ描写。アニメ版では児童への暴力描写がよくないと判断されたのか、地割れを起こして脅かしただけになっている)。
ナオミちゃんが去った後は自身が魔物であることを明かし、廃工場での戦闘を持ち掛ける。
いざ戦闘になった際には、民間人を平然と巻き込もうとするバリーに対し、目の前の相手と戦うことよりも巻き込まれた人達の救助を優先するガッシュと清麿に「そんな『強さ』ならとんだ期待外れだ」と更に苛立ちを募らせる。
その後もガッシュと清麿を終始圧倒し、清麿が最後に放った渾身のバオウ・ザケルガをも(ゾルシルドを破壊されながらではあったが)耐え抜く。バオウの反動で肉体も心の力も限界に達し、なすすべを無くした清麿から本を燃やそうと攻撃を続行。
しかし、力では完全に勝りながらも、清麿を庇い立ちはだかったガッシュの気迫に怯み、なぜか拳が止まってしまう。
「ぐ、まただ… また、手が止まりやがる…」
「なぜだ… なぜコイツの目に怯えてる?」
その姿を見たグスタフに改めて「どんな王を目指しているのか」を問われ、
「目の前の敵をただ倒していけばよい…」
「そんなチンピラ同然の考えしか持たんおまえに、この者の志ある本物の目は殴れんよ」
と告げられるバリー。
バリーは怒りで床を殴り付け、「強き王(=どんな力にも屈しない最強の王)」という目標を見出し、ガッシュの目指す「やさしい王様」とどちらが真の王にふさわしいかを見極めるため、再戦を誓う。
石版編においては本編での登場こそないが、「外伝 ナゾナゾ博士とキッドの光の旅」に1ページだけ登場。
この時点ではまだ大きな精神的成長を遂げていなかったようで、ロードの野望を食い止めようと奔走するナゾナゾ博士の共闘の申し出に対し、「次にガッシュと会う時は、決着がつく時だけだ」と意固地に断っている。
そしてファウード編では既に述べてきたように、心身ともに大きく成長した姿で再登場。
今回はナゾナゾ博士の申し出も承諾し、ブラゴペアと共にヘリで到着。ディガル・ドルゾニスによって外部からファウード内部へ潜入し、ゴデュファの契約を結んだキースと因縁の再会。
デゴスミアを瞬殺した後の直接対決では、
- 魔界にてキースと同じ学校に転校してきた際、初対面で喧嘩腰に「ムカつく面だ」と言われたことでタイマンとなり、キースを一方的に倒す。
- それ以降キースからは「大人以外に初めて負けた相手」「誇りや自信を一瞬で砕いた存在」として因縁を持たれていた。
というライバル関係の真相が明かされた。
そのような過去を語り、「お前に勝つことで初めて前に進める」と戦うキースを実力でも言葉でも圧倒。
ゴデュファの契約により強化されたキースを相手にほぼ無傷で一方的にダメージを負わせ続けるほどの力量差を見せた。
だが、重傷を負ってもなおキースはあがき、ゴデュファの契約を更に重ね掛けしてまで立ち上がる。
そんな「力は増したが、目は曇っている」キースに今のバリーが負けるわけがないと述べ、グスタフはエルザドルとの死闘を思い返す。
今まで戦ってきた魔物とは次元違いの強さを持つエルザドルを相手に為す術も無く、大量出血に加えて左角を噛み千切られるほどの重傷を負わされ、戦意喪失寸前にまで追い詰められるバリー。
痛みと恐怖で震えが止まらないバリーに、グスタフが後方から呼びかける。
「バリーよ、お前が奴の攻撃を避けられないのは、能力の差だけではない!!」
「奴に『呑まれてる』からだ!! 本物の強さに!!」
「奴の目を見ろ!! そしてそれを乗り越えろ!!!」
「そこにお前の探してるものはある!!!」
エルザドルは「竜族の神童」たる絶対的な強さだけでなく、ガッシュに似た「気高さ」を目に秘めていた。
その目に怯えながらも「オレはガッシュを、アイツの目を超えるんだ!!!」と自身を奮い立たせ、降りしきる雨の中で戦い続けるバリー。
左角が欠損した跡や、引き裂かれた全身の大量出血を手当する暇もなく、もはや半分意識が無い状態での死闘。
どのように逆転したのかという詳細は描かれていないが、最終的にはまさに「オレが死にかける戦い」であったエルザドルとの激闘を制し、本を燃やす。
そして、エルザドルは魔界に帰る直前、
「よお… バリーって言ったな…」
「よく… やったじゃねえか…」
と、バリーにとっては想像もできないような言葉をかけてきた。
「よく… やっただと…!?」
「自分を倒した相手に… 何を言ってやがる…」
「何を…」
と涙を流すバリー。
グスタフに言わせれば、エルザドルの「よくやった」は「敵を認め、己に誇りを持つ者の最高の言葉」であった。
バリーはエルザドルの大きな心を理屈ではなく肌で感じ、これを機に己の小ささを実感。その時からバリーの目はエルザドルと同じ輝きを放つことができた……と述懐している。
そしてディオガ級の撃ち合いにも圧勝し、キースを戦闘不能にした上で術の余波で本を燃やすことにも成功。
しかし、敗北したキースが「ゴデュファの契約」によって(本心では嫌がりながらも)フロアの仕掛けを作動させたことにより、ガッシュ達を隔てていた壁が動きだし、同時にエネルギーの滝へと変質してしまう。
