概要
初代火影である千手柱間の弟で、兄の死後は二代目火影に就任する。
猿飛ヒルゼン、志村ダンゾウら扉間小隊は彼の直属の部下にして弟子。
飛雷神の術を筆頭とした時空間忍術に長けていた他、特に水遁系の術と剣術を得意とし、また飛雷神のみならず影分身や穢土転生など数多の術の開発を行い、禁術に指定している。
多くの側面で、理想主義的な兄とは対照的な合理主義者として描かれている。
人物
合理主義者
自他共に非常に厳格な人物。
目標に対しては情熱的に突き進んでいく性格だが、同時に徹底した合理主義者であり、里のためなら非情な手段も辞さないリアリスト。
実力は確かだが甘い部分が目立つ兄柱間を右腕あるいは参謀役として補佐してきた。
対照的に思える2人だが、幼い弟2人を戦いの中で失っており、争いのない平和な世を目指すという理想は兄と同様のものを持っている。
そのため幼少期には、敵討ちに固執する自身の父親千手仏間を含めた大人たちを「バカ」と蔑んでいた。
後述の「卑劣」発言から、鬼畜かつ情け容赦のない男というイメージを持たれがちだが、忍という性質を考えれば扉間の徹底して合理的な思想と行動理念は忍者としては当然、ある意味では忍の王道とも言える人物である。
何よりも里を第一に据えており、里のためには自身をも犠牲にすることも厭わない。
しかし教え子のダンゾウとは異なり覚悟や能力の足りぬ者にその犠牲を強いる事はない。
仲間を死なせてしまい一生下忍として仲間を守ると誓ったまるほしコスケなどの思いを尊重し、自身の得意技である忍術、水遁・水龍弾の術を伝授するなどしている。
性格的には殆ど物怖じしないタイプであり、本物の六道仙人の登場に歴代の火影たちが動揺している中で一人「助言を頂けるならもっと早くにしてほしかったですね」と忍の祖に嫌みを言い放つような胆力の持ち主。
ちなみに、現在のような細かい人物像が明らかになる前に出版された「闘の書」では、「荒ぶる闘志!初代の遺志継ぐ烈火の男!」と紹介されており、原作者は当初は熱い男として描く予定だったのかもしれない。
為政者として
政治面では、戦を止めるという理想を叶えるには各里が協定を結ぶ以外にないと主張し、兄とともに不要な争いは極力避けるべく他国との和平交渉に尽力している。
お人好しな柱間が独断でマダラを初代火影にしようとした際は制止し、「里の運営は民主的に行う」という指針を明確にしている。
二代目火影を継いでからはアカデミーや中忍試験の制定を行ない、木の葉の基盤作りを行った。
これらは他里が取り入れるほど優れた施策となった。
頭も切れ、協調性もあり、柱間には劣るものの個人の戦闘能力もカリスマ性も高いため、ナンバー1でもナンバー2でも輝けるタイプであった。
忍術の発明家として
前述の通り忍術の発明家として有名であり、飛雷神の術や多重影分身の術を始めとした様々な術、禁術を考案している。
また作中世界に多大な影響を与えることになる、生者を生け贄として死者を甦らせ操り人形にするという最悪の禁術「穢土転生」を開発した張本人である。
精度は後世大蛇丸が完成させたものより劣るとされるが、精度の低さすら欠点どころか長所に見えてくるような作戦を同時に発案してしまっている。
この徹底した合理主義と冷徹さから他の里からは大きな警戒と嫌悪を抱かれていたようで、穢土転生された二代目土影の「この術は二代目火影の卑劣な術だ」という発言は彼の忍者としての評価を表す象徴的な台詞である。
うちは一族に対する姿勢
写輪眼の性質を知るからこそうちは一族を危険視しており、うちはマダラによる木ノ葉襲撃後は一族を管理・監視するために、警務部隊を創設しその役割を一任するという名目で里の隅にひとまとめにした。
