初代(1978年-1988年)
1978年11月
C120型「サニーバネット/チェリーバネット」を発表。C20型「サニーキャブ/チェリーキャブ」の後継車種として登場し、ボディタイプはバン・トラックの2種類。それに加えてバンベースの乗用モデル「コーチ」の3本立てのラインナップとなった。デビュー当時のグレード構成は下から「CT(コーチを除く)」、「DX」、「GL」。エンジンは当初、A12(CTのみ)とA14の2本立てだった。
1979年7月
初のマイナーチェンジ。ハイルーフとロング(4列シート・10人乗り)を追加。モノリス触媒採用と一部車種にリヤクーラーがオプション設定される。
1980年3月
「ダットサンバネット」が追加され、3姉妹となる。「サニーバネット」「チェリーバネット」は丸型2灯ヘッドランプを採用しているのに対し「ダットサンバネット」は丸型4灯ヘッドランプの採用となっている。
1980年6月
マイナーチェンジでコーチのエンジンがA14からA15に変更。同時に本格的な乗用モデルとなる「コーチSGL」、電動サンルーフを装備した「コーチSGLサンルーフ」が追加される。「コーチSGL」は他のグレードとの差別化を図るため、角型4灯ヘッドランプが装備された。「コーチSGLサンルーフ」は手動サンルーフが定番だった当時の他車に先駆け、画期的な装備となった。回転対座シートの採用もこの「コーチSGL」が初となった。
1981年6月
ディーゼルエンジンのLD20を追加。LD20はそれまでキャラバンとセドリック/グロリアに使われていたSD20、SD22の代替機種であり、それまでの旧態依然としたSD型エンジンに比べ、近代的なエンジンで、ディーゼルながら4500回転まで回り、明らかに性能向上を感じさせるエンジンだった。同時にZ20搭載の「SGX」も追加され、LD20とZ20にはフロアシフトが設定された。
1982年9月
上級派生車種としてC120型「バネットラルゴ」が登場。ベースモデルのバネットに対し車幅を90mm拡大し、エンジンは直列4気筒OHC・Z20型、ディーゼル・LD20型、ディーゼルターボ・LD20T型の3機種を搭載した。
1982年10月
コーチをマイナーチェンジ。インパネの意匠変更がなされ、廉価グレード「コーチFL」が追加される。それまで助手席の足元に設置されていたクーラーがエアコンに昇格し、空調操作パネルがそれまでの旧式タイプ(吹き出し口と外気導入切り替えが同じレバーで、温度調整レバーを手前に引くとファンスイッチとなる)から、エアミックスタイプに変更された。 同時期に、バネットのインパネ・空調もラルゴと同様のものに変更される(全幅の差異は中央部で調整される)。また、「CT」は4輪ドラムブレーキからフロントディスクブレーキとなった。 後期型ではヘッドライトの周囲と車名の書体が各車で統一された。フロントのガーニッシュに車名が書かれているが、サニーバネットは銀地に黒文字、ダットサンバネットはその逆、チェリーバネットは黒地にオレンジの文字となっていた。また、サニーバネットとチェリーバネットではフロントドアの横に「大きく書かれた「V」の下に小さく車名の書かれた」エンブレムが付いていたが、ダットサンバネットではエンブレムがなく、初期型のイメージを継承した。さらにトラックではヘッドライトがガーニッシュの上に干渉するため、「NISSAN」と書かれたステッカーがガーニッシュの上に貼られている。
1983年10月
DX-A仕様車追加。
1984年6月
ガラスサンルーフ仕様の「パノラマルーフ」を追加。チルトアップ式(前)・スライド式(後)のサンルーフが繋がっており、前が上がり切ってから後ろがスライドするタイプである。また、パノラマルーフ車はシート地の変更と前後可動式ヘッドレスト(フロントシート)が追加される。
1985年8月
バンのトランスミッション変更。
1985年9月
ラルゴを除いたコーチ・バンの生産を終了。
1986年5月
バネットラルゴ生産終了。
1986年7月
ダットサンバネットトラック発売。
1986年11月
一部改良。駐車灯が廃止される。
1988年11月
