「フン、つまらん奴よ」
「そして、ムカツク奴だ…」
「力があるのに使おうしない、クソったれな奴だ…」
「オレは…もう、戻れねぇ…」
「だがよ…」
「お前はまだ、前向けるだろ?」
概要
ファウード編において、封印を解く「力」としてリオウに集められた魔物の1体。
CVは千葉進歩氏。
本の持ち主はチータ(詳細は個別記事を参照)。
公式からプロフィールが明かされていないため、人間換算年齢や好物等は不明。
そのビジュアルやどこか憎めない言動から、登場時点から一定の人気があっただけでなく、原作のファウード編における最後の最後で好感度を爆上げし、一気に読者の心を掴んだという珍しい描かれ方をされたキャラクターでもある。
人物像
容姿
背中まで届くほど長い黒髪や真っ黒な瞳、悪魔を思わせるような黒く大きい翼が特徴的(アニメ版では翼は赤色になっている)。
見た目に違わず、バーゴやザバスと同じく呪文抜きでの飛行が可能という強みを持つ。
顔や服など、全身に走る格子状の模様や、目の下の濃い隈も特徴的。
総じて「黒」「悪魔」「格子」等がデザインモチーフになっていると思われ、ファンからは原作終盤での活躍も相まって「悪魔の王子」と呼ばれることも(あくまでファンの間での呼び名であり、作中で呼称されたことは一度も無いので注意)。
性格
まさしく「敵役/ヒール役」と言わんばかりのビジュアル通り、全体的に粗暴かつ残忍な言動が多い。
ファウード編まで生き残った実力・自負によるものか、プライドが高く残酷なサディストという印象も受ける。
敵対する相手には容赦なく攻撃を仕掛けるタイプであり、レイン戦では彼との交渉が決裂したと判断した瞬間に初手でディオガ級呪文をぶちかます等、戦闘においても大味かつ力任せなスタイルを好む。
原作のファウード編における決戦時には、「ゴデュファの契約」により性格に歪みが生じていたとはいえ、キャンチョメ・ティオ・ウマゴンに何度も攻撃呪文をぶつけただけでなく、3人の奮闘をも罵倒し続けるといった他の「ゴデュファの契約」を受けた魔物達と比べても遥かに悪辣なキャラクターであるかのような描かれ方もされていた。
……と、ここまでの解説だけでは「単なる悪役」止まりな印象しか抱かないものの、実際は以下で述べるような様々な面を持っており、単に「悪役」という言葉では解説しきれない多彩なキャラクター性がロデュウの魅力である。
物語が進むに連れて色々な面が描写された現在では、
- 「嗜虐心に正直な割に、ギャグ・シリアス双方で味のあるキャラ」
- 「パピプリオが『愛すべきバカ』なら、ロデュウは『憎めない不良』といったところ」
等、ファンからも独特な(?)好評価をされていくようになった。
意外と(?)仲間想い
先に述べたように「敵対する相手には容赦なく攻撃を仕掛ける」のは間違いないのだが、かといって誰彼構わず暴力的に接しているわけではなく、一定の「仲間」に対しては(一応)友好的に接している描写が多い。
そもそもとして、初登場時に清麿に言い放った「仲間を見捨てて逃げるアホを後ろから撃ち抜くのが一番楽しい」という台詞も、見方を変えれば「仲間を裏切るような奴は許さない」という宣言も同然なのでは?という考察もある。
他にも、
- 利害の一致とはいえ、リオウの指示にも(一応は)素直に従って魔物達の勧誘に出向いており、レイン戦で重傷を負って帰還した際に煽られても悪態をつくだけで手は出していない。
- 術の有用性に気付いていただろうとはいえ、単純な戦闘力では自身より遥かに劣るパピプリオを部下として同行させ、任務を多少失敗した時にも特に処罰を下していない。
- というか、原作ラストでの描写を見る限りパピプリオから別れを惜しまれるほどに慕われていたことが読み取れる。
- 戦闘時にチータが冷静な判断を下したことでダメージを負う事になっても、正論で返された時には素直に納得し、暴力を振るうどころかそれ以上の反論もしない。