そうした処遇が監視目的であると気付いたうちは一族から不満を抱かれ、後のクーデター計画の一因になったと言われる。
だが、扉間がうちはを里の政治から遠ざけたのは、綺麗事だけでは罷り通らない世界に触れて写輪眼が開眼、すなわち闇落ちしてしまうのを防ぐ目的もあった。
そもそも警務部隊そのものは閑職どころか要職であり、実際この政策が上手く機能したことにより、当時のうちは一族は木ノ葉のエリート一族として畏敬と羨望の対象とされていたため扉間の死後、時世に応じた対応を後任の火影たちが取れなかったためクーデター計画を許してしまったと考えられる。
しかし、扉間本人はうちは一族を警戒はすれど嫌っているわけではなく、うちはカガミの様に一族の垣根を超えて里に忠誠を誓う者であれば誰であろうと部下として重用する公正な考え方をもっている。
ただし写輪眼解明の為とは言え、うちはマダラの死体を処分せず保存していた結果、その考えを見抜いていたマダラ本人がイザナギの力で甦る隙を与えてしまった為に、結果的に後のうちはオビトや暁の悲劇、第四次忍界大戦といった数々の厄介事を招く一因になってしまった。
作中の活躍
生前
少年時代には既に合理的な性格だったが、世を変えられる時を淡々と待ちながら戦っていた。
戦で敵を倒すことに躍起になっている父親を含めた大人たちを陰から「バカ」と蔑んでいた。
里の成立後は、性格の甘い柱間のフォローをしつつ補佐として務める。
第一回五影会談では柱間の護衛として出席し、後に二代目火影に就任。
前述したアカデミーの設立など里のシステムを完成させ、穢土転生などの開発で他国に猛威をふるった。
雲隠れの里と和平協定を結ぼうとするも、会談時にクーデターを起こした金角・銀角兄弟により二代目雷影共々殺害される。
厳密には、木ノ葉の仲間を逃がすために自ら囮になり、その後里に戻ってきたという供述がある。おそらく戻ってきた時に負っていた致命傷で死亡したものと見られる。
死亡時期
長門、小南、弥彦らが自来也に弟子入りした30年前(第二部から)が「火影が代替わりしてから1年後」となっており、扉間が戦死したのは第二部から31年前、第一部から27年前と考えられる。
即ち、死ぬ直前の和平協定時は第二次忍界大戦開戦の終盤に行われ、大姪の綱手が自来也、大蛇丸ら共々雨隠れの半蔵から「三忍」の称号を与えられた後である。
しかし、この設定はあいまいにされることがあり、第二次忍界大戦時には既にヒルゼンが火影となっている描写が多いため正確な死亡時期が不明なのが実情である。
第一部
木ノ葉崩しの際に大蛇丸の穢土転生により兄と共に口寄せされヒルゼンと戦うことになる。
柱間や扉間クラスの忍になると十全の力で復活させると自力で穢土転生を解いてしまうため、この際は反抗されないよう精度を落とした状態で呼び出されている。得意とした水遁でヒルゼンを苦戦させ、最終的に屍鬼封尽により封印された。
第二部
第四次忍界大戦中、復活した大蛇丸に歴代火影たちと一緒にもう一度穢土転生される事になり、木ノ葉隠れの里黎明期の話やうちは一族の秘密を語り、うちはサスケの返答を聞いた後、歴代火影たちと共に戦場へ向かう。
歴代火影による四赤陽陣発動後は、ナルトとサスケ、ミナトのバックアップに回り、十尾の人柱力になったオビト戦では相手の能力を分析したり、飛雷神の術による攻撃のサポートなど活躍。
輪廻天生の術で生身の体として復活したマダラに連続での飛雷神斬り、水遁・天泣で不意をつくも、仕留めきれずに全身に外道の棒を刺されて戦闘不能になる。
マダラに胸を刺され瀕死のサスケを救うため、やってきたカブトになんらかの助言をした。その後生還したサスケにより、体中に刺さった外道の棒から解放され、サスケをマダラの元に送った。
