「『魔界の王』となること…」
「これのみが、オレたちの目標であるハズだ」
概要
ファンゴとは、漫画「金色のガッシュ!!」及びアニメ「金色のガッシュベル!!」におけるファウード編にて登場した魔物(他作品における同名のキャラクター等は曖昧さ回避記事のファンゴを参照)。
本の色はゼラニウム。
本の持ち主はアドラー(アドラーについては「本の持ち主」の項目を参照)。
原作においてはアリシエから「炎(フレイム)のファンゴ」と呼ばれており、その異名が示す通り、(アニメ版オリジナル魔物のグリサを除けば)今作において初めて登場した「炎を専門とする魔物」である(※)。
(※)ファンゴ登場以前にも炎の術を使う魔物は何体か登場していたが、
- バーゴ……公式ファンブック「金色のガッシュ!!まるかじりブック」にて「息」属性と解説されており、現に炎だけでなく「歯を飛ばす」「レーザーを放つ」という術も修得しているため、炎を専門としているわけではない。
- キクロプ、デモルト、ウマゴン……自身の専門とする属性ではなく、あくまで派生(属性付与)の一種としてエムル系を修得していただけ。
- ゾボロン、ゾフィス……確かに火炎を伴っている面もあるが、「炎」ではなく「爆発」属性であり、他作品における火属性キャラのように火や炎そのものを操るわけではない。
といった具合であり、原作において明確に「火属性/炎属性」と定義できる魔物はファンゴのみである。
人物像
容姿
まさしく「炎」を思わせるような、燃えるように逆立った赤色に近いオレンジ髪と、額や両腕に付いた日輪のような装飾品(紋章?)が特徴的。
瞳も橙色であり、その眼差しはやや鋭いながらも、どことなく主人公であるガッシュに似た真っ直ぐな光を宿しているようにも見える(デザインが似通っている点についての考察は「余談」の項目を参照)。
また、人型の魔物に共通した目の下のラインは、途中まで伸びた箇所から2つに枝分かれしているという独特なものとなっている。
人間換算年齢は不明なので、幼いか否かも不明だが、背丈は小さく頭がウォンレイの腰に届くかどうかくらい。
服装も赤・黄・オレンジといった暖色を基調としており、両腕に装着した厚めのアーマー(?)や、露わになっている胸元が特徴的。上半身の衣装がドラゴンボールの悟空の胴着に似ており、全体的に中華風に見えるという声も。
原作における「ゴデュファの契約」後の容姿については後述。
性格
一人称は「オレ」。
こちらも原作における「ゴデュファの契約」後の性格については後述。
原作において本来の性格が描写されたのは、第228話における回想シーンのみなので、人物像を正確に表すには判断材料が少ない面もある。
とはいえ、該当シーンを見る限りでは自身の考えをしっかりと持っており、リオウ陣営の中でも比較的冷静で芯のある人物という印象を受ける。
現に回想シーンでは、ウォンレイに対しても「リオウのファウード復活に力を貸したのは、復活後に力を奪って『王を決める戦い』を勝ち抜くため」「この考えには他の魔物もほぼ全員賛同しており、リオウを倒した後はファウードの争奪戦になる」と全て正直に明かした上で協力を仰いでいる。
事実、「魔界の王になる」という大きな野心はほぼ全ての魔物が当然のように抱くものなので、上記の「ファウード争奪戦」も決して利己的な作戦ではなく、その場の全員が平等に王を目指すための最善策であったと言える。
そのように真っ直ぐかつフェアな姿勢を見せたためか、後に「ゴデュファの契約」によって変貌してしまった言動を目の当たりにした際、リィエンは「あそこまで悪い奴じゃなかった」「仲間を平気で攻撃する奴じゃなかった」と零していたほど。
アニメ版141話においてジェデュンと共闘した際にも即席の連携を成功させ、チームワークを乱すような真似も一切しておらず、本来であれば協調性のある人物だったことが読み取れる。
このような描写から、読者からも「敵側の中ではかなりまともな考え方の持ち主だった」と好評価されることが多く、総じてファウード編まで勝ち残るに相応しい心身を備えていたのだろう。
尚、ネット上には「尊大な語調が多い」と書き込まれていることもあるが、どちらかといえば単に「自身の考えをしっかりと持っているが故に、堂々とした口調で話している」といった印象であり、「尊大」なわけではないと思われる(尊大とは「ひどく偉そうに人を見下した態度」といったネガティブな意味合いである)。
呪文
公式から術属性は発表されていないが、言うまでもなく「炎」属性で確定だろう。
作中で唯一「炎」を冠した異名が付けられている通り、非常に強力な炎の呪文を数多く有している強者。
前述の通り炎を「専門にしている」故か、あくまで「派生/属性付与」としての炎系である「エムル系」は一つも修得しておらず、「~ガデュウ」という固有の術名となっている。
