救難機とは
遭難した将兵や機材を捜索し、救難またはその支援を行う航空機。もちろん、平時は消防や救急の救難活動の支援に出動する事もある。
通常、救難機にはどんな場所にも救助に降下できるよう、ヘリコプターが充てられている。
しかしヘリコプターのみで救難任務にあたるには、航続距離・時間ともに心許ないという欠点がある。
そこでヘリコプターは救助にのみ使用され、捜索そのものには通常の固定翼機があたる事が多い。
固定翼機(捜索機)には監視員の視界を重視したバブルキャノピーや、救難電波発信機の電波を受けられるようなセンサーなどを搭載している。
これら捜索機が遭難者の位置を特定し、救難機を誘導するのである。
救難機はホイスト(ワイヤー巻き上げ機)を使って救難員を降下させ、または遭難者に掴まらせる。
日本ではEEZ(排他的経済水域)が広いため、海上での救難活動に重点を置いた救難機を開発している。
中でも新明和US-1は世界唯一の救難飛行艇であり、捜索と救難を同時に行える。
「救難機=救命ボート投下」からの脱却
なお、第二次大戦中の救難機は、
『海上を捜索し、遭難者を見つけしだい救命ボートを投下する』
というものだった。
だが、そもそも遭難者が単独で泳いでいる場合が少なく、
(何時間も泳いでいられる程体力のある人間はそうそう居ない)
投下するまでもなくボートで漂流している事が殆どだった。
それならば直接そばへ寄って救難できる方が都合がいい。
大戦後、間もなく実用化されたヘリコプターは、
朝鮮戦争でさっそく陸戦での負傷者や、
敵地の陸海で脱出したパイロットの救出に利用されている。
もちろん、場所を問わないVTOL能力を買われてであった。
固定翼機のほうもVTOL能力がなくても救助できるよう、フルトン回収システムを開発するなどしたが、救助はヘリの仕事となっていった。