無限月読発動後は、現世に出現可能になった六道仙人の話を聞き、黄泉の世界から呼び出した五影前任者たちと共に口寄せの術でカグヤの異空間にとばされたナルトたちを連れ戻した。
うちはマダラとの決着がついたあと、六道仙人の手で黄泉の世界に昇天した。
戦闘力
「最強の忍」「忍の神」と称される兄の柱間には及ばないが、長年彼を補佐し、さらに二代目火影を務めていただけあって実力は超一流。
性質変化は五つ全てに加えて陰陽遁をも扱えるが、特に水遁を好んで使用する。
扉間は最小限の労力で効率的に相手を仕留めるという思考を持っているのか、使用した水遁は範囲よりも実用性と殺傷能力に重点を置いたものばかりである。
飛雷神、影分身とそれに併用される剣術を使いこなし、マダラからは「忍一の速さを誇った」と評されており、同時に警戒されていた。
幼少期から感知タイプとしても高い能力を有しており、チャクラの性質から相手の一族を見抜く事ができるなど、柱間以上の能力をもつ。能力分析にも優れ、忍術に対する幅広い知識も相まって、初めて遭遇する術に対してもその性質を推測し、具体的な対処法を導き出す能力に長ける。指示を出す立場としても優秀で、対オビト戦では指揮を執っていた。
超規模の技と技のぶつかり合いだった忍界大戦の終盤においても、非常に「忍者らしい忍者」であったと言える。
使用術
扉間が開発した術の一つ。
実体を作り出すため物理的な攻撃が可能な高等忍術で、主に偵察や陽動などに使われる。
多重影分身は禁術に指定されている。ナルトが最初に習得して以降、シリーズを通して数多の場面で活用され続けたお馴染みの忍術。
扉間が開発した術の一つ。
術式でマーキングした場所に一瞬でワープする時空間忍術。後の四代目火影波風ミナトが継承しており、彼の代名詞の術となっている。使い手としてはミナトの方が上と扉間も認めている。
ミナトに付けられた求道球を掴んで引っぺがし、被害が出る前にオビトに返却して見せたり(「早めに返してやる」)、大戦中に即興でミナトと自身のマーキングをリンクさせていたりと発想の速さと術への理解度は流石。
- 飛雷神斬り
クナイを投げて攻撃を行うように見せかけ、クナイに刻印されたマーキングに飛ぶ事で相手の不意をつき刀で斬撃を与える術。
うちはイズナはこの術によって致命傷を与えられ、死亡している。
- 飛雷神互瞬回しの術
飛雷神の術者が二人で互いにマーキングをして連携し、片方は味方の攻撃の前に回避できない状態で出現、もう片方は敵の死角に出現して接触、そして同時に飛雷神を発動して位置を入れ替え、確実に敵に攻撃を当てさせる。ざっくり言えば「瞬間移動で技が既に敵に命中している状態を作り出す術」。
生前は影分身を使用して行っていた。
作中ではミナトと連携して、ナルトとサスケの大技を命中させるべくサポートに回っている。
扉間が開発した術の一つ。
生者を贄として死者の個人情報物質を使い、魂を浄土から穢土へと口寄せ、術者の意のままに操る術。NARUTO世界でも禁術中の禁術。
扉間の死後も木の葉崩し、第四次忍界大戦とで歴代の強者を蘇らせ、忍の世界に多大な影響を及ぼしてきた。生前の扉間はこの術と後述の互乗起爆札により、他里へ悪名を轟かせることとなる。
作中では主人公含む様々な人物から倫理面で酷評されているこの術だが、本人は自身が穢土転生された後も術に対する抵抗感など微塵もないようで、情報確保の目的で何の躊躇いもなく「マダラを穢土転生してみればハッキリする」と提案していたりする。
- 互乗起爆札
扉間が開発した術の一つ。
