「おまえの愛を、滅ぼす......」
CV:金本涼輔
概要
その正体はハピネスチャージプリキュアの協力者である相楽誠司。
第45話において、誠司はレッドによって悪の戦士に洗脳されてしまい、敵として立ちはだかることになった。その状態の誠司を扱うタグがこれである。
児童誌ではこの形態の誠司を「ダークせいじ」と名付けていた上、東映のサイトの47話予告には「ダーク誠司」と表記されているのでこれが実質的に公式と見なせそうだが、今のところ本編中では特別な戦士名で呼ばれているわけではない。
一部では後述の衣装の配色や語呂から彼女になぞらえて「セイジーオルタ」とも呼ばれているとか…?
容姿
どことなくプリキュアを封印するために女体化したりするなどの悪行をしでかした彼に似ているも、体や四肢に赤い拘束帯が巻かれている。
目はつり目でハイライトが無く、そして胸にはかつてのラビリンスの幹部たちにあったような赤いクリスタル『憎しみの結晶』が付いている。
また、アホ毛がなくなっている。
しかし、この身体に巻き付いている赤い拘束帯は、サイアークの触媒にされる犠牲者やプリキュア封印された少女たちが封じ込められる「鏡の棺桶」に巻かれるリボンと同じものであり、誠司の心が囚われていることを何よりもわかりやすく説明しているという、ちゃんとした意味があるデザインである。
第43話では、クイーンミラージュが作り出した自身の心象風景の中で、かつての優しかったミラージュがこのリボンによって拘束されている姿が浮かび上がっていた。
また、その無感情な表情からはいつもの誠司の面影が全然感じられず、全体的には不気味さを醸し出している。
レッドによって洗脳されていた他の幹部達と違い、目に光りがないところを見ると、非常に強力な洗脳を受けた事が窺える。
また、どう見ても某先輩の中の人と親交の深いあの人のあの曲に登場する衣装に似ていることからPixiv内ではネタにされていることも多い。
戦闘能力
空手でならした素手格闘だけでなく、闇の光弾を放つなど特殊技もこなせるため、かなりオールマイティーである。
また、レッドの力によって増幅した一撃は、ラブリーたちを全員変身解除させるくらいに強い。
初戦闘した第46話では、相当な強さをみせてハピネスチャージプリキュアを苦しめたが、誠司がクイーンミラージュをも上回る強さを得たのかというと判断が微妙なところである。
プリキュアたちが愛の心の高まるほど強くなるように、憎しみの結晶を植え付けられた誠司も憎悪を高めるほど強くなれる。
誠司はレッドやクイーンミラージュのように世界そのものを憎んでいるというより、キュアラブリーという個人に対して激しい憎悪を持つ。
なので、ラブリー本人とラブリーを守ろうとする仲間たちに対しては、ミラージュを超えるほどの恐ろしいほどの力を発揮すると見た方が正解だろう。
ほかのプリキュアたちならば、もしかすると誠司に対して有利に立ち回れるのかも知れないが、誠司を倒すのでなく「助ける」ことをしたいならば、その思いを強く持つキュアラブリーと仲間たちでないとならない。
ゆえに、悪堕ちした誠司と相対する役目はハピネスチャージプリキュアに任されている。これは世界中のプリキュア全員の総意である。
攻撃力についてはこのようにキュアラブリー対策に特化したところがあるが、防御力については文句なく全キャラクター最強といっていい。
超強力なバリアが常に誠司を守っており、そのバリアが破られたあとでも、物理的な力では誠司に傷一つつけられなかった。
その絶対防御性能は、彼が今まで隠し続けた「本当の思い」に、もう誰も触れさせないようにしているみたいな決意さえ感じさせる。
ちなみに、キュアフォーチュンも氷川流空手の門下生であるため、同門対決をやっていることにもなる。
弱点
ブルーによると、誠司の胸から露出している「憎しみの結晶」が彼の心を憎しみに染めている元凶であり、これを砕くことができれば正気に戻ると言う。
ただし、そう簡単に砕けるものではないようで、第46話ではハピネスチャージプリキュアが4人がかりで結晶を砕こうと殴りかかったにも拘わらず、ビクともしなかった。
