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世界は美しくなんかない。そしてそれ故に、美しい。

― The world is not beautiful: therefore it is. ―

概要

『キノの旅― the Beautiful World ―』とは電撃文庫を代表する作品のひとつである。

第6回電撃小説大賞応募作で、最終的に受賞は叶わなかったが高い評価を受けたため、2000年3月から文庫化され、現在ほぼ年1回ペースで23巻まで発売されている(2020年11月現在)。また、『キノの旅 the Beautiful World Best Selection』として読者投票によるベストセレクションが3巻発売された。

イラストは黒星紅白


このほかテレビアニメ1クール2作、劇場版2作、ゲーム2作(これとは別にキャラクターゲスト出演1作)、ビジュアルノベル3冊、ドラマCD1巻、小中学生向けに配慮したバージョン(新規書き下ろし)が角川つばさ文庫から1冊製作または発売されている。

さらにパロディ作品としてネタが多分に含まれた学園キノが存在する。


上述のように広くメディア展開されていながら漫画版は長らく存在していなかったが、2017年に初のコミカライズが行われた。

少年マガジンエッジ講談社)版はシオミヤイルカが担当。2017年3月号にプロローグ漫画が掲載され、同年4月号から2020年9月号まで連載された。全8巻。

月刊コミック電撃大王」版(電撃文庫の版元KADOKAWAアスキー・メディアワークス) から発売)は郷が担当。2017年7月号から2020年2月号まで連載された。全5巻。


内容

10代の少女、キノと喋るモトラド(注・二輪車。空を飛ばないものだけを指す)のエルメスの旅を描く短編集。

大部分は「○○の国」という、ある特徴を持った国家をキノたちが訪問した時の記録という形で書かれている。


ほとんどの国家はなんらかの問題(その問題でその国の人が生活に困っているとは限らず、外国人から見たら問題だがその国の人は気づいていない、という場合もある)を抱えているが、その問題は現代社会に実在するものが多く、いわゆる風刺小説の一面を持つ(舞台や演出等含め)ライトノベルとしてかなりの異色作と言える。


繋がりはあるがそれぞれの短編は独立しているので、何巻から読み始めてもいいように作られている。


万人に分かりやすく書かれているとされるが、軍事兵器、特に銃器関連の描写には定評があり作者の『』を感じさせる。

キノ

作中には、結構な頻度でキノが寝起きの前後に早撃ちの訓練をしている場面が描かれている。


作者は本を買うとエピローグを最初に読む癖があるため、そのように読んだ際にネタバレにならないようにプロローグとエピローグの内容が逆転させられている(エピローグが途中で切れたような終わりかたになっており、プロローグがその続きになっている)。

同様の理由から、あとがきについてもネタバレになるような内容は一切含まれていない。ただし、そのあとがき自体はかなり趣向を凝らした内容となっている。


話によってはこの2人以外にも、「いい物件を探し世界各国を廻る男・しゃべる犬・無口な爆弾娘のホームレストリオ」「髪の長い女性&少し背の低い男性のヤクザコンビ」「お人好し少女と毒舌モトラドの写真屋コンビ」が主役になる場合もある。


世界観

一応この世界は「球体状の惑星上」であることは作中で示唆されている。作中に登場する国家はそのほとんどが都市国家で、多くが城壁で囲まれている。固有名詞である国名は紹介されず、「~の国」と表現される。


歴史や文化、社会体制、法律、価値観、技術水準も千差万別。現実と比べて原始的・前近代的・近未来的など様々で、ロボット人工知能が存在する国もある。国際関係も色々で友好的であれば対立関係の国々もあり、中には他国からその存在が知られていない国もある。