このままでは全滅……というところで、誰よりも先にガッシュが身を挺して道を作ったが、そこへバリーが飛び込んでガッシュ達を助けた。
エネルギーに打たれ続けていては死んでしまうため、グスタフはサンビームに頼んで本を燃やしてもらう。
壁のエネルギーに捕まっているため身体を動かせず、グスタフに背中を向けたまま謝罪するバリー。
だが、バリーの言葉を受けたグスタフは、
「ウム… お前は王にはなれなかった。だが…」
「お前は、『王をも殴れる男』になったぞ」
と静かに告げる。
「いくら王といえど、完璧ではない。いつか間違いを起こすこともあろう」
「その時にお前は王を殴ってやれる。その鍛えた体で、強き目で、拳で、王を殴ってやれ」
「王がどんな目をしていようと、怯むことはない」
「王を殴れるんだ」
「でかく、いい男になったじゃねえか…」
涙ながらに言葉をかけるグスタフと、「オレの心の中のよ… 未練が… なくなっちまったじゃねえか…」と同じく涙を流すバリー。
互いに互いとの日々を忘れないと誓い、バリーは笑顔で魔界へ帰っていった。
ちなみにこのバリーのラストシーンは、多くのファンの間で今作における感動シーンを語る際に必ず挙げられるほどの名シーンとして絶賛されている。
原作終盤のクリア編においては、クリア完全体との決戦において、ガッシュに力を貸す魔物の一体として再登場する。
既に「術」の項目で述べたように、シン・ドルゾニスによってガッシュと共に「クリアの抜け殻」を破壊する活躍を見せた。
そして原作最終回では、キース、ロデュウ、ツァオロンと同じ学校に通っている姿が1コマだけ描かれている。
ちなみに魔界に帰った後も角や全身の傷が治っていないのだが、これについては作者ブログにて、
- バリーはエルザドルとの戦いで負った傷を成長の証として誇らしく思っている。
- バリー自身の意思で「あの姿のまま」と願って傷を残したままの肉体にしてもらった。
という理由が語られている。
また、完全版12巻のガッシュカフェではエルザドルと共演し、酒を飲みかわしながら語らうエピソードが描かれている(詳細はエルザドルの記事を参照。ややネタバレが含まれる点だけはご了承願いたい)。
関連人物
本の持ち主にして、自身の成長を静かに見守ってくれた父親のような存在でもある。
グスタフも邂逅編時点でのバリーには厳しい言葉をかけることこそあれど、心から見捨てるような言動をしたことは一度も無く、まさに「厳しくも優しく息子を導く寡黙な父親」であるといえるだろう。
作中でも屈指の実力者であり、自身の在り方に大きな影響を与えてくれた2人。
ガッシュとエルザドルは「志ある光」を目に秘めているという共通点を持つ。
原作最終回で同じ学校に通っている描写がある魔物達。
いずれも「呪文抜きの身体能力にも優れている」「一見すると粗暴であったり荒々しい印象を抱くが、どこか憎めない面や情に厚い面も持っている」等が共通している。
今作における「漢」「兄貴」代表達。
ファンの間ではバリーも彼らと同列で語られることが多い。
余談
ネット上のデマ
ネット上では偶に「作者ブログでバリーとアースが互角だと回答されていた」と書き込まれていることもあるが、これはデマ(というか勘違い)なので注意。
具体的に解説していくと、
- そもそもとして、雷句先生が「バリーとアースの強さについて」回答したのは作者Twitterの方であり、ブログではない。作者ブログでは「バリーとアースの強さについて」という質問が紹介されたことすら一度も無い。
- そしてTwitterでのやり取りを具体的に述べると、2011年12月に一般ユーザーから「雷句先生としてはバリーはどのくらい強いんですか?アースに勝てますかね?」という質問が届いた際、雷句先生は「たぶん…勝つ」と短い一文を返したのみである。
- つまり、雷句先生は「勝てることを趣旨とした曖昧な回答」をしただけであり、「ギリギリの戦いになる」「拮抗する」等の明確に「互角」と解釈できるような表現を用いたわけではない。
- 作者ブログに「魔物の強さランキングをしてください」という要望が来た時にも「色々と大変だから」と断っているため、単に必要な設定以外の強さを逐一決めているわけではないだけだと思われる。
- 確かに「『たぶん』と言葉を濁している→絶対に勝てるわけではない→だから互角」と拡大解釈することも可能ではあるが、それは飛躍し過ぎな面もあり、どのみち「作者が互角だと回答していた」と断定口調で書き込むのは行き過ぎである。
といった点から、勘違いだと断言できる。
ネット上に出回っているガッシュ関連の情報には、実際の文章の趣旨を取り違えていたり、意図的に言い換えられているような物も散見されるので注意(似たような例として、ゼオンに対する「原作者曰くジガディラスはシン級未満」という書き込みが挙げられる。そちらについての解説はゼオンの記事を参照)。
どうやってエルザドルに勝ったのか?
