「何であれ、邪魔が入るってのは非常に腹が立つ」
「その前にこいつの封印を解き、この人間界もろとも、他の魔物を葬り去る」
概要
ファウード編における重要人物であり、同編における中ボスのような立ち位置を務める魔物。
CVは山本圭子氏。
本の持ち主はバニキス・ギーゴー(詳細は「本の持ち主」の項目を参照)。
公式からプロフィールが明かされていないため、人間換算年齢や好物等は不明。
「ファウードを管理する一族」の代表として参加した魔物であり、その立ち位置や活躍から、ファンの間では「ファウード編の仕掛け人」と表現されることも(あくまでファンの間での通称であり、作中や公式書籍で「ファウード編の仕掛け人」と表現されたことはないので注意)。
また、ファウードに関する専門知識だけでなく、いち個人としての実力も相応に高い強力な魔物である。
人物像
容姿
もっさりと生えた黄色い髪や、無数の牙が剥き出しになった腹部の口、スラリとした四本足が特徴的。
公式情報として明言されてはいないが、ほぼ間違いなくライオンやケンタウロスがデザインモチーフになっていると思われる。
他、「ファウードを管理する一族」たる証として額に「鍵たる石」を付けており、常に特殊な杖を手に持っている。
杖による呪術
この特殊な杖によって一族に伝わる特殊な呪術を使い、対象者に自力では立ち上がれないほど身体が衰弱していき、ファウードの封印を解かなければ最終的に命を落とすという文字通りの「呪い」をかけることができる。
これに関してはファウードありきで成立している魔術なので、詳細はファウードの記事を参照。
補足:腹部の口について
腹部の口は決して飾りではなく、術の発射口としての役割も持つ(手や口から術を出す魔物は多いものの、「顔ではない部分の口」から術を出すという珍しいパターンでもある)。
また、この口は内臓に繋がっているのではなく、中が特殊な空間になっているようで、体内にバニキスを収納するという独特な使い方も可能。
これに関連して、作者ブログ「雷句先生の今日このごろ。」にて「リオウの中からバニキスが出てきましたが、リオウの体内はどうなってるのですか?まさか四次元空間?」という質問に対し、雷句先生は、
「バニキスが一人、やっと入れるような空間があります。ちょっとした四次元空間の様な感じですが、狭いです」
「レベルが上がると六帖一間くらいになって、ベッドやテレビも置けるようになりますよ。バニキスはカプセルホテルのような空間で過ごしていたのですね」
と回答している。
ちなみに、この「異空間に本の持ち主を隔離できる」という性質から、実はキャンチョメのシン・ポルクに対して非常に相性が良い魔物の1体でもある(※)。
(※)バニキスが異空間にいる以上、バニキスの視覚・聴覚・触覚を全て自動で守れるため、キャンチョメ側は絶対に呪文を中断させられないため。
「リオウが戦闘開始時点からバニキスを体内に収納している」という条件下であれば圧倒的優位のまま戦えるので、これもシン・ポルクが「総合戦闘力」というより「相性」で優劣が決まる術である証かもしれない。
まさかの(?)ボツネタ
他、作中では四本足として描かれているものの、実は少年サンデーコミックス版の第23巻に収録されたオマケページにて、
「実はリオウは二本足なんです」
「後ろの足2本は実はバニキスの足で、普段はバニキスが上半身を前に倒し、リオウの腹部に顔を突っ込むような体勢で合体している」
というボツネタが明かされている。
もちろん、これはあくまで「ボツ」であると語られているため、混同しないよう注意していただきたい。
性格
まず表面的な性格としては、やはり悪役らしい非道かつ暴力的な面が目立っている。
石版編におけるゾフィスと似た立ち位置にいるだけあってか、ファウードを復活させて人間界で暴れ回る際に発生する甚大な被害を考慮していないような言動が多く、大勢の無関係な人間も平気で巻き込もうとした点はゾフィスと同じである。
