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タイコンデロガ級ミサイル巡洋艦

たいこんでろがきゅうみさいるじゅんようかん

アメリカ海軍が運用しているミサイル巡洋艦のタイプ。2025年現在、同海軍が運用している唯一の巡洋艦となる。

概要

世界で初めて「イージスシステム」を搭載したミサイル巡洋艦。世界初のイージス艦という点でアメリカ海軍にとって画期的な巡洋艦で、1983年から1番艦が就役し、1994年までに同型艦27隻が就役した。

本級の登場以来、現在に至るまで最有力の防空艦として空母戦闘群(現:空母打撃群)の対空防御を担っているほか、トマホーク武器システムによる対地集中精密攻撃、自艦装備のソナーおよびLAMPSヘリコプターによる対潜哨戒など、多任務に運用できる汎用艦である。

設計の古い最初期型は2005年までに退役したが、その後も継続的な改良を重ねつつ(後述)、長らく運用された。しかしアーレイ・バーク級駆逐艦の増勢によって、2022年に5隻が退役したのを皮切りに、2027年までに全艦が退役する予定となっている。

後継艦はDDG(X)級ミサイル駆逐艦とされているため、タイコンデロガ級の退役によってアメリカ海軍から「巡洋艦」という艦種は消滅する予定。

設計

ミサイル巡洋艦と名乗っているが、元はスプルーアンス級駆逐艦をベースに設計されている。これはイージスシステムが極めて高価で、船体に投入できる予算が限られたために船体の流用でコストカットを図ったからである。また、スプルーアンス級が当初より防空艦への派生を前提とした余裕ある設計を行なっていたためでもあった。

駆逐艦をベースとすることから、計画当初の本級はミサイル駆逐艦に分類されていた。しかし、イージスシステムの極めて強力なC4I能力と対空監視能力を活かして、艦隊の防空指揮所として運用することが構想され、1番艦の建造途中でミサイル巡洋艦に艦種変更された。この艦種変更には、同時期の巡洋艦よりも強力な駆逐艦という矛盾を避け、また、大佐の艦長ポストを確保する意味もあったといわれる。

しかし、スプルーアンス級の設計当初に想定されていた防空システムはより小規模な旧式のターターD・システムで、イージスシステムを積み込むにはやや手狭であり、原型艦よりも上部構造物が大型化することになった。これによって艦の安定性が大きく損なわれ、3番艦以降では部材の変更や四脚マストの三脚化といった事後改装で軽量化に努めている。それでもイージスシステムの搭載は困難を極め、本来なら艦橋構造物に4基を集中配置する予定だったSPY-1フェーズドアレイレーダーを艦の前後に2基ずつ分離せざるを得なくなるなど、レーダー配置の合理化が妨げられている。

イージスシステムの継続的な改良により生じた複数のバージョンと、上部構造物の大型化に対する重心低下策を合わせ、最初期モデルの通称「ベースライン0」を合わせると5つのベースラインが存在する。このうち、ベースライン1以前の艦に搭載した旧式のMk.26ミサイル発射機は、弾道ミサイル迎撃用のRIM-161スタンダード・ミサイル3 (SM-3)>スタンダードミサイルやトマホーク巡航ミサイルに対応できず、維持コストに見合う運用の柔軟性を発揮できないことから使い勝手が悪く、ベースライン0の艦は2004年中、ベースライン1の艦も2005年までに全艦が退役した。

スペック表

ベースライン1以前(5番艦以前)

基準排水量6,997トン
満載排水量9,460トン
全長172.46m
最大幅16.76m
最大速力30ノット
乗 員約312名
兵装
搭載機SH-60哨戒ヘリコプター×2機

ベースライン2以降(6番艦以降)

基準排水量7,242トン
満載排水量9,763~10,010トン
全長172.46m
最大幅16.76m
最大速力30ノット
乗 員約358名
兵装
搭載機SH-60/MH-60哨戒ヘリコプター×2機