富野節は、こう使うっ!!
富野由悠季監督は作品に登場するキャラクターに生々しく、やや芝居がかった肉付けをすることで知られる。登場キャラクターは状況に応じたテンションとその場の勢いで妙に芝居がかった台詞、倒置法を多用した台詞、翻訳風の台詞を喋る特徴があり、とにかくインパクトに残りやすい。
更にSF作品では説明セリフが度々必要となるが、富野節では、作中で交わされるキャラクター同士の会話に、我々が日常的に使うような口調で、設定上作中世界では常識である語句やスラングを何の説明も無しに混ぜ込むため、視聴者にとっては突拍子もない台詞がたびたび登場することになる。
それ故に説明が足りず話が見えてこない場合もあるが、妙な説得力にあふれた視聴者の耳に残る名言(迷言ともいう)が跋扈しているため、ファンからは親しみも込めて富野節と呼ばれるようになった。
登場人物たちは会話のドッジボール状態になっていることも多く、そこがかえって視聴者の印象に残る。
富野作品においては、名台詞と呼ばれるものが輩出されない作品はまずないと言っていい。そこはやはり富野氏のセンスによるところが大きいだろう。
なお、本人にはこういった独特の言い回しが一つのジャンルとしてカテゴライズされている事にそこまで自覚はないようである。
富野節の考察など、出来るわきゃねぇだろぉ!
アイーダ・レイハントンを演じた嶋村侑はアフレコ撮影の際、主人公のベルリ・ゼナムとアイーダの間で会話が噛み合っておらず、その点のディレクションで音響監督から何度かNGを食らった際、カメラのインタビューに対して
「お互い自分の言いたいことを言っているだけで、相手の話を聞く気がないんですよね」と、この二人の会話の不一致さに関する考察を行っていた。これは富野作品の多くに通ずるものである。
ただし、富野氏自身は説明不足を計算付くで演出しており、細かい設定の説明をしなくても物語自体はきちんと進むように構築されており、視聴者側に設定が伝わらなくても気にならないようになっている作品が多い。
使用例、提示しなさいよ!
富野由悠季氏は監督であるため作品の脚本を全て担当している訳ではなく、脚本を監修しているだけの場合も多い。
....しかしあまりその点が広まってはいないためか、本人が台詞を書いたか不明瞭なものでもとりあえず富野節として紹介されているケースが多々ある。
本記事も長らくその点が極めて曖昧だったが、今回の編集で以下に表記する名言集では、富野氏が確定で担当しているものと不確定な物を分けることとした。
富野氏が書いた名言
・「エゴだよ、それは!」
・「貴様ほど急ぎすぎもしなければ人類に絶望もしちゃいない!」
・ 「だってよ・・・アーサーなんだぜ?」
・「なんとぉぉぉーー!!」
・「人類の10分の9を抹殺しろと命令されればこうもなろう!」
・「任せてください!・・・って言えるようになるまでには2~3年かかりますよ」
富野氏が書いたか不明な名言
・「オォォーリィィーハァァールゥゥーコォォォォォォォーーーーン!!」
・「赤ん坊を愛おしいと思う気持ちがあればこそ、人間は強く生きられる!」
・「死んでたまるかよ! 俺はまだ十分に生きちゃいないんだ!」
・「暴力はいけない・・・」
・「お前ら待てよ!そんなことやるから、みんな死んじゃうんだろ!」
・「落ちろ、カトンボ!」
・「ごめん、覚えてない。」
・「人の英知が生み出した物なら、人を救ってみせろぉぉーーー!」
・「まったく、マニュアル通りにやっていますというのはアホの言う事だ!」
富野氏が書いた癖になる名(迷)言
- クリム「私には、無駄死にというチョイスはないんだ!」
自身の死を意識して狼狽するクリムのセリフ。この期に及んでプライドたっぷりのセリフを吐いてくれるところがまた魅力と言える。
長々と語っているが、要は新鋭機で即活躍できれば、自分(天才)は天才ということの証明になるといった感じの言い回しだと思われる。自身を天才と信じて疑わないクリムの気持ちの良い台詞。
その他の名(迷)言
