「我が名はファントム。プリキュアハンターだ……」
CV:野島裕史
概要
「プリキュアハンター」の異名を持つ、クイーンミラージュの忠実な僕にして、最も信頼の厚い腹心の部下。
彼女の手の甲に口づけをすることが許されており、その寵愛の程が窺える。
赤い髪に整った顔立ちで、白いコートを身に纏い、左腕にガントレット、腰背部に巨大なダガーを装備する。身長175㎝。
極めて高い戦闘力の他に幻影を操る能力も持っている、クイーンミラージュの配下の中では最強の戦士である。
寡黙かつ冷静沈着な性格で、「プリキュアを倒すために生まれた狩人」を名乗り、クイーンミラージュの為に世界中のプリキュア達を倒して来た。いわばプリキュアにとっては天敵ともいえる危険な存在でもある。
プリキュアという存在に対しては、敵視しているというより「愚かで下らない連中」と害虫のように考えており、戦闘力についても自分よりも格下として見下している。ただし、複数のプリキュアたちが協力したときに発揮する力はそれなりに脅威と感じており、警戒している。
第1話にて一瞬姿を見せただけでそれ以降出番はなかったが、上述の通り、世界中のプリキュアを倒して回っていた。本編への本格的な登場は13話からで、冒頭でエジプトのキュアナイルを殴り倒して衣裳をひんむいて拘束するという、いろいろな意味で衝撃的なデビューを飾る。その後、キュアラブリー、キュアフォーチュンをも圧倒し、その強さを見せつけた。
続く14話冒頭ではロンドンで活躍するキュアコンチネンタルを始め、各国のプリキュアたちがファントムによって次々に撃破され、彼女らが守っていた街が陥落していく様子が『プリキュアウィークリー』の名物キャスター増子美代を通じて報道された。(ファントムの名前は知られていないが)プリキュアハンターの名が作中世界の一般人たちの恐怖の対象となっていることが現実世界の視聴者らに伝えられ、さらに本作のプリキュアは「伝説の戦士」ではなく量産型の戦士にすぎないことを鮮烈に表現された。このことはいろんな意味でみんなのトラウマとしての印象を植え付けた。
クイーンミラージュからの絶大な信頼を得ている一方で、三幹部(ナマケルダ、ホッシーワ、オレスキー)からはあまり快く思われていない。
ぴかりが丘の攻略とハピネスチャージプリキュアの討伐に手間取っている三幹部たちは、ファントムがぴかりが丘のプリキュアを狩ってしまうと自分たちの立場がなくなると強く警戒している(特にオレスキー)。
ミラージュはこの三幹部の顔を立てる形で、「ぴかりが丘へお前が干渉するのはまだ早い」とファントムに命じている。
一方、ファントム自身はぴかりが丘やぴかりが丘神社には過去に因縁があり、この街の攻略をしたくてうずうずしていた。
物語序盤の頃の主人公チーム「ハピネスチャージプリキュア」はファントムが本気を出せば簡単に倒せたのだが、この敵組織内の権力争いのおかげで、チームの命運は保たれていた。
戦闘能力
プリキュアの戦い方や力を熟知しているなど、「プリキュアハンター」の異名に恥じぬ高い戦闘能力を有している。
普段は格下のプリキュアに対してはダガーを使用しないが、抜剣した場合はキュアラブリーの「プリキュア・ピンキーラブシュート」とキュアフォーチュンの「プリキュア・スターダストシュート」を同時にかき消すほどの威力を発揮する。
このダガーの刀身は通常状態では常に青白く発光しており、斬撃を衝撃波として飛ばす、切先から謎ビームを発射するなど、多彩な攻撃が可能。
高出力モードに移行すると刀身は禍々しい真紅の光を発するようになる。
さらに本気を出すと、刀身を持っていない左手が赤い波動に包まれ、そこからも衝撃波を出せる。これは剣によるビームと同時発射も可能。
30話や41話では獣のような姿のエネルギー体を召喚して攻撃するという技を使っている。
13話で初めて主人公たちとの戦闘シーンが描かれた際は、「ぴかりが丘最強のプリキュア」と称されていたキュアフォーチュンでもとても太刀打ちできず、彼女がキュアラブリーと共闘してようやく対等に渡り合う事が出来た実力者である。この時はブルーの命がけの交渉で彼を撤退させることができたが、この時点での彼は背中のダガーをほとんど使わずに戦っていたことを忘れてはいけない。
