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ホテル・バンドー

ほてるばんどー

『ホテル・バンドー』とは、ゲーム『逆転裁判』及び『逆転検事』シリーズに登場する、ホテル及びそのグループ企業である。
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概要

逆転裁判』第2話『逆転姉妹』に初登場。『綾里法律事務所』及び、その後継事務所となった『成歩堂法律事務所』の向かいに本店を構えている。事務所の窓からホテルの姿がよく見える位、至近距離に建立されている。登場の度に経営戦略を悉く成功させ、出世を重ねて、営業規模が拡大しているのが特徴。成歩堂が時折、事務所の窓からホテルを眺めているだけで「ホテルの栄光の足跡」は把握可能で、彼に時の流れを感じさせる一因ともなってもいる。


『逆転』シリーズに登場する各種企業としては珍しい事に、事業面での関係者が何らかの不祥事を起こしたり、犯罪行為に及ぶ等のトラブルには1度も見舞われていない。後に起きた事件を通じて関わる事になる『コナカルチャー』や『英都プロダクション』を筆頭に大企業は幾つも登場するが、他社が何かしらの問題を抱えている中で「作中の各種企業の中では、最も問題とは無縁に大繁盛している」と言っても過言ではない。現在はホテルの支配人である板東ホテルのボーイの「関連事件を宣伝に利用しての、不謹慎な営業計画を実行する問題点」はあるが、それさえ除けば経営方針や営業形態にも然したる問題点は見られない。大小合わせて他の企業が、何らかの後ろ暗い背景を抱えているのとは対照的である。『逆転裁判123』及び『逆転検事』の時代においては言及を含めて、ほぼ全作品に登場している。


成歩堂龍一の弁護士人生、御剣怜侍の検事人生は、このホテルと共にあった」と言っても良く、彼らは事件の捜査を通じて、後に支配人及びグループの重役へと昇格を果たす、板東ホテルのボーイと出会い、運営施設内外で発生した事件を通じて成長して行った。実際「2人の人生の岐路となる、事件の舞台または関連施設」として登場する事が多い。


運営施設

『板東ホテル』

初登場時は『板東ホテル』という、ごく普通のビジネスホテルだった。ただし、この時点で既に「上級」と名乗れるだけの設備が整っている。当時、当ホテルのボーイ長を務めていた青年が、向かいにある『綾里法律事務所』での殺人事件の真犯人と共犯者が事件当時、宿泊する形で活動拠点としていた事を積極的に宣伝するという経営戦略を打ち出し、大成功を収めたボーイは僅か1年でホテルの支配人へと立身出世を果たした。各客室には土足のまま上がる事が可能で、宿泊客の疲れを癒す為に静物画造花が設置されている。バスルームも付属(恐らくユニットバス


『ホテル・バンドー・インペリアル』

前述のボーイという新たなる支配人での体制の下『ホテル・バンドー』へ改名し、以降はこの名称で固定される。多方面に事業拡大を行い、豪華ホテルへと大いなる進化を遂げた。その支店として建設されたのが当ホテルであり、宴会場はまるで黄金の宮殿や大豪邸を想起させる、豪華絢爛な内装となっている。多種多様な施設が併設されていて、プールレストラン街、結婚式場の他、前述の宴会場まで完備されているので、多方面からの利用を楽しめる。日本の特撮俳優にとっては最高の名誉を得られる『全日本ヒーロー・オブ・ヒーロー』の授賞式の会場にも選ばれる程、高名かつ大規模なホテルである。同時開催された授賞記念パーティーは宴会場にて盛大に行われた。アニメ版では「ラスベガス系の巨大ホテルの様な外観」として描写された。また近くには『大江戸戦士トノサマン・丙!』で主演を務める人気イケメン俳優・王都楼真悟の邸宅がある。


