概要
『ハピネスチャージプリキュア!』に登場するプリキュアの一人であるキュアハニーこと大森ゆうこと、幻影帝国の幹部ファントムのNLカップリングタグ。
プリキュアシリーズではよくある敵幹部とプリキュアのカップリング。
ファントムは他のハピネスチーム(めぐみ、ひめ、いおな)との間では絡みや因縁があるが、ゆうことの間では数回交戦があったのみで目立った絡みもなく、今まで誰もが考えていなかった組み合わせであった。
が、まさかの8月31日放送の次回予告でファントムがゆうこに看病されるというシーンが映り、「まさかの急接近!?キュアハニーとファントム!」というタイトルが流れたことから急浮上した。
もっとも、ファントムと因縁がある他のプリキュア三人は、ファントムにかなり酷いことをされている。ファントムとプリキュア陣営の恋愛(?)を三人の誰かと描くなら、これまでに因縁がないゆうこが最適な相手だったという見方もあるかも知れない。
敵青年幹部とプリキュアのカップリングは割とあるが、中でも負傷した敵幹部をプリキュアが看病するという点でイラりつを思い起こした人は多いだろう。キリほののように悲劇で終わるか、イラりつのように何も言わずそっと別れるのか注目がかかっていた。
しかし、その後ファントムの正体は悪落ちしたキュアミラージュのパートナー妖精ファンファンであることが判明する。
これにより、ファンゆうはいわゆる妖精×プリキュアという展開に。
ぶっちゃけ41話はファントムはどこまでもミラージュ一筋ということが強調された話なので、恋愛フラグとしてみた場合、二人の関係が進展する芽は薄いかも知れない。
しかし一方で、ブルーを失ってミラージュの心の空いた穴は自分では埋められないとファントムは強く自覚しており、自身がミラージュの恋愛対象には絶対になりえないことがわかっているから、彼女の刃となることを誓ったという経緯もある。
そういう意味ではファンゆうを恋愛カップリングとして見た場合、ファンミラから略奪愛するようなものと言えないでもない……
まあ、本作の恋愛カップリングは、こじれているのが通常運転なので、今更ではあるのだが。
なんにせよ、また一つ今後の展開が気になるCPができたといえる。
本編での展開
- 31話
ゆうこがファントムを甲斐甲斐しく看病する様子が描かれた。
その様子を覗き見ていたひめといおなは、見たタイミングが悪かった(良かった?)せいで抱き合ったりキスしたりしているように一瞬見えていた。
ゆうこはファントムを見ていると亡き愛犬のデビットを思い出すと語ったが、この回で明確に二人の間に恋愛フラグが経ったとは言えないまま、結局ファントムは傷が完治しないままミラージュの元へと帰る。
しかし、ゆうこが作ったおかゆはきちんと完食しており、去り際に「ごちそうさま」とだけ呟き、ゆうこは感激していた。
この展開を恋愛とみるか、ゆうこの博愛とみるか、あるいは敵も味方も関係なく通用するごはんの力を描いたものとみるかは、ファン次第だろう。
- 41話
41話から最終決戦的展開に突入。
ミラージュの剣となるためファントムはプリキュアたちと最後の戦いに挑むが、その展開がなんとキュアハニーとファントムの一騎打ちから始まる。
ファントムとの決戦においてハニーがそれなりに重要な役回りになることは次回予告の時点から予想はされていたのだが、タイマンの決闘をするまでファンゆうの因縁が強調されたのは少なからず驚きを与えた。
この戦いでの二人のやりとりは、自分を助けてくれたハニーとの戦いにわずかながらも苦悩するファントムや、ファントムの怪我が治りきってないか気遣いながらそれを受けるハニーなど、31話の流れを直接意識したものになっている。
ハニーはファントムがミラージュへの愛のために戦っていることを知り、彼を倒したくはないという思いが自分の力を弱らせる。一方でミラージュのためなら世界の全てを敵に回す覚悟をしているファントムはそんな甘さを持たない。優しいハニーの心を知りながらもあえてそれを踏みにじり、攻撃を続ける。
どれだけのダメージを受けながらも、この世界そのものに対する憎悪と怒りを糧に立ち上がってくるファントム。ブルーがこの世界すべてを愛するがゆえにミラージュを捨てたのならば、ファントムはこの世界を壊さなければならない。それはハニーにとってはファントムが自らの心を壊しながら戦っている悲痛な姿にしか見えなかった。ハニーはファントムのことを倒すのではなく救いたいと強く思い、「ハニークリスタルソング」を浴びせかけて傷ついたファントムをあえて癒す。