トラック生産終了。
2代目(1985年-1994年)
1985年9月
バネットコーチ及びバネットバンがC22型にモデルチェンジ。トラック(1988年まで)と上級モデルの「ラルゴ」(1986年5月まで)は先代が継続生産された。搭載するエンジンは直列4気筒OHC1973cc・CA20型、OHV1487cc・A15型、OHC1952ccディーゼル・LD20型の3機種。ATは3速のままキャリーオーバーされた。 3車種の相違点の1つはヘッドランプ周りにあり、ダットサンバネットはヘッドランプの枠がシルバーで左右のヘッドランプを「DATSUN」の文字が入るガーニッシュでつないでいる。サニーバネットはヘッドランプの枠がシルバー、チェリーバネットはヘッドランプの枠が黒となっている。
1986年11月
マイナーチェンジが行われ、車名が「バネット」に統一される。ディーセルエンジンがLD20・Ⅱに変更され、駐車灯が廃止される。
1987年5月
韓国の大宇(現: GM大宇)にてバネットトラックのライセンス生産および販売が開始。
1988年11月
マイナーチェンジ。同時に初代のまま継続生産されていたトラックも2代目にモデルチェンジされる。 グレードは下から順に「SC」「GL」「SGL」「EXCEL」。「SGL EXCEL」が「EXCEL」となり、「EXCEL」にはバネット初のパワーウインドウが、「SGL」「EXCEL」には新たにストップランプ付きリアガーニッシュが装備される。「SGL-YU」(4WDのみ)、「EXCEL-YU」(4WDのみ)という、フロントガードバーやサイドステップ等を装着したモデルも存在した。バンの上級グレードには「GL」に変わり「VX」を追加。「VL」や「NICEPACK」というモデルも存在した。 また、コラムシフト車が廃止になり、全車フロアシフトへと仕様変更される。パートタイム4WD車、ディーゼルターボ「LD20TII」(Q-KUJNC22)追加。バネットラルゴにあった1800ガソリンターボ・CA18ETは設定されなかった。これによりバンはLD20、A12、A15の3機種、乗用であるコーチはA15、LD20II、LD20TII、CA20Sの4機種に。CA20Sは電子制御キャブ仕様だが、A15に変更はなく、それまで3ATのみだったのが、フルレンジ電子制御4速オートマチック「E-AT」がLD20TII搭載車とCA20S搭載車に追加された(バネット初の4AT車。他は3ATのまま)。その他にはコーチSCベースの「KAPPA」(カッパ)なるオーテックジャパン架装のモデルが追加。5人乗りで、2段ベッドが標準で付いていたいわゆるキャンパーモデルである。
1990年
「SGL」、「EXCEL」のサードシートがそれまでの前方跳ね上げ式から5:5分割の左右跳ね上げ式へ変更される。リモコン付きツインオートエアコンが設定された(それまで設定されていたツインオートエアコンも継続)。
1991年6月
コーチがC23型「バネットセレナ」として独立モデルチェンジされる。バネットラルゴ及び商用モデルは継続生産された。バネットバンに、VX-YU追加。1993年5月にはバネットラルゴがW30型「ラルゴ」へモデルチェンジ。
1993年11月
ディーゼル車のNOx総量規制地域向け車追加。
なお、マレーシアではタンチョン・モーター・アッセンブリーズ社によってC22バネットの生産が続けられていたが(A15のみ。日本仕様には無かったアームレストも装備されている)、2012年2月にNV200バネットが後継車種として投入され、販売を終了した。
3代目(1994年-1999年)
1993年10月
マツダと相互供給に関する契約を締結した関係からマツダ・ボンゴのOEMとなり、1994年4月、供給が開始される。セレナ、キャラバン/ホーミーと競合する、ワゴン及びブローニイの供給はなく、バン(SS型)、トラック(SE型)のみとなる。
1995年
一部改良。2.2ディーゼル車にAT車追加。
1996年
マイナーチェンジ。全長が4,110-4,195mm(バン)、4,075mm(トラック)となる。VX(ボンゴのGLスーパーに相当するグレード)を追加する。2.2LのR2型ディーゼルエンジンを61psから76psにパワーアップ。