基本的にサイアークを使役せずに自分で戦うが、必要に応じて召喚するようで、頭上にダガーをかざして闇のエネルギー波を放射することで広範囲の人間を一瞬でサイアークに変化させる恐ろしい技を持っている。
サイアークを召喚する際の口上は「鏡に映る未来を最悪で満たせ!」
第21話ではぴかりが丘全域に無数のサイアークを出現させ、ひめによるとブルースカイ王国もこれによってあっという間に侵略されてしまったという。
ファントムが召喚した個体は三幹部のものとは少々異なり、マフラーが白色でマントのようなものを装着しているほか、頭には青い角があり、サングラスの形状も異なる。世界への侵食能力は「巨大な紫水晶を無数に林立させる」というもの。 また、一体一体が三幹部のサイアークより戦闘能力が高く、しかも上述のように一度に大量に出現するためかなり手強い。
なお、ファントムはプリキュアと一対一で戦うシチュエーションを作りたがる傾向がある。これはプリキュアが仲間との絆で強くなることを理解しているからであり、特にハピネスチャージプリキュアとの戦いでは、すべてにおいて「プリキュアが一人のときに襲い掛かる」ことから戦いを始めている。
22話はその点は特に徹底していて、高いチームワークを見せるハピネスチャージプリキュアの3人(キュアラブリー、キュアプリンセス、キュアハニー)の相手をサイアークに任せ、一人で戦うキュアフォーチュンの前に現れては逃走するを繰り返す。ファントムに恨みをもつフォーチュンは必死に追いかけるが、これはフォーチュン一人だけをプリキュア墓場に続く転移ゲートにおびき寄せるための作戦であった。その様子はまさに「獣を罠においつめる狩人」そのものであった。
ただし、ファントムとハピネスチャージプリキュアとの戦いでは、どのケースでも最終的に仲間のうちの誰かが加勢にかけつけることに成功しており、一人でなくなったときのハピネスチャージプリキュアはファントムを撃退するだけの逆転を成している。
また、ファントムは正々堂々と戦うタイプの武人ではない。
戦士である以前に狩人であるため、プリキュアを効率よく倒せるなら搦め手のようなものも容赦なく使う。
ファントムはプリキュアは心の強さが戦闘力につながることをよく理解している。そのため、戦うときはプリキュアに絶望を強く感じさせるような演出を行う。
相手の大切にしてる思いを踏みにじって恫喝もするし、無力さを身体におぼえさせるためにいたぶることも躊躇ない。
30話では、ファントムはキュアラブリーの影であるアンラブリーへと姿を変えてめぐみを追い詰めた。プリキュア史上初の男性キャラの女性化である(詳細はアンラブリーの項目にて)。
これも、相手の心をえぐる精神攻撃のための「搦め手」である。この変身によってオリジナルであるめぐみの記憶をすべて理解できるので、何をどうすればキュアラブリーが嫌がるのかが手に取るようにわかるのだ。
プリキュア相手に効率よく勝てるならば、ゲスの極みにもなれるし、女装もいとわないということである。
プリキュアの封印
プリキュアハンターの最も特徴的な点は、サイアークを生み出す際に出現するものと同じ棺桶形の鏡にプリキュアを閉じ込め、封印できることにある。
封印のプロセスはプリキュア封印を参照。
人間関係
ミラージュへの忠誠
ファントムはミラージュ個人に対してのみ絶対的な忠誠を誓っており、幻影帝国という組織に対しての忠誠心は皆無に近い。その為、他の帝国幹部を見下してさえおり、組織の力を活用しようという考えが薄い。他の幹部と連携を組むこともせず(あからさまな非難や排除、妨害もしないが)、戦闘員であるチョイアークを利用しようとさえしない。
また、命令がなかろうとミラージュのためになることを積極的にしなければならないという使命感があるらしく、しばしばミラージュの命令をあえて違反してまで独断専行する。
本編の前半ではミラージュがファントムがぴかりが丘に干渉することを禁止していたにもかかわらず、13話や21~22話では勝手に出撃してハピネスチャージチームを危機的状況に陥れている。
ミラージュはファントムの行動にはかなりの自由裁量を与えていたようで、今まで勝手に出撃して勝手にどこかのプリキュアを狩っても文句は言わなかったが、23話ではついに独断専行で組織の和を乱したことをミラージュから叱責された。
そこから29話まで動きはなかったが、同話でミラージュから直々にブルー討伐指令を下される。
