ギャンレル
ぎゃんれる
ファイアーエムブレム覚醒でペレジアの国王である人物であり序盤のクロム達の敵とでも言うべき人物。
争いを好み、人を欺くことに悦びを覚える性格である。
過去にイーリスと戦争をし疲弊したことでイーリスの事を恨んでおり、武力でイーリスを叩き潰そうと企てる。
山賊行為などを行う他、マリアベルを拉致しつつ不法侵入と題し賠償金を取ろうとするなど下劣な策を以ってイーリスを挑発し、その際のクロム達自警団の行動により戦争へと発展していく。
その後、エメリナを拉致し処刑しようとしたところをクロム達に乱入されるが、参謀ともいうべきインバースの呼び出した屍兵により救出作戦を失敗に終わらせる。しかしながらこの時のエメリナの遺言により戦意を喪失したペレジア兵のほとんどが交戦を拒否したため戦力での優位を失った。
それでもあくまで強気で、引き返したクロム達と対峙するが、その戦いでついに敗れることになる。
喧嘩っ早い国王であり、民の支持は次の敵というべきヴァルハルトと比べると非常に薄い。
実際実力も彼と比べると低く、国王でありながらトリックスター(盗賊の上位)である。
というのも彼は元から王族の生まれという訳ではない。
貧民街で奴隷に落ちた元貴族の母親のもとに生まれたのである。
その母親は病と貧困で死に、母親を守れなかったことに鬱屈した感情を抱えた末に「力が無ければゴミだ」という信念を持つようになり(恐らく性格も上記のように歪んでいき)、あらゆる悪事に手を染め、貧民街という底辺からペレジアの王にまで成り上がるに至ったのである。
クロムたちに敗れ死亡したと思われていたが、2012年5月2日にいつの間に通信で配信された追加マップ『死せる愚者』で生存確認。
全てを失って大海賊の手下に成り下がっていたが、クロムの説得を受け、自身の命を使い潰す事を条件に自軍に加わった。
ちなみにこの時はクロムで3回話し掛けなければいけないという前作の某軍師並の面倒くささである。
支援関係を結べるキャラはマイユニットただ一人のみ。
そこでイーリスとの戦争を引き起こした、彼の真意を知ることができる。
あと意外と高所恐怖症である。
なおDLCマップでは、過去作からのキャラクターに邪竜のブレス並の爆弾発言をぶちかます不敵さを見せつけている。当時のファンは注意したほうがよろしい。
本当に暗愚王だったのか
本編中でも“暗愚王”とキッパリ表現されているギャンレルだが、実際にそれほど暗愚だっただろうか?
おそらく否である。ギャンレル時代のペレジアは西大陸3大国のうちでも有数の裕福な国家である。
ギャンレル以前からそうだったのではないか、というと実はこれも否である。以前のペレジアは聖王の権威を振りかざすイーリスに苛められており、これが事実だとするとイーリスでエメリナ着位する以前のペレジアはボロボロだったはずである。
だからこそ、対イーリスで強気に出るギャンレルを強く支持する人間も多かった。
(ムスタファのような古い気質の軍人には受けが悪かったようだが)
ギャンレル自身は無神論者だが、ギムレー教団の活動を黙認したのも自身の政治基盤を固めるためである。
さらにギャンレルはヴァルハルトが西大陸に領土的野心を持っていることを知っており、それに対抗する軍備を整える必要性に駆られていた。
ヴァルハルトのような問答無用な相手がいるのに軍縮を叫ぶエメリナ率いるイーリスは、その上で非常に邪魔だったわけである。
そのため多少乱暴な行動をとってでもイーリスを併合したかったのだ。
(このことはルフレとの支援会話で明らかになる)
また仮想敵国をつくって国民を扇動し、国威発揚に利用したり、国内の不満から国民の目をそむけさせたりするのは、現代においても政治の常套手段である。
逆にクラウゼヴィッツ以降の観点から見るとエメリナの方こそ賢王とは言い難い。武力を強化する相手がすぐそばにいるというのに軍縮を強行し、何かにつけて「話し合いで」というやり方は最悪国内外の誰からも支持を失う可能性が高い(※)。
結果的にギャンレルの方から手を出したため、エメリナとその死は神格化されることになるのである。いわばエメリナの名誉はギャンレルに助けられたようなものなのだ。
- ※:よく現代の日本がそうだと言われる。「弱腰外交」と言われ国内外から批判も強い。ただ、日本はそれでも専守防衛とはいえ先進国有数の戦力を保持している。日本が外交的に「話し合いで」と言う裏には、「そんなに戦争したいんなら俺が相手になってやる、かかって来い!」というニュアンスを相手に与えることになる。自衛隊と全面戦争したら米軍でもズタボロになるのは免れない上に日本からの投資がなくなって経済的にも壊滅するので日本の意見を無視できないわけである。
ギャンレルのほぼ唯一の決定的失点はエメリナの自滅を待てなかったことである。しかしこれもヴァルハルトの台頭に脅かされた結果である。