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偽史

ぎし

偽史とは、事実とは異なる歴史……とされるが、真実と虚偽を見分けるのは非常に困難である。
目次 [非表示]

概要

神話民話とされるものではなく、明確に事実としてあったと語られる歴史の中で、実在しない・捏造・脚色されたものをいう。


偽史が生まれる理由

歴史のウソ」が作られる経緯は様々である。


歴史は勝者が作る

  • 乱世を平定することに成功した王朝や権力者は、王朝成立の歴史や自らの主張を正当化するため、旧王朝の皇帝や権力争いに敗れた実力者を不当に貶めたり、自分たちに不都合な事実を隠ぺいすることがある(例1:中国の古代王朝・紂王は一説にはさほど暴虐を働いたわけではなかったとも言われている。例2:日本史においても平家の隆盛を築いた平清盛の経済政策や幕末における幕府の外交交渉には評価する声があがってきている)。
  • 古代王朝の初代支配者(皇帝など)は神の子孫であり、その尊い血統によって王朝を維持することをに約束されていると国民に宣伝し、支配の正当性を認めさせることがある。特にアジア方面に多く、一部では神話となるものがある。そのせいで、ゼウスクリシュナが神話の上では絶倫となっている。
  • また歴史的な事実の中で功績をあげた複数の人物を、特定の人物の功績に集約することがあるともいわれている。(例:江戸幕府・第4代将軍徳川家綱は病弱ということもあって保科正之、阿部忠秋ら優秀な幕閣たちが幕政を担い、それを自分たちの功績にせず家綱の功績としたという)もちろんこれは偽史ではないが、一説には聖徳太子の歴史的な功績も、実在する第31代・用明天皇の皇子・厩戸皇子に朝廷に仕えた官僚・政治家たちの功績を集約したのではないかともいわれている。

小説が通説となる

  • 歴史的大事件の内容や当事者を、第三者により脚色したり他者にわかりやすくしたりすることにより「勧善懲悪」の一言で歴史を片づけたり、物語的に面白くなるようにしたり、無関係の人物を関係づけたりするケース(例:『忠臣蔵』の場合、いまだに浅野内匠頭吉良上野介を切りつけた理由は不明であり、本来、領地では慈悲深い名君として知られていた吉良は物語では悪逆非道な人*として語られている)。
  • フィクションが事実と信じられるもの。歴史的にもよく知られた敗者を勝たせたり少なくとも善戦させたかったり、それほどでもない戦いを大きく取り上げたり、執筆者の関係者やひいきを目立たせたりする、あるいは物語が面白くなるようにエピソードなどを付け加えるなどの一種の願望によって作られたもの(これは資料がほとんど残らない過去の時代や、わずかな虚偽を含むものではない限りは資料などにより否定される。大きなところで有名なものとしては後述の「源義経=チンギス・ハーン説」のほかに、劉備関羽張飛曹操軍に連戦連勝する『反・三国志』などがある)。
  • 上記のフィクションに似たケースとして、歴史物語を語り継ぐものが視聴者の思い入れをかきたてるために実在の人物の活躍を誇張したり、架空の人物があたかも実在したかのように物語に組み込むこともある。架空の人物として有名なところでは『三国志演義』などに登場する関羽の忠臣・周倉、『太平記』に登場する児島高徳などである。これらの人物は物語性のない、いわゆる正史には登場しないため実在の人物ではないと考えられている。ほかに講談・『忠臣蔵』の登場人物・俵星玄蕃もこれにあたるのだが、あまりにも荒唐無稽なため、だれも実在の人物とは考えていない。
  • 民間伝承や不確かな資料を取り込みすぎるパターンも存在する。たとえば「~は~へ行き敵対するものを討伐した」という資料が存在するものの、一次資料にはそれを肯定するものはない、というものがたまに存在する(おそらくは何らかの歴史的事実がのちに取り違えられて残ったもの、あるいは誰かが適当にでっち上げた伝承かもしれない)。また、資料を誤読したため、内容に齟齬が生じるという事例も存在する。

