概要
スクウェア(現:スクウェア・エニックス)から発売されたマルチシナリオRPG。
サガシリーズ第8作目。
1999年4月1日にプレイステーションのソフトとして発売された。
ロマンシングサガ2を彷彿とさせる歴史絵巻調のストーリーと、聖剣伝説LOMのようなパステルタッチのドット絵が特徴。
術(いわゆる魔法)を使える事が当たり前の世界「サンダイル」で一大勢力を誇る「フィニー王国」。
この国の跡継ぎになるはずの「ギュスターヴ13世」は、なんと一切術を使う力を持たない「術不能者」だった。
この世界では術が使える事は社会生活そのものの基礎。
その最低限の力を持っていないことが分かった時、追放という運命が待っていた。
しかしその逆境こそが、ギュスターヴ13世を、そしてサンダイルの歴史そのものを大きく変えるターニングポイントであった・・・。
ストーリーは、歴史の表舞台を追う「ギュスターヴ編」と、歴史の裏舞台を追う「ナイツ編」に大別される。
それぞれ強く意識した元ネタがあるらしく、前者はナポレオン・ボナパルトと織田信長、後者はジョジョの奇妙な冒険であるという説が強い。
主にギュスターヴ編は革新的な王としてのストーリーが語られていく一方、ウィル・ナイツ編は「エッグ」と言うクヴェルに関わっていく物となっている。
ただし、ストーリーによって主人公は変わり、ウィルやギュスターヴ以外を操作する事も多々あるほか、ウィル編で出てきたキャラクターがギュスターヴ編に出てくることもある。
ストーリーはこれまでストーリーの繋がりが薄かったサガシリーズとは違い、大河ドラマのようであり、様々な人物のドラマを時系列を整理しながら見ていくことで、壮大で考察しがいのあるシナリオとなっている。
ストーリーの繋がりを重視した反面、自由度は従来のサガシリーズより低下しており賛否がある。(特に町に自由に入れなかったり、無期限でパーティーを強化するタイミングが限られている、など。)
また、長大な歴史を追っている物のドラマチックな死は殆ど書かれず、気が付いたら退場している事が多い。この辺は考察しがいがある反面、説明不足として不満点に上げるプレイヤーもいる。
シリーズ伝統の高難度は健在(正確にはナイツ編ラスボスとギュスターヴ編最終シナリオ「サウスマウンドトップの戦い」がかなりの高難度である)。
ウィル・ナイツ編のラスボスは、場合によっては詰みに近い状況になることもあり、そこで投げた人も多数いる模様。
そして、サウスマウンドトップの戦いは、劣勢から始まるうえに、運が絡むこともあり慣れた人でも相当の苦労をする。
ただし、サガシリーズ全般に言える事ではあるが難所やラスボス戦では複数回挑戦することで攻略法を見つける、勝ちパターン引き寄せるという側面があるため、想定されている難易度ではある。
また、当時発売されていたポケットステーションにも対応しており、「GO!GO!ディガー」と言うミニゲームがあった。ディガーを雇い発掘作業をしてもらう事で、ゲーム内で武器などのアイテムを手に入れる事が出来、これでしか手に入らないアイテムもある。一方で、当時ポケットステーションは品薄気味であり、満足にプレイ出来た人は意外と少なかった。
世界観
術
- サンダイルで使用されている術は、戦闘用のものだけでなく、日常生活にまで広く波及している。たとえば、包丁で調理したい場合、現実の我々ならば鋭く磨がれた刃を用いて食材を捌くが、この世界の包丁は基本的に物理的な鋭さを持っていない。だが、そこに「斬る」「鋭い」「固い」といった術のイメージを乗せることで、物理的な包丁と同じように機能するようになる。戦闘でも同様で、兵士たちが使う武具も主に石材や木材で作られている。防御に関しても、己の術力が高く、かつ術に親和性のある装備を身につけていれば、術の力で防具を強化されるので、軽装でも問題ない。あらゆる場面に魔法(物理)が当たり前に存在するわけだが、ここまで日常的に魔法(物理)が浸透していると、逆に驚かないものである。
- この、術を構成する元素のようなものは、作中で「アニマ」と呼ばれている。また、生物の魂を指す意味でアニマという言葉が使われることもある(これはアニマの正体を科学的に解明できていないため)。
- ならば、イメージさえできれば道具なんて何でもいいではないか? と思うかもしれないが、理論上はそうであっても、そこまで自在にイメージを具現化するのは、人間には不可能である。イメージの具現化しやすい道具は使い勝手の良いものになるため、道具自体の出来具合もこの世界観なりに重要である。同時に、ギュスターヴ13世が迫害された要因もここに大きくあり、術を使えなければ全ての道具はなまくらになってしまう。また、現実の道具と同じように使える道具を使える鍛冶技術もわずかに一部の大陸に残るのみだった。だが、ここに着目したギュスターヴ13世の発想が、その後の歴史の転換点となる。
