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追放悪役令嬢の旦那様

ついほうあくやくれいじょうのだんなさま

古森きりのWeb小説作品。複数のWeb小説サイトにて同時連載された。Webコミックアプリ『マンガPark』にてコミカライズが連載されている。
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古森きりによるWeb小説作品。


概要編集

著者の手により『小説家になろう』『ツギクル』『ノベルアップ+』『マグネット』にて2019年7月から同年12月まで、同時連載されていた。現在は全5部として本編完結済とされており、昨今は不定期に後日談や日常話が掲載されるに留まっている。(現状では)


第4回ツギクル小説大賞を受賞。「ツギクルブックス」より2019年12月に第1部が、2020年12月に第2部(※1)が、2021年8月に第3部が、2021年11月に第4部が、それぞれ書籍化。2022年7月にほぼ書き下ろし(一部、第5部の内容を流用・前倒ししている)となる第5巻が、2022年12月に第5部に相当する6巻が発刊された。挿絵イラストはゆき哉が担当。

なお書籍6巻でWeb版の内容に追い付いているが、書籍5~6巻でWeb版の内容と差異が生じるよう執筆されているため、以降の物語はWeb版とは分岐した世界の物語であると明言されている。

2023年9月に7巻が、同年12月に8巻が発刊。2024年11月に9巻が発刊予定となっている。


なお2022年8月にシリーズ累計部数42万部を突破している


2020年5月より白泉社のWebコミックアプリ「マンガPark」にてコミカライズ版の連載が開始されている。作画はなつせみが担当し、ゆき哉はキャラクター原案となっている。なお同アプリでは連載開始直後「男子に人気 第1位」を獲得している。このコミカライズ版は2021年1月24日よりpixivコミックでも配信が開始。

さらに同じ白泉社から出されている少女漫画雑誌『LaLa2021年9月号に、出張読切が掲載された。


物語のメイン内容としては「転生悪役令嬢もの」のバリエーションにあたる作品で、転生者ではない主人公が、実は転生悪役令嬢だった妻の破滅後に寄り添い、彼女の内助の功によって自らのどチートを目覚めさせつつ、彼女の破滅後の余生を心安らかなものにしていく、というもの。


なお、同作者作品である『転生したら絶滅寸前の希少種族でした』と共通する設定やワードが盛り込まれており、何らかの形で世界観がリンクしている可能性が一部で示唆されている。


注釈編集

※1)第2部は本来、2020年の春~初夏期(5月から6月ごろ)の刊行予定としていたが新型コロナウイルス感染症世界的流行の影響により発刊が見送られ、最終的に同年12月に発刊となった。

あらすじ編集

竜の加護に満ちる、とある「竜によって作られた異世界」クリアレウスにある国「青竜アルセジオス」でのお話。


アルセジオスの王太子アレファルドは通っていた学園における卒業パーティーの宴席の最中、自らの婚約者である公爵令嬢エラーナ・ルースフェット・フォーサイスに対して、同級生にして「守護竜の愛し子」である平民の少女リファナ嬢へのいじめの罪を着せ、断罪の上で婚約破棄を申し渡す。

最初は取り乱していたエラーナであったが、王子よりの拒絶に表情を失うも、最終的には婚約破棄を受け入れて静かに宴席の場を去った。


しかしパーティーの最中、その光景に対して怒りを押し殺しながら冷たい目を向ける人物がいた。アレファルドの「友人(という名のパシリ)」ユーフラン・ディタリエール・ベイリーである。実はユーフランはアレファルドから内々に、前もってエラーナへの婚約破棄を知らされていた。しかも「あんな女など貴様にくれてやる」という暴言と共に。

実はエラーナへの秘めた想いを押し殺してアレファルドに仕えていたユーフランは、主のエラーナに対する彼女への人とも思わぬ傍若無人に密かな怒りを燃やしつつも、その言質に人知れず内心フィーバー。宴席の場を去るエラーナに手を貸しつつ、自らもまた場を去り家へと戻る。