だがシャイニングメイクドレッサーの覚醒により敗北を喫し、しかも見下していたプリキュアたちに保護され看病されるというプリキュアハンターとして最大の屈辱を味わっている。
しかし、ミラージュの元に帰るためならどんな屈辱にまみれることもいとわないという思いで、プリキュアたちと戦おうとはせずあえて彼女らのもとで回復に努めた。
ファントムはミラージュへの忠誠で動いているというより、ミラージュに一種の愛情を抱いているのではないかという声は当初からファンの間では言われていたが、この話でそれがより強調されることとなった。
40話では、世界中の戦線でプリキュアに押され気味になり幻影帝国の敗戦が濃厚になってきたことを踏まえ、「これ以上の戦いはあなたを傷つけることになる」と、ミラージュが戦線に赴く前に終戦を提言している。ファントムにとっては幻影帝国の勝利よりもミラージュの安全の方が重い様である
結果としてミラージュ自ら動くことになったが、同行を命じられたとき、ファントムの顔はどこか悲しげなところがあった。
41話では幻影帝国に攻め込んできたプリキュアたちのうち、キュアハニーと一騎打ちで戦う。最後の戦いにおいて、ハニーの言葉によって、ファントムは「昔のようなミラージュの笑顔」を見たいという気持ちで自分が戦っていたことを自覚し、それゆえに闇に落ちた今のミラージュではそれを与えてくれないということに気付く。そしてファントムは「悪の女王に忠実な騎士」としてのアイデンティティが崩れることになってしまった(詳細は後述)
ファントムのミラージュへの愛情は、恋愛感情なのか、家族的な絆による親愛なのか、そのあたりは判別は難しい。作中でも、それはどちらともとれるような絶妙なバランスで描かれている。
【コンビ・CP系タグ→ファンミラ】
ブルーへの憎悪
ファントムはミラージュへの愛情とともに、ブルーへの激しい憎悪を抱いている。
ミラージュもブルーを憎悪して苦しめようとしているのだが、ファントムはブルーの存在自体を否定しており、殺意を抱いている。
第13話でぴかり神社で偶然にブルーと相対したとき、怒りのあまりミラージュからの「ぴかりが丘にはファントムは干渉禁止」という通達を無視して攻撃してきた。
もっとも、このときはあくまでブルーを痛めつけようとしただけで、殺す気まではなかったようだ。しかしブルーを守ろうとしたキュアラブリーには容赦なく封印しようとした。
この時はブルーが「刺し違えても止める」という覚悟をみせてラブリーとミラージュの前に立ちふさがり、ファントムは怒りに震えながらも刃を収めて撤退した。ミラージュはブルーを生かして苦しめたいがゆえに殺すことは望んでいないことはファントムも強く理解しており、ブルーへの殺意よりもミラージュの思いを尊重していることが窺える。
しかし30話でディープミラーの言葉にたぶらかされたミラージュはブルーを消し去る覚悟をし、ファントムにブルーに手を出してもいいと許可する。そのときはとてつもない邪笑を見せていた。
29話にて、クイーンミラージュの過去がブルーの口から語られている。クイーンミラージュはかつてはキュアミラージュというプリキュアとしてブルーに仕えており、しかも二人は恋人同士だった。だが、ブルーが「すべてを等しく愛し見守る」という神としての使命を全うするためには特定の個人を深く愛するわけにいかないとして、ミラージュから距離を置いた。それによって深く傷ついたミラージュはすべてに絶望し、ブルーが自分よりも愛するこの世界すべてを不幸に染め上げようと幻影帝国の首領・クイーンミラージュとなったのである。
30~31話でファントムが負傷して、ゆうこの看病を受けていた際、そこに居合わせたブルーに「貴様のせいだ、ミラージュ様が変わってしまったのは」と言い放っている。このことからファントムはミラージュが悪落ちした事情を知っており、それゆえにブルーを憎悪していることが判明した。
つまり、ファントムがブルーを憎悪しているのは、ミラージュが悪の女王になったことを悲劇と感じているからである。これは幻影帝国の幹部としては本来はあってはならないはずの感情であり、ファントムの本心が垣間見える部分でもある。
41話ではキュアハニーとの決戦の中で、涙を流しつつ自身の本音を吐露する。
自分はミラージュからはブルーのような恋人としては見られていない。ブルーを失ってミラージュの心に開いた穴は、自分が代わりに埋めることはどうあってもできないだろう。
