CV:山本匠馬
概要
プリキュアたちのパワーアップを助ける地球の精霊で外見は20歳くらいの華奢な美青年。身長は180㎝と高身長である。
リボン曰く「地球のすべてを見守る神」であり、ひめ達からは「神様」と呼ばれている。妖精のリボンとアロアロからは「ブルー様」と呼ばれているが、ぐらさんからは呼び捨てで呼ばれている。
いわゆる「イケメン枠」のキャラクターであり、素肌に直接ワイシャツを着てしかも胸元を少しはだけさせてるという妙にセクシーな出で立ち。
プリキュアシリーズ定番の「プリキュアに使命を与える女王様ポジション」にあたるキャラクターだが、久々の男性格となる(過去作では『フレッシュ』でのティラミス長老くらいしかいない)。また、このポジションのキャラクターにしては珍しいことに登場頻度が多く、メインキャラクターの一人として扱われている。
ストーリー上では準主役と言っていいほどのキーパーソンであり、彼の存在抜きに『ハピネスチャージプリキュア!』の物語は成り立たない。
本作の一年にわたる物語の縦軸は本来の主人公である愛乃めぐみの成長物語であるが、その横軸にはブルーの罪と罰と償いを描く物語が存在しているのである。
人物
ブルースカイ王国にいたときに同国の王女であった白雪ひめにプリキュアになる力を与えた(この時期についての考証は「プリキュアを選ぶプロセス」で後述)。さらにパートナーになれる少女を探すように進言している。
普段はブルースカイ王国大使館にある鏡から出入りできる異空間「クロスミラールーム」にいて、そこから魔法の鏡を通じて世界中の様々な場所を監視してサイアークの動向を監視している。
ブルー自身に戦う力はなく戦闘には参加しないが、プリキュアの変身アイテム等を生み出すなど、プリキュアをサポートする。
幻影帝国の脅威を何よりも危惧しているが、プリキュアたちにプレッシャーを与えることはあまり好まないようで、後述する「プリキュアの掟」こそあるものの過度な干渉はせず、プリキュアたちの活動は自主性に任せている。
21話では「人の心を照らし動かすことができるのは人の想いのみ」だとし、神である自分が干渉するのではなく、めぐみ達を信じて見守る姿勢を示している。
しかし、プリキュアたちを放任しているわけでもなく、世界中のプリキュアたちと直に接してコミュニケーションをとって、困ったことがあればフォローは欠かさない様子。
特に、白雪ひめに対してはぴかりが丘の学校への入学などいろいろな便宜をしている。
なお、ブルーの方もずっと鏡の部屋にこもりきってるわけでなく、プリキュアたちと一緒にホームパーティーに参加したりリビングでTV観賞を楽しんだり海辺で白いギターを弾いたりと、わりと人間社会をエンジョイしている。
めぐみ達以外の人間の前には基本的に出てこないが、部外者に対しては「ひめの遠い親戚」ということで通している。
実際にひめと血縁関係があるかどうかは不明だが、ブルースカイ王国の王族はブルーの血族と予想する声もある。
性格
穏やかな性格で、感情の揺れが少ない。
怒りを見せることは全くなく、幻影帝国の暴虐に対しては悲しみの感情を見せる。
プリキュアたちの前ではたいていは微笑みを絶やさないが、いつもどこか寂しげで本当に喜んでるような表情を見せることもほとんどない。
他人に対しては基本的に温和な態度をとる。ひめが駄々をこねたり拗ねたりしても怒ることなく擁護しており、優しいというよりも甘いところも目立つ。
しかし、厳しい面が無いわけではない。
12話では、テストで赤点を取って「勉強よりプリキュア活動の方が大事」と言っためぐみに対し、「プリキュア活動よりもめぐみ自身の人生の方が大切だ」と言い、追試に落ちたらプリキュア剥奪を言い渡している。
問題のあるプリキュアを活動休止にする権限がある点は、各人が自由奔放に活動していた今までのシリーズとは異なる部分である。
能力
ブルーはクロスミラールームを通じて世界中のあらゆる場所の情報を知り、あらゆる場所へ転移することができる。