スペースコロニーに毒ガスが注入される様を見たカミーユが激昂した時の台詞。言ってることが無茶苦茶に見えるが、カミーユが道理を通り越して「こんなことをする奴は生かしていいわけがない!!」という怒りが伝わる台詞である。
最終決戦で待ち伏せしていたウッソがやってきた時のカテジナの迷言。最早何を言ってるのかすら意味不明だが、要はマリア主義を否定され、最愛のクロノクルも失ったことで自分の選んだあらゆる選択肢が間違っていたのを証明させられてしまい、完全に精神がイカれたカテジナさんの「せめてウッソを精神面で打ち負かし刺し違えた上で、自分もろともその周り全員を道連れにしてやろう」という無理心中を表明した台詞である。文法が滅茶苦茶なところにヤケクソ感が表れている。
∀をジョセフが奪還した時に放った迷言。ギンガナムも思わず「使いやすくしたぁ?!」と応じている。文章としてはメチャクチャなのだが、妙に語呂と響きが良いのがクセになる。
一応経緯を説明しておくと、∀は劇中のどの勢力とも違う時代・文明の技術力で製作された機体であり、本来のコクピットが失われていた為スモーのコクピットを移植されていた状態で、スモーと同じ月側の機体であるフラットに乗っていたジョセフには馴染み易い操作システムになってた点や、鹵獲時にギンガナム軍側で強力な武装を増設してくれたが故の発言だと思われる(実際その武装によりターンXはキャラパスを喪うこととなった)。
アンダーゴレームで水中に逃げ込んだ時の台詞。意味はなんとなくわかるが思わずクスリとなる。
ときめく会話例です
富野氏が書いた台詞
アムロ「何だ?どういうんだ?・・・やめてくれ、こんな事に付き合う必要はない!下がれ、来るんじゃない!」
地球連邦兵「ロンド・ベルだけにいい思いはさせませんよ!」
アムロ「しかし、その機体じゃあ・・・ギラ・ドーガまで?無理だよみんな下がれ!」
ネオジオン兵「地球がダメになるかならないかなんだ!やってみる価値ありますぜ!」
カロッゾ「ふはは怖かろう!!」
セシリー「ああ!?」
カロッゾ「しかも脳波コントロールできる!」
クリム「ジャベリンはぁ!こう使う!――――しまった…!」
デレンセン「なぁにがジャベリンよぉ!」
富野氏が書いたか不明な台詞
ダバ「一目惚れなんて、愛じゃないんだよ!!」
ギャブレー「愛にしてみせると言っている!!」
ダバ「愛だ、愛だ、愛だと言葉に溺れている内は、貴様はボーイだ!子供にクワサンを愛させるものか!」
ハヤト「お認めになってもいいのではありませんか?」
クワトロ「今の私はクワトロ・バジーナ大尉だ。それ以上でもそれ以下でもない…」
カミーユ「歯ぁ食いしばれっ! そんな大人、修正してやるっ!!」
クワトロ「これが若さか…」
ハリー「ギム・ギンガナム!刺し違えてその命もらい受ける!」
ギンガナム「このターンXすごいよ!さすがターンエーのお兄さん!スモーのエネルギーは全て貰っている。ゲンガナムの電力をいただいたようになぁ!分かっているのかハリー・オード!」
ハリー「ユニバァァァァス!!」
ギンガナム「月光蝶である!!」
サコミズ王「鈴木君には政治を司る新しい聖戦士をやってくれ!!」
エイサップ「そんな事を言って隙を作らせるのか」
サコミズ王「そうでもあるがぁぁっ!!」
アスハム「来たか、女ったらしの悪党がっ!」
ゲイン「なんでもかんでも女ったらしですまそうとするのは、単純すぎないか?アスハム・ブーン」
アスハム「貴様ぁ!ゲイン・ビジョウのやり方が言わせているんだよ!」
ゲイン「借りを返しに来た!」
余談でもあるがぁぁぁっ!!
発端は不明だが、Twitter上で、富野節が炸裂して話が進まない童話というハッシュタグが2016年頃から流行り始め、富野節を愛する(?)ファンがTwitterで富野節を炸裂させた童話を発表し、さながら大喜利大会のようにツイッタラーの腹筋を破壊しに来ている。
まとめである!!
・#富野節が炸裂して話が進まない童話 を読み過ぎて仕事が進まない
・#富野節が炸裂して話が進まない童話 2017 10いいね以上まとめ