自分ではミラージュを絶望から救えないというならば、彼女が望む最悪の世界を作り出す手助けをして彼女の心の傷を少しでも癒すしかないと考えて、プリキュアハンターとなったというのである。ファントムは幻影帝国の他の幹部のように世界に不幸を広めることを望んでいないし、楽しんでもいないのである。
それゆえに、同話でブルーの方から「今の自分はミラージュを倒すのでなく救いたい。彼女をちゃんと幸福にしてあげたい」として和解を呼びかけたとき、「おまえが言うなー!!」と激怒していた。ブルーはもうミラージュの元に戻らないと思って自らが悪魔のような戦士になることを決意したのに、今になってブルーがミラージュを受け入れるならば、自分の存在意義を否定することに等しい。
プリキュアに対する姿勢
プリキュアに対してはあくまで「狩り取る対象」としてしか見ておらず、憎悪の感情をもって戦ってはいない。しかしそれは、同時に情けも持っていないことを示している。
逆にキュアフォーチュンからは、姉であるキュアテンダーを倒したために怨みを買っているが、13話でフォーチュンから姉の仇と叫ばれてもファントムの方は誰のことを言っているのかわからなかったようである。ファントムにとってはフォーチュンもテンダーも数いるプリキュアの一人にしか過ぎないため、気にも留めていないのかもしれない。
実際、22話でフォーチュンからテンダーのプリチェンミラーを見せられたことで、ようやくテンダーのことを思い出したくらいである。
そのキュアテンダー/氷川まりあのことは、「キュアテンダーは数あるプリキュアの中でも最強だった」と認めている。
しかし妹を庇って敗れたテンダーのことを「甘い性格がたたって敗北した、最も愚かなプリキュア」と称しており、完全に見下している。
本格的な初登場の13話では、手強いプリキュアたちがぴかりが丘にいることをディープミラーから聞いてミラージュにの出撃の許しを得ようとしたが「ぴかりが丘は三幹部に任せているので、お前は手を出さなくていい」と言われて止められている。
ただファントムにとっての「手を出さない」というのは「トドメを刺さない」程度の意味であり、
同話にて偶然ブルーとキュアラブリーと遭遇したときは、ブルーに対して怒りをぶつけて死なない程度に痛めつけようとした。ミラージュからの自粛令があったのでキュアラブリーにはちゃんと「手を出すな」と警告はしたが、ブルーを守るために戦う意思を見せたため、そのときは容赦なく狩ろうとした。この戦いにはキュアフォーチュンも乱入したが、やはりフォーチュンも自分の方からファントムに戦意を向けたため、ファントムは相手をしている。
下記の各話ネタにあるように、ファントムはハピネスチャージプリキュアと何度か激闘を繰り広げており、そのたびに倒しきれずに撤退している。
このことからハピネスチャージプリキュア側はファントムを宿命のライバルとも感じていたのだが、ファントムの方はハピネスチャージプリキュアには別段こだわりはもっていなかった。ファントムはハピネスチャージプリキュアが守るブルーの方に固執していたのであり、それが彼がぴかりが丘に何度も侵攻した理由である。
無関心を徹底しているのは意図的なメンタルコントロールのようで、上述したように自分がプリキュアハンターという立場にあることをある意味で呪われたものとみなしているがゆえのことだと思われる。
ただ31話にて、自分を敵としてではなく接してくれたキュアハニー=大森ゆうこに対しては、初めて特別な感情を抱くことになる
プリキュアに敗れたあと、ゆうこの看病によって傷が回復し、彼女に主であるミラージュと面影が重なるようになってゆく。
看病されたあとは、お粥を作ってくれたゆうこに「ごちそうさま」と感謝の意を示し、それ以降は気持ちがゆらぐことになる。
そして41話でのプリキュアとの最後の決戦では、キュアハニーとの一騎打ちの決闘という形となり、二人の思いが交錯することとなった。ファントムのミラージュへの揺るがない思いは、プリキュアたちが持つ愛と同質なものと感じたハニーは、ファントムを倒すのではなく救いたいと奮闘することになる。
【コンビ・CP系タグ→ファンゆう/ゆうファン(ゆうこ)、ファンいお(いおな)、ファンめぐ(めぐみ)、ファンまり(まりあ)】
その正体は?