第44話でレッドがめぐみを洗脳するために憎しみの結晶を取り出したとき、正気に戻っていたミラージュが強烈な悪寒を感じており、「かつて自分を闇に染めたときに感じたもの」と同じだと語っている。
このことから、レッドがミラージュを洗脳したときにも憎しみの結晶を体内に埋め込んだと予測される。ただし、ミラージュはこのような結晶は胸に露出されていなかった。
誠司は自身の「弱点」をさらけだしてしまっているわけで、これは彼がまだ洗脳されたばかりで結晶との同化がすすんでいないだけなのかも知れないが、もしかしたら憎しみに飲み込まれるまいとする誠司の最後の意思のあらわれなのかも知れない。
本編での流れ
誕生の経緯
第43話にて、絶大な愛の力でクイーンミラージュを浄化したキュアラブリー。
それを危険視した主犯者・レッドは、ラブリーを洗脳することで、ミラージュに代わる新たな駒として操ろうと目論む。
失恋で傷心中のキュアラブリーは洗脳によって堕ちそうになったが、それをギリギリで踏みとどまらせたのが、愛乃めぐみの心を支えていたのが誠司の存在であった。
レッドはめぐみを入手することは諦めるが、ならば彼女に最大クラスな絶望を与えてやろうと誠司を利用することをもくろむ。第45話で誠司に接触して「憎しみの結晶」を与え、誠司を悪堕ちさせるに至った。
そして、第46話にて誠司とプリキュアたちを戦わせ、レッドの計画どおりにめぐみは大変なショックを受け、戦う心を折られてしまうこととなる。
クイーンミラージュやオレスキートリオなどの幻影帝国の元幹部たちはすべてレッド(ディープミラー)の邪悪な言葉によって悪堕ちしているため、レッドの洗脳の力は実証ずみである。
だが、レッドはどんな相手でも悪堕ちさせれるわけではない。
レッドは「強い負の感情」を心の底に隠している人間のみを狙い、その負の感情を解放させることで洗脳する。
つまり、誠司の心の中にも「強い負の感情」があったこととなるが、誠司が洗脳された45話では、レッドが誠司にどのような言葉を囁いたのかは描かれなかった。
悪堕ちの原因
もっとも、悪堕ちした次の回である46話で、誠司が抱いていた負の感情はレッドの口から明かされている。
誠司の「本当の気持ち」が何なのかを、視聴者にも考えてみて欲しいという演出方針だったわけである。大きなお友達の間でもいくつか喧々諤々な議論があがったが、これは誠司の負の感情の予想がつかないからではない。
むしろ、悪堕ちの原因になりそうなフラグが多すぎて、特定しにくいという方が正しい。
- プリキュアのように戦う力がないため、肝心なときに力になれない悔しさ
- ブルーへの嫉妬心
- めぐみへの独占欲
- 「オレはめぐみを女子として愛している」という命題に対して、自分の慕情をめぐみに素直に告白すべきなのか、それとも思い止まるべきなのかという躊躇
…など、マイナスな感情がキッカケになったとしても違和感は全然ない。
彼の名誉のために弁護しておくと、上記の「負の感情」は思春期の少年としてはごく当たり前の感情である。
(むしろ、誠司が「大人」になりかけている事の証でもある)
憎むべきはこの感情を利用して漬け込んだレッドであると見るべきだろう。
そしてその第46話では、レッド自身の口から誠司が憎しみに取り込まれたのはめぐみのせいだとはっきり指摘された。
事実、誠司はキュアラブリーに対して特に執着して攻撃しており「おまえの中の愛を消し去る」と激しい憎悪を燃やしている。
今までずっとめぐみを支え続けてきた誠司だが、めぐみは彼がなぜそこまで自分のことを気にかけてくれるかを真面目に考えたことがなかった。
彼の本当の気持ちをめぐみが汲むことをしなかったことは、誠司の心の中で影としてずっと巣食っていたというのである。
誠司が隠し続けてきた思いはいうまでもなく、めぐみへの慕情である。誠司の悪堕ちの原因は大方の視聴者の予想どおりのオチだったということになる。
