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肉弾の編集履歴

2024-09-07 19:41:53 バージョン

肉弾

にくだん

同名作品が複数ある。

曖昧さ回避

  1. 1906年に発表された櫻井忠温の戦記文学。
  2. 転じて己の肉体を銃弾のようにして敵陣に飛び込む捨て身の攻撃。
  3. 1968年公開の戦争映画

1.の肉弾

1906年4月25日に英文新誌社出版部から出版された。「旅順実戦記」という副題がある。

旅順包囲戦二百三高地)に陸軍中尉として参加した櫻井忠温が壮絶な戦闘で負傷し窮地に陥るが、友軍部隊に救援され生還するまでを描いた。

櫻井は実際にこの戦闘で銃創8ヶ所、骨折3ヶ所の重傷を負い、利き手が使えず左手で執筆したとされる。

櫻井が連隊旗手として出征した歩兵第22連隊はこの作品で一躍有名となり「伊予の肉弾連隊」という異名で呼ばれるようになった。


2.の肉弾

1.の作品における「肉弾」とは「肉体によって銃弾のように敵陣に飛び込む攻撃」を意味し、必ずしも体当たり攻撃を意味する言葉ではなかった。

また肉弾戦は敵味方の将兵が入り混じって熾烈な接近戦を繰り広げるさまを意味し、現在の徒手格闘を指すものとは異なる意味合いとなっている。


3.の肉弾

肉弾

1968年10月22日に公開された。監督は岡本喜八

元々は東宝で制作予定の作品だったが、最終的に制作費が東宝から出されず岡本の妻である岡本みね子がプロデューサーとして二人三脚で制作費を集めた。それでも製作費が足りず、岡本監督は自宅を抵当に入れて製作費を捻出したと語っている。

音楽もおなじみの佐藤勝が担当したが収録するスタジオが用意できなかったため、別作品の音楽を収録中にこっそり収録したという。


あらすじ

昭和20年の夏。「あいつ」は爆弾を抱えたドラム缶で漂流していた。

幹部候補生だった「あいつ」は広島の原爆投下で戦況が危ぶまれる中、対戦車地雷を抱えて穴の中から敵戦車に突っ込む特攻隊員に任命された。

一日だけ外出を許された「あいつ」は活字が恋しくなって古本屋に行き、両腕を失った爺さんと観音様のような婆さんに出会った。

女郎屋で清らかな少女に出会ったかと思いきや、現れたのは前掛けのおばさんだった。

対戦車地雷を抱えて砂浜に布陣した「あいつ」は小さな少年とモンペ姿のおばさんと知り合う。

作戦が変更され「あいつ」は海へと漕ぎだした。みんなを守るため決意を固める「あいつ」。

戦争がすでに終わってしまったことも知らずに…


スタッフ

監督・脚本:岡本喜八

製作:馬場和夫

音楽:佐藤勝

助監督:中西源四郎池田誠増田周保

協力:丸木位里「原爆の図」(田園書房)


キャスト

あいつ:寺田農

少女:大谷直子

父:天本英世

学校長閣下:今福正雄

古本屋のオジイサン:笠智衆

古本屋のオバアサン:北林谷栄

前掛のオバサン:春川ますみ

教師:園田裕久

軍曹:小沢昭一

軍曹のカミサン:菅井きん

モンペのオバサン:三戸部スエ

少年・兄:頭師佳孝

少年・弟:雷門ケン坊

区隊長:田中邦衛

憲兵:中谷一郎

ひげの下士官:高橋悦史

オワイ船の船長:伊藤雄之助

ナレーター:仲代達矢


余談

主演の寺田農は当初岡本監督の『日本のいちばん長い日』にも兵士役で出演予定だったが、スケジュールの都合で実現しなかったとされる。

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