一応は関係者である魔物や本の持ち主に関しても、リィエン・アリシエ・エリー・ニコルの4人には前述の「呪い」をかけて死ぬほどの苦しみを与えており、封印を壊す直前の「もし封印を破壊できなければお前らは死ぬぞ」という発言からも、本当に封印が壊せなかった場合に4人が死ぬことを割り切っていると読み取れる。
何よりも悪辣だったのは、原作のガッシュ戦において清麿を執拗に攻撃して殺害し、あまつさえ遺体の前で清麿や日本を「虫ケラの無駄死に」「こいつが暮らしていた国もさぞかしクソみてえなところなんだろうよ」と罵倒し嘲笑ったことだろう。
これに関しては、フェインやマルスといった敵対した相手が悪辣な言動をしても毅然と戦ってきたガッシュですら、バオウを覚醒させるほどの凄まじい怒りを覚えて飛び掛かるほどの所業であり、ゾフィスに匹敵するほどの邪悪な人物として描かれている。
鬱屈してしまった心
……と、ここまでの解説だけ読むと「リオウは邪悪だ、ゲスだ」といった印象にしかならないが、実際のところはそう言い切れず、リオウのバックボーンを読み取って考えると決して「根っからの外道・悪人」ではないと言えてしまう複雑なキャラクター性をしている。
なぜなら、原作218話の回想シーンにて「リオウは一族からファウード、及び『ファウードさえあれば必ず王になれる』という願いを託された上で戦いに参加していた」ことが明かされているため、作中での言動は一族からの過剰な期待を背負い、「どんな手を使ってでも必ず王になる」という強迫めいた責任感を自身に課してしまったが故の行動であると解釈できる。
現にリオウの様子を振り返ってみると、
- 冷静な指示を出しているシーンも多いものの、高慢かつ挑発的に相手を罵るようなシーンも多く、全体的にどこかイライラしっぱなしになっているような描かれ方をされている。
- リオウの台詞はほぼ全てがファウードに関する内容となっており、他愛もない会話や冗談の類を口に出しているシーンが皆無である。
- ファウードの封印破壊に成功した時には余程嬉しかったのか、ゼオンに真後ろで髪の毛を掴まれていることに気付かず瞬間移動してしまい、結果的にゼオンをコントロールルームへ入れてしまうという最大のミスを犯す(もちろん、これに関してはゼオンの魔力隠蔽能力が桁違いに優れていたというのも大きいが)。
……等、どことなく感情的になりがちだったり、常に神経を張り詰めていたことが窺えるような描き方が一貫されている。
そもそもとして、「ファウードを復活させて魔界の王」になるという使命に関しても、
- ファウードは戦いが始まってすぐに送られてくるわけではないので、残りの魔物が少なくなる時期まで何としてでも生き残らなければならない(生き残らなければというプレッシャーが余計に膨らませられた状態が続く)。
- 無事にファウードが送られてきた後も、封印はリオウ単独で破壊できるものではないため、ディオガ級相当の術を持つ魔物を10人以上も仲間に加えなければならない。
- しかも「王を決める戦い」のルール上、「互いに信頼関係を築くのが難しい」「成長前に実力者と接敵すれば伸びしろのある魔物でも敗退となってしまいかねない」という下地ができあがってしまっているので、そのような状況下で「ディオガ級相当の術を使える魔物を10人以上見つけ出し、かつ説得してファウードまで案内する」という準備段階が既に相当な難易度である。
- もちろん、自身の実力も高くなければ他の強者達を引き込めない可能性もあるし、封印を壊す際にリオウが役立たずではメンツもたたない。なので、「ファウードや他の魔物の勧誘に気を遣いつつ鍛錬も怠ってはならない」という休み無しの状況に身を置き続けなければならない。
