概要
約300年前、二人は地球の神とそれに使える巫女の関係だった。二人は愛し合っていたが、ブルーは自分の神という立場からミラージュの想いを受け入れようとせず、ミラージュを傷つけてしまった。そしてミラージュは、幻影帝国の首領・クイーンミラージュとなった。
ミラージュは「愛、勇気、優しさ、幸せ… それら全てが幻だと教えてくれたのはブルー、あなたよ」と激しい憎悪を見せているが、それでもブルーを想う気持ちが残っている様子を度々見せている。
そしてブルーもまた、ミラージュを想っている様子が常々窺える。
ブルーは本当はミラージュと戦いたくないんじゃないかということを愛乃めぐみはうすうす気づいており、29話では仲間たちとともにブルーに詰問。ブルーは観念して、本心ではミラージュを諦めきれていないが、彼女が世界に不幸をバラまいている以上はミラージュを許していいわけでもないと、神としての立場ゆえに苦悩していることを告白した。
一方ミラージュもブルーのことを憎悪しつつも、直接的に危害を加えることを部下たちにも禁じており、未練があるかもしれないことを窺わせていた。もっとも、ブルーにとっては、神として愛したこの世界がかつての恋人の手で不幸に染まっていくのを見せつけられる方が、殺されるより苦しいことだろうが。そうやって苦しむことをミラージュはわかってて、ブルーには手を出してなかったのかも知れない。
しかし29話では、側近のディープミラーに誑かされて「ブルーが愛する女であるキュアラブリーを使って、憎んでいるあなたを抹殺するつもりだ」と思い込まされ、ついにブルーの存在そのものを消去する決意をしてしまった。
このことから、ここまで二人の関係がこじれてしまったのはディープミラーが影で暗躍した結果ではないかとも思われるが……。
余談
ぴかりが丘には「千年前に神様と巫女が恋に落ちた」という伝承があり、神様がブルーで巫女がミラージュであることは、その設定が語られた当初からほぼ確定的となっている。
そのため、二人の恋愛関係がこじれて、ミラージュがブルーへの復讐のために彼が守る地球すべてを不幸にしようとしているのではないか、という考察がかなり初期から存在していた。
つまり、地球全土を侵略する幻影帝国と無数のプリキュア軍団が世界中で戦いを繰り広げているという、プリキュアシリーズ最大規模の世界観を持つ本作の物語は、一言でいえば「世界を巻き込んだ壮大な痴話喧嘩」なのかも知れない。
史上最強のはた迷惑カップルであるが、神様たちの夫婦喧嘩は時として人類や世界を滅ぼすのは世界中の神話を見てもよくあることである。ブルーがプリキュアを次々生み出すのに対抗し、ミラージュがファントムを使ってプリキュアたちを次々封印しているという構図は、イザナギとイザナミの離縁の神話も想起させる。
ブルーが「恋愛がこじれると大変なことになる」という理由でプリキュア恋愛禁止令を発令しているのも、このように神話級の規模の皆様は失恋の恨みや悲しみから本当に世界を滅ぼしかねないので、ある意味で仕方ないかも知れない。
なお、プリキュアシリーズでも世界を揺るがす神様たちの迷惑な痴話喧嘩には前例がある。