- というか、こちらも原作ラストでの描写を見る限りチータの将来をロデュウなりに心配し、いつかは自分なりの励ましを伝えようとしていたことは間違いない。
- 現にレイン戦では、本を燃やさせないためでもあるとはいえ放ったレイン本人ですら絶句するほどの過剰威力かつ超広範囲なガルバドス・アボロディオからも我が身を盾にしてチータを守っている。
といった具合に、ロデュウなりに「大切だ」と見なした相手はきちんと大切にする筋の通った部分があるのだと考えられる。
リオウ・パピプリオ・チータからも、そのような「ヒール役なりに一本筋の通った部分」や「良くも悪くも裏表の無い性格」を好まれていたのかもしれない。
戦闘時の優れた思考力
また、戦闘時にも決してチータだけに戦術面を任せきりなのではなく、ロデュウ自身も判断力・駆け引きに優れている描写が多い。
かなりの場数を踏んでいるのか、戦闘時には力任せな言動や大味さは鳴りを潜めることもある。
代表的なものを挙げると、
- 前述のように、単純な攻撃力では測れないパピプリオの術の有用性を理解し、戦闘時にも指示を出して術を有効活用させる。
- 「~ルク系」の呪文の汎用性や癖にも精通しており、驕りや焦りを抑えてチータと(仲良く?)効果時間をカウントし、効力が消える頃合いを見計らってから強力な術をぶつける。
- キャンチョメがポルクで床に変身した際には、周囲をつぶさに探すのではなく、一度に広範囲を巻き込めるガンズ・ラギュウルによって強引に炙り出すという効果的な対処を行う(似たような例がブザライにラージア系を指示したキースだろう)。
- コントロールルームでのガッシュ戦ではテオザケルによって絶叫するほどの大ダメージを負い、頭に血が上った中でも「キレてるフリ」を行いながら術を放つのに適切な角度の調整を行い、形勢逆転を狙う。
等だろうか。
原作のファウード編では、ゼオンからジェデュンと合わせて「コントロールルームを守る特別な2体」に選抜されていることからも、やはり客観的に見てもファウード編まで生き残るに相応しい総合戦闘力を持っていると評価できる。
不屈の精神力?
他、ファンからもあまり話題に挙げられることはないものの、何気に作中に登場する全魔物の中でもトップクラスの精神力(というか忍耐力?)を秘めている。
現に作中でも、
- 前述のように、初登場時のレイン戦では周囲の大地を数百メートル規模で切り刻むほどの威力を持つガルバドス・アボロディオからチータを庇い、戦闘不能になる(その際の様子から、おそらくあまりにも大きなダメージによって失神している)。
- コントロールルームでの決戦でも、ティオのチャージル・サイフォドン+ウマゴンの「炎の槍」というディオガ級相当の攻撃を同時にくらうことになり、翼がボロボロになるほどの重傷を負う。
- 続くガッシュ戦でもザケルやテオザケルによって相当のダメージを負わされ、最後には怒りの清麿から拷問同然に計23発もの攻撃呪文を絶え間なく浴びせられ、文字通り黒焦げにされる。
- 最後の見せ場であるゼオン戦でも、「ゴデュファの契約」の代償によって全身が泥のように崩れていくだけでなく、自身の翼で腹を貫かれる・右翼を引き千切って大量出血する・右腕や右足がはち切れて血で染まるといった惨いほどの重傷を何度も負わされる。
といった具合に、実は作中で戦闘シーンが描かれる度に相当な重傷を負う羽目になっており、それでもなお「降参だ」「やめてくれ」等の弱音を一度も吐いたことがない。
というか、ゼオン戦においては単純な状況だけ見ればクリア戦におけるアシュロンに近しいレベルの重傷を負っているため、それでもなお抗い続けたロデュウのメンタルも相当なものだと言えるだろう。
ブラゴやアシュロンが「鍛え抜いた精神力やプライド」故のメンタリティだとすれば、ロデュウは「泥臭さ」や「往生際の悪さ」といったところだろうか。
そのようなヒール役らしい「しぶとさ」も人気の理由なのかもしれない?
