プロローグ
SSDI計画により核はおろか、長距離ミサイル兵器の使用が不可能になった1990年代、兵器産業は白兵戦を主とした機動兵器へと移り変わっていった。そして、戦術機動兵器~Manuever Cepter~が誕生した。
2016年10月、アフリカ。レア・メタルの利権争いからアフリカは南北に割れる。さらに両陣営は東西の大国の援助を得て、”アフリカ南北戦争”を開戦した。そして、この戦争で初めて戦術機動兵器が実戦投入された。
~GRANADA(弾丸)~。いつ誰がそう名付けたのか、部隊はおろか国籍すら不明の重機動兵器があった。そしてそれは兵器という兵器を、南北の区別なく破壊していった。ある者は”アフリカ大陸の神”だという。またある者は”兵士の亡霊”だという。
真実は出会ったものだけが知っている。
概要
ウルフチームが1990年4月にX6800版を、同年11月16日にメガドライブ版を開発・販売したシューティングゲームである。
※X68000版はフロッピーディスク3枚組で、メガドライブ版は4Mビットロムカートリッジ。
連射可能な通常弾と、連射不可能ながらも通常弾の16倍の破壊力があるブラスターを装備した戦術機動兵器(と呼ばれる重戦車)「グラナダ」のパイロット「レオン・東堂」となって、全方位にスクロールする各ステージを縦横無尽にかけまわるライフ制のシューティングゲームで、レーダーに表示されているクリアポイントと呼ばれるオブジェクトを全て破壊し、出現したボス敵を倒す事でステージクリアとなる。
グラナダは16方向に攻撃可能で、方向を固定しながら移動する事も可能。なおブラスター発射時には発射の反動により一定距離後退する。この時の反動が原因で落下する事があるが、逆に反動を利用することで高速な移動や、通常の移動では地形が無い為に移動できない谷間の上を飛び越える事が出来る。
※X68000版では砲塔部の旋回が遅かったが、メガドライブ版は旋回が早い設定がデフォルトになり、遅い設定に変更可能になっている。
X68000版では、3枚のディスクのうち1枚をオープニングデモ専用にしている為、オープニングを見ない時は残りの2枚で起動して即ゲームを始める事が可能。なおX68000版に存在するオープニング・ステージ間デモ・エンディングは、メガドライブ版では容量の都合で削除または簡略化されている。
※デモ画面の一部は、メガドライブ版のマニュアルに掲載されている。
ゲームそのものは、ビジュアル面・サウンド面の他、グロブダ系の全方位型シューティングゲームとしては高い戦略性とアクション性から高い評価を受けた。
ゲームデザイン及びプログラムは、当時ウルフチームに所属していたプログラマ豊田利夫が担当している。と言うより元々この作品の元になったゲームを、豊田利夫がウルフチームに持ち込んだ事から開発されたタイトルだったりする。
※ソルフィースのプログラマでBug太郎としても知られる谷裕紀彦の名が本作のスペシャルサンクスに記載されている。
登場キャラ
- レオン・東堂
本作の主人公でありグラナダのパイロットである。
元々は企業や個人に雇われて戦場に赴くシャープ・シューターで、アフリカ南北戦争が始まる前の2016年9月に、日本の民間企業調査部「PEID」の女エージェントと接触後その女が殺害された事がきっかけで、アフリカ南北戦争に乱入し、南北とわずに戦いを仕掛ける事になった。
自らを欺き、また自分という人格を作ったPEIDへの復讐の為、レオンはGRANADA~弾丸~になった。
- ラビューン
グラナダに搭載されたナビゲートコンピュータ。
レオンの事をマスターと呼ぶ。
サポートユニット
各ステージ中には、プレイヤーを支援する為の5種類の補助兵器「サポートユニット」が出現する。なおステージにより出現するサポートユニットは異なり、1つのステージ中に全てのサポートユニットが出現して選択するような自由度は無く、基本的にステージごとに固定となっている。
出現したサポートユニットをプレイヤーが拾う事で装備可能。サポートユニットにも耐久力が設定されており、一定の値をこえると破壊される。
- リフレクター
自機グラナダの周囲を浮遊する全方向迎撃ユニット。
グラナダの通常弾と同じ弾を発射する他、グラナダの通常弾がリフレクターにヒットすると弾の角度がかわるため死角から敵を攻撃できる。
- ポールバニアン
グラナダに合体するラウンドシールドの様な形状の中距離支援ユニット。
敵弾に対する盾として使用する他に、射出すると通常弾を全方位にばらまいた後に再度合体する。
射出時にブラスターをあてると距離が延びる他、地形の影響をうけないので足元が無い場所でも射出可能。
- クロムレック
グラナダに装備された後、通常弾による攻撃にあわせて周囲を回転し接触した敵にダメージを与える中距離迎撃ユニット。
ブラスターを発射した際は、敵を追尾して攻撃する。
- エパレット
グラナダの両側面後方に出現する長距離支援ユニット。誘導ミサイル攻撃を行う。
ミサイルは、グラナダの通常弾攻撃に連動して長距離攻撃を行う。
段数制限が無いので基本的に使いたい放題だが攻撃力そのものは低い。
- ヒドン
自機を追尾する破壊工作用ユニット。自機が停止した際は自機正面に位置する。
ブラスターをヒットさせると巨大な爆風を発生させて周囲の敵を破壊する。
サウンド
楽曲は、当時ウルフチーム所属の宇野正明・桜庭統・塩生康範が担当している。
ウルフチームのサウンド面が注目される事になったX68000版は、内蔵のFM音源の他にローランド社のMIDI音源に対応しており、起動時に【登録】キーを押し続ける事でMIDI音源版に切り替わる。なおMIDI音源の対応はウルフチームのタイトルとして初めての事である。
続くメガドライブ版では、FM音源の音色の少なさを逆手にとったアレンジを加え、サウンド用のZ80CPUのみでドライバーを動かしている。