31話では、ファントムはクイーンミラージュが悪に染まる前の巫女の姿を思い出しており、少なくとも300年前から生存しており、悪落ちする前のミラージュを知っている者ということになる。
また、この回でゆうこから、かつての愛犬に重ねられたことによりわんトムなどというネーミングを頂戴し、新たに犬キャラが定着し始めた彼ではあるが、その回想がミラージュを下から見上げるような視点だったため、ファントムは実際に元は犬やそれに類する動物だったのではないかという予想も上がっていた。
そして41話で、ファントムの正体がキュアミラージュのパートナーだった妖精ファンファンであることが判明した。詳細は該当項目も参照。
劇中の活躍
- 第1話
幻影帝国でのクイーンミラージュの演説シーンに1カットだけ登場。以後は13話まで一度も登場しなかった。
他の幻影帝国主要メンバーはOPアニメに出てくるのに彼だけは出てこず、事前の番組紹介情報などで一切触れられなかったうえ、敵キャラクターということもあって非公式バレでも彼の情報は本編開始後も漏れ出ることなかった。
「登場が事前にOPで予告されていて、正体も視聴者にはバレバレ」であったキュアハニーやキュアフォーチュンとは違って、ファントムは正真正銘の「謎のキャラ」として1クール目の頃はしばしばファンの間で話題となった。
なお、最古のイラストはこの第1話放映日にあげられている
- 第13話
アフリカ大陸東北部の砂漠地帯にてキュアナイルと戦い、封印するというインパクトあるデビューを飾る。
幻影帝国の城に久々に帰還し、成果報告。
「他に手ごわいプリキュアはいるか」という問いに対し、ディープミラーが日本のぴかりが丘になかなかしぶといのがいると回答。さっそく討伐に向かうつもりだったが、オレスキーたち三幹部が「ぴかりが丘は自分たちが攻略を任せられているエリアなので責任がある。ファントムはこの町には手を出さないようにして欲しい」とクイーンに嘆願。クイーンは一応これを享受したため、ファントムはぴかりが丘への干渉は自粛することにした。
ただ、クイーンは三幹部に「そこまで言うからには、これ以上の失態は許されない」と釘を刺しており、今後の流れ次第でどう動くかはわからなかった。
この13話では偶然にキュアラブリー&キュアフォーチュンのコンビと遭遇している。この時のファントムは上記の自粛要請のこともあり、こちらからプリキュアに手を出そうとはしなかったのだが、プリキュア側からファントムに戦意を向けたためにそれに応じて戦い、ほとんど本気を出していないにもかかわらず二人を圧倒した。この時はブルーの説得によってファントムは撤退し、その後は再びぴかりが丘を離れて世界各地でのプリキュア狩りを続けた。
- 第14話
イギリスのキュアコンチネンタル、モスクワのキュアカチューシャ、シドニーのキュアサザンクロス、ローマのキュアゴーンナ・キュアパンタローニ姉妹など世界各地でプリキュアを封印し、各地の都市が陥落していく様子がニュース番組『プリキュアウイークリー』で伝えられた。
- 第16話
マドリードを守っていたマタドールプリキュアを倒す。全体的にヨーロッパが狙われやすいんだろうか
- 第20話
プリキュア墓場の初登場。
経緯は不明だがここでキュアエコーのそっくりさんと戦っていた。当然、無残に封印される。
しかし、このプリキュアが墓場に自力でたどり着いたなら相当な実力の持ち主だし、ファントムがここを戦場にするようにおびき寄せたならある程度は強敵と認められていたことになる。
- 第21話
ハピネスチャージプリキュアの活躍で愛が大きくなっているぴかりが丘を見渡した後、「しかし、愛が大きければ大きいほど、失った時の絶望は大きくなる」と敵視しているブルーとほぼ全く同じ主張をして、襲撃するには良い頃合だと考えたファントムは独断でぴかりが丘の攻略を始める。
