CV:小林沙苗
概要
『ハピネスチャージプリキュア!』に登場するキュアテンダーが闇に染まった姿。
作中では闇に染まっても名前が変わるわけではなかったので、これはあくまでpixivでの呼称である。
名前が変わらなかったというのは彼女がいわゆる闇キュアではなく、本物のプリキュアでありながら悪に堕ちたということを示している。
第37話にて「プリキュア・ハピネスビッグバーン」を発動してサイアークを浄化したハピネスチャージプリキュア。
オレスキーすらも浄化しかかった矢先、何者かの横槍でビッグバーンが破られる。
プリキュアとオレスキー達の戦いを観戦していたクイーンミラージュの命を受けやって来た、その謎の人物の正体は…ファントムとの戦いに敗れ、長らく「プリキュア墓場」で眠っていた氷川いおな=キュアフォーチュンの姉・まりあ=キュアテンダーであった。
失敗続きの三幹部にしびれを切らし、腹心のファントムすら当てにできなくなったクイーンミラージュにより洗脳され、幻影帝国の切り札として投入されたのだった。
そして彼女は、妹やその仲間達と激闘を繰り広げることになる・・・。
誕生の経緯
本作においてのチーム「ハピネスチャージプリキュア」は世界のプリキュアの中の1チームにすぎず、防衛地域もぴかりが丘とその周辺がメインである(海外チームの助っ人として遠征に行くことはある)。
ブルーのおひざ元のチームであることはミラージュの私怨の対象となっていたが、ぴかりが丘の侵略に必死になるよりも、手薄の地域を襲って不幸のエリアを地球上に増やしていく方がブルーへの復讐は効果的だとミラージュはわかっていたため、基本的にハピネス組の討伐は三幹部(オレスキートリオ)に任せていた。
しかし、シャイニングメイクドレッサーをこのチームが覚醒させたことで危険度の高いチームだとディープミラー(のちの黒幕・レッド)が焦りだし、ミラージュにハピネス組の討伐に力を入れるように提言。30話で忠臣ファントムにアンラブリーへの変身能力を与えて送り出したが、プリキュアたちはそのピンチを乗り越えることで逆に新たな力「ハピネスビッグバーン」を得る。この技はファントムをも瀕死にまで追い込むほど強力なばかりでなくオレスキートリオも幸福度で次第に症状が悪化、クイーンミラージュでさえこの技を警戒するほどでディープミラーも危機感を抱くようになる。そのうえ、イノセントフォームへの変身能力まで順番に覚醒、36話でハピネス組全員がイノセントフォームを手に入れると、さすがの幻影帝国側も危機的状況に追い込まれることとなりハピネス組への対策に本腰を入れざるを得なくなる。
そして、アンラブリー作戦に続く第二の奇策が、このキュアテンダーの洗脳である。
洗脳はプリキュア墓場に封印された状態の無抵抗のキュアテンダーに闇の波動を送り込みながら、封印を解くという形で行われている。
ミラージュは、キュアテンダーがキュアフォーチュンの姉であることを知っていたので、テンダーと戦わせたらハピネス組はショックでまともに戦うことさえできないだろうと理解していた。
封印されたプリキュアたちのうち、テンダーを選んで闇に染めたのは「最強のプリキュア」だったからというのももちろんあるが、意図としてはハピネス組が嫌がることをしようという方がよっぽど大きかったのである。
実際、ハピネス組は「プリキュア同士の戦い」が始まったことにショックを隠し切れず、しかもその相手がキュアテンダーだったために傷つけることに躊躇し、防戦一方となった。
人物
冷酷かつ好戦的な性格で、クイーンミラージュの命令に忠実に従う。
洗脳の結果、愛や幸せを忌み嫌い、「幸せは一瞬、愛は幻」というミラージュと同じ思想に染まっている。
味方のはずのオレスキーを邪魔者扱いしているあたりの協調性のなさは、ある意味で幻影帝国の幹部になりきっているというべきか。
ミラージュの忠臣という意味ではファントムと似た位置にあるが、ファントムはミラージュの狂気に本心では同調していない様子が垣間見えているのに対し、キュアテンダーはミラージュの狂気に完全に魅入られて酔いしれている。テンダーの台詞はすべてミラージュの考えていることと同じであり、いわば女王の代弁者である。
38話では二人の台詞がオーバーラップするような演出も多用された。
過去の記憶が改ざん・抹消されており、いおなのことを妹だとは認識していない。
しかし、まりあとしての優しい性格は心の底には残っており、プリキュア達の呼びかけや行動で封印された記憶が甦り、次第にその元の性格と洗脳との間で苦しみ始める。
容姿
基本的な見た目は一応は本来のキュアテンダーと変わらないのだが、アレンジが数多く加えられた結果、悪役にふさわしい姿に変貌している。