『バンドーランド』

「面白くて、楽しくて、尊くて‥‥あなたの瞳に『バンドーランド』」がキャッチフレーズの『バンドーグループ』が運営するレジャー施設。コンサートが行われる『ステージエリア』、西部劇をモチーフとした『ウエスタンエリア』、お化け屋敷をモチーフとした『ホラーエリア』の3つのエリアで構成される。開園までに本グループでは様々な事件があり、その度に縁があった警察の全面協力の元、マスコットキャラクターとしてタイホくんファミリーを起用、手錠を模したジェットコースターや警察局寄贈のサボテンがあり、警察関係者によるバンド『ガリューウェーブ』のライブ、園内に1人ずついるタイホくんファミリーとのフォトラリー企画が行われる。また移動売店として、タイホくんファミリーが運転する「タイホくんカー」にて『無罪キャンディ』『有罪クッキー』等の菓子を販売している。


関連タグ

逆転裁判 板東ホテルのボーイ トノサマン タイホくん




以下ネタバレ注意




超豪華ホテル、栄光の歴史

逆転裁判』第2話『逆転姉妹』&第5話『蘇る逆転

一端のビジネスホテルである『板東ホテル』は創業以来、多くの宿泊客に愛され繁盛して来た。道路を挟んで向かい側のビルには『綾里法律事務所』が入っており、特に3階の303号室からは事務所がよく見える様になっている。2016年9月、1組の男女がホテルを訪れる。男性は小中大、女性は松竹梅世と言い、奇しくも『綾里法律事務所』が窓から見える303号室にチェックインする。片やマッチョな体型を持つマダムキラー、片やグラマーな容姿の美女であり、フロントでは注目の的になっていた2人は悪徳企業『コナカルチャー』の社長と秘書の関係にあった。一連の給仕を担当した当時のボーイ長にして現支配人の青年も、チェックイン時に梅世の美貌に取り入り、ルームサービスを届ければ接吻を貰う等の役得もあり自信に満ちた表情になっていた。数時間後、小中は多忙を理由に外出し、部屋を空けることに。それと時を同じくして『綾里法律事務所』で所長・綾里千尋が殺害される事件が発生。凶器は所長室に置かれていた『考える人の置き時計』で、この私物を鈍器として利用された結果、彼女は撲殺され、303号室の窓から事件の一部始終を目撃していた梅世の通報により、傍らで泣いていた妹の綾里真宵が逮捕される。

翌日、ボーイがいつものように303号室にルームサービスを届けに行くと、同室には殺害された千尋の弟子にして新米弁護士・成歩堂龍一が来ており、彼に対し「『コナカルチャー』の小中という人物から電話があった」旨を梅世に託けるよう伝える。その梅世はバスルームで美脚を伸ばしており、外の会話には気付いていなかった。


事件の捜査と裁判が進展するにつれ『板東ホテル』は「真犯人・小中と共犯者・梅世が千尋殺害を目的に、宿泊先にして活動拠点として利用していた事」が明らかとなり、事件当時の2人の動向を探る目的で「ボーイが法廷に証人として緊急召還される」等の展開を見せて、大いに世間の注目を集める事となった。小中と梅世は自分達の不正行為を暴いて、告発する準備を進めていた千尋を口封じ目的で殺害し、彼女を殺す最適なタイミングを伺う為にホテルに宿泊し、事務所の盗聴を行っていたのだった。事務所の盗聴に使われた盗聴器はドライバーが引っかかっていたタンスの引き出しに入っており、成歩堂がこれをテーブル上の2つのワイングラスと共に訝しみ、当初梅世は引きつった表情とキツイ口調で止めていたが、結局数時間後に彼女が入浴している隙を見て発見された。


当時のボーイ長は、証人を務めた翌日からは「この事件を利用しての事業拡大計画」に乗り出し、303号室は「殺人犯が盗聴に使った部屋」、自分自身は「殺人犯に茶を運んだボーイ」、そしてホテルそのものは「殺戮の館」として大々的に宣伝する様になった。後の303号室には「殺人現場となった、法律事務所を覗ける望遠鏡」まで設置された。「全体的に不謹慎」と言う他ない経営戦略だが「いつの時代もある程度、不謹慎な物事が流行るのは世の常」だからか、この戦略を大成功させた只のボーイ長であった青年は、程なくして支配人にまで昇格した。彼の手腕によってビジネスホテル『板東ホテル』は、高級ホテル『ホテル・バンドー』としてリニューアル・オープンする運びとなった。