国の外はほぼ無法地帯で、国家間を往来する旅人や商人は最低限の武装が必要。

エルメスや陸のように人語を解す存在がたまにあり、ほとんどの人がそのことを受け入れている。


登場キャラクター

※詳細は当該項目も参照。CVはアニメ旧作 / 多数決ドラマ&アニメ新作の順で表記。


主人公

『×××××××××』

キノ

CV:前田愛(女優) / 悠木碧

主人公。年齢は10代半ば。エルメスに乗って世界中を旅している。

少年のようで度々性別を間違えられるがれっきとした女の子(ボクっ娘)。

3丁のパースエイダー()を携帯する射撃の達人。他にもモトラドの操縦技術を会得してる他、歌唱力や容姿そのものにも恵まれている。

淡々とした口調であまり感情を見せる事はないが、かなりの食いしん坊かつ貧乏性。

『一つの国には三日間だけ滞在する』というルールを己に課している。


Brough Superior SS100 2

エルメス

CV:相ヶ瀬龍史 / 斉藤壮馬

しゃべるモトラド。ブラフ・シューペリアSS100という実在のオートバイがモデル。

キノの祖国でポンコツのまま放置されていたものを、初代キノが修理した。

キノ同様淡々とした口調で感情を見せる事はないが、かなり口数が多い。

走ること・しゃべること・メンテナンスされることが好きで、逆に雑に扱われたり物置台やテーブルとして使われるとブツブツ文句を言う。自分じゃ全く動けない。

寝起きが悪く、大抵キノにたたき起こされて一日が始まる。


レギュラーキャラクター

シズ組

キノの旅 模写

シズ

CV:入江崇史 / 梅原裕一郎

1巻『コロシアム』より登場。とある理由から祖国を出て放浪する事になった青年。

緑色のセーターを着て、腰に日本刀を下げている。銃で撃たれても刀で弾丸を跳ね飛ばしてしまう程の達人で、彼の前では銃は基本的に無力。

困っている者や歪みを抱えた状況を放っておけないお節介な性分の持ち主で、場合によっては強引な手段をとる事もある。安住の地を探す目的で旅を続けているが、その良識と薄幸さからどの国にも馴染めずに終わってばかり。


CV:大塚芳忠 / 松田健一郎

大きなサモエド犬。人語を話す。オス。

なぜかシズをご主人様と呼んでなついており、一緒にバギーに乗って旅をしている。

シズ組がメインの回ではいつも彼が語り手となり、彼の視点で物語が語られている。

キノのことは気に入っているが、エルメスとは犬猿の仲。

嫌いではない相手には基本的に謙虚な態度だが、それでもモノローグはかなりシビア。


ティー

CV:能登麻美子 / 佐倉綾音

8巻『船の国』より登場。本名はティファナ白髪無口無表情な12歳ぐらいの幼女

とある国で生まれ育ち、訳あってその国が滅亡する時、滞在していたシズに引き取られた。滅多に口を開かず、彼女のセリフは必ず全てひらがなになっている。

手榴弾を始めとした爆発物を気に入っており、たまに口を開いても物騒な発言ばかりでその都度シズに諭されている。その思考はシズにも陸にも読むことができないが、二人と全く異なる目線で世界を見ているためたまに思いもよらない発言をして彼らを驚かせることがある。


師匠組

流れる黒髪さんと

この二人がメインの回は、現在ではなく過去の話(具体的に言うと数十年前)となっている。

現在は二人とも老人で、おんぼろのスバル360に乗って世界を旅していた。


師匠

CV:渡辺明乃〈若い頃〉・翠準子〈現在〉(旧作アニメ) / Lynn〈若い頃〉(多数決ドラマ、新作アニメ)・沢田敏子〈現在〉(新作アニメ)

キノの師匠にして金の亡者の女渡世人。

キノからも「相棒」からも師匠と呼ばれるが、彼女が旅の心得を指南したのはキノだけである。

大変に金銭欲が強く、ほとんどの行動はそれが儲かる話かどうかで決定している。

基本的に儲け話であれば少しの躊躇も無く人殺しもするし、金にならなければ目の前で殺されそうな人を助けることもしない。場合によっては虐殺に近い行為すら行うが、結果的に彼女の行動が周りの人々から感謝されることもしばしばある。