- そうして集めた同士達も(ザルチム以外は)あくまで「利害の一致」で集まっているだけであり、情報を提供し過ぎれば他の魔物達から「用済み」として追い払われかねず、下手にバニキスを外に出せば本を燃やされてしまう等、常に神経を張り詰める状況で指揮を取らなければならない。
- 最終手段である「呪い」に関してもノーリスクではなく、リオウ本人も相応な代償が返ってくるものであり、それほど危険な呪いを計4回も行使しなければならなかった。
- 具体的な苦しみの程は不明だが、もしリィエンやエリー達と同等の苦しみなら「大量に発汗し、自分の足では立てないほどに衰弱する」苦しみに4度も耐えなければならなかったということになる。
……と、非常に心労が貯まるものとなっており、「常にストレスを抱えている」リオウのキャラクター性は気苦労の絶えないバックボーンを反映して意図的に描かれていたと読み取れる。
もちろん、だからといって作中での所業(特に清麿殺害)を全面的に擁護できるわけではないものの、「多大なストレスを抱えていない状態のリオウであればあそこまで残虐な行為はしなかったのでは?」等、「行動」ではなく「人間性」の方を多少なり擁護するようなファンもいる。
このような表現は好ましくないかもしれないが、最近の言葉で端的に表すならば「病んでいた」ような状態に近く、責任感や使命感が非常に強いことの裏返しだったとも言える。
唯一の救いになれたザルチム
ここまで述べてきたように、本編では一人で抱えきれないストレスによって性格を歪めてしまったものの、もしザルチムと交流を深めていれば多少なり心が和らぐ可能性があったのでは?とファンから惜しまれてもいる。
リオウ彼に従っていた魔物はあくまでファウードの力を狙うか、「呪い」により心ならずも協力していたかに過ぎないが、唯一ザルチムだけはリオウに純粋に協力してくれていたことが明かされている(詳細はザルチムの記事を参照)。
リオウも登場シーンのほとんどでザルチムと隣り合っているため、ザルチムを側近役に置き、作戦を共有するなど他の魔物達とは異なる信頼を向けていたようである。
実力
前述のように、ファウード編に登場した魔物の中でも充分に上位といえる実力を持つ強者。
一部のファンからは、ゼオン戦での印象だけで「弱い」という過小評価をされてしまうこともあるが、それは比較対象が悪過ぎるだけであり、リオウ当人が決して「弱キャラ」なわけではない(※)。
(※)他のあらゆる漫画・アニメ・ゲーム作品にも共通することだが、「作中で戦った相手が強すぎるため相対的に弱く見えてしまっている」ことと「客観的に見ても当人の実力がまるで伴っていない」ことは全くの別問題である。
現に、作中の描写からも優れた身体能力や判断力を有しており、特に術に関しては並の魔物を裕に凌ぐほどの強力な呪文を複数修得していることが読み取れる。
術以外の基礎スペック
術に頼らない自力を幾つか挙げていくと、
- 清麿とはファウード復活まで一度も対面したことがなかったにもかかわらず、ガッシュ陣営の様子を暫く見ただけで「清麿が知将」だと気付けるほどの観察力。
- 清麿が指揮官であると即座に見抜いただけでなく、ガッシュ陣営の動き方が短期決戦を想定したものだとも勘付き、すぐさまファウードを制止させて内部調査を始めようとする判断力。
- まだバオウ覚醒前の性能とはいえ、ラウザルク状態のガッシュと肉体強化呪文抜きでも押し合えるほどの筋力。
- 自身もザグルゼムを被弾した状態かつ無防備な瞬間に、ザグルゼムで2段階強化したバオウ・ザケルガが直撃しても倒れないほどの肉体強度。
- つまり、実質的にはザグルゼム3段階分の強化バオウを肉体強化抜きで耐えているも同義である。