この力で世界中のサイアークたちの動向を知り、各地で戦うプリキュアたちに助言を与えたりしている。
だが、それ以外にはあまり大した力はもっていない。一応、ファントムによる拘束を解く力や、シールドを作り出すような力はあり、攻撃はできなくても戦闘をサポートする能力は持っており、ただの人間よりかは強力な存在ではある。
ただ、バリアを張る程度のことならサポート妖精のリボンもできるため、地球の神というほどの大仰なイメージはやはり薄い。
このことから、あまり神様らしくないとファンから揶揄されることも多いのだが、作中でプリキュアに関係する不思議なアイテムがブルーの力から生み出されたものと考えると、彼の神の力は、アイテムという形ですでに顕現しおわっているとみるべきだろう(そもそも、プリキュアを生み出すのも「愛の結晶」というアイテムを通じてのことである)。
本作のプリキュアアイテムの代表格であるプリカードは、すべて集めることで「大いなる願い」が与えられる。これこそがブルーが与えた神の奇跡なのである。
クロスミラールームだってブルーが自分が使うためだけに作った専用アイテムといえるし、あのアクシアだってブルーが作り出したものだろう。
また、TV本編放映当時に公開された二つの映画(NS3、人形の国のバレリーナ)ではミラクルライトを生み出す係を担っている。
ちなみ設定上では、ブルーは地球そのものを創造した無数の精霊たちが集まって人の形となった存在とされている。つまり、ブルーは地球と同じ年齢である。(『ハピネスチャージプリキュア オフィシャルコンプリートブック』より。当書で指摘されているわけでないがこのことから考えると、ブルーを形づくっている精霊たちの各個体こそが、本作のプリキュアのサポート妖精なのかも知れない)
ブルーは創造のみを司る神であり、様々なモノを生み出すことができるが、生み出したモノの行く末には干渉できずただ見守るしかできない、という存在と考えるべきなのだろう。
まぁメタ的なことを言えば、プリキュアの味方側のキャラを万能にするのは、主人公たちの活躍が奪われるのでよくないという大人の事情も大きいのだが……
なお、300年前の回想シーンでは当時のプリキュアとコンビでバリバリ前線で戦闘していた描写があるため、その戦いで膝に矢でも受けて大幅に力を失ってしまったのではないかと推測されることもある。
恋愛観
ブルーは誰にでも優しく、見た目も美青年なので基本的に女性にモテる。だが、ブルー自身は恋愛に消極的である。
これについては、過去の出来事が原因にある。300年前、ブルーを強く思ってくれた女性がいた。それがキュアミラージュである。ブルーはミラージュの愛に救われることも多く、もはや恋人といっていいほどに二人は結びついていたが、最後の一線を越える前にブルーはミラージュとの関係を清算することを選んだ。
それはミラージュを嫌いになったというわけではない。ブルーは「神としてすべてを平等に愛さねばならないので、誰か一人に特別な愛着を持ってはいけない」と考えたためである。
しかし、その失恋のショックで、キュアミラージュはすべてに絶望し、悪の女王クイーンミラージュへと変貌した。世界にあだなす祟り神と化した元恋人をブルーはアクシアに封印する。それは世界を守る神の責任であり、恋人であったミラージュへの最大級の裏切りであった。
そして現代。白雪ひめによってアクシアが解放され、ミラージュは蘇り幻影帝国を立ち上げて、ブルーへの復讐を開始した。ブルーが自分よりも愛したこの世界を不幸に染め上げることでブルーを絶望させるのがミラージュの唯一の望みとなってしまった。
ことここにいたって、ブルーは恋愛という感情についてある種のトラウマを持つようになった。
プリキュアたちは「世界を守るために戦う」という大きな気持ちが必要なので、世界の誰よりも大切な人ができてしまうと自分と同じような苦難を味わうことになると考えたのか、プリキュア恋愛禁止令なるものを敷いている。詳細は後述。
