「我思う故に我あり」
DATA
概要
第24話「ヒトガタ」に登場。
一見するとただの等身大球体間接人形に見えるが、実は体内に人間の想念を吸い上げて力場に変える永久機関を備えており、誰かに想われ続けることで成長する機能を持つ。
雛自身が動くことはないものの、この永久機関の力で人形でありながら生きており、40cmほどの大きさから人間大にまで成長、やがて会話することさえ可能になった。
雛自身に心は無く、自分を思う者の心の力で動くため、人形に呪いをかけると思う者も呪いを受ける。
開発者は渡来角之進の恩師でもある帝都大学の真柄太郎教授(演:寺田農)。
人間の想念を動力に変える研究を行なっていたがやがて学会から追放され、自身の理論の完成形として雛を完成させて各地を放浪したのちに行き倒れた。
雛が語ったところでは、雛は真柄を父親と認識していたようだが、真偽は定かではない。
真柄の死後は哲学者の門野教授に拾われ、やがて彼の心を奪うことに成功するも、教授を愛するメイドの京子に嫉妬されて破壊され消滅する。
しかし雛に想念を注ぎすぎていた為に、雛が破壊されると同時に門野も死んでしまった。
余談
- 登場エピソード『ヒトガタ』は、人形性愛を描いた江戸川乱歩の小説『人でなしの恋』を原案としている。『人でなしの恋』は「夫が菊人形へ入れ込んでいることを知った妻が人形に嫉妬し、思い余って人形を破壊してしまうが、そのことに絶望した夫も後を追って死んでしまう」という内容で、本作『ヒトガタ』は『人でなしの恋』をベースに、デカルトの「われ思う、ゆえにわれあり」や「晩年のデカルトが人形を連れ歩き溺愛していたという伝説」などを組み込んだ内容となっている。
- 「雛」を演じたのは人形作家の山本じん氏が所有する、等身大ドール人形「ミニヨン」である。山本氏は『ヒトガタ』に続くエピソード『闇』にも自身の作品を提供したほか、ミニヨン自身も『ウルトラマンダイナ』の第38話『怪獣戯曲』にも出演していたことがある。
- 声を担当する原女史は監督の実相寺昭雄の実妻であり、門野役の堀内正美氏の推薦によって選ばれた。堀内によれば、実相寺は妻を起用することに照れがあったが、試写では「原にしてよかった」と述べたという。
- 劇中では千里眼事件が発生していることが語られており、心理学者である福来友吉らしき教授の存在が示唆されている。
- 脚本では、京子が雛をナイフで壊そうとするが、門野が雛を守ろうとして死亡してしまい、京子が雛を入れたボストンバッグを持って旅立つところで終了するという展開であった。