術
公式から術属性が明かされていないため、公式情報としての表記は不明。
公式ファンブック「金色のガッシュ!!まるかじりブック」及び「金色のガッシュ!!まるかじりブック2」までに明かされた属性の中にもピタリと当てはまりそうなものが無いため、おそらく他の魔物と被らないオリジナルの属性である可能性が高い。
そのため、ファンからは「全ての術を翼から放つ、もしくは翼を変形させる」という特徴を踏まえ、「翼」属性なのでは?と予想されることが多い。
ラギュウル
両翼から帯状の黒いエネルギーを放つ。
間違いなく初級呪文なのだが、初登場時には使用されず、後の原作249話で一度だけ使用されたという珍しいパターンでもある(似たような例としてアースの「ソルド」が挙げられる)。
ガンズ・ラギュウル
両翼の繋ぎ目が小さな砲身のように変化し、細長いエネルギー弾を乱射する。
ギガノ・ラギュウル
ラギュウルのギガノ級。
両翼の側面の計6ヶ所から黒い帯状のエネルギーが伸び、同方向へ直進するような光線を放つ。
よくある誤解
尚、ネット上にはギガノ・ラギュウルを解説する欄に「螺旋状のエネルギー」と書き込まれている場合もあるが、それは誤りなので注意。
原作で実際の描写を見ればわかるように、黒線が螺旋状に絡まっているのはディオガ・ラギュウルの方であり、ギガノ・ラギュウルではない。
ギロン・ラギュウル
両翼の根元部分が変形し、複数の黒く長い矢印(もしくは槍)となって相手を囲むように攻撃する。
レイン戦ではアーガス・アボロドで防がれている一方、原作251話でモモンが「中級の強さ」と感じ取っているため、おそらくゴウ級より上~ギガノ級に届くか届かないか程度といった具合だろうか?
ラギュウル・ロスド
両翼を重量感のある巨大な刃物に変え、勢い良く振り下ろす。
ラギュウガ
翼同士を絡みつけ、黒線が螺旋状に絡み付いた槍のようにして攻撃する。
誤解(?)
実はレイン戦(原作181話)の時点でラギュウガに酷似した術が映っていたのだが、その際にはチータの台詞として術名が読まれていなかった(チータが明確に「ラギュウガ」と唱えたのは原作246話が初となる)。
そのため、ネット上ではラギュウガについて「実は初登場時に使用している」と書き込まれていることもあるが、アニメ版115話の同シーンではチータの台詞が追加されており、レイン戦で使用していたのはガル・ラギュウガだと判明した。
よって、アニメ版との擦り合わせをして考えた場合、「ラギュウガは初登場時に使用している」という解説は誤りとなるので注意。
ガル・ラギュウガ
先に述べたように、アニメ版115話で術名が明かされた呪文。
実は前述のレイン戦を除き、ロデュウが原作でガル・ラギュウガを使用しているシーンは一度も無いため、「原作でも確かに使用した」のか「アニメオリジナル呪文」なのかが曖昧となっている珍しいパターン。
見た目に関しても通常のラギュウガから特に変化していないため、どのような性能差があったのかは不明。
術名に「ガル系」が追加されていることから察するに、回転力が増しているのだろうか?