これはブルーなりには気遣いのつもりなのだろうが、根源的にはクイーンミラージュの「愛への呪詛」を肯定しているに等しいことには気づけていない様子である。
そのくせに自分に好意を寄せてくれる女性と距離を取ることが大の苦手である。というか相手からの好意に鈍い。
どんな相手にも常に優しい微笑みを絶やさないという立場を貫くブルーは、ある意味天然タラシ。
これは「平等に愛する」以上、好意を避けるようなことをするとその相手だけ他よりも愛してないことになるとも考えられ、正しいと言えば正しい。
しかしそれはブルーが自分だけを選んでくれるという期待を女性の方に生む。が、ブルーはその思いを受け入れるわけにいかない。相手を傷つけたくないと思うブルーの考えは責められるものではないが、それは結局「第二のミラージュ」を生みかねない。本作ではめぐみがブルーに対して慕情を持ち始めたことをきっかけに、誠司が「めぐみが可哀想だ」とブルーの立場を非難している(27話)。
だがめぐみはミラージュのようにはならなかった。ブルーの「本当の幸せ」は何かを必死に考えた結果、自分がブルーは好きという気持ちが止められないとしても、ブルーにとっての幸せはミラージュとよりを戻すこという結論をあえて受け入れたのである。
29話でブルーはミラージュとのことをプリキュア達に打ち明ける。それ以降のブルーはミラージュに自分の気持ちを伝えることを一つの目的にするようになり、プリキュアたちもそれに協力することになった。
以上のように恋愛に関してはある種の「精神性の欠落」が序盤は特に顕著だったが、それ以降はプリキュアたちとの触れ合いを通じて、ブルーの恋愛観変化と成長が描かれている。
他の人物との関係
300年前に巨悪が現れたときにプリキュアとなって戦ってくれた少女。その戦いの中でブルーと恋仲になったが、ブルーは自身の神という立場から全てのものを等しく愛さなくてはならないと思い込んでおり、頑なにミラージュの「ずっと一緒に居たい」という想いを拒み、巨悪との戦いが終わった後は彼女と距離を置いてしまった。それがミラージュを傷つけ、悪の女王へと変えてしまった。
詳しくは「ブルミラ」を参照。
強い愛の力を秘めたプリキュアとして誕生当時から成長への期待を込めて見守っている。
ブルー自身はめぐみを他のプリキュアよりも特別に扱っているつもりはないのだが、めぐみの方がブルーに惹かれつつある。めぐみのブルーへの純粋な思いは、恋愛と博愛を両立できなかった彼の苦悩を少しずつ癒している。
詳しくは「ブルめぐ」を参照。
ミラージュが変わってしまったのはブルーの責任だと激しい憎悪を抱かれていた。
ファンファンとは元々知り合いだが、ブルーは彼の正体に気付かなかった。
映っている男のシルエットが似ている。OP映像で一緒に映る意味深なシーンがある。クロスミラールームにある巨大な鏡の形がディープミラーと似ており、たくさんの鏡が並んでいる様子はクロスミラールームとミラージュのいる部屋に共通している。…などのことから当初より何らかの繋がりがあると予想されている。そして、最終回にてブルーが彼の実の弟であることが明らかになった。元々彼ら兄弟の担当していた惑星レッドと地球は兄弟星の関係であり、一連の事件はレッドの方が自分の担当惑星を守りきれなかった絶望から発していた。最終戦後兄弟和解がなった後は、廃墟となっていた惑星レッドを再生するためミラージュを連れて地球を離れることを決意する。
これは、神といえども孤独には耐えられないことをこれまでの経緯で身をもって知っているブルーが、たとえ疎まれようがレッドをこれ以上一人にしておいてはならないと判断したが故でもある。
また、人がもたらす愛の想いが、神である自らでさえ成し遂げられなかった奇跡をおこしたのを目の辺りにしたことで、もはや地球の子らに神は不要であると判断したところも大きい。
