概要
架線または第3軌条(サードレール)等、外部からの電力供給によって、モーターを駆動させて走行する鉄道車両の事で、電動客車の略称でもある。
日本においては、新幹線を始めとする電車技術が発達しており、一般的には「鉄道車両=電車」という認識が大勢を占める。
このため、鉄道車両が描かれたイラストに、「鉄道」タグの代用的ニュアンスで用いられるケースも多く見られる。
基本的に、電車は客車の床下に駆動装置を搭載している場合が多いが、たとえば地方私鉄などで見られる電動貨車やJR貨物のM250系のように、貨物輸送を目的とした電車も存在する。
なお、国鉄が貨物とは別に荷物の輸送も行っていた時代には荷物専用の電車や郵便物専用(またはその両方)の電車も存在した。これらの車両は輸送業務を単独でするほかに旅客列車に連結されて輸送業務をすることもあった。
こぼれ話
電車が手動進段方式の抵抗制御を採用していたころは、列車が遅延している時の加速中など運転士が焦っていると進段が少し早すぎて遮断機(要はブレーカー)を動作させてしまうことがあったり、また出発まで長い時間がある所では、乗客との世間話の最中に主幹制御機レバー(マスコンレバー)を一気に回してわざと遮断機を動作させその時に派手に散る火花をマッチ代わりにして煙草に火をつけるという現場の人ならではの"横着"をする運転士もいたそうである。当時は仕事中に喫煙している職員(特に成人男性)がいるのは至極普通の時代だった。
補足
非電化路線を走るディーゼルカー(気動車)がなぜか一般的には電車と混同されている。電車と言うのは言うまでも無く誤りである。
にもかかわらず、テレビ番組のナレーションなどで「電車」と間違って言ってしまっていることがたまにある。電車は架線など外部から電気をとってモーターを回して動くのに対し、ディーゼルカーはディーゼルエンジンを動かすので、明らかに別物。なお、徳島県内を走行する鉄道車両はディーゼルカーのみ。徳島県内には電車はいませんよ?
電車とディーゼルカーが連結することは基本的にないが、JR九州において485系とキハ183系1000番台が、JR北海道において731系とキハ201系が協調運転を、JR西日本では電化区間において電車がディーゼルカーを牽引して運転をするという実績がある。
特に首都圏や大都市圏で生まれ育った人は鉄道車両と言えばほとんど電車しか見たことがない人も多いと思われるため、全ての鉄道車両が電力を使いモーターを動かして走っているものと思い込んでいる節もあるかもしれない。
極論だが、線路上を走るものを何でも電車呼ばわりすると、虫の居所が悪い場合本気で激怒する人間もいるので気を付けよう。相手が怒らずとも、その言動はどうしようもなく脳内解像度が低い無知を自分から晒して心証を逆撫でし軽蔑されているだけだということを忘れずに。「電車でGO!」を極度に忌み嫌うファンもいるのだ。
念のためもう一度。ディーゼルカーは気動車であって電車ではない。OK?
なお、「烏山線や若松線はバッテリー駆動なので電車?」「ディーゼルエンジンで発電してモーターで走るGV-E400系やH100形、ハイブリッド車のHB-E210系やHB-E300系、HC85系はどう分類する?」などの疑問はあるかもしれないが、種別的には烏山線・若松線・男鹿線のバッテリー駆動車は「電車」、GV-E400系やH100形は「気動車」、ハイブリッド車については下記の事情ゆえかややこしく、HB-E210系とHB-E300系は「気動車」、HC85系は「電車」に分類される。
(車輛の種別によって運転士に必要とされる免許が変わってくる。これには多分に意図的・恣意的なものがあり、人員や車両の養成・維持コストを天秤にかけて判断される。実質ディーゼル機関車にもかかわらず人員・免許などの理由で事業用気動車扱いされたキヤ143形、電車の構造にもかかわらず客車で登録されているマヤ35形などの例もある。)
関連タグ
通勤形電車 一般形電車 近郊形電車 急行形電車 特急形電車 電動貨車