帰宅後にユーフランはエラーナと結婚すること、さらにはエラーナごとアルセジオスより追放される事を父親から申し渡される。役目のためとはいえ憎くもない息子を放逐せねばならぬ現実に頭を抱える父親たちを尻目に、ユーフランは「これで愛するエラーナ嬢を連れて、アホ王子どもとはおさらばだ!」とウキウキ気分でこれ幸いと隣国で辺境伯をやっている親戚の伝手を頼り、エラーナと共に新天地(隣国の辺境)へと旅立つ。そして親族の伝手で辺境の元・牧農場であった荒地に住む事を許される。


実はユーフランには、ある特技があった。それは、手先の器用さと、それ故に得た、この世界の「魔法を使うための石」である「竜石」の加工技術である。ユーフランのディタリエール家は「竜の加護を直接的な力とする」血統・ベイリー家の流れを汲むひとつであった。そのためにユーフランは本職の職人でも不可能な竜石の魔力回路加工をものともなくやってのける。それらの特技を使いユーフランは、それまでこの世界には存在しえなかったボールペン石鹸シュシュドライヤーなどを生み出していたのである。この特技を使えば、まぁ国を追放されても手に職があるから食うには困らないだろう……と、ユーフランは軽く考えていた。

とはいえ、国のトップクラスのお嬢様であったエラーナとの新生活は別の意味で苦労をするだろう……と考えていたユーフランだったが、エラーナは案外と庶民の暮らしに馴染んでいく。

それどころか彼女からは「特許」とか「経営戦略を担当していた」とか意味不明な言葉が飛び出す。そしてエラーナは「あなたの価値をわたしが解らせてあげる!」とまで豪語した。


やがてエラーナは自らの生活に必要なアイテム(というか家電冷凍庫とかこたつとかクーラーとか……)を竜石で再現する事をユーフランに持ち掛け、出来上がった品(のロイヤリティを含ん)で商売する図式を作り上げ、それは自分たちが移り住んだ「緑竜セルジジオス」を中心とした生活革命へと繋がっていく。