なお、第47話でレッドは「誠司がめぐみを守る為に強くなろうと努力していたのに、プリキュアになっためぐみを守るどころか、守られてばかりだ」ということを煽って、誠司の憎しみをさらに強化している。日常の世界でめぐみを守り続けた誠司が、プリキュアの世界では無力そのものであることも、彼のコンプレックスとして根付いていたこともまた明確に描写されているため、誠司が悪堕ちした原因は結局、上述したこれらの感情すべてが複合的に混ざり合った結果だと言える。
自分が誠司を傷つけていたことを知っためぐみは心が完全に折れてしまったが、キュアテンダーの叱責(およびアロ~ハプリキュアたち海外のプリキュアの応援)によりそれでも自分が誠司を助けたいと思っていることを自覚。
そして、誠司が今までめぐみを見守り助け続けたのは、自分が今誠司に抱いているのと同質の感情を、誠司がめぐみに抱いていたからだと気づく。
46話の誠司はプリキュアたちにトドメを倒せるレベルまで追い詰めたが、レッドはあえてそれをやめさせプリキュアたちを見逃して誠司とともに去っていく。これでもラブリーがまだ立ち上がるつもりだというなら、何をやってもやっぱり誠司を助けられないという現実を見せつけて、さらなる絶望を与える方が、ここでラブリーをあっさり倒すよりも何倍もブルーを貶められると考えたのだ。
めぐみはレッドの挑発をあえて受け入れ、誠司と再び相見えることを決意した。
結末
47話では、プリキュアたちはレッドが支配する赤い惑星に殴り込みをかけ、再び誠司との戦いになる。前回と違って迷いを捨てたラブリーだが何をやっても憎しみの結晶は破壊できない。
そこにレッドが現れ、憎しみの結晶を破壊することなど不可能だ、どちらかが倒れるまで戦い合うしかないと言い放ち、ラブリーに絶望を与えようとする。
しかしラブリーはその現実をあえて受け入れ、誠司がそこまで自分を憎むというならば、真正面からその憎しみを受け止めてあげると、戦いを決意してしまった。
誠司の憎しみはレッドにより増幅されているとはいえ、その種は彼が元々もっていたものだ。「誠司の気持ちをわかってくれないめぐみへの憎悪」は誠司の「本当の気持ち」の一部である。ならば、めぐみはそれを知りたい。むしろ、優しい誠司が自分への負の感情を見せてくれるチャンスなんて今このときしかないのだ。
そして、ラブリーは誠司と本気で殴り合いながら、自分の本音を語るという肉体言語による会話が始まる。憎悪の表情燃で攻撃を繰り出す誠司と対照的に、本当に楽しそうな最高の笑顔で誠司と戦うラブリーの姿は、レッドの想像の範疇をはるかに超えており彼は大きな困惑を見せる。
めぐみは、悪堕ち誠司を「本当の誠司じゃない」などと否定せずにその存在を認めた。誠司の醜く汚い憎悪の感情を忌避せずに受け入れたことで、憎しみの結晶もまためぐみを受け入れる。
そして、憎しみの結晶に守られて眠り続けていた誠司の愛の心にめぐみの声を届かせることとなった。めぐみは、誠司が今まで自分を愛してくれたことへの感謝と、これからもずっと誠司と一緒に生きていきたいという心からの願いを告げる。
それは誠司が願い続けた思いと同じ。めぐみに伝えたかった思いがめぐみに伝わったことを理解した誠司は元の心を取り戻し、最終的にイノセントプリフィケーションを受けて憎しみの結晶は浄化された。
余談
プリキュアに協力しているサポート役の一般人の登場人物とプリキュアが激突するのはおそらく彼が初。
ただし、プリキュアの身近な男性キャラが敵に回った例は『5GoGo映画版』でムシバーンに洗脳されキュアドリームをお菓子にしようとした小々田コージ(ココ)がいる。
黒幕が自身の手駒となる首領格を据え置くのは、ファルセットに続いて二例目となる。
ただし、誠司が悪堕ちした時点の幻影帝国に彼以外の幹部はおらず、赤いサイアークやチョイアークについては「幻影帝国の神」たるレッドが直接命令していた。
「新たな帝国の王(皇帝)」というよりは、レッド神に仕える「帝国の神官」というのが悪堕ち誠司の立ち位置を正確に表している。