なお、ミラージュがプリキュアだった300年前に戦っていた巨悪については正確なことは語られないものの、最終的にアクシアに封じられたことから考えるとレッドだったと思われる。
プリキュアを選ぶプロセス
ブルーは定期的に世界各地に赴き、「愛の結晶」(第1話で愛乃めぐみをプリキュアにした宝玉)をばら撒いている。それを「強い愛の心」を持った現地の少女たちが受けとり、「本当の願い」を込めることで、愛の結晶はプリキュア変身アイテム「プリチェンミラー」へと姿を変える。
大森ゆうこもブルーがぴかりヶ丘周辺に撒いた結晶を受け取ることでプリキュアになったかの顛末は現時点では詳しく語られていない。
めぐみは白雪ひめが適当に投げつけた愛の結晶が頭に当たってプリキュアに選ばれたが、結晶は愛の心を持つものでないと反応しないようなので、やはりプリキュアに選ばれるに足る資質がめぐみは有していたのだと言える。
白雪ひめについては、第21話での彼女自身の回想シーンでは、ブルースカイ王国が侵略されていくのをキュアプリンセスの姿で目撃しており、幻影帝国の侵略開始直後にプリキュアになったか、あるいは彼女がアクシアの箱を開ける以前から、ブルーから「愛の結晶」を貰っていたか。その点の経緯は不明である。
第16話においてはジャーナリストの増子美代が愛の結晶を用いてもプリキュアになることができなかった。これについて美代本人は「大人だから」と自嘲していたが、ブルー曰く、美代は「プリキュアの活躍を世界中に伝えることで、人々に勇気と希望を与える」という役割をすでに担っているために、愛の結晶が光らなかったということである。
ブルーの言葉からすればプリキュアに年齢制限はないのだろうが、自らの愛や善意を仕事を通じて社会に還元することができる大人はプリキュアになりにくく、強い愛はもっていても社会的な力が与えられていない子供たちほどプリキュアになりやすい、という考え方はできるだろう。
また同16話では美代をプリキュアにしようとするに至って「それなりの覚悟はあるか」と問いている辺り、本作のプリキュアは「変身ヒロインをスカウトする」というより「幻影帝国との戦争に狩り出す」感覚で選ぶような雰囲気であり、生半可な気持ちで愛の結晶を託すことはしないようである。
実際、本作ではプリキュアが世間の憧れとして描かれる一方で「危険なことをさせられている」という視点も従来より強く描かれている。
本作はプリキュアが世界中にいてどんどん生み出されているという設定だが、その裏では敗れてプリキュア墓場で封印されているプリキュアも多数いる。児童向けアニメということもありあまり深くは突っ込まれなかったが、プリキュアが消耗品同然の戦力として扱われているのもまた事実なのである。
めぐみとひめがブルーと普段近い場所にいるだけで、世界各地にはブルーがプリキュアにした少女が多くいる。第10話では海外のプリキュアチーム達に会いに行っている。
第1話でめぐみがプリキュアに覚醒した際の描写を見る限り、ブルーが撒いた愛の結晶によってプリキュアが覚醒すると、それをブルーは感知することが可能なようだ。
しかし、キュアフォーチュンだけはブルーが把握していない「謎のプリキュア」であり、彼女の存在にはさすがのブルーも困惑していた。
13話でブルー自身がフォーチュンに事情を聴いたところ、「姉であるキュアテンダーを継いだ」との説明を受ける。キュアテンダーがファントムに倒されたことを知った際には激しく動揺し、「すべての不幸の原因は僕にあるのかもしれない」と呟いている。
テンダー以外にもプリキュア封印の被害にあってはいるが、このとき特にショックを受けたのは、本来ならプリキュアの戦いと無関係に過ごすはずだったいおなが、プリキュアの過酷な使命を継いでしまったことが大きいだろう。
ただし基本的にその苦悩を表に出すことはせず、ブルーは少女をプリキュアにするという過酷な使命を与えることへの覚悟はある。