千尋殺害事件は後の世で「美人弁護士殺害事件」として有名となり、有名な悪徳企業『コナカルチャー』の社長と秘書が犯人である事、この事件の元凶が15年前に国中を震撼させた挙げ句、迷宮入りとなっていた「DL6号事件」であり、こちらの事件も数ヶ月後には真相が解明された事によって、ホテルの経営陣の期待を遥かに上回る、注目と収益を集める結果に至った。一連の事件の発生あってこそ、今日の繁栄に結び付いているので、不謹慎な言い方となるが「『ホテル・バンドー』は自業自得の人物達も含めて、大勢の人々の人生を不幸にした「DL6号事件」を通じて、幸福を獲得した唯一の存在」と言えるかもしれない。


支配人となった青年と「美人弁護士殺害事件」の担当弁護士・成歩堂龍一、担当検事・御剣怜侍には、それぞれ親交が生まれた。亡き師匠から事務所を受け継いだ成歩堂には、毎年欠かさず年賀状と暑中見舞いの葉書が送られる様になり、検事局に勤務する御剣にはボーイとして気に入られ、わざわざ彼の執務室までルームサービスを運びに行く、特別な仕事を請け負っている。高給となる専属の仕事を与えてくれた上、頻繁に顧客の御剣にティーセットを運ぶ職業柄、彼とは懇意にしている模様。反面、一方的かつ定期的に手紙を送っているだけの浅い関係にある、成歩堂の事はやや見下している。手紙に「私が小中に関する宣誓書を書いてやった」と恩着せがましい文章を書いたり、初対面から数ヶ月しか経過していないのに『蘇る逆転』での事件の捜査中、再会した時には成歩堂の顔を忘れていた。彼はこれと言って、当時のボーイ長からの恨みを買う様な事はしていない筈なのだが。後日、支配人は御剣の執務室である物を発見する。それは「検事・御剣怜侍は死を選ぶ」の書き置きであり、目を通した彼は「寂しくなる」とばかりに肩を落としていた。


逆転裁判2』第4話『さらば、逆転

上記の経緯を経て完成した、系列の支店『ホテル・バンドー・インペリアル』は「芸能界屈指の一大イベントの開催地」とされる名誉を得た。「日本一の特撮ヒーロー」として認定されたヒーローにグランプリが授けられる、第3回『ヒーロー・オブ・ヒーロー』の授賞式とその授賞記念パーティーが同時開催される事となったのだ。今回は特撮キャラとしては『大江戸戦士トノサマン・丙!』の主人公・トノサマン・丙が、担当俳優としては王都楼真悟がグランプリを授賞した。それから宴会場では授賞記念パーティーが行われ、ホテルのスイートルームを各自の控え室として利用していた『ヒーロー・オブ・ヒーロー』の出場者達は休息を取っていた。その最中、王都楼のライバルにして、出場者の1人でもあった『忍者ナンジャ』の主人公・忍者ナンジャ役の藤見野イサオが自身の控え室で絞殺死体となって発見された。凶器は「忍者ナンジャの衣装の一部であるマフラー」であった。それは番組を越えて繰り広げていた両者による白熱の戦いに、最悪の形で決着が付いてしまった瞬間でもあった。


今回の事件の真犯人は王都楼であり、彼は自分の恋愛スキャンダルを公表して、失脚させようと企図していた藤見野を殺害して口封じする目的で、凄腕の殺し屋・虎狼死家左々右エ門に依頼して藤見野の殺害を代行させたのだ。王都楼の共犯者となった虎狼死家は、事件を起こす数日前から「ホテルのボーイ」に成り済まして潜入していた。そして王都楼も藤見野もグランプリを狙っていた『ヒーロー・オブ・ヒーロー』授賞式が終了した頃合いを見計らって、標的が自分の控え室に1人でいた所にボーイを装って入室すると、ものの数分間で藤見野の殺害を済ませたのだった。この様子は、控え室に犇めいていた熊の縫いぐるみの1つに仕込まれた監視カメラが捉えており、前回の盗聴器と同様に成歩堂が電波障害でトランシーバーにノイズが入ったのを怪しく思い、糸鋸の電波探知機を使って発見している。