- 比較として、同じくファウード編の中でも強者であるキースですら(それまでに受けたダメージも蓄積していただろうとはいえ)ザグルゼムを1つだけ被弾した状態で通常のバオウをくらっただけでも戦闘続行が厳しくなるほどのダメージを負っているため、逆説的にリオウの耐久力が非常に高いのだと解釈できる。
等、他の魔物と比べても充分に優れた身体能力や思考力を発揮している。
他、下手に倒してしまえばファウードの情報を聞き出せないリスクがあっただろうとはいえ、ファンゴやロデュウといった実力者達が誰一人として単独でリオウを倒そうとせず、「一人一人では勝てないから手を組んでリオウを撃退した後、ファウードを手にいれる」という考えを共有した上で動いていたことも、リオウが並の相手ではなかったことの証だろう。
現に「単独でリオウに勝てるか否か」を「中堅キャラと強キャラとの境目・判断基準」にしているファンもおり、そのような印象を持たれている面からもボスキャラを務めるに相応しい実力を持っていたのは確かだと言える。
強力な術の数々
また、詳細は「術」の項目で解説するが、修得している術の面から見てもかなりの強キャラとして描かれている。
簡潔に触れていくと、
- 作中で使用した術は計11種もあり、これは作中に登場した全魔物の中でもトップ5という目覚ましい数である。
- ちなみに1位はブラゴの19、2位はクリアの16、3位はガッシュの14、4位はウォンレイの12となっている(決戦時の「金色の本」によって使用できた術は「本人が使用した」扱いにはならないのでカウントしていない)。
- ただ数が多いだけでなく、ディオガ級相当のオウ系に加え、ゴウ級・ギガノ級といった中級呪文も完備。更に、デモルト以外に使用者がいなかった稀少な「禁呪」(バルスルク系)をも修得している。
- デモルトは千年前の魔物なので、現代の「王を決める戦い」に参加している魔物の中でバルスルク系を修得しているのはリオウただ1人である。
- 等級を冠していない術も全体的に強力であり、特にグルガ・ドルファノンとアーガス・ファノンは並の中級呪文を軽く上回るような性能を持っていることが描写されている(それぞれの解説は「術」の項目にて)。
- オウ系のファノン・リオウ・ディオウに関しては、なんとザグルゼムで2段階強化されたバオウ3体を一度に相殺できるほどの威力を持っており、明確にディオガ級複数相当であることが描写された術となっている(ファンの間での通称は「超ディオガ級」等)。
といった具合であり、術のラインナップから考えてもファウード編時点では上位に位置していたのは間違いない。
術
公式から術属性が明かされていないため、公式情報としての表記は不明。
公式ファンブック「金色のガッシュ!!まるかじりブック」及び「金色のガッシュ!!まるかじりブック2」までに明かされた属性の中にもピタリと当てはまりそうなものが無いため、おそらく他の魔物と被らないオリジナルの属性である可能性が高い。
リオウ当人がライオンやケンタウロスをモデルに描かれていると思われる点や、術で召喚される魔獣のビジュアルを考慮した場合、「獣」や「獅子」属性なのではないか?とファンから考察されている。
ファノン
腹部の口を開け、先端が丸い目と牙を模したようなエネルギー弾を放つ。
ファノン・ドロン
腹部の口を開け、たてがみがモッサリと生えた獅子の頭部を召喚する。
おそらく「ロン系」(=伸縮自在の性質)の一種であるためか、作中では直接的な攻撃ではなく、たてがみを使って清麿を絡め取るという応用を見せた。
ガルファノン
腹部の口を開け、牙を剥き出しにしたまま高速回転する獣を放つ。
シンプルなガル系なのだが大き目のサイズとなっており、清麿がザグルゼム1発+ザケルガで相殺しているため、並の初級呪文を超えた威力だと思われる。
ゴウファノン
腹部の口を開け、全身が角もしくは棘に覆われたような獣を勢いよく放つ(この獣のみ、「獅子」というより「二本腕のある怪物」のような見た目となっている)。