ディオ・バオール・ラギュウガ
初使用時にロデュウ自身が「少し強力なヤツをかましてやれぇ!!!」と述べていたように、ロデュウが使用する術の中でも非常に高い威力を誇る強力な呪文。
両翼を「およそ数メートル以上はある極太の光線」に変化させ、勢いよく放って相手を攻撃する。
「ゴデュファの契約」により威力が増しているとはいえ、術に少し掠っただけのガッシュを数メートル以上も吹き飛ばし、直撃したティオの全身を一撃で黒焦げ(もしくは大量出血)にまで追い込むほどの凄まじい威力を持つ。
ディオガ・ラギュウル
ロデュウの最大呪文。
両翼に禍々しいオーラのようなものが滾った後、黒線が螺旋状に絡まった巨大なエネルギー波を放つ。
ディオガ級なだけあって相応の威力を誇り、レイン戦で回避された際には一撃で砂浜に底が見えないほどの大穴を穿ったほど。
活躍
初登場は原作179話(本格登場は180話)。
「魔導巨兵ファウード」の最終的な横取りを企み、リオウに協力する魔物の1体として登場。
レインを仲間に引き入れるべく、パピプリオを連れて東南アジアの一国へ赴き、たまたま同じタイミングで来訪していたガッシュと戦闘となる。
ガッシュとの戦闘ではレインをも「レベルが違う。ガッシュでは……」と不安にさせるほどの実力差を見せるが、カイルが勇気を振り絞ってからは瞬く間に形成逆転。
さすがに本気になったレインには敵わず、最大呪文の撃ち合いにも完敗し、チータを庇い戦闘不能に。
本こそ守りきったものの、チータに背負われて逃走した。
その後は直接の描写こそないものの、ナゾナゾ博士の調査によってウォンレイをファウードまで連れて行く役割を担っていたことが明かされた。
ファウード編中盤で遂に封印を破壊してからは、キースと共にすぐさまリオウを攻撃。
だが、リオウが既に瞬間移動でコントロールルームまで移動していたこと・主砲の異常な威力をまざまざと見せつけられたことで、「いずれ寝首を搔くチャンスも来る」と考え再びリオウの傘下となることを選ぶ。
そして、ファウード編終盤における展開は原作・アニメ版とで大きく異なっており、それに伴いロデュウの結末どころかキャラクターとしての最終的な印象にすら大きな違いが生じてしまっている。
よって、アニメ版→原作版の順で解説した方が記事としての後味も良くなるので、当記事ではそのような順で記載していく。
アニメ版
まず、最終決戦の舞台であるコントロールルームで待ち構えていた原作とは違い、アニメ版においては最初の方の部屋に割り当てられている。
アニメ版139話にてガッシュ陣営がファウードへ再突入し二手に分かれた際、清麿チームが最初に訪れた部屋で待ち受けており、原作でも因縁のあったウォンレイペアと対峙。
そして140話にて本格戦闘となり、ウォンレイが優位を保ったまま戦いが進んでいく。
形勢逆転を図るロデュウは、アニオリの機能である「ファウードのサポートシステム」の使用をリオウに依頼し、自身の分身を生み出す。
これによって数の暴力によりウォンレイを追い詰めるも、リィエンが自ら戦い始めたことで分身を退けられてしまい、絆を新たにしたウォンレイとリィエンが再び優位に。
ならばと次はチータに直接ファウードの力を注ぎ込み、術の力を強化。
強化版ディオガ・ラギュウルでウォンレイのゴライオウ・ディバウレンに勝利し、本を燃やすことに成功。
アニオリ展開かつファウードのサポートシステムも多用したとはいえ、単独でウォンレイを倒すという大きな戦果を挙げた。
続いて141話では、先行したリーヤペアがギャロンと戦い、最後の一撃を放とうとした寸前に乱入。
人質にとったリィエンを見せて攻撃を中断させるも、「ウォンレイはリィエンを見捨てて逃げ出した」というロデュウの発言をリィエンが即肯定したことで、清麿・恵・ティオに「そのリィエンは偽物」だと見抜かれてしまう。
そしてギガ・ラ・セウシルに閉じ込められている内にギャロンをあっさりと倒され、ラウザルク状態のガッシュからキツい一撃をくらわされる。
当然ながらチータと共に反撃に出ようとするも、チータはなんと「無理ね」と冷たく言い放ち、「終わりにしましょう」と自ら本を閉じてしまう。
更にチータから、
「あの時ウォンレイは、最後までリィエンを守り切って魔界へと帰っていった」