前回の「美人弁護士殺害事件」では、ホテルは真犯人と共犯者が宿泊先とした上で、盗聴や現場工作に利用しただけなのに、ホテルのキャッチコピーは「殺戮の館」としていたが、今回の「忍者ナンジャ殺害事件」では本当に殺人現場となってしまった。しかも殺人の首謀者・王都楼と被害者・藤見野が共に宿泊し、共犯者・虎狼死家がボーイに扮しての潜伏まで行われていた為「前回以上に事件関係者達がホテルとは密接な関係」となってしまっている。事件のキーパーソンにして、王都楼のマネージャー・華宮霧緒も当然、宿泊者の1人である。虎狼死家は依頼者に容疑が掛かる事を阻止する為、徹底的に証拠を残さずに現場を後にするのが常なので、依頼者が逮捕される事は基本的には起こらない。しかし王都楼と藤見野に私怨を抱く、霧緒が復讐目的で「昼食のステーキのナイフを胸に刺す」「トマトジュースのグラスに指紋を残す」等の現場工作を幾つも行い、偽装された証拠品の数々によって、控え室で仮眠していた王都楼は藤見野を直接、殺害した容疑で逮捕される羽目になった。


依頼者の窮地を見かねた虎狼死家は再びボーイに変装し、授賞記念パーティーの参加者だった綾里真宵を秘密裏に誘拐。その後、同じく参加者だった荷星三郎に渡したトランシーバーで彼女のパートナー・成歩堂を「王都楼の担当弁護士になって、無罪判決を勝ち取らなければ、真宵の命を奪う」と脅迫する。弁護士として史上最大の緊急事態を前に、成歩堂は「真宵の救出」を目的に、普段は敵対関係にある検察側の人々とも協力し合い、勇猛果敢に捜査にも裁判にも挑むのだった。苦難の連続の果てに成歩堂と協力者達は、虎狼死家が連絡目的で送って来た無線機を通じて「王都楼が虎狼死家の弱味を握るべく、熊の縫いぐるみの目の奥の監視カメラで、犯行の一部始終を盗撮するという裏切りを犯していた」と彼に暴露する事で状況の打開に成功する事となる。虎狼死家は裏切り者と見なした王都楼を見限り、改めて彼を復讐殺人のターゲットに変更する。同時にやっと用済みとなった真宵は解放された。王都楼は醜悪な本性と悪事の数々が公表されて完全に失脚し、殺し屋から身を守る為に刑務所に匿って貰おうと、自ら求刑した有罪判決を受け入れた末に事件は終息した。


今回の「忍者ナンジャ殺害事件」は日本中の誰もが知る、現在ブレイク中のトップクラスの芸能人が関係者の多数を占めている上、今まで歴史の影に潜んでいた、殺し屋による暗躍と関与といった面から、ある意味では前回をも上回る注目を集めたと思われる。王都楼の所属していた『英都プロダクション』同様、今回の事件に対する事後処理は不明瞭とされているが、そこはあの抜け目の無い支配人の事、確実にホテルの名声や利益を更に上昇させる目的で、この事件も利用していると思われる。


逆転検事』第3話『さらわれる逆転』

更なる経営拡大により、レジャー施設『バンドーグループ』が開園。元ボーイ長であり、支配人を経て、そしてバンドーグループ役員にまで上り詰めた男性もプロトタイホくんの着ぐるみ姿で園内を回っていた。しかしこの夢の遊園地で小倉真澄が殺害され、同時に被害者が仕えていた天野河コンツェルンの御曹司・天野河光が誘拐されると言う事件が発生。この事件は光が借金返済のために思いついた狂言誘拐であり、小倉こと鞍馬純夫の殺害も彼によるものであった。

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