不意打ち気味かつ至近距離から放ったとはいえ、ラウザルク状態のガッシュを一撃で吹き飛ばすほどの威力。
グルガ・ドルファノン
腹部の口を開け、獣の目や牙が付いた細長いドリルを放つ。
作中では一度しか使用されていないものの、何気にリオウが使う術の中でも相当な威力を誇っており、ラシルドをザグルゼムで2段階強化しなければ跳ね返せないほど。
ドル系は防御呪文を破壊する描写が多いとはいえ、原作192話にてキースのギガノ・ギニスを跳ね返す際にはラシルド+ザグルゼム1段階分の強化で済んでいるため、単純に比較した場合であればグルガ・ドルファノンは並のギガノ級を超えた威力ということになる。
アーガス・ファノン
リオウの周囲から無数の牙が生え、同時に出現した獣の頭部と共に自身を飲み込むように防御する。
この術も一度しか使用されていないものの、他の魔物が使う防御呪文と比較しても凄まじい強度を誇っており、ザグルゼムで2段階強化されたラシルドによって跳ね返ってきたグルガ・ドルファノンを無傷で防ぐほど(単純な描写上であれば確実にディオ級相当の防御力を誇るという演出になる)。
作中で「アーガス系」を使用したのはレインとリオウの2名のみである点も踏まえると、やはり「~シルド系」よりも強めに設定されているのだろうか?
バーガス・ファーロン
腹部の牙を一斉に勢いよく伸ばし、四方八方から攻撃するという「ロン系」らしい術。
リオウの意志で牙の動きを自在に操作することも可能。
ウイガル・ファノン
腹部の口を開け、強烈な風圧を放って相手を押し潰す。
よくある誤解
一部のファンからは、ウイガル・ファノンがブラゴの術のように「重力を放つ」術だと見なされていることもあるが、それは誤解なので注意。
現に作中内外の情報としても、
- 「ウイガル」が風属性の術であることは、フェインやザバスの術を見れば明らかである(2体とも公式ファンブック「金色のガッシュ!!まるかじりブック」でも「風属性」と明記されている)。
- ウイガル・ファノンがカードゲームに収録された際のフレーバーテキストでも「円状の範囲に、地面がへこむほどの衝撃を与える」と解説されている。
といった点を擦り合わせて考えると、「重力」ではなく「地面が凹むほどの強烈な風圧」と解釈する方が自然だと思われる。
ギガノ・ファノン
腹部の口を開け、巨大な獅子の頭部を放つ。
ファノン・リオウ・ディオウ
リオウの最大呪文であり、作中でも希少なオウ系呪文の1つ(オウ系についての解説は「術(金色のガッシュ!!)」の記事を参照)。
また、術名に使用者の名前が含まれているという珍しいパターンでもある(術名についての詳細は後述)。
腹部の口を開け、頭部それぞれが分厚いたてがみを靡かせ、無数の牙を備えた三つ首の獣を放つ。
クリア編でシン級が登場した現在こそ一部のファンから過小評価されているが、実はファウード編で登場した術の中でもトップクラスの性能を誇っており、現にガッシュ戦ではザグルゼム2段階分の強化を経たバオウ・ザケルガ3体を一度に相殺できるほどの強さを見せた(※)。
(※)補足しておくと、リオウ戦での分裂バオウは「分岐開始地点で1段階目の強化→別れた先の4箇所でそれぞれが2段階目の強化→そのまま集合地点であるリオウへ向かう」という流れなので、ファノン・リオウ・ディオウで相殺したバオウは3体とも2段階強化である。
ザグルゼム2段階分の強化バオウはディオガ級相当が確定なので、ファノン・リオウ・ディオウはディオガ級呪文を3発相殺できるほどの威力と射程範囲を持つという意味になり、ほとんどの魔物にとってシンプルなディオガ級が最大呪文であったファウード編においては頭一つ抜けた強さを持っていたと評価できる。