「でも、私とあなたはどう?」
「勝つためだったら何だってやる。勝負は、あの時に決着がついていたわ」
「私達は、彼らには絶対勝てない」
「パートナー同士の信頼が、繋がりが、違い過ぎる」
とまで言い切られてしまい、動揺するロデュウ。
直後、リィエン(に変装していたザルチム)に本を切断されたことで火が着き、身体が透けていく(※)。
(※)これに関しては決してアニメ特有の演出ミスではなく、原作においても「可燃性の攻撃でなくても、本が物理的に破損しただけで燃え始めてしまう」という描写がある(ティオのサイス→ボルボラの本、クリアのラージア・ラディス→アシュロンの本……等)。
最後には遅れて登場したラウシンから「テメエのような無能で弱っちい奴はファウードの一員にはなれねえ。とっと魔界に帰れ」というリオウからの伝言をかけられ、呆気なく魔界へ帰ってしまうという最後になった。
原作での壮絶ながらも感動的だったチータとの別れや絆だけでなく、凶暴さの中に見せていた冷徹さや泥臭さ等もほぼ描写されず、有り体に言えば「ただのやられ役」に等しいような扱いで出番を終えてしまった。
そもそもとしてアニメ版はゼオンがファウードの主になるタイミングが非常に遅く、「ゴデュファの契約」も言及すらされていない(=原作と同じ展開を描くこと自体が不可能)とはいえ、「もう少し悪役としての良さを描いてもよかったのではないか?」と惜しむ声もあるが、そもそも原作でロデュウの良い面が出始めた原作のコントロールルームまでアニメ放映当時には至っておらず(ギャロン戦の途中あたりで休載)それまでの悪党然としたキャラを手がかりに残り10話で最後まで話を考えなければならない状況だったので致し方ない面はある。
気持ちは分かるが、「原作ので先の展開まで予知して」という事になる連載と放映の時系列を無視した要望は無理難題である事にも留意されたい。
余談:アニメ版チータの発言について
……と、原作版と比べれば後味の悪いラストであることは否めないのだが、アニメ版におけるチータの見限りに関しては決して強引な展開ではなく、一応の補足をすることができる。
現にウォンレイとの戦闘では、
- サポートシステムの使用を依頼したタイミングでは、ロデュウはやや劣勢ではあるもののウォンレイに「圧倒されている」とまでは言い難く、コントロールルームで見ていたリオウも「お前らしくない」と感情的な判断であることに苦言を呈している。
- 更に終盤ではチータにサポートシステムを使用したが、この際に「多少の痛みはあるが、これでオレ達はもっと強くなれる」と勝つためならばチータの身を犠牲にしても構わないという旨の発言を当人の前で堂々としてしまっている。
という描写があり、これらが「アニメ版のチータがロデュウを見限る」前振りになっていたと読み取れる。
そのような点を踏まえた場合、「チータのキャラクター性が原作とは根本的に別人」というよりは、「原作ほどロデュウとの関係を築けておらず、その上でロデュウのマイナス面を多く見てしまった場合のイフの姿」……とも解釈(擁護)できるだろうか。
原作版
原作においては、ゼオンがリオウに代わって新たな主となった後、「ゴデュファの契約」の説明に耳を傾ける。
ロデュウも「何か匂うな」と疑ってはいたものの、最終的には「あえて」ゼオンの企みに乗じてみると決断。
チータも「あなたが望むなら止めはしないわ」と否定をしなかったことにより、結果的にゼオンとの契約を成立させてしまう。
そしてジェデュンと共に「コントロールルームを守る特別な2体」に選抜され、困難を乗り越えてやって来たガッシュ陣営に対する最後の壁として戦闘に。
全体的な見た目はそこまで大きく変化していないものの、服の上からでもわかるほど筋肉質な肉体となり、両目の上下に黒い太線のような模様が走るようになった。
また、サンビームが「今までの奴らよりも更に強力にパワーアップしている」と驚いているため、おそらくファンゴ・ギャロン・キースよりも多くの力を流し込まれているのだと思われる。
