フルタイトルは『今日もわたしは元気ですぅ!!(キレ気味) ~転生悪役令嬢に逆ざまぁされた転生ヒロインは、祝福しか能がなかったので宝石祝福師に転身しました~』となっている。
通称(略称)は「今日キレ」あるいは「わたキレ」。
作品履歴
著者の手により2019年10月から同年12月までノベルアップ+にて公開(連載)された作品。
のち推敲版(修正版)が小説家になろう、カクヨムなどにノベルアップ版から2~3ヶ月程度遅れる形で投稿連載された。
書籍などの商用版作品はこちらの推敲版がベースとなっている。
2021年4月2日にKラノベブックスf(講談社)より書籍化された。同レーベル(ただのラノベブックスではなく、ラノベブックスf)のローンチタイトル(創刊作品)のひとつである。挿絵イラスト(キャラクター原案)は藤 未都也。全1巻。
また同年同月19日より2022年11月14日までpalcyおよびpixivコミックにて木乃ひのき作画による漫画版が連載されている。連載枠はpalcyでは「palcyオリジナル」、pixivコミックでは「pixiv×palcy異世界」。漫画版の単行本はKCxシリウスより全3巻で出された。
作品内容
いわゆる悪役令嬢もののひとつであるが、その主役となる悪役令嬢が、既に別の悪役令嬢にざまぁされる結末を迎えて詰んでしまった転生ヒドインであるという特徴を持つ作品。
さらに悪役令嬢となってしまった転生ヒドインが、その結果として別の転生ヒドインから目の敵にされた結果として自らのかつての行いを猛省して自らの人生と真摯に向き合い、その愛情を育み直す、いわゆる更生の物語といえる作品。
あらすじ
ある時、前世において大好きだった乙女ゲーム「風鳴る大地」のヒロインであるルナリーゼ・フォトンに転生していた事に気付いた主人公は、そのヒロインポジションに胡座をかいて転生ヒドイン化。自ら「ヒロイン」を自称して現実との解離に気付かず、のちのちには気付きかけても目を背け、痛い行動を繰り返すヒロインモンスター(ヒロインシンドローム患者)となってしまう。その挙句「風鳴る大地」の攻略対象たちおよび悪役令嬢であるアンリミリア・ステヴァーから逆断罪を仕掛けられて追放されるに至る。
この現実を受け入れられないルナリーゼは「もしかしたら隠しキャラ(冒険者)ルートに入ったのかもしれない」と一縷の望みをかけて冒険者となる。しかしルナリーゼは最下級の癒しの魔法(治癒ではない)である「祝福」しか取り柄がなかった。その事はすぐに冒険者たちに知られ学園からの追放という大恥も相まって、冒険者たちからも「無能」の烙印を押されバカにされまくる日々を送る。
ところがそんな日々の中でルナリーゼは冒険者ギルドの近くで人が行き倒れている現場に遭遇。その人物の求めに応じて「祝福」をかける事となり、その効果でかの人物は体調を持ち直す。が、なんと行き倒れていたのは「風鳴る大地」の続編である「風鳴る大地~八つの種族の国王様~」の攻略対象である狼の獣人クロエリード・セタンダであった。
クロエリードから「祝福」の腕を見込まれたルナリーゼは彼から「我が国にて、祝石(魔法石の一種)を作る職である『宝石祝福師』にならないか」と誘いを受けてしまう。が、この誘いにルナリーゼは大いに焦る。
実は「風鳴る大地~八つの種族の国王様~」には、前作のプレイデータを読み込める機能が存在しており、そこに「風鳴る大地」のプレイデータを読み込ませるとルナリーゼが続編のライバルキャラ(清純派悪役令嬢・当て馬キャラ)としてヒロインに立ちはだかる仕様になっていたのである。
「当て馬になんか、なりたくない!」
誘いを断ろうとしたルナリーゼだったが、クロエリードによって様々な言い訳その他をコンマ秒で論破され外堀も一気に埋められ、結局はクロエリードの勧誘を飲まざるをえなくなってしまった。かくてルナリーゼは続編の舞台、べルクレス共王国にて宝石祝福師として働く事となった。
