概要
ゲーム中最も名前を聞くことになるオート侯。父がギュスターヴ12世との戦争に敗れて死亡したため、16歳で継ぐことになったのだが、そのデビューはギュスターヴ12世によるマリーとの政略結婚を押し付けられ、合法的に領地の半分を奪われるという屈辱ものだった。
これがきっかけでギュスターヴ一家を憎むようになる。
事実、マリーとは生涯、目も合わせなかったほどである。
この屈辱は、彼に優れた政略家としての手腕を身に付けさせる結果となった。
12世死亡後、ギュスターヴ13世が正統後継者として名乗る為に戦争を仕掛けた際、彼は13世と敵対するギュスターヴ14世の味方をした。
しかしこれも形だけものであり、13世と交戦の後に撤退・その後は終始傍観を決め込んだ。
その後も、虎視眈々と復讐の機会をうかがっていたのか、13世の義弟として表向きは敵対心のないことを報告する。
ギュスターヴ13世が君臨してた頃のカンタールは彼に忠実に仕えていた。
おそらく将来自分が覇権を握る先行投資だったのである。
そして、カンタールが動き出したのは13世が死亡した直後であった。
葬儀にも来ることなく、諸侯を表から裏から懐柔し、次々と自分の味方へ引き込んでいった。13世の後継者ケルヴィンを相手に圧勝を続け、台頭から寿命で亡くなるその時まで時代の頂点であり続けた。ケルヴィンは、彼が寿命で死ぬまで、度重なる敗北とは裏腹に一矢報いることすらできなかったのである。
ちなみにギュスターヴ一家を憎んでいたことのわかるエピソードが、ギュスターヴ13世の作った都市ハン・ノヴァ炎上の際に見られる。ここは世界最大級の都市であり、制圧できれば大きく力をつけることになるだろう。しかし、彼は以下の一言でこの都市を捨てた。
「放っておけ。
私は初めからあの町を手に入れるつもりは無い。
ハンを手にすれば、他の連中のいい標的にされるだけだ。
今の私に、それに耐え抜く力は無い。
それにだ。
あの街はギュスターヴの都だ。
奴ともども土に返るのがお似合いだろう。」
後者の理由はもう説明するまでも無いだろう。また、前者の理由も、耐え抜く力が無いことはすなわちギュスターヴ13世には勝てないことをよく知っていたのだろう。
また、「英雄 色を好む」という言葉を地で行く人でもあり、6人との女性(もちろんマリーは除く)との間に23人もの子供を作っていた(そのうち2人はヌヴィエムとプルミエールである)。だが、相続の手続きをまったくやっていなかった事で、財産は子孫が勝手に分割し、オート家は瓦解する結果になった。あらゆる陰謀の裏に彼の存在があると言われたほどの政略家になった彼の、数少ないしかし最大の失敗であった。
ケルヴィンを巧みに押し退け覇者の地位を得たカンタールであったが、覇権を維持するためにケルヴィン、チャールズ(サガフロ2)親子との度重なる戦いで何度も吐血して倒れ寿命をすり減らしたようである。
しかも、カンタールの晩年、彼の子供たちの殆どは父の後を継ぐために争っていた。
宿敵ギュスターヴ一族を滅ぼし、覇権を得ても彼は幸福とは言えなかった。
憎しみは憎しみしか生み出さない空しい物である。