年老いた現在は旅をやめ森で生活しているが、やはり近隣国からは今でも恐れられている。


相棒

CV:千葉進歩 / 興津和幸

2巻『狙撃兵の話』より登場。6巻『長のいる国』で師匠と出会い、ともに旅するようになった男。元賞金首でお尋ね者。

師匠には及ばないが彼自身もかなりの戦闘術や知識を持ち、銃整備の腕は師匠を上回る。元暗殺者で、劇中でも暗殺用グッズを詰め込んだ鞄を所持していたりする。

飄々とした性格で優男のような雰囲気もあり、師匠がひどすぎる為マシに見えてしまうが自身も中々に非道。


フォト組

キノ・シズ組と同時系列。他の組とは異なり、定住生活を送る形で物語が進行する。


フォト

CV:水瀬いのり(新作アニメ)

現在は写真屋を営む17歳の少女。

身寄りのない孤児で、旅商人たちに奴隷として売られ虐げられていたが、ある事故で一人だけ生き残り、その時に出会ったソウと行動を共にすることに。

本作では珍しい極めて道徳的な性格で、良くも悪くもお人好し。活発で天真爛漫だが、一方で頑固な面があり、死線をくぐってきたせいか割と肝が据わっている。

多少世間知らずでもあるため、定住先を見つけた後、ソウの指南の元で生活を送っている。


ソウ

CV:緒方恵美

『雲の前で』でフォトと出会った折り畳み式のモトラド。モデルはホンダ・モトコンポ。15巻以降のフォトがメインになる回では彼が語り手となる。やはりしゃべるが動けない。

透き通った高い男性の声でしゃべるが、エルメスと比べるとガラが悪く、性悪的な考え方をする。

元は商人の売り物だったが、出会った事件が元でフォトを生き残らせるべく彼女を導く。

常識的な思考を持ち、口こそ悪いがフォトの事はしっかりと思いやっている。定住後も、フォトの指南役として彼女と行動を共にする。


その他の登場人物

キノ(初代)

CV:井上和彦(旧作アニメ・ゲーム版) / 小野大輔(新作アニメ)

1巻『大人の国』に登場。キノが旅に出る切っ掛けとなった重要人物であり、現在のキノの名前やロングコートとエルメス、旅のルールは彼を踏襲したもの。

原作では短髪で瘦身の男性と描写されているが、挿絵は無く旧作アニメと新作アニメ、ゲーム版とコミック版で全て容姿が異なる。


さくら

CV:八武崎碧〈現:悠木碧〉 / 天野心愛

2巻『優しい国』に登場する少女。宿屋の娘で、入国したキノを歓迎し案内人を務める。

原作者の時雨沢は新作アニメのインタビューにて、八武崎碧が悠木だと気づかず、その経歴を見て驚いたと語っている。


イナーシャ

CV:川澄綾子

5巻『病気の国』に登場する長い金髪の少女。裕福な身だが、伝染病を患っている。


ラファ

CV:川澄綾子

6巻『祝福のつもり』で登場する、シズと出会った三つ編みの少女。貧困層の出身で、シズに自分を買ってくれるよう頼み込む。


戦車

2巻『本の国』、6巻『戦車の話』、9巻『続・戦車の話』に登場するしゃべる戦車。戦車長が死ぬ前に残した命令に従い、ある戦車を破壊するべく旅をしている。


イーニッド

3巻『終わってしまった話』に登場する少女。海賊の頭領の娘であり、現在は作家をしている。


アニメ

一作目

2003年4月から7月にかけてWOWOWにて全13話が放送された。ACGTによる制作。

また、2005年2月に劇場版『キノの旅 何かをするために -life goes on.-』、2007年4月に『キノの旅 病気の国 -For You-』が公開された。後者はシャフトによる制作。


主題歌

オープニングテーマ

「all the way」下川みくに


テレビアニメ版エンディングテーマ

「the Beautiful World」前田愛


劇場版第1弾エンディングテーマ

「はじまりの日」前田愛


劇場版第2弾エンディングテーマ

「Bird」下川みくに


各話リスト

話数サブタイトル
第1話人の痛みが分かる国 -I See You.-
第2話人を喰った話 -I Want to Live.-
第3話予言の国 -We NO The Future-
第4話大人の国 -Natural Right-
第5話レールの上の三人の男 -On the Rails-
第6話コロシアム(前編) -Avengers-
第7話コロシアム(後編) -Avengers-
第8話魔法使いの国 -Potentials of Magic-
第9話本の国 -Nothing Is Wriiten!-
第10話機械人形の話 -One-way Mission-
第11話彼女の旅 -Love and Bullets-
第12話平和な国 -Mother's Love-
第13話優しい国 -Tomorrow Never Comes-