この時のユーフランは、まだ知らなかった。

エラーナが、王太子の婚約破棄によって前世覚醒し現代日本の記憶を蘇らせてしまった「ネット小説『守護竜様の愛し子』に登場する悪役令嬢エラーナ」であったという事実を。


のちに、その事をエラーナから知らされたユーフランは、愛するエラーナを待ち受ける運命を捻じ曲げるため、知恵を絞り発明に勤しみ政治力も磨き、日々を奮闘していく。


これは、そんなちょっと不運な目に遭ったがゆえに、最高の幸福を手に入れた男の物語。


登場人物編集

追放悪役令嬢の旦那様の登場人物一覧

用語編集

  • 貴族・王族
    • 本作における貴族・王族は本来「守護竜より世界を導く権能と義務を与えられた者」であり、守護竜より、その証として竜力を用いる加護(=魔法)を与えられている。貴族は、その加護を世の加護を持たぬ人々のために使い、そして彼ら貴族ではない平民たちと守護竜を与えられた力で守る役目を持っている。
    • 貴族(特に古代に守護竜より加護を賜った古い家)の氏名・家名は「個人名(ファーストネーム)・家名(名字/ファミリーネーム)・一族名(クランネーム)」となる。特に「一族名」は守護竜から賜った加護を表す名前といえるもの。
    • 一方で王族は一族名は持たず、国名がそのまま家名となる。(なので、アレファルドの場合はフルネームが「アレファルド・アルセジオス」と、トワ王子の場合は「トワイライト・ブラクジリオス」と、またロザリー姫の場合は「ロザリー・セルジジオス」となる)
    • しかし、のちに人間たちはその力で争い合うとともに、複雑な社会構成を作り上げ、その結果として加護は衰退し、社会に組み込まれた「貴族」というシステムだけが本義を失い形骸化したままで支配層として居座っている、という状態になっている。
    • その形骸化したシステムの中で「(各国の)王家」と、王家に仕える「ベイリー家(正しくはベイリー氏一族)」だけは、ほぼ例外的に太古よりの役割を継承している、とされる。王家は国家を管理する役割から守護竜とコンタクトを取り直接的な指示を仰ぐ立場にあるためで、ベイリー家はその監査役であるため。
  • ベイリー家
    • ユーフランの出自であるディタリエール家が属する一族(クラン)。かつての戦乱の時代、それを招いて対立していた各国の王家に困り果てた守護竜たちが、その監視役として力を与えて任じた一族。ベイリーとは「法(律)」を意味する。
  • 竜石
    • この世界における魔法石(魔力石)。大元は守護竜の成長と共に剥がれ落ちた鱗。守護竜の竜力(魔力)が内在しており、大きさによって内在する竜力が異なる(基本的に大きいほど使える竜力が大きくなる)。この石に対し、もたらしたい命令(エフェクト)を回路として刻み、その竜力を用いて稼働する魔法道具を竜石道具と呼ぶ。
  • 守護竜の愛し子
    • この世界を守護するとされる「守護竜」(六大竜)に力を与える事ができる存在(巫女・御子)。その証として「聖なる輝き」を宿した金の瞳を持つ。
    • 後に「聖なる輝き」とは、この世界の「異界から創造の竜神クリアレウスとともにやってきた創世の力」にして「星のエネルギー」である「原始星《ステラ》」の欠片であり「守護竜の愛し子」とは「ステラの欠片」を身に秘めた者であることが明らかになる。
    • その力を持つ者をぞんざいに扱えば国が亡ぶとまでいわれる強烈なもの。そのため、かなりキツいワガママも聞いてもらえる身の上。言うなれば人間社会にとっては、事と次第によっては王家の上にすら立てるジョーカーとしての役割を持たされる可能性すらある。
    • 本作劇中のメインキャラにおいては、リファナ・トワ王子・ファーラが該当する。
  • 加護なし
    • 「守護竜」の力を反発あるいは無効化させる事ができる存在。特に守護竜の力の結晶とも言える竜石の力や、貴族が守護竜から与えられている加護(魔法)を無効化できる。この事から各国ともに程度の差はあれど差別と迫害(下手をすれば地域によっては恐怖)の対象になっている。そのため、守護竜の力を増強させる「守護竜の愛し子」とは対極にある者と言われる。ある意味で守護竜の愛し子とは表裏の関係にある「裏ジョーカー」の存在とも言える。
    • 本作劇中のメインキャラにおいてはファーラのみが該当する。
    • のちにユーフランがファーラを保護している事を知った、ユーフランの父によってディタリエール家(ベイリー家)の知識が限定的ながらもユーフランに与えられ、それによって加護なしにはその性質により二通りのタイプが存在する事が明かされた。
    • ひとつは守護竜の力を反発させる事ができる「反発型」の加護なしで、竜石の力や加護をはじめから受け付けないタイプ。原因は最初から守護竜の力と体質との相性が悪い事に起因する、と言われる。
    • もうひとつは守護竜の力を吸収する事でその力を無効化させる事ができる「吸収型」の加護なし。守護竜の力と自身の相性が良すぎるために発現する「加護なし」で、ファーラはこちらに該当する。
  • 邪竜教団
    • 六大守護竜ひいては創世の白竜クリアレウスによって成る、この世界に生きている事に対し「人間は守護竜によって侵略され支配されている」と考え、これを覆すため、守護竜たちとは正反対となる存在である邪竜を召喚して、その力で守護竜たちを打倒し「人間の世界を取り戻そう」と説く邪教。竜力によって成る竜石および竜石道具に対しても「人を堕落させる悪しき力であり技術」としており否定的。
    • 原典作品である『守護竜様の愛し子』では、リファナによって破滅したルースフェット家に近づき、エラーナを核として邪竜復活を目論んでいたが、本作ではエラーナがユーフランと共に竜石道具に関わりまくりの生活であるため、別の生贄を求めて企みをめぐらす事となった。
    • 書籍版では上記の内容に加えて相当数の"加護なし"が構成員として加わっている(いわば「加護なし」の集団である)という設定がされており、加護なしが世界中で差別・迫害される一因である旨が語られる。が、同時に加護なしが邪竜教団に加わるのは各国における加護なしへの差別と迫害が原因であり、卵が先か鶏が先かという様相を呈している。
  • 『守護竜様の愛し子』
    • エラーナが前世で大学時代に愛読していた婚約破棄もののネット小説。転生したエラーナにとっては予言書にも等しく、本作ではその影響下から外れて脱する事が物語の主軸となっている。
    • 作品名の通り「守護竜の愛し子」と呼ばれる者たちを巡る一大ロマンス・アドベンチャー。エラーナの知識の上では、少なくとも第3部まで存在しており、コミカライズもされたという。当初はアレファルドをヒーローに、リファナをヒロインに据えた物語であったが、物語が進むにつれて徐々に群像劇と化していった感がある。
    • ちなみに、しっかり読み込むとご都合主義にあふれた非常に雑な世界観であるらしく、この世界に転生したエラーナは、そのご都合な部分に触れるに至ってはつい我慢できず「あの作者バッカじゃねーの!?」と暴言を吐いた。(まぁ作内では自分は破滅の上に邪竜復活の生贄としてムゴい最期を遂げるわけだから、やむないといえばやむないかもしれない)
    • なお、ここでエラーナが非難した「作者」とは、あくまでも「物語『守護竜様の愛し子』を執筆した者、というキャラクター」の事であり本作の作者である古森の事ではない事には(本来、常識的に考えればそうであるので念を押す必要もないはずだが、あえて)念を押しておきたい。