更に、ゼオンが「ファウードの力が与えた配分を術ではなく肉体そのものに多くしてある」と述べているように、ディオエムル・シュドルク状態のウマゴンによる突進を肉体強化抜きの素手で受け止める、ティオのチャージル・サイフォドン+ウマゴンの「炎の槍」というディオガ級相当の攻撃を同時にくらっても耐え抜くといった驚異のタフネスでガッシュ陣営を大いに苦戦させる。
ゼオンの的確な指示をあり、キャンチョメ・ティオ・ウマゴンらを順に圧倒していき、全員を「魔力を通さない特殊な柱」に閉じ込める。
清麿の復活を察知して勇気を出したモモンには予想外の苦戦を強いられるも、最終的にはモモンが自ら勝機を捨てる形となったことで本を燃やし、ガッシュ陣営をもはや全滅確定というところまで追い詰める。
だが、そこへ昏睡状態から復活を遂げた清麿が登場したことで形成逆転。
ロデュウも「ゴデュファの契約」を重ね掛けして傷を癒し、更にパワーアップするが、さすがにバオウ覚醒による全呪文の威力底上げ+複数の新呪文修得+清麿もアンサー・トーカーに覚醒という次元違いの強化を遂げたガッシュには敵わず、数発の術だけで容易く戦闘不能にまで追い込まれる。
それでも(良くも悪くも)心が折れることはなく、マーズ・ジケルドンに閉じ込められた状態でも尚キャンチョメ達を「クソ弱えアヒルガキ」「くそガキ女」「クソウマ」と口汚く罵るが、そのような言動は当然ながら火に油を注ぐ結果となり、ただでさえゼオンに対して怒り心頭だった清麿の逆鱗に触れることとなる。
激怒した清麿はあえてマーズ・ジケルドンを解除し、ザケルとザケルガを計7発放って息継ぎ→再びザケルとザケルガを計8発放ってから栄養液で心の力を回復→更にザケルとザケルガを計7発放ち、ラストにテオザケルを1発……という地獄のような連続攻撃を行い、ロデュウを文字通り身体から煙が立ち上るほどの黒焦げにする(ギャグ寄りの描写とはいえ、発動した呪文は計23発、しかも全てギガノ級以上である)。
そうして暫くは描写外で気絶していたが、ティオがチャージル・セシルドンを覚醒させた頃には復活しており、再びゼオンからガッシュ達を始末するように命じられる。
だが、チータの「ゼオンのため」という発言で、今の自分の行動原理が根本からおかしいことを自覚、ロデュウはギガノ・ラギュウルを放つ寸前に向きを変えてゼオンに放ち、明確に反意を示す。
「ゼオン、てめえ、誰に向かって命令してやがんだ?」
「ゼオンを殺してファウードを乗っ取るんだよ!!」と宣言し、ファウードの細胞の影響で「ゼオンに攻撃し続けると自身が死ぬ」ことを頭で理解しながらも、一切の躊躇なく攻撃に出る。
「ゴデュファの契約」により自身の意志に反して腹を貫いてきた翼を力づくで引き千切り、息もだえだえな状態でチータに話しかける。
「チータよ…」
「オレはてめえが大っ嫌えなんだ」
「出会った時からずっとよお…」
チータの過去
アニメ版では特に言及されていないものの、原作ではこのタイミングでチータの付けている仮面(作中では「マスク」表記)はロデュウが与えたものだと判明。
実は、チータは右眉の上~右目の下辺りにかけて大きな傷跡があり、そのような外見が原因で街の人々から変な目で見られる・過去に交際していた男性(詳細不明)からひどいことを言われる……といった差別まみれの生活を送っていた(なぜ家族からの支援が無かったのか、もしくは死別してしまっているのか等の詳細は不明)。
ロデュウから仮面をもらった後には「ありがとう」と感謝を示したものの、「このマスクが恐いのか、誰も私に近付かなくなった」と儚げに言い、再び部屋の中で沈んだ表情を続けるばかりの日々となってしまった。
そして現在。
前述したチータの過去を振り返りながら、ロデュウは、
「そんな傷一つで、てめえの人生を支配されやがってよぉお!!!」
「なんでマスクをかぶった時に強くならなかった?」
「変な目で見てた奴らがビビったんだろ?オレもいる。」
「そいつらに仕返ししてゲラゲラ笑えばいいじゃねぇか」
「オレは笑うぜ。どんな状態になろうと、『オレの体』なんだからよ!!!」
「一つや二つの障害で、奴隷みたいに支配されてたまるかぁあ!!!」
と、ヒール役なりの粗さを残しつつも芯の通った言葉を投げかけつつ、全身に重傷を負いながらも諦めずにゼオンへ立ち向かっていく。
ゼオンにキツい拳を受けた後には自身の最期を察したのか、もう足が動かない状態でもなお力を振り絞り、チータを優しく抱き寄せる。