現に、リオウが傘下にした魔物の中でファノン・リオウ・ディオウに真っ向から対抗できる可能性があったのはアースのみ(※)なので、リオウが強者達を勧誘・命令するに相応しい力を持っていた証だろう。
(※)アースに関しては、作者ブログ「雷句誠の今日このごろ。」にて「ゴーム戦でのヴァルセレ・オズ・マール・ソルドンはディオガ級×3~4もの威力があった」と、ディオガ級複数相当の火力を出せることが明言されているため。
術名について
前述した通り、術名に使用者の名前(リオウ)が含まれているため、オウ系の中で唯一、術名の中に「~オウ」の部分が2箇所あるという特殊なパターンのようにも見える。
とはいえ、これに関しては「リオウ」の部分が「~オウ系」としての部分、「ディオウ」は特別な等級としての部分と見なすことができると考えられる。
順番に考えた場合、
- 1:まず「~オウ系」に関しては、作者ブログ「雷句誠の今日このごろ。」にて「その魔物の持つ特別な才能が異形の形をとる感じ。普通の時はディオガ級と同等の力」と解説されている。
- 2:上と関連して、2012年2月にTwitterでファンから「ファノン・リオウ・ディオウにはリオウの名前が入っていますよね。リオウの名前は呪文から取られたということなのでしょうか?」という質問が届いた際、作者の雷句先生は「そんなに意味はないですよ。ただ、ファノン・リオウ・ディオウはリオウの種族を形取った感じなので、そのような名前にしました」と回答している。
- 3:同じくファウード編でカルディオが「ディオウ・ギゴリオ・ギドルク」という上級呪文を使用しており、そちらも間違いなくディオ級より上位、というかディオガ級に達している。
等の点から、
- ファノン:リオウの術属性(固有名詞)を示す部分。
- リオウ:「~オウ系」としての部分、つまり系統を示す語。
- ディオウ:カルディオの「ディオウ・ギゴリオ・ギドルク」と同じく、おそらくディオガ級相当を示す特別な等級。
……と分解できるだろう。
ギルファドム・バルスルク
作中で「禁呪」と呼ばれている危険な術であり、デモルトが使用したギルガドム・バルスルクと合わせて2種しか判明していない希少なバルスルク系。
術の発動後、リオウが奇声を上げながら巨大化し、全身が分厚い毛で覆われた二本足の巨獣へと変貌する(一時的に全身の鎧も消失し、腕や足も剥き出しの禍々しい状態となる)。
作中では一度しか使用されなかったものの、バニキスが「狂戦士(バーサーカー)状態」「獰猛で力も10倍近く上がっている」と表現しているため、やはりデモルトのバルスルク系と同じような強化幅とリスクを併せ持っていると考えられる。
本の持ち主
バニキス・ギーゴー
背中まで届くほどの長髪や角ばった顎、膝下まで届くロングコートが特徴的な男性。
CVは滝知史氏。
公式からプロフィールが明かされていないため、年齢や国籍等は不明。
フルネームはカードゲーム版で確認可能。
登場回数が少ないので正確な人物像は不明だが、リオウと共に清麿を「ムカツクタイプ」と評したり、戦闘の中でも無防備かつ既に重傷を負っている清麿に対して術を連発し、死んでしまうほどの大量出血をしてもなお執拗に攻撃する等、見方によってはゾフィスやヴァイルをも超えるほどの極悪人として描かれている。
というか、「戦闘として互いに傷付け合う」延長線上として相手に重傷を負わせた魔物や本の持ち主は多いものの、無抵抗かつ大量に血を流している人間を「殺す」ために笑いながら攻撃し続けたのはバニキスのみであり、ガッシュ戦の描写をストレートに受け取った場合は相当な危険人物であると言わざるを得ない。
一応、原作218話の回想シーンではリオウを本気で心配する様子も描かれているので、全く情の無い人物というわけではないようだが……。
バニキスもリオウのように何かしらのストレスで心が歪んでいた、あるいはリオウとは「悪友」のような形でウマが合っていたのだろうか?