実はレッドよりも先に、ホッシーワが「わたしのチョイアークにならない?」と誠司を勧誘していた(26話)。
そして、ナマケルダが誠司をサイアークの媒体として簡易的に悪堕ちさせた(27話)。
しかし、この二人は優れた部下を得ることには不熱心で、一度拒否される・奪回されると実にいさぎよく諦め、今後は深く関わろうとしなかった。
この二人がもっと本気出していたら、或いはディープミラーがもっと早く誠司の存在に目をつけていたら・・・
- クイーンミラージュに頭を垂れる悪堕ち誠司
- キュアテンダー・闇もしくはアンラブリーとタッグを組む悪堕ち誠司
- チョイアークを率いる悪堕ち誠司
- 悪堕ち誠司の台頭に焦燥するオレスキーもしくはファントム
- 自分の派閥をつくってミラージュと対立する悪堕ち誠司
が見れたかもしれない。
というか、一部の視聴者から「そういう展開も見たかった・・・!!」という意見も少なからずあったとか・・・。
これまたアンラブリーと同じく、数日前に梅竹もか氏によって誠司の悪堕ちと思われる作品が投稿されている。誠司の悪堕ちが公式になったことで予言者タグが付けられることになった。
「相楽誠司」の記事にも書かれているが、誠司のイメージカラーは赤で、「レッドヒーロー」のタグも付いている。
レッドヒーローがレッドという神の手で悪堕ちしたことは、なんとも暗示的ではある。
あと身体中を拘束帯が巻き付いているというデザインから、リアルタイム時にはT.M.誠司/誠司Revolutionだの西川誠司だのHOT LIMITだの、と言われ放題であった。
まぁ、結局のところ誠司のめぐみ(キュアラブリー)への情熱(HOT/ホット)が限界(LIMIT/リミット)を超えた結果として、レッドによって意識改革(Revolution)されて悪堕ちしたのだから、まぁだいたいあってると言えない事も……
いや、違う、そうじゃない。
関連イラスト
関連人物
プリキュアシリーズ
キリヤ、洋館の少年、イーラ ⇒ これまでのプリキュアシリーズにおける敵の少年幹部たち。
ダークココ ⇒ 上述のムシバーンに洗脳された小々田コージ(ココ)のイラストにつけられるタグ。
他作品
秋月信彦/シャドームーン(仮面ライダーBLACK)⇒ 敵首領に操られ敵となった身近な人物つながり。
門矢小夜/大神官ビシュム(オールライダー対大ショッカー)⇒ 主人公への愛憎を利用され敵となった「きょうだい」つながり。
駆紋戒斗・ロード・バロン(仮面ライダー鎧武) 呉島光実・黒ミッチ ⇒ 終盤で敵となった身近な人物つながり。もっとも戒斗の場合は自分の意思で主役サイドと対立した。
大魔神サタン(デビルマン)⇒ 恋情のもつれから終盤で敵となった身近な人物つながり。とはいえサタンの場合はもともと人類の敵で、主役サイドとの対立も不本意だが自分の意思で決めたこと。
リュウ・ドルク(獣神ライガー)⇒ ヒロインの「きょうだい」だが、敵に攫われ洗脳されて主役サイドに刃を向けたつながり。
地場衛/エンディミオン(美少女戦士セーラームーン)⇒ヒロイン達の協力者だが、終盤で黒幕に洗脳され、最後の刺客として対立したつながり。
風摩ようすけ/ヴィエント(愛天使伝説ウェディングピーチ)⇒ヒロイン達の協力者だが実は悪の組織に関わりのある人物だった上、終盤で黒幕に洗脳され、最後の刺客として対立したつながり。(だだしアニメ版は洗脳で同じだが、原作では洗脳されていると見せかけてヒロインのために敵組織を内部から食い破るという目的があった)
青山雅也(東京ミュウミュウ)⇒ ヒロインの想い人が悪の組織に関わりのある人物だったつながり。皮肉にも名前が「ディープブルー」である。
姫宮千歌音(神無月の巫女)⇒ 恋情のもつれから終盤で敵となった身近な人物つながり。とはいえ千歌音の場合は自分の意思で対立したあげく、とんでもないことをやっていた。
シャドウ(ペルソナ4) - 本人も自覚していない抑圧された感情が実体化したもの
闇ヒカル(ディスク・ウォーズ:アベンジャーズ)⇒闇堕ち後にすごい力を出せるようになったつながり。