「なってしまったものは仕方がない。もうヒロインだなんだと騒ぐのはやめて、一介の祝福師として真面目に仕事に打ち込み、世に何も残さぬ一般人として生きよう。人の恋愛事情に首を突っ込んでる場合じゃないし」
世の無常を悟りきったルナリーゼは、色恋に背を向けて真面目に仕事に打ち込む事を誓って生きるが、やがて、その頑張りや磨いた職能をクロエリードから評価され、事ある毎に彼から宝石祝福師として頼りにされるようになる。
そして仕事の成果の褒美として、共王国の学園の入学パーティーへの出席を許される……が、そのパーティー、実は「風鳴る大地~八つの種族の国王様~」のオープニングイベントであった。そしてルナリーゼはパーティーの現場で続編のヒロイン(プレイアブルキャラクター)であるローゼンリーゼ・アリンフィーゼと出会う。
出会ったローゼンリーゼは、攻略対象となる王様たちに対して、あまりに馴れ馴れしく、またルナリーゼには敵意バリバリであった。その様はルナリーゼには心当たりがありすぎた。なにしろローゼンリーゼが自分にしている事は、かつて自分がアンリミリアにやった事だったのだから。そう、なんとローゼンリーゼもまた転生ヒドインと化していたのである。
クロエリード推しのローゼンリーゼは問答無用で彼に手順を踏むことなくアタックを繰り返すが、そんな彼女の有り様にクロエリードは怒り心頭でストレスをいや増す事に。そんな彼をルナリーゼは部下の祝福師として、また彼から恩を受けた者として頑張って支える。
だが、そんな状況の中でルナリーゼはクロエリードがローゼンリーゼになびかない事に安堵を覚えていた事を自覚する。ルナリーゼはクロエリードに無自覚な親愛を寄せていた。その事に気付いたルナリーゼは自己嫌悪に陥る。
故郷で自業自得の果て追放され、あんなに酷い目に遭ったのに。それなのにわたしは懲りずにクロエ様を思慕している。なんてひどい。自分は何も変わっていないじゃないか。わたしはなんてひどい勝手な女なんだろう──
嫌でも涌き出るクロエリードへの思慕。その一方で過去の自身のバカ行動を完コピしているローゼンリーゼ。その様はルナリーゼにとって黒歴史をまざまざと見せつけられているに等しく、いろんな意味で痛かった。
さらに、そんな状況に苦慮する中、ルナリーゼは共王国に人間の国からの使節としてやってきたアンリミリアと再会。ローゼンリーゼのおかげで自らの愚かさを身に沁みて理解していたルナリーゼはアンリミリアにガチ土下座で詫びを入れ、彼女から赦しを貰う事になる。
そして実は「風鳴る大地シリーズ」の超ヘビーユーザーであった前世を持つアンリミリアから恐ろしい事実を教わる事となる。
続編「風鳴る大地~八つの種族の国王様~」には、ヒロインのデッドエンドがある。そして続編ヒロインの破滅は、そのまま、この世界の終焉に直結する。それを回避するには、続編ヒロインのローゼンリーゼが、シリーズのヒロインにのみ許された権能である「星祝福(ステラ)」に目覚め、この世界の聖女である「星祝福の乙女」となる必要がある
ルナリーゼはこの世界を救うため、嫌でもローゼンリーゼの愛を目覚めさせて「星祝福の乙女」へと導かねばならなくなったのであった。
登場人物
- ルナリーゼ・フォトン
- 白狼王 クロエリード・セタンダ
- ミールーム
- 獅子王 ジルレオン
- 戦牛王 ケルティニス
- 雷鷹王 ファルニード
- 荒鰐王 マグラス
- 斬鮫王 ジェイル
- 賢熊王 ベアゼル
- 狂虎王 アーガ
- アンリミリア・ステヴァー
- 王太子アストル
- ローゼンリーゼ・アリンフィーゼ
- リル
外部リンク
関連タグ
追放悪役令嬢の旦那様:同作者作品。同じく「星祝福(ステラ)」の概念が登場している。