概要
一般には「生物の遺伝構造を改良する事で人類の進歩を促そうとする科学的社会改良運動」とされている。
が、その思想は、身体などに障害を持つ人たち、あるいは犯罪者、またそこまでの事はなくとも社会との軋轢や問題を抱えている人々を、隔離あるいは(過剰に)管理し時に意図的に死へと追いやる様々な人権侵害(ひいては人道に対する罪)に繋がった。
20世紀初頭に大きな注目を集め、ナチス政権による人種政策はその最たるものとされる。
ナチスが関与し、その内容が倫理的にかなり危ないものであったことや、そもそも人間の優劣を定義することなど出来ないことが判明した事から優生学はタブーとされ、各国で福祉政策の一つとして取り入れられていた優生学的施策も20世紀末までに全廃された。
とは言え、戦後の戦犯裁判でナチス関係者が「俺達の人種政策はアメリカの優生学的な法律を参考にしていたんだ。俺達がやった事が悪だった場合こそ、アメリカも罰せられないとおかしいだろう」と発言したりなど、戦後かなり立ってから価値観が逆転し、有色人種や身体障害者・発達障害者などへの偏見が無くなりはしないにせよ異常なものと見做される時期まで、アメリカの一部の州などにも、その手の完全にマズい、現代的な観点からするとどう考えてもホラー案件の法律が残っていたのも事実である。
日本における優生学的政策
1940年に国民優生法が公布された。この法律では遺伝性精神病などを患った人は本人の意思に関わらず避妊手術を受ける事などが定められ、1941年から1947年までにこの法による断種手術が538件行われた。
1948年以降は遺伝性精神疾患の他にハンセン病がこの法の対象とされており、現在でも各地のハンセン病療養所にはホルマリン漬けの胎児が残されている。
1996年に優生保護法は廃止され、母体保護法へと移行された。現在では中絶・不妊に関わる手術は本人と配偶者の同意によって決定される。
関連タグ
腐ったミカン/腐ったミカンの方程式:優性学の初期段階における具体例と見られる場合もある。
信用スコア:優生学の復活に繋がる危険を孕んでいる。