活躍
初登場は原作183話。
前述の通り、「ファウードを管理する一族」の代表として参加しており、魔界から転送されてきたファウードの復活を第一に考えて行動を開始する。
まず前提として、ファウードの封印はディオガ級の術を12発は同時に打ち込まなければ壊せないほどの凄まじい強度だったため、「ファウードの強大な力=活用すれば必ず王になれるほどの軍事力」を餌に各地の強力な魔物を勧誘し、ディオガ級の術を使える実力者達を傘下に引き入れていく(なぜファウード編時点ではディオガ級を修得していなかったパピプリオも仲間にしたのかは不明)。
それでもディオガ級の術を持つ魔物の数が足りないため、自身の身に相応の代償が及ぶことを覚悟で「呪い」を行使。
結果的にアリシエ・リィエン・エリー・ニコルの計4人に呪いをかけ、彼らとパートナーの魔物達を(事実上の脅迫に近い形で)ファウードへ集合させた。
そうして実力者が揃った後は封印を壊す日を待つばかりだったが、ゼオンが裏でガッシュ達に情報を流していたため、ファウード復活まであと2日というタイミングでガッシュ陣営がファウードへ乗り込んできてしまう。
撃退のためにキースとブザライを向かわせるも、逆にブザライが魔界へ帰されてしまうというアクシデントが発生し、苛立ちを募らせるリオウ(更に言えば、アースを迎えに行ったホーガンも魔界に帰されている)。
続いてザルチム&ウォンレイを向かわせてティオやキャンチョメ達を捕えるも、最終的には「封印を壊せるガッシュが辿り着いてくれれば目的は達成できる」と判断したのか、特に追撃はせずに事態を静観していた。
そうして封印を破壊する夜明けになり、全員でディオガ級を一斉に放つ。
読み通りにガッシュとアースが間に合ったことで破壊に成功し、すかさずリオウは「鍵たる石」の瞬間移動でコントロールルームへ移動。
ファウードを復活させた後にキース達が謀反を行うのは折り込み済みだったので、「ファウードは鍵たる石を持つ存在=自分にしか動かせない」という情報は口外していなかったのだ。
続けてファウードの「主砲」を放ち、圧倒的な力を知らしめたことでロデュウ達を再び手下に引き入れた。
従わなかったガッシュ達にはファウードの力を容赦なく振るうものの、「ファウードをケルマディック海溝に瞬間移動させ、海の底に沈めて転送装置が起動するまでの時間を稼ぐ」という大胆な作戦はさすがに予想しきれず、ファウードもろとも海の底へ沈まされてしまう。
……と思ったのだが、意外にもファウードは軽快に泳ぎ回ることができたため、溺れることはなく即座に復活。
この一件で清麿に対して個人的な敵意を燃やしたリオウは、ファウードを日本へ向かわせると宣言。当然ながらガッシュ陣営も日本侵攻を止めるため、ファウードへ再潜入することに。
そして口から潜入してきた一同からガッシュと清麿を隔離し、「ファウードを魔界に返す装置」のロックを解除させるために交戦。
「ファウードの栄養液」によって大きなアドバンテージを得ていた面もあるが、身体能力と術の威力の両面でガッシュペアを圧倒。
正面から戦っても勝てないほどの実力差を感じたのか、清麿は「自分の身を犠牲にしてでもザグルゼムを必要箇所に当てていく」作戦を実行すると決断。
リオウとバニキスも容赦なく攻撃を続け、清麿を死亡させただけでなく、命を賭して放った分裂バオウをも相殺&耐え抜くという絶望をガッシュに突き付けた。
そのまま本を燃やそうとするも、清麿を殺されたという凄まじい怒りによりバオウが覚醒。その影響で怒りに飲まれたガッシュの異常さに怯んでいる内に、壁を壊してウォンレイ達も駆け付けてきたため、さすがに分が悪いと判断しコントロールルームへ撤退。
その後は暫くファウードの栄養液に浸かり、強化バオウで負わされた傷を完治させたリオウ。