前述のように、バリーがエルザドルに勝ったことは確かなのだが、本編内でも公式情報としても戦いの詳細が語られていないため、「あれだけ一方的に重傷を負わされた状態からどのように逆転したのか?」と想像や考察を膨らませるファンもいる。
現状、ネット上で見受けられる想像や考察としては、
- 確かにエルザドルも相当に頑強な鱗を持っていると思われるが、さすがにアシュロンの「竜の鱗」には劣る強度であり、隙を突いたり同じ箇所を集中攻撃すれば徐々にダメージを与えられた。
- ガッシュカフェの描写から、エルザドルはアシュロンに比べて戦いに「遊び」があった可能性もあり、必死に気力を振り絞ったバリーが精神面で僅かにリードできた。
- エルザドルとの戦いで死にかけるほどの重傷を負う中、心身が限界を超えたことで「弱所突き」を開眼させた。
等が挙げられる。
グスタフとの出会いについて
原作10巻の中扉では、なぜかバリーがグスタフの家の煙突に頭から突き刺さっている状態を発見されるという不可思議なシーンが描かれており、「なぜそのような体勢で突き刺さっているのか?」と疑問を抱くファンもいた(少年サンデーコミックス版の中扉は、公式ファンブック「金色のガッシュ!!20周年ありがとうなのだ!ブック」に全て収録されているため、現在でも確認可能)。
一部のファンの間では「魔界から人間界に転移する際の様子は不明だが、仮に空から降ってきたのだとすればそのまま煙突に直撃してしまったのでは?」という考察もあった。
そして遂に「金色のガッシュ!!20周年ありがとうなのだ!ブック」にて秘密が明かされており、雷句先生曰くあれはバリーの寝姿らしい(あくまでギャグ、という可能性もゼロではないが……)。
同ページでは「魔界のバリーの寝床は布団を丸めて立てたもの」だと述べられ、本当に丸められた布団が描かれている。
金色のガッシュ!!2にて(ネタバレ注意!)
第16話における回想シーン(清磨とアシュロンの会話の中)で登場。
あくまで回想での登場なので、現在の動向は不明。
「プロフィール」の項目でも触れたように、今作では30歳となっている。
前作の時点で人間換算年齢が17歳であったためか、見た目に関しては特に変わっておらず、見方によっては体格がより筋肉質になった程度(ファウード編で負った傷もそのままになっている)。
流石と言うべきか、「元アギレラ国の戦士貴族」たる『カード』自身が「ベリエルが弱い瓶しかくれなかった」と述べているとはいえ、術の力無し&単独での戦闘だったにもかかわらず、多少の傷を数か所に負う程度で圧勝した模様(重傷を負わされ死にかけたキャンチョメやティオとは対照的とも言える)。
その際、幾つかの重要な情報を聞き出すことに成功し、それらをアシュロンに伝えたと語られている(情報の詳細に関しては「カード(金色のガッシュ!!2)」の記事を参照。第18話までのネタバレを含むので注意)。
ちなみに、前作においてバリーとアシュロンの絡みは一切無いのだが、おそらくエルザドルを通じて竜族とも関係を築いたのだと思われる。
余談
「アギレラ国」について
前述の通り、第16話では「アギレラ国」という明らかに人間界には存在せず、魔界にも存在しない(と思われる)国名が出ているが、これについての詳細は現状不明。
一応、ファンの間では幾つかの考察が上がっている。考察についても「カード(金色のガッシュ!!2)」の記事を参照。
関連タグ
金色のガッシュ!! 金色のガッシュベル!! 金色のガッシュ!!2 光属性
ガッシュ・ベル/エルザドル……自身に大きな影響を与えてくれた「志ある」強者達。
キース……魔界時代からのライバル(というか知り合い)。
パティ……作者ブログにて「人間界での戦いで身体の一部を失ったが、自らの意志で失った後の身体を希望した」という共通点が明かされている魔物(バリーは角、パティは髪)。
ナゾナゾ博士/キッド……「外伝 ナゾナゾ博士とキッドの光の旅」にて遭遇。
テッド……アニメオリジナルエピソードにて戦闘。