ブルーは相手を強制的にプリキュアにしているわけではなく、本作のプリキュアたちは全員が自分の意思でプリキュアになり、プリキュアになれたことに誇りと憧れを持っているのだ。だからブルーは、自分がプリキュアを作り出していることを決して否定はしない。
いおなのことで動揺したのは、いおなが自分の意思ではなく姉のためにプリキュアになったなら、それは不幸でしかないと苦悩したからである。プリキュアはみんなのために戦うヒロインだが、根っこのところでは「自分のため」にプリキュアになることを選んでほしいとブルーは強く要請している。プリカードを揃えれば何でも願いが叶うというのも「プリキュアになるのは自分のため」ということだろう。そしてイノセントフォームへの覚醒条件もまた「自分のためだけの思い」を高めることである。本作のプリキュアたちは究極的には自己の思いで戦うことが重要視されているのだ。
プリキュアはどの作品でも「伝説の戦士」として讃えられていることがプリキュアシリーズの共通項なのだが、本作だけはこの「伝説の戦士」という呼称が一切されない。
神であるブルーがプリキュアを次々と生み出し、プリキュアが日常に根ざした存在として認められているこの世界では、プリキュアは伝説として語られるような過去の物語ではなく、今ここにある現実である。
プリキュアの伝説は、今まさにこの時代に作られているのである。
最終回でブルーは愛の結晶を5つだけ人間たちに託して地球を去る。すでにプリキュアになっている者がその力を失うことはないが、これ以上はもはや自然に生み出される存在ではなくなった。この時点からプリキュアは「伝説の戦士」として語り継がれるようになるのだろう。
はるかな時ののち、世界に再び危機が訪れた時に、託された愛の結晶で新しいプリキュアが「伝説」を受け継ぐのかもしれない。
プリキュアの掟
上述の通り、ブルーはプリキュアたちにはあまり厳しい態度をとらないが、「プリキュアの掟」というべきルールをプリキュアたちに課している。
これらの掟は「神様との約束」としてプリキュアたちには認識されている。掟を破ったらどうなるかについての決まりがあるわけではなく、掟が破られてもブルーが納得さえすれば何も起こらない(3話)。
なお、ハピネスチャージプリキュアの4人は割と掟を破ってるのだが、ブルーは基本的に他人に甘くお人好しの性格なため、掟が破られてもなんだかんだで結局お咎めなしになることばかりだったりする。
「プリキュアの正体は親類知人にも秘密にする」
- プリキュアシリーズはもともと「ヒーローもの」として始まった影響なのか、「正体は一般市民にバラさない」というお約束が付いて回るが、本作ではそれを明言化している。
- 秘密を隠す理由は「正体を知った人たちが危険に巻き込まれる可能性があるため」ということで、これは前作『ドキドキ!プリキュア』において正体を秘密にする理由として妖精のシャルルから語られたことと同一である。
- 例年のことだが、敵側には正体がバレても問題視はされないし、敵もプリキュアの身近な人間を人質に取るようなことは基本的にしない(例外として桃園ラブの母を鏡の中に幽閉したノーザや、西島和音や東山聖歌を洗脳したファルセット、緑川なおの家族を人質にとったマジョリーナなどがいる)。ここで言う「危険に巻き込む」という意味については身近な人間を心配させてしまうという視点である。知人が「プリキュアなんて危ないことはやめて」と反対したり、心配のあまり手助けしようとしたりすること自体が「巻き込む」というリスクなのである(過去のプリキュアシリーズにおいては『フレッシュプリキュア!』が桃園ラブ達が家族や友人にプリキュアであることを明かしラビリンスに向かおうとしたところを止められたことがある)。