自粛令のためにこちらからプリキュアに手を出さなかった13話と違って本気でプリキュアを狩りにきたファントムの姿は、彼の真なる実力を視聴者に見せつけることとなった。
ファントムのサイアーク召喚シーンが初めて描かれ、大量のサイアークを一瞬で作り出せるという能力が発覚する。
自分を執拗に狙うキュアフォーチュンを鬱陶しく思ったのか、彼女一人をプリキュア墓場に閉じ込め、そこで処刑宣告を行った。
余談だが、墓標群に封印されているプリキュアたちの中に今度はキュアマーチのそっくりさんがいた。
- 第22話
前話からの続き。キュアフォーチュンへの処刑が始まった。ファントムはプリキュアに「絶望」を与えることで弱くなることを知っており、他人のために苦しい思いで戦うプリキュアなんて存在がいかに下らないかと罵倒を重ねながら攻撃をする。
プリキュア封印も全てはミラージュの為に世界を不幸で満たしすことで彼女の心を癒すための行為であり、過去の因縁から人を護る行為自体を甘い考え方だと切り捨て、友情にも人を愛する行為と同じ、またはそれ以上の激しい怒りを見せるなど半ば狂気めいた一面を垣間見せた。
また、自身が敗北することは彼女の心を更に傷付けることになるため、それが許されない事だと強く思っているあたり、ミラージュ本人に心惹かれているような描写もあり、自身の怨恨も含めてプリキュア狩りに勤しんでいるかの描写が垣間見見られた。
キュフォーチュンを変身解除状態にまで追い詰めたうえ、彼女のプリカードを奪って燃やしてしまい、彼女の心をへし折ろうとする。
しかし、キュアプリンセスから譲渡された「大いなる願い」によって新たに真のプリキュアとして生まれ変わったキュアフォーチュンにダガーを折られてしまい、さらに浄化必殺技の直撃を受けるという屈辱的な状況に追い込まれる。
しかしここまでやってもまだ倒れはせず、満身創痍の中で戦いを続けようとするが、そこにクイーンミラージュの巨大な幻像が現れる。
- 第23話
前話からの続き。クイーンミラージュの悪の女王としての圧倒的な威圧感はファントムの比ではなく、幻像から放たれたエネルギー波の一撃でプリキュアたちは撤退するはめになってしまった。
このぴかりが丘侵攻はファントムの独断で行われたものだったらしく、ミラージュの不興を買い、呼び戻されてビンタを食らった挙げ句、スタンドプレーを慎むように釘を刺される
(本編ではこの時のビンタの描写は音のみで、実際には描かれていない。「顔面への殴打」に対する伝統的タブーは、ここでも適用されている)。
- 第29話
以前の失態で活動を停止させられていたのかしばらく出番がなかったが、この回の終盤でミラージュから出動命令が下る。
それは「ブルーを倒せ」という指令であった。
「本当によろしいので?」と確認を取ったところ、ミラージュがブルー討伐を強く望む返答をしたため、これでブルーを倒す大義名分を得たファントムは怪しく微笑んだ。
- 第30話
再びブルーの前に現れたファントムは、ブルーを守るキュアラブリーと13話以来の再戦。当時よりもはるかに力をつけたラブリーの実力を認めたファントムは、奥の手としてミラージュから与えられた新たな力を使う。それは、相手の「影」を奪って纏うことで、その相手の心の影を具現化した存在に生まれ変わる能力。ファントムの肉体と精神が再構成される驚愕の変身バンクシーンを経て、キュアラブリーのコピーにして反存在であるアンラブリーが顕現する。
キュアラブリーに匹敵するパワーをもつうえ、めぐみの記憶を自身のものとして持つアンラブリーは、めぐみが自分では見ようとしなかったコンプレックスをつきながら精神的にも追い詰めていく。
めぐみは本当は誰の役にも立っていない、幼いころと変わらない幼稚な人助けごっこをしている自分に自己満足して、将来の現実的なビジョンから現実逃避して無為な時間を過ごしているだけだ、と指摘され、それを心の奥では認めてしまい戦意を失うめぐみ。
