概要
台湾や中国の道教の地獄の神。地獄の警察の様な役処の官僚、城皇公(城隍公)に仕えている。
中国語読みで七爺(ちぃいぇ)八爺(ぱぁいぇ)。台湾語読みで七爺(ちーや)八爺(ぺーや)。
二人はよく[七爺八爺]とセットで民衆から呼ばれている。
彼らは元人間だったのか、生前の逸話がいくつかある。
兄弟の契りを交わす程の仲だったそうだが、ある悲劇が起き二人は死亡。
その後、一般的には地獄の神が二人の悲劇に胸を打たれ、二人を地獄の鬼差(地獄の役職)とした。
彼ら二人の神像は死んだ時の見た目を再現していると言われる。
七爺骨と皮の様にやせ細っている。舌が出ている。
死因:首吊りだと言われている。
八爺皮膚が黒い。歯を剥きだしている。目を見開いている、あるいは出ている。
死因:溺死、あるいは服毒。
歴史
確かな文献が無い、あるいは見つかっていない。主に口伝で伝わっておりその為、彼らの由来には様々な説がある。詳しくは省くが、いくつかを紹介します。
- 二人は唐時代の将軍で安禄山の変で死亡。
- 二人は明時代の公務員。罪人を追う際、落ち合う場所で八爺が死亡。七爺、自責の念で首吊り自殺。
- 二人は福建省の人。橋の下で雨宿り。八爺溺死。七爺、自責と義兄弟の約束で後追い首吊り自殺。
- 罪人の七爺。老いた母に会うため必ず牢に戻ると脱獄。それを信じ、助けた看守の八爺。しかし戻らず、自責の念で服毒。しばらくし、戻ってきた七爺がそれを発見し、首吊り自殺。
- 二人は…以下略
所謂、民間信仰のため中華文化圏では、地方によって様々な伝承があり、一定していない。
「神」というよりは、飽くまでも「獄卒」…現世利益の信仰対象としては「神」として拝まれる。
「無常」とは本来、佛教の概念であるが道教の獄卒として…しかし、佛教の絵解きの中にも度々登場する。民間信仰のため、佛・道教は信仰者の都合上で混じりあったりする。
中国東北部では、白無常黒無常という概念で、七爺八爺という概念はない。背丈は同じで両者とも舌をだしている、歩行は飛び跳ねる…死後硬直のため…という、二卒は行動を共にするとは限らない。
主には、中華文化圏の南方ではキャラクター性が豊富である。
特に四川省豊都辺りでは、無常戯という芝居もあり、七爺・白無常の妻、子供まで登場し滑稽芝居を演じる。
古書には、七爺・白無常の様子も細かく記載され残っている。身の丈一丈細身の体、高い帽子を被る。白い衣を着、腰には縄紐を締めている。足には麻靴を履く。八の字眉、ニンニク鼻、鮮血色の舌を出している…と、ある。
…それに対し、八爺・黒無常の記録は極々少なく、無私、無情、魂を引っ立てる…と、だけである。
文化
二人は悪い魂等を地獄へ捕縛すると言われており、よく厄除けとしての信仰や、その祭りのメインとなる神様の前を歩き、道を開く(払う、清める)役割など、様々な祭りで見かけることがある。
台湾のある祭りでは、人が大きな七爺八爺の神像の中に入り、街を練り歩く。首には色々なご利益があるお菓子をぶら下げている。子供に食べさせた方がいいが、たいていの子供は泣き叫びそれどころではない。
特に七爺・白無常は、台湾、東南アジアでは「横財神」…所謂、宝くじ、賭博など泡銭を与えてくれる…と、しての信仰もある。
特に東南アジアでは、熱心に信仰する信者も多い。タバコが好き、と信じられており供える人も多い。
被る帽子にも「見吾生財」(我に会うと金運が開く)などと、書いてある。
夢の中で会った時には、怖がらずに睨めっこをすると、面白がって遊び出す。喜んで懐から金塊を出して与えてくれる…石ころを足下に投げて遊ぶと、金塊を投げて返してくれる…などなど。
後日、宝くじや賭け事に当たる、とある。
一方、八爺・黒無常は…「見吾死哉」…読んで字の如く。
七爺・白無常は「口寄せ」も多く道士ではなく、法師が七爺・白無常を自分に降ろし、駆邪もしてくれる、が…金運を訊きにくる信者がほとんどだそう。
また、四川省豊都では違った概念で信仰される、古来より四川省豊都は地獄の玄関いう概念があり、地獄の神々、獄卒を特別に祀り、儀式、祭事も会される。
多く地域では七爺・八爺は、閻魔王、城隍公の側に侍る獄卒の一員だが、豊都では「無常廟」があり、特別に祀られ線香、供物が供えられている。
その他の呼称
謝将軍、范将軍、謝范将軍、大爺二爺、長爺短爺、高爺矮爺、白無常黒無常、黒(黑)白無常
関連タグ
台湾 Taiwan アジア 中国 中華民国 道教 神 地獄 白無常黒無常 黑白無常 謝必安 范無救 八家将(八家將)
その他
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