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概要編集

東大陸東部・寒冷地帯の入口であるグランタイユ地方にある、美しい建物でありながらアンデッドの巣窟となった「グールの塔」に住んでいる骸骨。地上最強の魔導師として2人の高弟を従え、魔導師らしからぬ金属剣「丙子椒林剣」をも所有する。


作中では、あまり高等な術の連発をしない敵キャラクターが多い中、極めて珍しいことに最強クラスの攻撃術を惜しげもなく連射してくるまさに「術の鬼」であり、その一方で戦利品にもなっている丙子椒林剣は術を使わず戦う者にとって最強クラスの武器である…という、歪でありながらとにかく強い、異色の存在になっている。


出会うためだけでも複雑な仕掛けを複数解除しなければならず、その過程でも最強ランクのザコ敵に幾度となく襲われる可能性があるのに、いざ戦ってみたら攻撃面に限っていえば最終ボスよりも熾烈という裏ボス的存在。

アルティマニアの小説版編集

その強さと、詳細不明のエピソードを買われたのか、アルティマニアの巻末小説では最終ボスと双璧をなすような立ち位置のキャラクターとして描かれており、ベエンダーの創造主でもある。

シルマールの祖先の仲間という設定も加わり、人類の寿命では決してたどり着けない哲学などの研究を深く追い求めたいがために、永遠の命を自身や仲間らに与える術を施す。それは、いわば「自分の生命力」を凍結させて塔の地下に冷凍保存する方法であり、生命力と切り離されて生きる存在として永遠の時を過ごせるようにした、というもの。


最初の頃は彼の狙い通りであり、いかなる高名な学者や研究者でも到達できない境地の哲学を日々議論する、哲学者としては極めて充実した毎日を送ることができた。だが、生命力を切り離すというやり方に問題があった。人間の本能で生命力を持っていたいという欲望に逆らえなくなった人々が、冷凍保存した自分らの生命力を奪回しに行ったのが悲劇の始まりとなる。


作中でアンデッドの巣窟となった理由付けとして、小説版ではこの人々の行動が原因としている。生命力(※)をムリに奪還した場合、それは死体に生命力≒亡霊が入り込んだのと同義であり、すなわちそれは、ゾンビとなることに他ならなかった。こうして哲学に熱中するはずの人々は、欲望に負けた結果、理性を失った。


(※…作中で「アニマ」と呼ばれているもの。用語としてアニマとは、(1)魔力、(2)生命力や魂、という2通りの解釈がされている。判りやすくするため、ここでは生命力という代替表現とした。)


賢者や2人の高弟はさすがにそうはならなかったが、時が止まったまま時代においていかれた自分たちのありように疑問を呈するようになる。ベエンダーを作ったのもそれがきっかけであり、生命力を捨てて永遠の命を手に入れたのが苦悩の始まりであるのなら、生命力を持たずに生まれた不死者を参考にしよう、という解決策を考えたからである。


最後は、自分たちが実は普通に定命通りの一生を終えたかった、という結論になる。

このあたりは、次回作イスカンダールとも共通点が多い。

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