- 第3話ではめぐみの幼馴染の相楽誠司が彼女がキュアラブリーであると知ってしまうが、巻き込まれる危険を受け入れたうえでキュアラブリーをサポートする協力者になりたいとブルーに頼んでいる。ブル-はこのように「無力な一般人が善意でプリキュアの戦いに首を突っ込む」こと自体を危惧していたのだろう。とはいえ、この時は「バレてしまったものはもうしょうがない」ということで誠司をラブリーの協力者として受け入れた。
- 第10話、第11話では、キュアハニーであるゆうこが、めぐみとひめに自分の正体を明かしている。その後ブルーは何も言っていないから、プリキュア同士なら秘密を明かしても特に問題はないようである。
- 第16話でめぐみが増子美代に対して正体を明かしたが特にお咎めなし。それどころか「プリキュアになりたい」という美代の希望に応え、愛の結晶を与えている。彼女の人間性を信頼してのことかもしれないが、いろいろとあっさりしている。
「プリキュアは恋愛禁止」
- ブルー曰く「恋愛はうまくいっているときはいいが、仲がこじれると取り返しのつかない事になる」という理由で、プリキュアとして活動する以上は恋愛は禁止だとしている。
- ただし本作では放映前からのPRで「淡い恋愛模様も描かれる」と公言されており、この恋愛禁止令はむしろ恋愛ドラマを盛り上げるためのスパイスとして用意されたものである。
- 第3話にて、めぐみがプリキュアであることが誠司に知られてしまった際、誠司がめぐみの恋人かどうか探りを入れ、恋人でないことを確認してから彼の協力を認めている。このことから、「正体バレ禁止」よりも「恋愛禁止」の方が重いルールとして扱っているようだ。
- 恋愛関係の破綻によって「(プリキュアとして)取り返しのつかないこと」が起こるというのは大げさな印象はあるが、3話の時点では具体的にどのような危機をブルーが想定しているのかは語られなかった。
- 第24話でいおなに理由を聞かれた際は「大切な人に危険が及ばないように」と説明している。しかしいおなからは「大切な人を守るために強くなれる、そういう力もあるのでは」「納得できないルールには従いたくない」と反発され、ひめもそれに同調している。それに対してブルーは苦笑いするだけで強い態度は見せていない。
- 29話にて、クイーンミラージュがかつてはプリキュアでありブルーと恋仲であったが、その恋愛が破綻したことが現在の戦いの遠因だということが語られたため、プリキュア恋愛禁止令はその悲劇を繰り返さないためということがほぼ確実となった。
- 物語後半になると、ブルーの恋愛観はめぐみたちとの触れ合いで肯定的に変化していった。そのためこの「恋愛禁止」は少しずつ緩和しており、32話にて、海藤裕哉から告白されたのをひめ達から冷やかされたいおなが、「プリキュアは恋愛禁止ですよね」とブルーに助けを求めるが、ブルーは何も言わずに微笑むだけだった。
- 43話でブルーとミラージュはめでたく復縁。告白→抱擁→キスというプリキュアシリーズでもかなり情熱的なシーンが流れる。続く44話ではいおながブルーのいない所で「恋愛禁止と言っておきながら一番恋愛してたのって神様よね?」と言ったり、ひめに「好きなら好きってさっさと言ってればこんな大変なことにならなかったのに」と言うなど、視聴者が薄々感じていたことへのメタ視点からのツッコミにも思える描写がなされていた。
- だがこの後、めぐみの周辺で「恋愛の破綻」によってとんでもない悲劇が発生。ブルーの懸念していたことが現実のものになるのか、それともブルーがそうしたようにめぐみも悲劇を乗り越えて大切な人を取り戻せるのか、大きな分岐点で物語はクライマックスを迎えることになる。
「勉学を軽視しテストで赤点を取る者はプリキュア活動禁止」
- ある意味プリキュアシリーズ最新作にまで続く最大のとばっちり。(詳しくは「プリキュア赤点禁止令」を参照。)
その他
ぴかりが丘の伝説
第8話でのめぐみ曰く「ぴかりが丘にはね伝説があってね、昔、空から地上に下りた神様と人間の女性が恋に落ちたと言われてるの。その頃の名残で女の子はオシャレして参加するんだ。1000年前から続いてる、伝統のお祭りだよ」とのこと。