まず最大の変化として、背中にミラージュに酷似した紫色の蝶、あるいは蛾のような羽を装備している。
髪型はほぼそのままなのだが、色はフォーチュンに近いライトパープルへ、また瞳の色は赤へ変わっている。
コスチュームについては胸のベストが大幅に変化し、丈が伸びて長ランのような形となった。逆に本来のキュアテンダーの最大の特徴であったフレアスカートがなぜか短くなってミニスカートになっている。
事実上別キャラと言っても良い状態なので、この姿をしたキュアテンダーのイラストにはタグとして別途「キュアテンダー・闇」を付ける事を推奨する。
瞳の色が洗脳状態を表しているようで、正気に戻りかけた瞬間に瞳が一瞬青くなるという演出が38話では多用されている。
なお、洗脳を施したクイーンミラージュ自身も、この38話でブルーの説得によって一瞬だけ瞳が青くなった。このことから、ミラージュがテンダーに施したのと同じ洗脳を、ミラージュ自身も誰かから受けていることが確実のことになった。
能力
ミラージュからは「奥の手」と評されており、その力はオレスキー達も恐れていた程。
空中を高速移動が可能で手から暗黒色の光線を放ち、接近戦になると剣まで繰り出すことが可能で肉弾戦でも抜群の機動力を持ち戦闘能力はきわめて高い。強さもさることながら本来はプリキュア同士で仲間のはずであり、ましてやキュアフォーチュン(いおな)にとっては姉でもあり、非常に戦い辛いという厄介さも併せ持つ。
必殺技に相当するものとして、手を天に掲げて三日月状のワームホールを作り出し、そこから暗黒の蝶を召喚してプリキュアたちに突撃させるというものがある。この暗黒の蝶はプリキュア達のこの時点での最終奥義と言えるハピネスビッグバーンを打ち砕くことも可能。
技名は叫ばなかったので不明だが、技の発動シーンは専用に作られていた。
活躍と結末
37話ではサイアークを浄化して素体となった真央らが解放され、本来なら生成されるはずのプリカードが出ず44話以降に登場する赤いサイアーク以外では唯一の例となった。
38話では、その高い戦闘能力に加え、「プリキュア同士の戦い」というシチュエーションでハピネスチャージプリキュア達を戸惑わせ、一人で4人相手に優位に立つ。
ミラージュの代弁者として愛や幸福への呪詛を吐きながら苛烈に攻撃を重ねるが、その言葉すべてに真正面から反論するキュアラブリーの強い意志と、「自分がどんなに傷つこうが誰かを守る」というラブリーの戦い方を見るにつれ、キュアテンダーはどこかで同じような光景を見たようなデジャブに襲われる。
そう、今のラブリーの姿はかつての自分自身とオーバーラップするものであったのだ。
戦闘中に何度か失われた記憶が蘇りかけるが、そのたびにミラージュは封印を強化し、テンダーは激しい頭痛に苛まれる。
その様子は襲われているプリキュア4人から見ても逆に痛々しいもの。フォーチュンは大好きな姉が苦しんでいることを悲しみ、姉によって倒されかけているというショックよりも、姉を助けたいという気持ちの方を高める。これがきっかけでイノセントフォームでの合体技「イノセントプリフィケーション」の使用権限がドレッサーより与えられた。その力でキュアテンダーは浄化され、氷川まりあの姿に戻った。
結局、彼女はミラージュに操られていただけで、元の優しい氷川まりあには変わりなかったのだった。
タブーの破壊者
プリキュアシリーズでは長い間「プリキュアは何があっても悪いことはしない」という慣例が守られ続けており、これは非常にデリケートに扱われていた。
たとえプリキュアに似ていても、それは「プリキュアをコピーしてつくられた悪の戦士」(闇キュア)であり、プリキュアではないということで慣例は守られ続けてきた。
しかし、キュアテンダー・闇は紛れもなく本物のプリキュアであり、それが敵として現れた展開は視聴者に驚きを与えた。
一部の視聴者はアンラブリーという前例のため、このキュアテンダー・闇も「どうせまたファントムが懲りずに女装してきたんだろ?」と高を括っていた。そういった視聴者はより大きな衝撃を受けただろう。
タグの由来
放送当時公開されていた仮面ライダー鎧武の劇場版『黄金の果実争奪杯』に登場する仮面ライダー鎧武・闇が元ネタ。
こちらも敵の手によって悪堕ちした共通点をもつ。
関連イラスト
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キュアブラック キュアホワイト……洗脳されて同士討ちをした唯一の前例。
プリキュア同士の戦い……上記のブラックとホワイトのことも含めた事象がまとめられている。