後はファウードを魔界に返す装置を解除さえすれば、最早リオウが王になるのは決定的と思われた。
……のだが、何の気なしにコントロールルームに戻ってみると、そこにはなんと「紫電の雷帝」たるゼオンが佇んでいた。
ザルチムですら何か得体の知れない嫌な予感は抱いていたものの、存在を完全には感知できなかった強者の登場に驚かされるのも束の間、「鍵たる石」をかけて戦闘になってしまう。
リオウもバニキスも充分な回復はしていたものの、さすがに作中最強クラスの実力者であるゼオンでは相手が悪い……というか悪過ぎたため、身体面でも術の威力でも完全に凌駕されてしまい、ガッシュ戦では使わなかった「禁呪」すら「(素の肉弾戦と)中級呪文一発で十分」と普通なら有り得ないほどの格闘能力と術で容易に対処されてしまう。
それでも「自身は一族の代表として全てを託されていること」や「ファウード復活までに何度も心身の痛みに耐えてきたこと」を思い出し、全身が黒焦げになりながらも最後まで抗い続けるリオウ。
だが、最後に放った渾身のファノン・リオウ・ディオウでさえもジャウロ・ザケルガによって容易く破られ、ゼオンには多少の傷を負わせることもできずに完敗。
「鍵たる石」を奪われた後には「ファウードは人間界に捨てればよい」「ファウードを魔界に帰す装置は破壊する」と一族の誇りすら汚されるような言葉をぶつけられ、屈辱も晴れぬまま本を燃やされて魔界へ帰っていった。
……と、本編では努力の報われない悲惨な退場となってしまったものの、原作最終回の集合写真ではザルチムの隣に立ち、本編のリオウからは想像できないような爽やかな表情を浮かべ、ウインクをしている姿が描かれている(ちなみに「鍵たる石」は本編で壊れてしまったため、額には付けていない)。
この描写に関しては、ファンからも「ザルチムとの友情に気が付いた、あるいは王になるという過剰な責任感から解放されたから、もしくはその両方」であるが故の笑顔と好意的に解釈されている(他にも「このような表情ができるのが本来のリオウ」という声も)。
金色のガッシュ!!2にて(ネタバレ注意!)
本人が登場したわけではないものの、第1話冒頭で転送装置を目の当たりにした際、ワイグとギルが「これが何の装置か聞き出せ」「吐かせるけどな」と話しているため、リオウは本編開始時点で既に『カード』陣営に拉致・監禁されてしまっている可能性が高い。
第20話時点でも再登場していないため、現在の状態は不明なまま。
また、第18話では『カード』の1体であるジリオンがブラゴと戦った際、瓶によってリオウのギルファドム・バルスルクを使用した。
関連タグ
ファウード……己の全てを注いだ、注ぐしかなかった兵器。
ザルチム……最後まで互いの想いに気付くことはなかったものの、ファウードへ集まった魔物の中では唯一、リオウを「ビジネスパートナー」ではなく「友達」として見てくれていた魔物。
ゼオン・ベル……本編では互いに知る由もなかったが、「親族の接し方が原因で性格に歪みが生じてしまい、作中では高圧的な言動が目立つ状態になってしまっていた」という意外にも似通ったバックボーンを秘めている。
アース……アニメ版では「大昔にファウードに封印を施した一族」というオリジナル設定が追加されており、アニメ版146話ではアースとリオウが一騎打ちするというアニオリ展開も描かれている。
ロデュウ……こちらも「単なる悪役」という一言では説明できない多彩な面を持つヒール役。
ジェデュン……同じく「本の持ち主を体内に収納できる」魔物。
シェリー・ベルモンド……同じく少年サンデーコミックス版第23巻でボツネタが明かされたキャラクター(シェリー側のボツネタは「シェリー・ベルモンド」の記事を参照)。