敗北必至の状況に陥るも、駆け付けた仲間たちの励ましによって再び奮起。自分のことを自分で信じることはできなくても、代わりに友達が信じてくれるならば何だってできる。吹っ切れたキュアラブリーの攻撃はアンラブリーから自らの「影」をはがし取り、ファントムは元の姿に戻る。
この一連の流れによってシャイニングメイクドレッサーはプリキュアたちの力を認め、合体必殺技「プリキュア・ハピネスビッグバーン」の発動権限をプリキュアたちに与えた。ドレッサーから放たれる強大な光の直撃を受けたファントムはついに地面に倒れ伏す。22話での覚醒したキュアフォーチュンの全力でもファントムの膝を折ることはなかったので、ファントムに土をつけたのはこれが初めてである。
しかし、それでもまだ浄化や消滅に至る段階までは至っておらず、息はある状態。次回予告では何とキュアハニーに助けられ、看病される姿が描写され、視聴者を騒然とさせる。
- 第31話
「プリキュア・ハピネスビッグバーン」は本来ならばファントムの魂を救い浄化するはずであった。しかし、ミラージュを残して自分だけが幸福になることをファントムが望むはずはなく、自らの強烈な意志の力で幸せの波動に飲まれまいと抵抗。結果、身体に負担が及んで傷つき消耗してしまった。
プリキュアたちは意識を失って倒れ伏したファントムそれを放っておくこともできず、ブルースカイ王国大使館で看病されることに。その頃ミラージュは、ファントムが死んだと思い込んでか悄然としていたが、ディープミラーから「彼は生きているが、囚われの身となった」と聞かされて血相を変え、オレスキーを奪還に向かわせる。やはりこの二人の関係は、ただの「女王と忠実な僕」という間柄だけではなさそうである。
大森ゆうこの献身的な看病と、彼女の思い出話には感じ入るものがあったのか、恩を仇で返すようなこともせず、オレスキーのサイアークが暴れている隙に黙って帰ろうとする。追ってきたブルーを攻撃しようとするが、「大切な人のいる場所へ帰ればいい」というゆうこの言葉の前に拳を収め、「ごちそうさま」の一言を残して去って行った。
プリキュアたちと馴れ合うようなデレは最後まで自らに許さなかったが、ごはんの前では敵も味方もなかったようだ。
- 第40話
帝国、謁見の間にてオレスキートリオが居並ぶ中、ミラージュを気遣い「これ以上の戦いは貴女をより傷つける」と、戦いの終結を迫る諌言をするが、即座に却下される。この直後、根拠無き大言壮語をしようとしたオレスキーはビームを掠められたのを見ると、扱いの違いは明白である。
- 第41話
最終決戦を決意したミラージュが、世界中の大都市の上空に巨大な鏡を作り出し、そこから放たれる光で無数の人間をサイアーク化していく。この大作戦により最近劣勢だった幻影帝国側は一気に優勢になったが、ミラージュは激しく消耗してしまう。それはファントムが懸念していたことで、地球を不幸に染めたあとミラージュ様はどうなるのかとディープミラーに尋ねる。ファントムが迷いを見せつつあることに懸念を感じたディープミラーは、「あなたの本当の願いは、『クイーンミラージュの手足となり、その願いを叶えること』なのだから、ミラージュが望む通りに従えばいい」と釘を刺す。ファントムもそれが自分の使命だと信じているはずなのだが、なぜか浮かない顔をする。
ハピネスチャージプリキュアが幻影帝国に乗り込んできたことを知り、ファントムはそれの撃退のために出撃する。プリキュアたちはミラージュの城へ向かう道中で謎の霧に巻かれて離れ離れになり、キュアハニーだけがファントムの元へたどりついた。
かつて自分を助けてくれたハニーと相手をすることにファントムは複雑そうな顔を見せたが、それも一瞬のことでハニーに本気で襲い掛かり、二人の激しい対決が始まった。
このままでは世界が不幸に染まりきってしまうと警告するハニーは、「不幸を放ち続けると自分も不幸に飲まれる。ミラージュのことを大切に思うならばこそ、ミラージュを止めるべき」と説得を重ねる。