仮説を埋める手段

  • 過去の歴史においては資料などが存在しないという事例がある。この点に関して研究者はその資料にない部分は仮説を立てる。しかしこの仮説に誤りを含む場合、その「誤った仮説」を含んだまま、更なる仮説を立てた際、誤りは増幅されてしまう。この場合誤った部分を途中でうまく修正できれば問題はないものの、一部の研究者にはイデオロギープライドによりそれを行わないことがあり、結果としてその学説が成り立たない、すなわち偽史が発生する。仮説に陰謀論的考察を加えたりするとてきめんである(例:江戸しぐさの伝承者である真の江戸っ子明治維新の江戸開城時にほとんど虐殺されたという話など、もちろん周知のとおり江戸は無血で開城され、このような無益な殺戮を官軍が行った記録はどこにもない)。

イデオロギーによるもの

  • 特定のイデオロギーの主張するため。この場合、二種類存在し、敵対する主義主張を邪悪なものとして攻撃し、その創始者・指導者を犯罪者のように忌み嫌い、打倒するために扇動を行うケース(宗教戦争などに使われることが多い)か、「昔からこのような主張がありました」という根拠とするために自分の都合の良いものを偽装するものが存在する。
  • よくわかっていない事実を含むもの。ある種の侮辱や攻撃をその事実の有無にかかわらず、互いの歴史の調査結果などを一方は事実として認識するものの一方は虚偽として認識して収拾のつかない対立となるケースもありうる。
  • 自分が注目を浴びるために、その「歴史」が掲載されている資料などを偽造するもの。

偽史の類型

  • 自民族起源論

 民族の歴史や起源がほかの「優れた」民族などに由来するという考え。自国中心主義と関係し、超古代文明論と組み合わされることがある。

  • 超古代文明論

 古代文明が発達する以前にそれよりも、一面においては現代文明よりも優れた文明が存在したのではないかとする説。これも自国中心主義と関係がある可能性が存在し、オーパーツスピリチュアルなものを根拠にする傾向がある。

 現在語られている歴史は実は何者かの手でゆがめられており、虚構に過ぎないものであり、真実はこうである、という理論。また、自分の考えや研究に都合のいい歴史を提唱するのもこれではないかと思われる。自国中心主義と関係したり、陰謀論とともに語られることがある。

 歴史上の動きには何らかの黒幕が存在し、その黒幕の手の中で歴史が動いているに過ぎないという考えである。黒幕としては秘密結社、大企業、宗教団体などがあげられる。

偽史の扱い

 これらの過ちを含む歴史の考察などは歴史学を学ぶ、あるいは研究する上では邪魔なものにしかならないものの、それが発生した経緯などを調査したりすることは歴史や文化を研究する上では大いに参考になる作業である。

また、今までは「正しい歴史」とされてきたものがのちの研究により「偽史でした」ということ(稲村の変、すなわち戦国時代において里見氏の領内で起こった内乱が今まで考えられたものと逆だったということが近年の研究より判明した)、あるいは「偽史である可能性が高い」とされていたものが研究により「本当に存在しました」と認められる例がないこともない。例えばトロイア神話扱いされていたがシュリーマンの発掘により実在が確認された。また藤村新一は日本には存在しないとされていた前期・中期旧石器時代の遺跡を次々発掘し、日本の旧石器時代史を塗り替えた、などの例がある。といってもこれらの事例はいわば例外といってもいいものである。シュリーマンは彼の古代ギリシャへの思い入れから歪曲したり遺物に偽装を施したりといった問題行動も多かった。また藤村新一の「成果」は後に捏造が発覚し、現在では全否定されている...といったことにも注意していただきたい。


 またこれらの誤った歴史も単なるネタとして楽しむ分には面白いものもあり、フィクションの題材となることもある。


主な偽史


関連タグ

研究不正 プロパガンダ 歴史修正主義 疑似科学 都市伝説 架空戦記 歴史捏造


偽典/外典:こちらは「なぜ偽物として扱われるのか」自体が研究対象であり、偽史とは根本的に異なる。


参照

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