そして、ファントムの手を優しく握り語りかける。自分たちがここまで来たのは、ミラージュを倒すためでなく、ミラージュの笑顔を取り戻したいというブルーの願いを手助けするためだ。今になってブルーがそんなことを言い出したのはあまりに遅きに失しており、ファントムにとっては逆に許しがたいことだろう。それでも、もしも彼女の笑顔を見たいとあなたも思っているのならば…
「私たち、同じね。」
その言葉に自分の本当の気持ちを気付きかけ、ハニーの手を握り返すファントム。しかし、そこにディープミラーが干渉してきてファントムは強制的に怒りの暴走状態にされるが、かけつけてきた仲間たちの協力によってファントムにイノセントプリフィケーションを浴びせかけ、ディープミラーの干渉を解き放った。
浄化の光の中でファントムは、ハニーが言うように、自分の本当の願いはミラージュと寄り添い続けるためにともに墜ちることではなく、彼女がかつてみせていた笑顔を取り戻したいことだったと気付く。朦朧とする意識の中で自分の本当の願いを口にするファントム。
「あなたの願い、やっと聞けたね。」
自分を倒したそのプリキュアの優しい言葉を最後にファントムは意識を失い、プリキュアハンターとして与えられていたすべての力を失う。暗闇の中、一枚の輝く花びらと共に心に響いたゆうこの声。そして目覚めると彼の本当の姿が取り戻されていた。ファントムの正体はファンファンという妖精だったのである。
ファンファンは今までの自身の行いをあえて詫びはしなかったが、ミラージュの笑顔を取り戻すためにハピネスチャージプリキュアにすべてを託すとし、新しい仲間の一員となった。
- 45話
ミラージュがディープミラーの洗脳から解け、ブルーとも寄りを取り戻した後のクリスマス。
不安要素はあるものの、幻影帝国が崩壊したこともあってか、プリキュアたちはクリスマスを存分に楽しんでいた。
大使館で留守をしているブルーとミラージュ、リボン、ぐらさん、ファンファンにもプレゼントしようとお買い物をする。
ひめといおながそれぞれのパートナーであるリボンとぐらさんのサングラスを選んでいる中、ゆうこはファンファンにプレゼントするニット帽を選んでいた。
描写としてはこれだけだが、ゆうこがファンファンのクリスマスプレゼントを選んだ光景は、ファンの中でもほっこりしただろう。
- 49話
45話以降は本編自体も最終決戦編に入り、ゆうこは最終決戦、ファンファンはそれを見守るミラージュの傍にいたため、これといった絡みは見られなかったが、戦いがすべて終わり、ブルー、レッド、そしてミラージュがレッドの星を元に戻すためプリキュア達に地球の平和を託して旅立つことに。
しかし、それまでずっとミラージュの傍にいたファンファンはついて行かず、自らの意思でミラージュに別れを告げて地球に残ることになった。
その際ファンファンは真っ先にキュアハニーに寄り添った。
その後、ファンファンは大森家に居候することになったようで、料理の勉強も始めた様子。
一瞬出てきた回想シーンでは、ファントムと同じ人間の姿になったファンファンがゆうこと一緒におおもりご飯の厨房に立って店のエプロン着用の下フライパンを振っており、しあわせごはんを作るための修業に勤しんでいる。そんな彼を隣で笑顔で見守るゆうこと、その二人を後ろから考え事をするように見つめるゆうこ父の姿はさながら新婚妻とその夫を跡取りにと考える父親のようであった。
ラストシーンとなった通学路でのやり取りの最中は、ひめやいおなにくっついたり、自力で飛んだりしていたリボンやぐらさんとは別に、ファンファンは終始ゆうこの頭にくっつき、片時も離れずにいた。
最終決戦後もハピネスチャージプリキュア達はプリキュアとしての力を失う描写もなく、ブルーやミラージュに代わって地球を守ることを約束したため、これからもプリキュアになることは出来る様子。以上のことを踏まえると、ミラージュに別れを告げたファンファンはゆうこの新しいパートナーとして傍にいることを決めたようである。
……謎が残るとすれば、ゆうこは人間態のファンファンのことを家族にどう説明して受け入れてもらったのか、あの人間の姿になると美少年になる彼に対しても呼び方はファンファンのままなのか、そして家族もファンファン呼びなのかなどがあるが、回想シーンのゆうこの笑顔を見る限りでは、ファンファンが傍にいてくれることは彼女にとって最高の幸せハピネスなのだろう。
いずれにせよ、互いを認め合うことは出来たものの、もう生きているうちに逢うことはほぼ不可能である前作のふたりや、今作品の中でも最も注目されたカップリングである誠めぐがやや曖昧な雰囲気で終わったことに対し、恋愛感情はさておきお互い大好きで常に一緒にいる形という、最もいい終わり方であったと言える。
