概要
紡の光達への親切もちさきにとっては望まない方向性が多く、当初はあまり良い関係ではなかった(といっても一方的にちさきが反発しており、紡は動じていないことが多かったが)。
しかし、ちさきの光への想いを知った紡が『ウミウシ』になったことが切欠となり、紆余曲折を経て打ち解けていく。
そして、おふねひきの事件後ちさきは紡の祖父・勇の厚意で木原家に身を寄せるようになり、2人は5年の歳月を一緒に過ごしていくことになる。
ネタバレ(第2部)
当初、木原家に来たちさきが1人部屋で泣いているのを紡が扉越しに聞いており、次第に笑顔を見せるようになるちさきを常に傍で見守るような姿が見られた。
高校生になるとあまり変わらないくらいだった紡の身長も随分伸び、ちさきが見上げるくらいになっている。
また、祖父の勇が倒れ取り乱すちさきを宥めた時には、紡が何か決意したような表情も見せているなど、紡の感情が多く描かれている。
卒業後は紡は都会で海洋学を専攻する大学生、ちさきは看護学校の学生としてそれぞれの道を歩んでいる。
5年前のぎこちなさのあった頃とは変わり、互いに『あんた』『紡くん』だった呼び方も『ちさき』『紡』と呼び捨てになり、ちさき曰く「もう一つの大事な家族」のような存在らしい。
紡が巴日での海の調査で帰ってきた際には、甲斐甲斐しく世話を焼くちさきの姿を見た研究室の教授・三橋から2人の関係を勘ぐり冷やかされるが、紡は否定し「あいつにはずっと前から好きな男がいるんで」と意味深な表情をしていた。
また、光が戻ったのに関わらずちさきが会いにいかないことに対し、事情を知らない三橋が「案外冷たいんだな」とこぼすと、紡が無言でお椀を荒々しく叩きつけ静かに憤る姿を見せていた。
光達と比べ自分が変わってしまったことを嘆き涙するちさきに「変わった。ずっと綺麗になった」「それだけじゃ駄目なのか」と呟き、それを聞いたちさきが再度涙を見せる。
また、光と再会して帰宅した際には、紡がそのことを問うと目をそらすなど、ちさきからも意味深な態度が多いものの、紡の想い対しどこか避けるような様子が多く見られた。
また、恋心が戻らないまなかのことで光と紡が揉めた際、紡がちさきが好きだと言うことをちさきが目の前で聞いてしまい、その場から逃げ出し海へ飛び込んでしまう。
紡も追いかけ自分の想いを伝え、ちさきの想いは今は自分にあるのだと抱きしめるが、ちさきは未だに戻らないまなかの恋心が紡にあると思い、好きじゃないと嘘をついて逃げてしまうのだった。
しかし、紡と過ごした5年はちさきにとっては大きく、いつしか紡の存在も特別なものになっていることは明らかだった。
要からは「まなかは関係ない」と後押しされるが、光を好きでいなければならないと頑なであり、紡に向き合えないまま再びおふねひきの日が近づく…。