「俺は…もう、戻れねぇ…だがよ…お前はまだ、前向けるだろ?」
「強く… 生きろ」
「てめぇ自身が強けりゃよ… 目の傷なんてなんでもねぇ…」
「もっと笑えるし、まっすぐ立てるし、ほれる男も出てくらあ…」
普段のロデュウからは想像もつかない穏やかな笑顔……というより、ロデュウがいつかは見せたい・伝えたいと思っていたであろう表情や言葉は、チータの心にも強く響いた。
直後、「死ぬ前に魔界へ帰れる」と気遣ったパピプリオが本に火を点け、チータも涙ながらにディオガ・ラギュウルを発動。
ロデュウが消えゆく中、チータはひたすらに涙を流し、心の中でロデュウの名を呼び続けた。
そして別れ際、パピプリオはロデュウがどこか満足気な笑みを浮かべていることに気付いたのだった。
「笑ってる……」
「きっと今、死ぬ程の激痛がロデュウ様の体を襲ってんのに……」
結果的にゼオンにはマントで防がれてしまったものの、最後の一撃はゼオンをして「避けてはいかん」と思わせるほどの強い意志が込められていた。
事実、メタ的な点からも、前述したロデュウの台詞はガッシュへの憎しみで歪んでしまったゼオンにも重なる所がある言い回しになっている(※)ため、結果的にチータだけでなくゼオンをも変えるきっかけになったと言える。
(※)例えば、ロデュウの台詞における「傷」を「身体の傷」ではなく「心の傷」に置き換えて読み返すと、ゼオンに対してもある種の励ましをしているように聞こえるという絶妙な台詞回しになっている。
もちろん、ゼオンの心境を変えたのはガッシュの記憶・チェリッシュの言葉・ティオの覚醒といった様々な要素が絡み合った結果ではあるが、ロデュウも間違いなくガッシュとゼオンの和解に一役買ったと言えるだろう。
その後
ファウード編ラストでゼオンに記憶を返されると同時に、彼に関する記憶も入ったのか、ガッシュがクリアに対して激怒している時の回想でも(ガッシュ視点では)最後まで敵だったはずのロデュウが描かれている。
原作最終回では魔界に帰った後の様子も描かれており、バリーやキース、ツァオロンと同じ学校に通っている模様。
相変わらずというべきか、バリー達と揃って妙な威圧感を出しながら席に着いているシーンが描かれている。
また、チータも原作304話にて看護師の職に就いたことが判明。
しかも仮面を外し、かつ笑顔で仕事に励んでいるため、ロデュウの意思が彼女の中で生きている証だろう。
原作最終回で「魔物からの手紙が届いた本の持ち主」としても描かれており、ロデュウからの手紙に嬉しそうな表情を浮かべ、涙を流している。
余談
原作ラストシーンの裏話
やはり前述した「強く… 生きろ」のシーンはファン人気も高かったのか、2022年に東京・大阪で開催された「金色のガッシュ‼と雷句誠原画展」でも同シーンの原画が展示されていた。
これに関連して、原画展開催当時に作者の雷句先生がTwitterで、
「ロデュウがチータにこれだけ顔を寄せているのは、ロデュウの目がほとんど見えていないからです」
「最後にチータの顔を見て、最後の言葉をかけようとした。そんな姿です」
「最後の一撃をゼオンに当てることができたのは、奇跡と……、あと何というか、ロデュウの意地ですね」
という裏話をツイートしている(※)。
(※)実際のツイートはこちら(外部リンク)。2022年10月11日更新分。「最後の一撃を~」の方は連投されているツイートで確認可能。
関連タグ
チータ……なんだかんだで大切に想っていたパートナー。pixivではロデュウ単体で描かれることは少なく、チータとペアのイラストが多い。
パピプリオ……可愛い子分。というより実質的には年の離れた友達?
ザルチム……原作においては「それまでヒール役として描かれていたものの、最後の最後で読者から共感を抱かれるような心情が描写される」という、ロデュウと似通った人気の得方をした魔物。
ゾフィス……本編では全く接点が無かったが、完全版に収録された「ガッシュカフェ」にて共演。
ジリオン……続編「金色のガッシュ!!2」で登場した『カード』の1体。一応ネタバレのため詳細は伏せるが、ロデュウと似通った部分が多いキャラクター性をしている。