余談
しかしこの犬キャラ、ネタで片付けられない現実味がある。詳細は「ファントム(プリキュア)」の項目で。
プリティストアの関連商品で妖精とプリキュアがセットで登場する場合、ゆうこの妖精枠はファンファンで固定されており、公式的にもパートナーとして認められているようだ。
関係者の見解
北川里奈(ゆうこ役)
『アニメージュハピネスチャージプリキュア増刊号』
『アニメージュハピネスチャージプリキュア増刊号』のプリキュアキャストの座談会の演じられているキャラが成長したと感じられる話はあるかという質問でゆうこ役の北川は、
「印象に残っている回はいろいろあるんですけど、やっぱり第31話のファントムとゆうこの回です。あの話は、恋愛がテーマの一つでもある今年の『プリキュア』としては、そういう恋愛回にも見えるんでしょうけど、私としてはもっと大きな話だと思うんです。敵対して戦っている者同士ではありますが、ゆうこは「どんな人でも、ご飯を食べることが大事」と、心から思っているんです。そういう自分の考えを肯定してもらえた回だと思います。仲間たちに「美味しい!」と言ってもらえることももちろん嬉しいことですけど、戦っている相手から「ごちそうさま」って言われたことは、彼女の中ですごく大きいことで、言葉にできないくらい嬉しい気持ちがあったんだろうなと。人と人との新しい関係が生まれるんだという希望を提示できたのではないかと思います。ゆうこの考えていることを、違う立場の視点から肯定してもらえた気がして、とても大切なお話だったなという印象があります。」
と第31話を挙げ、どんな立場の人でも自分の考えを肯定してもらえる関係になると述べた。
第41話ではゆうこがファントムのミラージュへの想いを肯定するというハピプリのテーマに関わる話であった。
『ハピネスチャージプリキュア オフィシャルコンプリートブック』
『ハピネスチャージプリキュア オフィシャルコンプリートブック』の本作は恋愛もテーマの軸になっていたがゆうこはファントムとちょっといい雰囲気になったのではないかというインタビューアーの北川へのコメントに北川は
「31話にあったファントムの看病のシーンは、ほかの3人からのぞかれていて、かなりコミカルでしたよね。でも、中学2年生くらしになれば、異性のことをいいなと思うことはあるだろうし、恋をして気持ちが昂ぶることもあると思うので、リアルなお話だなと感じていました。27話でひめが誠司にドキドキしている姿は、まさに恋する女の子だなと感じていました。ゆうこが好きになる相手はなかなか想像できませんが・・・・・・ごはんをおいしく食べてくれる人かな。あと、「いただきます」や「ごちそうさま」をちゃんと言える人。ゆうこに無理やり言わされるのではなく、自然と言ってくれる人と恋をしてほしいです。」
とゆうこのファントムへの看病をのぞくめぐみ達のシーンは恋や異性のことで盛り上がる中2らしいリアルさをコミカルに描いたと感じたと述べた。
更にもしゆうこが恋をするなら「いただきます」や「ごちそうさま」をちゃんと言えごはんをおいしく食べる人がいいのではないかとコメントした。ファントムはゆうこのおかゆを完食した際に自然と「ごちそうさま」と感謝の気持ちを表し、更に最終回で幸せごはんを作るためにはりきりそれがとても美味しいとゆうこが褒めているので、北川の理想なゆうこが好きになりそうな相手に当てはまっていると思われる。
野島裕史(ファントム役)
『アニメージュハピネスチャージプリキュア増刊号』の幻影帝国キャストの座談会のファントム役の
野島の31話のゆうことのやりとりは演じていていかかでしたかの質問に対して野島は「ファントムは、相手を憎みつつも、真摯に接してくれればその恩はおとなしく返すんだなって。だから食べたものにはちゃんと「ごちそうさま」と言うし。本当に悪いヤツじゃないんだなと思いました。」
とゆうことの絡みと通じてファントムは義理堅く、根は悪くないと感じたと述べた。
成田良美(シリーズ構成)
『ハピネスチャージプリキュア オフィシャルコンプリートブック』
インタビューアーのめぐみ以外の3人は恋に発展しているのでしょうかの質問で成田は、
「それは観ている人に委ねたいですね。ただ、ゆうことファントムに関しては、最終話でファントムが弁当店を手伝いに来ているので、意外とうまくいってるのではないかと思っています。」
とおおもりご飯の手伝いにファントムが来ているのでファンゆうの仲は良好なのではという見解を出した。
関連タグ
ハピネスチャージプリキュア!カップリング プリキュア男女カプ