つまり1000年前にも地上に降臨された神様と人間の女性との恋愛の伝説が残っているということになる。この伝説はブルーとミラージュのことだと思われるのだが、ブルーが語ることによると二人が恋人同士だったのは300年前。時代が全然違う。そして作中誰も伝説との関連を言及していない。
1000年前という言葉は全編通じてめぐみのセリフのこの一回しか出てこないが、300年前というのはブルーやミラージュなどの当事者たちの口から何度も語られていることから、「1000年前というのはスタッフのミス」「1000年前と300年前で似たようなことがあった」「年月が経つうちに年数が盛られた」などの考察も見られる。
スタッフの見解
山本氏(ブルー役)と井上氏(レッド役)の対談にて、二人はブルーというキャラについて「純粋で他人を疑わない。基本的に平和主義者で争いごとに備えるという発想がない。」と語っている。
シリーズ構成の成田良美は、放映終了後に刊行されたコンプリートブックのインタビューで「ブルーはなんでもできそうだけど、非力な存在」という二律背反の要素をもって描いたと語っている。また、めぐみと出会う前はあまり人間たちと深く関わることを避けていたため、人の心の機微というものに疎いところがあるのだろうということ。神様というには頼りないところが出た反面、めぐみとともに成長していくキャラになったとも語っている。
また同書で柴田プロデューサーは、ブルーが誠司との対比でヘタレ気味に描かれていることについて「ブルーはどうしてもミラージュにちゃんと想いを言えなかった部分がクローズアップされてしまいますが、プリキュアたちを守るために身体を張れるし、いいお兄さんだったと思う」と総括している。
なお、シリーズ構成の成田良美は本作について語る時に決まって言うことがある。それは「本作の企画が決まった頃のプリキュアシリーズでは、プリキュアに変身する少女たちが自分が不利益になることを一切厭わずにプリキュアとしての使命を受け入れる描写が増えてきており、この流れが行き過ぎると将来のプリキュアシリーズは”自己犠牲を賛美する物語”になると危惧していた。だからその流れを変えるための作品を作ろうとしていた」ということである。
本作のタイトルである『ハピネスチャージ』は、自分だけの幸せを掴み取ると言う意味合いからつけられたものであり、これは「他人の幸せよりも先に自分の幸せを優先するエゴイズム」を肯定する意味合いもある。
本作の敵ボスであるクイーン・ミラージュはそれの相反存在として「自分が不幸なのだから、他人も不幸であるべき」と言う立場であり、わかりやすい敵キャラとなっている。
そして実のところブルーもまた、物語前半の頃は本作のテーマを否定する存在として描かれていた。ブルーは「他人の幸せのために自分の幸せを犠牲にすることも厭わない」のである。そして彼が作中でもっとも賛否両論となっているのは、物語前半にその自己犠牲の精神をプリキュアたるもの万民を救うためなら多少の犠牲も覚悟しなくてはならないと、プリキュアに少なからず課していたことだろう。恋愛禁止令はその「プリキュアが負うべき犠牲」のわかりやすい実例である。
そしてその自己犠牲に主人公の愛乃めぐみもまた同調していた。ブルーとめぐみはその意味で共依存に近い関係性にある(これが視聴者に不安感を与えていたが、これはおそらくはスタッフの意図的なものである)
そのブルーが少しずつプリキュアたちのエゴイズムを認めていき、そしてブルーも自身の幸せを求めても良いと思えるようになっていく過程と、それによってめぐみがブルーへの依存から自立していくことこそが、本作より後のプリキュアシリーズがどうあるべきかへの痛烈なメッセージ、もしくは祈りとも言えよう。