術は自身の身体ではなく、自身の周囲に浮かぶ2つのリングから放つ。
このリングはアニメ版141話にて、「ファンゴの手の甲~手首辺りに付いているリングが、術を発動する際に分離する」物として描写されている(レイラのステッキやパムーンの星に近い物だと思われる)。
「ゴデュファの契約」を結んでいない状態(=本来の実力)での戦闘が描かれたアニメ版141話では、カルディオの冷気やウマゴンの炎で受け切れる程度の火力に留まっていたが、原作において「ゴデュファの契約」を結んだ後は全ての術の威力が大幅に強化。
ディオエムル・シュドルク状態のウマゴンが放つ炎を完全に上回るほどの炎を扱えるようになり、ザルチムと連携を取れていない状態でも単独でのゴリ押しで相手を苦戦させるほどの火力となった(※)。
(※)とはいえ、作中でもサンビームが「ウマゴンの力は炎だけではない、本来の力は速さ(スピード)なんでね」と述べているように、そもそもファンゴとウマゴンでは「最初から炎を専門にしているか否か」の差が大きいため、一概に優劣を比較できない面もある点は注意すべきである。
カービング・ガデュウ
2つのリングに炎を纏わせた上で回転させ、ビームのように収束した炎を発射する。
ウォル・ガデュン
2つのリングを横並びにし、数メートル以上もある巨大な壁のような炎を発射する。
オルディ・ガデュウ
4つの炎弾を放つ。
「オル系」であるため相手を追尾する性能を持つ(ファンゴが軌道を操作しているのか、術が自動で追尾するタイプなのかは不明)。
リオル・ガデュウガ
2つのリングを縦に並べ、それぞれから螺旋状に絡まったような炎を放射する。
術名は「両手(もしくは両方)から2発同時に発動する」を意味する「リ」と「軌道自在」の「オル」が合わさったものだと思われる(このような細かな系統の解説に関しては「術(金色のガッシュ!!)」の記事を参照)。
ファンゴ自身は「中級術」と述べているものの、ディオエムル・シュドルク状態のウマゴンが放った分厚い炎を容易く突き破るほどの威力を持つ。
ロンド・ガデュウ
2つのリングを一直線に並べ、炎の太いムチを放つ。
何気に珍しい「ロンド系」であり、作中においてロンド系を使用したのはファンゴとゾフィスのみ。
ディオ・ガデュウガ
2つのリングを縦に並べ、およそ10メートル以上はありそうな巨大な炎を放つ(演出的に判別が難しいが、おそらく炎弾だと思われる)。
作中ではウマゴンの速度によって回避されたが、仮にもディオ級でありサイズも相当なため、かなりの威力を秘めていたのは間違いないだろう。
ガデュウセン
2つのリングを重ね合わせ、菱形のような炎を発射する。
アルセム・ガデュウドン
「アドラー、オレ達の力を見せてやれえ!!」
「おぉお、焼き尽くせ!!」
ファンゴの最大呪文。
リングを空中で高速回転させ、超巨大な熱線もしくはビームのように収束した高密度の炎を発射する。
原作においては「ゴデュファの契約」によって威力が向上しており、リーヤのディゴウ・シルシオとディオエムル・シュドルク状態のウマゴンによる「剛炎の盾」、つまりディオ級相当の防御を苦も無く纏めて貫き、余波で10メートル以上もの業火が巻き上がるほどの凄まじい威力を誇る。
活躍
ファウード編にて初登場。
ファウードの封印を破壊するシーンから少しだけ登場しており、本格的な活躍が描かれたのは原作226~229話。
一応、「外伝 ナゾナゾ博士とキッドの光の旅」にてナゾナゾ博士が各地の魔物達に会いに行く際、ファンゴのようにも見えるシルエットの魔物が映っている(他の2体はテッドとエルザドルだと思われる)。
「ゴデュファの契約」を結ぶ前
前述の通り、ファウードを操る術を持つリオウに協力する魔物の一体として登場。ファウード復活後は力を奪おうと画策していた。
紆余曲折あってファウードは復活した際には、その強大な力を目の当たりにし、かつリオウがコントロールルームに瞬間移動していたため倒すことができず、機会が来るまで一時的にリオウの配下に加わる道を選んだ。
その後、ファウードの支配権がゼオンに移った後は、彼に言われる通りに「ゴデュファの契約」を結ぶ(※)。
(※)ファンゴ本人の口から理由が語られてはいないが、フォルゴレは「ゼオンを倒す力を得るためだった」と推測している。
「ゴデュファの契約」を結んだ後
しかし、契約によって自身の思考・価値観における最優先事項が「ファウード、及びファウードの主であるゼオンの命令」に書き換えられてしまい、皮肉にもゼオンに逆らうどころかゼオンの指示を忠実に実行する魔物へと変わってしまった。
思考・価値観以外の全体的な人格も歪められてしまい、持ち得ていたはずの真っ直ぐさやフェアな面(生真面目な面)も喪失。