4代目(1999年-)
1999年6月23日
フルモデルチェンジ。3代目同様マツダからのOEM。 外装については、窓枠などが変更になった程度であるが、内装については計器パネルが変更された。また、シャシフレームを延長し、鼻先を長くした。これは、衝突規制対応のためである。ただしオフセット衝突には対応していない。 エンジンは、ガソリン、ディーゼルとも、電子制御タイプに変更になった。ガソリンエンジンは、それまであった1.5Lが廃止され、1.8L F8型 SOHC 3バルブエンジンとなり、76馬力から90馬力に出力が向上し、ディーゼルエンジンも、型式こそR2型 2.2L ディーゼルエンジンのままであるが、電子制御噴射ポンプ採用となり、それまでの76馬力から79馬力に出力が向上した。 なお、ガソリンエンジン車は、1990年代において、特殊車を除く一般的な自動車としては最後の手動チョーク採用車であった(チョークノブによる手動式)。 また、デュアルエアバッグが設定され、ABSも選択できるようになった。 トラックには新たにロング荷台車が追加設定された。 「CD」、「DX」、「GL」、「VX」の4グレードが展開され(トラックは「DX」と「GL」のみ)、「GL」、「VX」にはカラードバンパーが、「VX」にはメッキバー入りフロントグリル(トラック「GL」にも装備される)、専用サイドストライプ、ホイールカバーが装備される。
1999年7月
バンのディーゼル4WDモデルの販売開始。
2002年8月9日
一部改良。平成12年騒音規制に適合し、運転席エアバッグが標準装備された。 また、バンについては、廉価グレードのパワーウインドウや集中ドアロックなどを標準装備に切り替えた。
2003年12月16日
一部改良。新短期規制、首都圏ディーゼル車規制条例、自動車NOx・PM法に適合した2.0Lディーゼルターボエンジン (RF) 搭載車を設定し、2.2Lディーゼルエンジンを廃止。ガソリンエンジンの出力を向上したほか、シート生地の変更ほか仕様・装備を一部変更。CIが現行のものに変更され、また車名のフォントもNE-01に変更された。
2005年11月14日
一部改良。フロント側ドアにターンシグナルランプを設定し、灯火器保安基準に適合させた。また、一部装備の変更も行った。
2007年8月31日
一部改良。ディーゼルエンジンにディーゼル・パティキュレート・フィルターを採用し、新長期規制に適合させたほか、ガソリン車も排ガスのクリーン化を行い、平成17年排出ガス規制に適合させた。
2009年5月21日
バンモデルの後継車となるNV200バネットを発売。バネットバンについては1.8Lガソリンエンジン搭載の4WD車および2Lディーゼルターボエンジン搭載車のみが継続販売され、バネットバンの2WD 1.8Lガソリンエンジン搭載車は廃止された。
2010年8月23日
一部改良。ガソリン車のエンジンを1.8L DOHCに変更し、出力・トルクを高めて動力性能を向上すると共に、燃費も向上された。さらに、大型センターコンソールボックスと助手席SRSエアバッグシステムと電動リモコンドアミラーを標準装備した。また、トラックは荷台のアオリの高さを45mmアップし、積載性を高めた。なお、一部改良に伴い、グレード体系の見直しを行った。バンは全車4WDの低床、トラックの4WDモデルは全車低床の小径リアダブルタイヤとし、これまでラインアップされていたディーゼルエンジン車と上級グレードのVXを廃止した。
2012年6月8日
一部仕様を改良。全車でヘッドレストの高さとヘッドランプの配光を変更。併せて、バンはスライドア強度要件への対応を行い、「DX」はハイバックタイプシートをヘッドレスト分離型に変更。トラックは後部に反射器を追加した。ボディカラーはバン「GL」専用ボディカラーの入替を行い、サンライトシルバーに替わってアルミニウムメタリックを設定した。
名前の由来
「VAN」と「小さな、可愛い」の意の接尾語「ETTE」の合成語。