そしてメッセージは実際に強く届いたようで、本作より後のプリキュアシリーズは「みんなの幸せのために戦う」という理由を安易に扱うことはなくなった。「みんな」とは誰のことなのか、なぜみんなの幸せを自分が望むのかということを深く掘り下げるようになり、「誰かを幸せにしたいなら、まず自分が幸せになろうとしないといけない」ことを子供達にもわかりやすく描くことが強く意識されるようになっていった。
プリキュアシリーズ全体を俯瞰してみたとき、『ハピネスチャージプリキュア!』はプリキュアのあり方を変化させたマイルストーンの一つであり、それを実現するためのギミックとしてブルーというキャラクターが構築されたと言っても差し支えないだろう。
敵キャラ疑惑
オープニング映像では幻影帝国と何らかの関係があることが既に示唆されており、ミラージュとの因縁を隠していた序盤の頃は言動の端々に微妙に胡散臭さが漂っていたため、後々はプリキュアの敵になるんじゃないかという裏切り疑惑がずっと絶えなかったりもした。このあたりは前作のイケメン協力者を彷彿とさせる。
さすがに物語も後半に入るとそういう誤解も解けたが、物語が終盤に入ってくると「ブルーが洗脳されてプリキュアの敵に回る」という予想が一部視聴者の中で新たに生まれた。
これは幻影帝国の敵幹部たちは何者かに洗脳されていることが終盤になって示唆されてきたため、その黒幕がプリキュアたちを苦しめるために彼女たちの仲間の誰かを洗脳することもありうるのではないかという予想の声が高まったためである。
(ネタ的な意味でも悪堕ち妄想はファンの間でもしばしば行われていた。)
そして結果的にはブルーは別に洗脳されることも裏切りすることもなく、最後までプリキュア陣営の味方側であった。
実際のところブルーとめぐみを対立する流れを少しでも作ってしまうと「めぐみがブルーへの依存から自分の意思で脱却した」ことの重みが弱くなるので、制作側からすればブルーは最後までめぐみの味方陣営でいることは絶対遵守すべきところであっただろう。
ただ、一部視聴者の中で洗脳候補としてブルーが最有力だったのは、相応の理由がある。
2014年11月8日に発売された劇伴曲収録CD『ハピネスチャージプリキュア!オリジナル・サウンドトラック2 プリキュア・サウンド・ビッグバーン!!』に、「美しき敵ディープブルー」と「蒼き戦慄」というタイトルの曲があり、明らかにブルーの身に何かが起こることを予感させるものだったからである。
ちなみに実際にこの曲が本編で使われたのはレッドの登場シーンとなった。
結局、ディープブルーというのが何を意味していたのかは謎のままだが、「初期設定ではレッドの名前がディープブルーだったのでは?」という説があるが真相は不明。
プリキュアシリーズを問わず、子供番組において商品に関係しない設定ならばメディアに資料渡した後でも放映直前までに変更がかかるのはよくあることである。
(アニメ誌やテレビ誌に掲載されるあらすじと大幅に違う話になることも定番ではある)
なお、味方陣営のキャラが敵に回るという予想自体は、最終決戦で相楽誠司が洗脳されてしまったことで、ある意味で的中した。
pixivでの扱い
pixivでは本編中では真剣に扱われている「プリキュア恋愛禁止令」が、シリアスな笑い的な斜め上のギャグとして受け止められており、ブルーのタグがつけられる投稿のほとんどが恋愛禁止令を茶化すネタとなっている。オールスターズ絡みではラブコメ描写に恵まれていた歴代プリキュアが恋愛禁止令に反抗するようなネタもしばしば。
そういう投稿のコメント欄にも、ヘイトコメントが連投されるのは残念なところである。
関連イラスト
関連タグ
マザー・ラパーパ:魔法つかいプリキュア!に登場する女王ポジだが、こちらは敵勢力への対策がほとんど万全で相手に主導権を握らせないほどの有能。
神様(ドラゴンボール):「カタッツの子」である地球の神で、(双子とは違うが)悪の片割れが存在することで共通する。
アクアク(クラッシュ・バンディクー):主人公をサポートする精霊だが胡散臭く、悪の親玉である双子の兄弟がいるという点で共通する。
プリキュアの歴代協力者