後述のように、共闘するべきはずのザルチムにも平気で呪文をぶつけたり、アリシエと決着を着けようとするザルチムを何度も意図的に邪魔する等、ひたすらファウードの力に溺れ誇示する非道な面が目立つようになってしまった。
容姿に関しても若干の変更が加えられており、瞳のオレンジ部分が消えて黒白目となり、胸部~腹部にもインナー(?)を着用する等、全体的にややシャープなデザインとなった。
また、常に2つの大きなリングが周囲を浮遊している(前述のように、元々は手の甲~手首に付いていたリングが「ゴデュファの契約」によって独立・巨大化したのだと思われる)。
そしてファウードが日本に向けて侵攻を始めると、ゼオンの指示に従い、ザルチムと共にリーヤペア&ウマゴンペア達と交戦。
底上げされた圧倒的な火力で2組を追い詰めるが、チームプレーのかけらもない戦術が災いし、次第に形勢は逆転。
最後は最大呪文をウマゴンに破られた挙句、リーヤの最大術によって本を燃やされ、しかも自身は術への盾としてザルチムに利用されるという非常に不憫な結末となってしまった。
このように、本来であれば善良に近い性格を持ちながらも、残念ながら本来の性格をガッシュ陣営にほぼ知られないまま退場してしまった珍しい魔物でもある(とはいえ、リィエンの説明によって本来の性格については多少なり伝聞されているため、作品内外ともにファンゴを忌み嫌う者は少ないと思われる)。
総じてメタ的に言えば、(本人にとっては決して好ましくはないものの)「自身の存在によって『ゴデュファの契約』が如何に恐ろしいのかをガッシュ達や読者側へに伝える」ような役回りを担うキャラクターだったと言える。
本の持ち主
アドラー
金髪碧眼に黄色のスカーフ、細身のシルエットと、全体的に貴族を思わせるような雰囲気の青年。
ファンゴと同様、公式からプロフィールが公開されていないため、年齢やフルネーム等は一切不明(カードゲームに収録された際も、名前は「アドラー」のみ)。
CVは菊池正美氏。
原作においてはファンゴの性格が変わった後も特に動揺する様子を見せておらず、呪文以外の台詞がほぼ無いため、具体的にどのような人物かは不明。
アニメ版141話においては、術同士の相性の悪さとかつての因縁から足並みが揃わず連携が取れないウマゴンやカルディオを「コイツはいい。とんだ仲良しさんだ」「冷気を操るくせに、何を熱くなってる」等と煽る場面があり、お世辞にも善良な性格とはいえないような描写となっている。
余談
ガッシュの初期案(?)
一部のファンからは、「ファンゴはガッシュの初期案をオマージュして作られたキャラなのではないか?」と考察されている。
根拠としては、
- 原作1巻のオマケページには初期設定ラフ集が載せられており、ガッシュの初期案の中にはファンゴと似たようなビジュアルの案が見受けられる(文庫版や完全版の1巻ではなく、連載当時に少年サンデーコミックスとして発売されていた1巻なので注意)。
- 公式ファンブック「金色のガッシュ!!まるかじりブック」に収録されたボツネームでは、「ガッシュの口から出るのは電撃ではなく炎」と説明されている。
という2点が最も大きなものとなる。
とはいえ、現状ではあくまでファンの間で囁かれている噂話に留まり、作者の雷句先生が「初期案をオマージュしたもの」と明言しているわけではない(=公式設定ではない)ので注意。
その他
上述の通りガッシュとの関連性が考察されている他、アニメ版でファンゴの声を担当した吉田小南美氏は、主人公・ガッシュの担当声優である大谷育江氏の代役として、ファウード編の途中からガッシュの声を担当したという奇妙な縁もある。
また、本の色「ゼラニウム」とは花自体を由来とした名であり、一部の画材メーカーにて既存のセットの組み合わせに入っているスタンダードな赤色として扱われている。
ガッシュの赤と比較すると、ガッシュは「ビビッドトーン」であるのに対し、ファンゴは「ブライトトーンの赤」といったところである。
金色のガッシュ!!2にて(ネタバレ注意!)
現状では本人は未登場、かつ生死不明なものの、第13話の描写から他の魔物と同じように術を奪われていることが判明。
第13話にて、『カード』の一員であるポーラ王子&魔女が、ガッシュとの戦闘前に以下の術を使用した。
今作にて判明した術
ガデュウガ
今作で初登場となった新呪文。
とはいえ、現状では瓶を介して直接的に発動されたわけではないので、術の効果自体は不明。
もっとも、名称的に下級呪文かつ「~ガ系」であることはほぼ確定なので、リオル・ガデュウガで描写されたような「貫通・収束を伴う炎」を発射するような術だと思われる。
関連イラスト
関連タグ
ザルチム……原作版にて共闘(?)。
カルディオ……アニメ版にて戦闘。
ジェデュン……アニメ版にて共闘。