二作目

ニコニコ版はこちらから


ニコニコ版はこちらから


「キノの旅 -the Beautiful World- the Animated Series」というタイトルで2017年秋アニメとして放送。Lercheによる制作。

放送局はAT-XTOKYOMXサンテレビKBS京都およびBS11に変更。


主題歌

オープニングテーマ

「here and there」やなぎなぎ

第1話、10話、11話では未使用


エンディングテーマ

「砂糖玉の月」やなぎなぎ

第11話では未使用


各話リスト

話数サブタイトル原作(収録巻)
第1話人を殺すことができる国「森の中でa/b」(1巻)「人を殺すことができる国」(5巻)
第2話コロシアム「コロシアム」(1巻)
第3話迷惑な国「迷惑な国」(7巻)
第4話船の国「船の国」(8巻)
第5話噓つき達の国「旅人の話」(ビジュアルノベル)「噓つき達の国」(7巻)
第6話雲の中で「雲の中でa/b」(3巻)「雲の前で」(12巻)
第7話歴史のある国「歴史のある国」(8巻)
第8話電波の国「電波の国」(9巻)
第9話いろいろな国「山賊達の話-Can You Imaging!-」(12巻)「徳を積む話-Which is Killer-」(12巻)「料理の国-Original-」(17巻)「ティーの願い-Get Real !-」(10巻)「美しい記憶の国-Beautiful Memories-」(19巻)「アニメなあとがきの国」(アニメオリジナル)
第10話優しい国「優しい国」(2巻)
第11話大人の国「大人の国」(1巻)
第12話羊たちの草原「羊たちの草原」(20巻)

ゲーム

PS2で2作発売されている。

キノの旅 -the Beautiful World-

キノの旅Ⅱ‐theBeautifulWorld‐

どちらもデジタルノベルアドベンチャーゲーム


ゲームオリジナルの登場人物

旅人

無印のアドベンチャーパートの主人公。

基本的に原作でキノがかつて訪れた国を回る事になっているが、「優しい国」のアナザーストーリーとして逆にキノがまだ「優しい国に」訪れる前の話しのエピソードの「噂どおりの国」がある。

固定された名前は無く、選択肢もほぼ行動で、個性はできる限り取り払われている。

台詞は全てナレーションにあてがわれおりボイスは無い。


セイ

CV:浪川大輔

Ⅱのアドベンチャーパートの主人公。砂漠にある、資源が豊富に採れる国出身。

自分の国に訪れて親密になった初代キノとの再会を目的に旅をしていたが、キノの死を知ってからは現代キノの事を「他人の名前を偽り悪行をする者」と捉えて追跡する事になる。

プレイヤーの選択肢やEDによって様々な性格に変化する為、キャラキターは非常に曖昧


ジャン

セイの相棒のモトラド。

名前はセイと初代キノの初対面時に、キノが瞬間的に付けてくれたもの。

ストーリー中度々セイに話しかけられているが、非常に無口な性格で台詞は全て「……」。

1枚絵は無くモデルは不明。エルメスからは「無口なモトラド君」と呼ばれていた。


関連イラスト

センシティブな作品【キノ】

xxx


関連タグ

ライトノベル 電撃文庫 時雨沢恵一 黒星紅白

学園キノ


創竜伝薬師寺涼子の怪奇事件簿社会風刺を積極的に取り入れた作品の先達。前者は時雨沢作品とは別ベクトルで変わった後書きでも有名。ただし、作者が政治的なメッセージを優先しすぎていて、近年の読者による評価は『ストーリーのバランスを完ッ全に崩している』とされ、さらに軍事・兵器関連に言及する場面が多いにもかかわらず描写が完ッッッ全に間違っている場合が多い。


星新一…オムニバス形式や風刺の使い方などから察するにこちらが参考元かもしれない。


外部リンク

公式サイト

2017年版アニメ公式サイト

キノ役・悠木碧&エルメス役・斉藤壮馬インタビュー

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