概要
青を基調とした軍服が特徴であり、寒冷地では上から黒のコートを羽織り、逆に乾燥地帯ではベージュのコートと軍帽を被る事もある。拳銃やサーベルの携帯が許されている。
地理によって東西南北+中央の5軍に分割されているが、内陸国の為に海軍は無い。作中に登場する人物の大半は兵卒を統率する立場の「士官」であり、実際に士官学校も存在する事が明かされている。
本作の舞台である同国が、大総統を中心とした完全な軍事国家であり、立法・司法が完全に軍の傀儡とされている為に、“アメストリス軍=アメストリス政府”と考えて差し支えない。主人公であるエドワード・エルリックは事実上の軍属で、アルフォンス・エルリックも間接的ながらもこの軍に関わっている。それ以外にも物語の重要人物の多くが、このアメストリス軍の関係者である。
エドを初めとする国家錬金術師は、資格取得の際に軍への忠誠を誓わされる為に、有事の際には非戦闘系の錬金術師であっても動員をかけられる。ちなみに国家錬金術師は全員が少佐相当官の権限を有する(その為に、彼等の権限なら下級士官程度であれば簡単に首を飛ばせてしまう)。
実際の所、ネタバレを含む為に詳細は省くが、この国及び軍自体がある思惑の下で生み出された傀儡組織でもあり、そのせいで特に現在のブラッドレイ政権になってからは、イシュヴァールの内乱やリオールの宗教暴動などを始めとする国内の騒乱に対して、不必要なまでの苛烈な対応を行ったり、隣国とも小競り合いを繰り返して対立を深めたり、さらに中央部には国民の事を顧みないような独善的な将校が数多く蔓延っていたりと、その内実は国家の体制に伴って極めて好戦的かつ退廃的な軍隊となっている。「国家錬金術師制度」も実際はこの思惑の下で成立された制度である。
特に旧アニメでは、無抵抗の国民に反乱関与の「疑い」だけで引き金を引くなど、その過激ぶりは原作以上に強調されていた(原作でもそういった事が行われていた事が言及はされている)。
この為に、アメストリス国軍や現政権に対する不満や反感は地方に行く程に根強く燻っており(逆に国土拡大による経済向上等の恩恵を最も受けていた中央に住む国民からは、一定の支持を集めていた模様)、地方に行く程に軍関係者を忌み嫌っている者は多く、特に国家錬金術師はそんな軍の一種の象徴として「軍の狗」と呼ばれ、一般の国民はおろか錬金術師達からも嫌われている。
同時に極めて中央集権的な体制である事から、逆に地方の軍部には殆ど実権はなく、さらには軍上層部の意向にそぐわないような者は悉く地方に飛ばされている為、同じ軍内部でも特に地方の軍では現在の中央の軍上層部の体制に不満を持つ者は少なくない。逆に中央で勤務する事を目指して賄賂等の手段に走る者もおり、中央の姿勢もあって軍内部の腐敗も加速度的に進んでいる。
また、アメストリスは建国時から「お父様」の影響もあって、首都の中央が敵国などの外部の敵勢力に攻められた事や大規模な戦場になった事が一度も無いせいで、中央軍には実は拠点防衛にまつわる実戦経験が殆どなく、首都防衛の為のノウハウが整っていないのが弱点であり、最終決戦ではブリッグズ兵や東方軍との戦闘で、この弱点を突かれて彼等に翻弄される事になる。
なお、本作に登場する軍人の多くは武器メーカーや航空機メーカー、兵器関連の用語などから名が取られている。
ちなみに非戦闘員は、基本的に軍服に袖を通す事は無いのだが、軍法裁判所勤務になったシェスカはタイトスカート型の制服を着用している。また、国家錬金術師がイシュヴァール殲滅戦に参加した際には、明らかに非戦闘員であるティム・マルコーも軍服を着用していた。
階級別所属者一覧
大総統
将軍
以下、国家錬金術師には☆を附属。
佐官
- マース・ヒューズ(殉職により准将に昇格)
- ゾルフ・J・キンブリー☆
- ヴィーナス・ローズマリア(神を継ぐ少女)
- アストン・マーティンス(迷走の輪舞曲)
- ドルケン(咎人たちの傷跡)
尉官
上級大尉
- ヴァトー・ファルマン(北方で少尉に昇格)
下士官
キンブリー直属部隊
退役・脱走者(いずれも階級不明)
- バルド(脱走後革命組織『青の団』結成)※旧鋼で判明
- ゾルフ・J・キンブリー☆(収監時少佐。旧アニメ原作双方で脱獄/出所後に軍に復帰する)
- ドルチェット(デビルズネストのメンバー)
- ロア(同上)
- マーテル(同上)
- アイザック・マクドゥーガル☆(原作でも名前のみ登場している)