「子供はこの国の宝です!安全に歩けるようつまずくような石を拾うのが我々大人の役目です」
「知恵と工夫ができない子供が増えたら―――こりゃビジネスになる」
演:堤真一
概要
漫画「ザ・ファブル」に登場するキャラクター。本名は「川平浩一(カワヒラコウイチ)」。
大平興信所の経営者にして、NPO団体代表。
人当たりの良い好人物で、子供好きでもある中年男性。子供のために危険箇所の是正や撤去に取り組むほどだが、あくまでそれは表向きであり、本性はとてつもなく残虐で狡猾な悪党。詐欺や脅迫、誘拐、殺人も平気で行い、特に金持ちの親を持つ成人した子供をターゲットに、弱みを握ってからその親から金を巻き上げ、殺害後は失踪したかのように細工し、その親から調査依頼を受けるとさらに高額の調査料を巻き上げるという「ニワトリビジネス」を確立させている。
その正体
実は本編開始の4年前、ファブルこと佐藤明が唯一殺し損ねた男でもある。
家出少女をターゲットにした売春組織の幹部として活動していた頃、仲間を全員殺された。その中にいた「川平健二(カワヒラケンジ)」という男。その男こそが宇津帆こと川平浩一の実の弟で、明が殺し損ねたのがこの兄である男・川平浩一だった。
その後浩一は宇津帆と名乗り身分を隠し、1年後には健二に誘拐されそうになったところをファブルに助けられた車椅子の少女・佐羽ヒナコを引き取り、ファブルへの復讐心を燃やしながら現在の状況を築き上げ、さらにファブルを探るべく殺し屋の鈴木ヒロシ、真黒組の元組員・井崎ツトムを雇った。
対決の時とその末路
佐藤兄妹との決闘の際は大勢の手下を使い明を倒そうとしたり、鈴木に洋子を捕らえさせたりと作戦を進めた。そしてヒナコに「予行練習としてアイツ(洋子)を撃て」と命令したが……
ヒナコが撃ったのは宇津帆だった。
だが宇津帆は防弾チョッキを着ていたので無傷で済んだが、ヒナコが宇津帆を撃った理由が「私の両親を殺したから」だった。決闘の前日、宇津帆はヒナコに「お前の両親はファブルに殺された」と告げたが、警察はそのことをヒナコに話していない。それを知っているのは犯人だけ……そう、彼女の両親を殺した犯人は宇津帆だった。売春の件が警察にバレると厄介なので、ファブルになりすまして口封じに殺したのである。
ヒナコは両親を殺された怒りと復讐心を燃やしながら車椅子から立ち上がり、歩もうとした途端、明を倒そうと仕掛けた地雷を踏み、計画を台無しにされた。
宇津帆に発砲した拍子で倒れそうになったところを颯爽と現れたファブルこと明に支えられ、鈴木と共にヒナコを救出。自分の負けを認めると、安全ピンの付いた手榴弾を投げつけ、鈴木に額を撃ち抜かれるという自殺同然の最期を迎えた。
余談
2021年の映画『殺さない殺し屋』では『ALWAYS 三丁目の夕日』の鈴木則文役などで知られる堤真一氏が宇津帆役を演じた。堤氏が全力で演じた宇津帆の悪役・外道さは短気だが家族想いな則文とは全くの正反対で、江口カン監督も「見ているこっちも震え上がるような芝居だった」と好評を博したほどだった。