プロテイン
ぷろていん
解説
タンパク質の事、またそれを摂取するためのサプリメントを指す。
多くは粉末状であり、これを専用のシェイカーで水に溶かして飲む。
高タンパクなので、スポーツ選手が筋肉をつけるために、あるいはダイエット食品としても利用される。
また、体質的に太れなくて困っている人やボディビルダーが体を大きく、体重を重くする為に飲む、意図的に糖分や脂肪分を添加した、ウエイトゲイナーという高カロリープロテインもある。
起源については定かでないが、1970年代のアメリカから始まったと見られる。
日本に入ってきたのは1980年代だが、一般に知られるようになったのは90年代になってから。
当初は原料の味がモロに出てマズい・粉っぽい・飲みにくいと、無理して飲む類のものであったが、現在は製品改良が進み、デザート感覚で取れるものも増えている。
海外製のプロテインはとにかく甘いとされてきたが、現在は人工甘味料の過剰摂取を気にする層のために甘さはだんだん控えられる傾向にある。
形状としては上記の粉末状の他、ペットボトルや牛乳パック入りのドリンクタイプ、チョコレートバーやウエハースに練り込んだもの、ゼリー飲料タイプ、顆粒状で粉薬のように飲むものなどがある。
一般的にプロテインは海外産の方が同じ品質でも安い。運動をする人口が日本よりはるかに多く大量生産が可能なため。
国産も当然安全管理には気を遣っているが、スポーツマン人口も要求するレベルも日本と桁違いで、訴訟大国アメリカで製造されているプロテインもまた安全面には細心の注意が払われているため、愛好する日本人スポーツマンも非常に多い。
プロテインの種類
大きく分けて動物性プロテインと植物性プロテインがある。
動物性
牛乳から精製されるホエイプロテインとカゼインプロテイン、中には鶏卵製やアメリカでは牛肉製のプロテインもある。
- ホエイプロテインはプレーンヨーグルトの中にある黄色い液体のホエイ(乳清)からプロテインを取り出したもの。水に溶けやすい性質があり、消化吸収が速やか。「WPC」「WPI」「WPH」と3種類の製造方法が存在し、タンパク質含有量はWPCが約70~80%・WPIは約85~90%と、WPIのプロテインの方がタンパク質の含有量が高い。コスパ重視ならWPCだが乳糖の含有率が高い。乳糖不耐症、脂肪、炭水化物を出来るだけ制限したい人はWPIがオススメである。
- ガゼインプロテインは牛乳に含まれているタンパク質のうち約80%がカゼイン、約20%がホエイであり、カゼインは複数のタンパク質が集まってできている。牛乳に凝乳酵素を加え、凝固したカゼインを取り出して作られたものがチーズであるほか、ヨーグルトを水切りしてホエイを取り除いて残った固形分である。水に溶けにくく吸収が遅い。
植物性
- ソイプロテインは大豆からタンパク質を取り出したもの。タンパク質の指標であるアミノ酸スコアが優秀。消化吸収のスピードがゆるやか。ゆっくりと吸収される分、数時間経っても満足感が続くと感じる人もいる。
- ヘンププロテインは純粋な麻の実から油を絞って作られたプロテイン。タンパク質の他にミネラル、必須脂肪酸、食物繊維が豊富。
- ピープロテインは黄色エンドウ豆から作られたプロテイン。エンドウ豆はアレルギーの可能性が低いと考えられており、幅広い人が活用できるタンパク質としても注目されている。
プロテインの落とし穴
食事の代わりや筋肉増強といった目的で利用されるプロテインだが、摂り過ぎは健康被害を招く。
有名なのが乳糖を消化できず下痢になったり、タンパク質の摂り過ぎで腎臓に負担をかける事である。
タンパク質は体内で代謝されると猛毒のアンモニアが発生するが、ふつうは肝臓で尿素に変えられた後、他の老廃物と共に腎臓でろ過されて排出される。
しかし、生れつき腎臓の障害がある人や、腎臓が弱っている人がプロテインを大量摂取すると、老廃物や尿素と言った毒素をろ過できなくなり、尿毒症を発症する。
ある事例では、生れつき腎臓に障害が有る女性が、そうとは知らずにダイエット目的でプロテインを摂取していた所、尿毒症で死亡した事がある。
一度壊れた腎臓は二度と元には戻らない為、プロテインを利用する時は、こういった事がある事をよく理解しておく事が無難である。
とはいえ、先述の事例は極端な例であり常識の範囲内であれば腎臓に重大な疾患をもたらすことはない。プロテインをとりすぎることがいけないのではなく、たんぱく質をとりすぎることがいけないということを認識すべきだろう。