「起爆札が新たな起爆札を口寄せする」という術式を組み込み、長時間の継続的かつ連鎖的な大爆発を引き起こす。
穢土転生の塵芥の体にはすべて胸のあたりにこれが仕込まれている。そもそも穢土転生とは、大蛇丸やカブトが行ったような死んだ英雄や強者を口寄せして生前の力を行使する術ではなく、戦場で死んだ無名の忍を蘇らせ、情報を抜き取った上で味方陣営や里に戻らせ、仲間の生還を喜び油断したところに体に仕込んだ互乗起爆札を発動させるというのが本来の使い方らしい。
精度を上げなければ兵としての強さを得られず、しかし精度を上げすぎると縛りが解け術者の言うことを聞かないという穢土転生の弱点を補完した戦術。
つまり、「こうやるのだ!」
ゲームでは奥義となっており、水遁で作ったドーム内に相手を閉じ込め、四方八方から攻撃しながら起爆札を設置して自身は飛雷神でドームから離れた安全圏に避難してから発動する。
- 水遁・水陣壁
木ノ葉崩しを企む大蛇丸に穢土転生された時に使用した、水の壁を作り出す防御術。
水のない場所で発動させた事に暗部や大蛇丸は「信じられん」「さすがは先代といったところ」と感嘆したが、後に鬼鮫などといった超大量の水を発現させる水遁を使う忍が出てきたため、この時の暗部の台詞「水の無い所でこのレベルの水遁を発動出来るなんて!」はしばしばネタにされる。
一応補足しておくとこの際は反抗されないよう精度を落とされた穢土転生で蘇っているため、術の精度もそれなりのものとなっている。
- 水遁・水龍弾の術
龍を象った水を相手にぶつける術。
原作では上記の水陣壁から繋げて発動している。
- 水遁・水衝波
多量の水を作り出し津波のごとく相手を襲うアニメオリジナルの術。
原作で水龍弾を使うシーンで使用。
- 水遁・水断波
口から直線状の水圧カッターを吹き出し、対象物を切り裂く。兄者も使える。
神樹の根を次々と切り落とすほどの威力。
原作では第二部初出だが、アニメでは木ノ葉崩しの時点で(術名は出ないが)同様の術を柱間同様に使用している。
- 天泣
水遁で出来た水針を素早く放つ。
作中の様子ではノーモーションかつ印を結ばずに使えるのか、マダラの不意を突く形で口から放った。
- 四赤陽陣
火影クラスの忍4人で発動させる結界術。
四紫炎陣の上位版でその強度は十尾の尾獣玉をも跳ね除ける程。
- 幻術・黒暗行の術
一帯を漆黒の闇に捉え込む幻術で、敵の視界を奪って行動力と防御力を制する。
原作では兄者が発動したが、アニメでは扉間が使用。
- 禁術(詳細不明)
瀕死のサスケを助けるために使用を試みたが、自身に刺さった外道の棒の影響によりチャクラを練れず結局使われることは無かった。
どうにかして魂を留めておくことが可能らしい。
系譜
四人兄弟の次男で、兄に柱間、弟に瓦間、板間がいたが瓦間と板間は幼くして戦死してしまう。
兄の柱間が父親に酷似した容貌であるため、二次創作などでは母親は扉間に似た銀髪の女性として描かれることが多いが、そもそも兄や弟たちと同腹の兄弟なのか不明。
柱間の孫の綱手は大姪、縄樹は大甥に当たり、二人にとって祖父の弟なので大叔父に相当する。
扉間自身に子孫がいる描写はないが、ゲームの解説書にてうずまきナルトが「四代目火影の子供にして、二代目火影の孫」と紹介されていたとするネタがあるがどのゲームの解説書なのか不明なので都市伝説的扱いを受けている。
仮に、この設定が正しければ大姪の綱手より一回り若い波風ミナトが息子、うずまきナルトが孫、うずまきボルトとうずまきヒマワリが曾孫となる。
実際、ミナトもナルトも師弟の系譜を辿ると扉間に行きつく他、扉間の開発した飛雷神の術や影分身の術を得意としているため完全に無縁とも言い切れない。