概要
マンガ「ダンジョン飯」に存在する悪魔とは、舞台となっている世界の次元とは違う次元に存在する生命体である。
明言はされていないが、描写されている状況から察するに、おそらくは基本的に不死の存在。
作品世界に存在するダンジョンを作り出した元凶であり、物語における諸悪の根源とも言える存在。そして現在のところは、迷宮の製作を主な活動内容にしている。
「悪魔」にとって迷宮とは、自身を閉じ込める檻であると同時に、様々な欲望を持った人間を呼び寄せ、自分の力を取り戻すためのゆりかごでもある。
その中でも特に強い(個性的な)欲望を持つ者を「迷宮の主」として、彼らの望みを叶えていくことで自分自身の力を取り戻していく傍ら、「迷宮の主」の欲望を育てていく。
そうして、「迷宮の主」の欲望が爛熟したところで「迷宮の主」の欲望を食らい、新たな「迷宮の主」と共に迷宮を育てていく。
以上が基本的な活動内容である。
確認されている悪魔
正確には全て同一の意思(個体)であり、時代や人々の願いに応じてカタチを変えていったに過ぎない。
世界各地に存在する人造迷宮にも全て悪魔が潜んでいるが、それらも上記の「巨大な個」の触手のようなものであり、元を辿れば同一の存在である。
- 山羊の悪魔(仮)
かつてミスルンを迷宮の主に仕立て上げた姿。曰くミスルンは「私の熱心なファン」とのこと。
11巻の表紙のメインであり、ハニーディッパーと思われるものを咥えている。
翼を持ったライオンで、劇中における姿。
現在は狂乱の魔術師を迷宮の主として契約している。
詳細
発祥は、ダンジョン飯世界の古代。
異次元を通じて無限の魔力を引き出すことができるという理論の元、かつて古代人は無限が存在する異次元と門を繋げることに成功し、無限の力を取り出したが、その異界に満ちる魔力そのものこそが「悪魔」の起源にして正体である。
元々は単なるエネルギーとして、世界を漂う塵のような存在であったが、生物に食われ取り込まれることで成長・増殖していき、更に強力な現象=魔法を起こすことによって、人間は様々な願いを叶えることができた。
やがてそんな人間達に影響されて、自らも生物の「欲」を食うという朧げな興味・指向性が芽生え、試してみた味は凄まじく美味であり、その衝撃によって魔力は明確な自我を持つようになった。
そして魔力を見つけた古代人により魔術が確立されてゆき、魔力も人の願いを叶えて食いやすくするため「悪魔」というカタチを取るようになり、古代人に神のように崇められた。
しかし、それと同時に欲望を食われた生物は「その願望自体」を失い、食われた欲望の内容次第では「生きるという欲求」すら失って、飢えや渇きも放置する様になり衰弱死してしまう。
悪魔自身もそれを理解し、「食べてしまったモノは二度と味わえない」という摂理には自身すら抗えない事実を残念がりつつ、代わりの欲望を捧げてくる人間はごまんといると前向きに考える事にした。
そんな危険性に気づき恐れた古代人は、悪魔が地上に進出しないように迷宮を作って閉じ込めたが、悪魔にとっては食事をする場所が固定されただけのことであり、然程問題でもなかった為、迷宮に誘き寄せた人間の願いを叶えては欲望を喰うというサイクルを繰り返し続けた(一応、いつか地上へ返り咲くチャンスを狙いつつ)。
そんなあるとき、主となった人間の「世界を滅ぼしたい」という願いを叶えてしまう。つまり、古代世界を滅ぼしたのは悪魔の目的などではなく、人間の破滅願望であった。
悪魔はここに至って、考えなしに欲望を叶えたせいでこれ以上欲を食えなくなったことに絶望・後悔するが、わずかに生き残った人間を見つけて安堵。
今度は滅ぼさないよう慎重に付き合ってゆき、最終的に自分自身の願いである「永遠に続く食卓」を実現するために。
能力・嗜好
存在自体が無限の魔力であるため、様々な超常能力や現象を引き起こすことが可能。「死」という概念も存在しない為、本質的には決して人間にどうこうできる存在ではない。
それらのコントロールは、欲望の元である人間達に依存するが、逆に言えば世界征服や人類滅亡と言った大スケールの結果さえ、指向性さえ与えられれば瞬時に実現する事が可能。加えてそれすらダンジョンに封印されることで加えられた制限に過ぎない。
そんな「悪魔」が唯一自由にできないものが、「食事」である。
唯一にして最大の楽しみである「ヒトの欲望」は、それが個性的であればあるほどご馳走であるようで、物欲や金銭欲と言った万人が持ち得るような欲望は「食い飽きた味」としてあまり好まない。
特に高い志や崇高な理想と言った欲望は悪魔にとって極上の美味であり、逆に世界征服や人類滅亡と言った行いは自らの食い扶持を捨てるに等しい所行であるため、むしろ忌避している節がある。
なお上記のことから分かるように、本作の悪魔は
- 迷いや義務感のある願いは却下できるが、心からの願いは不都合であろうと拒否出来ない
- 叶えた願いがどういう結果をもたらすかは、人間同様想像で予想するしかない
と言う二つの致命的な弱点を有している。