大陸・国家・地域編集

  • 白竜クリアレウス
    • 本作の舞台となる世界にして大陸。
    • 現在は、六大竜が大陸を守護し分割統治しているとされており、その竜の名前が六カ国の名前である。
  • 青竜アルセジオス
    • 主人公夫妻の故国。山上の大湖上に王都を置いており、この大湖から流れ落ちる川が全大陸ほとんどの河川の水源となっている事から「水の国」の異名をとる。
  • 緑竜セルジジオス
    • 主人公夫妻の移住先であり、二人を温かく迎えてくれた、青竜アルセジオスの隣国。
    • 農業および林業が盛んな国で「世界の食糧庫」のひとつ。
  • 黒竜ブラクジリオス
    • 青竜アルセジオスおよび緑竜セルジジオスの両国境に接する隣国。
  • 黄竜メシレジンス
    • 緑竜セルジジオスとは青竜アルセジオスを挟んで真逆となる位置にある国。
  • 紫竜ディバルディオス
    • 胴大陸最北にある国。錬金術(錬金科学・錬金機械工学)や医学に長けて発展を続けてきた「知恵の国」。
  • 赤竜三島ヘルディオス
    • 紫竜ディバルディオスのさらに北、頭諸島全体を管轄する国。
  • 灰竜グレイフィオス
    • 大陸の南となる尾の島。人間の生息域ではなく大陸の人間にとっては未知の領域。何らかの要因で生物が存在しない死の大陸と化しているとされる。ヘルディオスに伝わる口伝にのみ、わずかにその存在が語られる。

関連イラスト編集

追放悪役令嬢の旦那様【宣伝】

↑書籍化(メディア)前に古森がイメージとして描いたWeb版の仮デザイニング


外部リンク編集

小説家になろう連載(本編番外編含む全編。ただし書籍限定話は除く)

ツギクル連載(本編+番外編一部)

ノベルアップ+連載(本編のみ)


pixivコミック配信(なつせみ版)


関連タグ編集

小説家になろう ノベルアップ+

悪役令嬢もの

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