だがファントムは、ミラージュが憎しみのままに力を使うといつかは彼女自身を滅ぼすということをすでに気づいていた。ミラージュを安心させるためには、彼女が望む最悪な世界を自分が完璧に作り出すしかない。そうすればこれ以上に憎しみを加速させることはないのだから。
大切な人を思う気持ちがファントムの邪悪さを生み出したという事実を知ったキュアハニーは彼を敵とみなすことができなくなり、一度は戦意を失いかける。しかし、ファントムを救いたいからこそ負けるわけにいかないという決意で再起。
ファントムの本当の願いは「今のミラージュ」の願いを叶えることでなく、「昔のミラージュ」の笑顔を取り戻したいことだと看破したキュアハニーは、そのことをファントムに命がけの覚悟で告げた。ファントムはその言葉に初めて迷いを見せるが、そこにディープミラーが干渉してきてファントムの中にある怒りの感情を暴走させ、ファントムは理性を失ったバーサーカーと化す。しかしそこにかけつけてきたキュアフォーチュンが、これまでのファントムへのわだかまりを捨て去ったエメラルドイリュージョンの一撃でファントムの動きを止めることに成功。そして仲間たち全員の合体技プリキュア・イノセントプリフィケーションでファントムをディープミラーの呪縛から解放し、ファントムは正気を取り戻す。
それと同時に、自分の本当の願いを自覚したファントムはもはやプリキュアハンターでいられなくなり、本来の姿へと戻った。
これ以降は心を取り戻したミラージュと共にしていたが、人の姿に変わる能力は失っていなかった事が最終決戦後に明らかになる。
- 第49話(最終話)
戦いがすべて終わり、ブルー、レッド、そしてミラージュがレッドの星を元に戻すためプリキュア達に地球の平和を託して旅立つことに。
しかし、それまでずっとミラージュの傍にいたファンファンはついて行かず、自らの意思でミラージュに別れを告げて地球に残ることを決めた。その決意を受けたミラージュは涙を流しながら「地球をお願いね」と必死に涙を堪えるファンファンに優しく語りかけた。
その後、ファンファンは大森家に居候することになったようで、料理の勉強も始めた様子。
第41話以降人間体の姿に戻ることはなかったが、一瞬出てきた回想シーンでは、ファントムと同じ人間の姿になったファンファンがゆうこと一緒におおもりご飯の厨房に立って店のエプロン着用の元フライパンを振っており、しあわせごはんを作るための修業に勤しんでいる。
ファンファンには料理の素質があるようで、その腕に関しては「すごーくおいしいのよ」とゆうこも絶賛しており、ファンファン自身は「それほどでもない」と謙遜しているものの、「ご飯に関して大森に褒められるってすごいぜ」と、誠司も感心していた。
ラストシーンでファンファンはゆうこから片時も離れず、ミラージュに別れを告げ、これからはゆうこのパートナーとして傍にいることを決めたようである。
余談
中の人について
担当声優の野島裕史は『ハートキャッチプリキュア!』の敵キャラクター・コブラージャを演じて以来のプリキュアシリーズ出演で、今回も敵幹部役での再登板となった。
両者とも美形の悪役だがファントムは冷静沈着、コブラージャはナルシストと性格は違い、一人称もコブラージャが「僕」であるのに対し、ファントムは「俺」である。
pixivでは
プリキュアハンターと言う設定上、プリキュアオールスターズ関連のコラボ等、他のシリーズのプリキュアと関わるイラストがいくつか存在する。
作中ではプリキュアを敵視して封印している彼だが、pixivではプリキュアをコレクションして悦に浸る変態じみたプリキュアファンとして描くシニカルなネタも多い。→変態ファントムさん
「ファントム」「プリキュア」で検索するとファントム(『仮面ライダーウィザード』の怪人)とプリキュアのコラボイラストが引っ掛かるので注意。
ちなみに彼の服装はなんとなくウィザードに似てたりする。
服装といえば、どことなく某コーポレーション社長にも似ている気がする。