- 現実のそれに例えると、色つきの薄い霧が立ち込めている状態を思い浮かべてもらえばいいかもしれない。薄い霧として漂っている状態では、その色を認識するのは、非常に感性の優れた人でもない限り、極めて難しい。しかし、その霧が付着した紙を見せれば、簡単に霧の色を認識できる。
クヴェル
- そうした術の力をもたらしたのは、古代の遺物である特殊な道具「クヴェル」だった。術の力を無限に抽出できるため、一見すると夢の産物にも見える。それゆえ人々の間では「完璧な出来具合の道具」とも言われているのだが、誰が作ったかもわからない代物であり、そもそも人間が使うことを想定していないため、術の力が暴走して肉体や精神が取り返しのつかない変貌を引き起こす事故も数多く発生している。また、そうしたクヴェルを発掘しやすい特殊な遺跡は「メガリス」と呼ばれており、これも人間の手による遺跡とは一線を画しており、人智を超えた仕掛けが数多く存在し、クヴェル同様の事故も多数発生している。これを調査しつつクヴェルの発掘で利益を得るのが、もう一人の主人公ウィリアム・ナイツの職業である「ディガー」である。
余談
- 本作では、いわゆる格闘で戦う「体術技」を使用できないキャラクターが何人かいる。世界観の設定では体術を野蛮として使おうとしないことになっているのだが、これには裏話がある。
- 前作までと比べてキャラクターのドット絵が大きくなり、同時に表現が細かくなっているのだが、体術技を表現する際にこれが問題となった。
- これまでは、走るポーズなどに拳パーツをくっつけたり、他のモーションを流用することで、体術技をなんとなく表現できていたのだが、グラフィックが細かくなればごまかしが利かなくなり、パンチ1つとっても殴るポーズのモーションを別個に作らなければならない。
- 当然、それをすべてのキャラクターに当てはめては、グラフィック担当班の負担があまりにも大きくなり過ぎるため、やむを得ず省かれた。
- グラフィックが色違いすらなくまったく同じモンスターが多いのも似たような理由であり、本作の絵では色違いをカラーパレットの切り替えで表現することはもはや不可能で、色違いを表現しようとすると最初から描き直すのとそう変わらない手間を必要とし、それを実行するのは現実的ではないと判断したからである。
- 音楽はサガシリーズを担当していた伊藤賢治から浜渦正志に交代しており、発売前こそ懸念の声はあったものの、今はそんな声も無く、高評価である。少ないメロディラインで全体的な統一感を出すことに成功しており、特に通常戦闘の4曲はFeldschlachtⅠを基準として楽器を変える、曲調を変えるなどでアレンジをされており、どれもが違う雰囲気の曲として成立している。
- サガフロンティア2のアルティマニアにはオリジナル小説が掲載されており、本作で語られない部分が語られているとして評価は高い。ただし、スクウェアの公式攻略本ではある物の、小説は作者のベニー松山氏の視点で行った独自解釈が入っているので、この小説が正史と断定されているわけではない。(強いて言えば、プレイヤーが選択、体験し、考察した事こそが正史になるのだろう。)
関連タグ
キャラクター
- ギュスターヴ13世
- ヤーデ伯家
- ウィリアム・ナイツ(ウィル・ナイツ/ウィル)
- リチャード・ナイツ(リッチ・ナイツ/リッチ)
- ヴァージニア・ナイツ(ジニー・ナイツ/ジニー)
- ヴァンアーブル
- ウィリアム・リジェ
- エレノア・ベルトワーズ
- カンタール
- ギュスターヴ14世
- コーデリア・エメリー
- シルマール
- ソフィー・ド・ノール
- タイラー・スティーブンソン
- ディアナ
- ナルセス
- ニーナ・コクラン
- ヌヴィエム
- ネーベルスタン
- パトリック・ボジオ
- フィリップ
- フリン
- プルミエール
- ミーティア・シーン
- ユリア・ハルフォード
- ヨハン
- ラベール
- レイモン・ルクレール
- レスリー・ベーリング
- ロベルト・ビラス
- エッグ
- 死せる賢者
派生キャラクター
その他
- サウスマウンドトップの戦い
- ファイアブランド(サガフロ2)
- 浜渦正志 (楽曲担当者)
作品表記ゆれ
シリーズ
- サガフロンティア(前作)
- アンリミテッド:サガ(次作)
- Sa・Ga(シリーズ全般の記事)
- レトロゲーム
評価タグ
関連イラスト
関連動画
CM