日活ロマンポルノ
映画産業が斜陽期にさしかかり、様々な悪条件が重なって経営難に陥った日活は”低予算でも制作できて尚且つ収益率が高い”ポルノ作品を制作主体に置かざるを得なくなった。
会社の本意・不本意はともかく、日活が当時を生き残るには他に選択肢が無かったのである。
こうしてのべ17年以上にわたる「日活ロマンポルノ」シリーズが誕生したのである。
日活という会社のイメージがそれ以降「成人向け映画制作会社」になってしまう程の長寿シリーズとなったわけだが、日本映画産業にとっても貴重なシリーズであった。
低予算・短時間上映・ポルノ縛りという条件付きではあったものの、それ以外なら基本的に何をやっても良いという自由な制作体制が許されたのである。
テレビの普及によって若手の活躍の場が少なくなりつつあった日本映画界において、日活ロマンポルノシリーズはそれまで無名の存在であった監督・脚本家・俳優が躍進できる場所でもあったのだ。
しかし、VHSの登場や「成人向け映画館」の減少に伴い日活ロマンポルノシリーズも終焉の時を迎えた。
作風
現代のアダルトビデオのように単にプレイ内容を描写するだけではなく、あくまで「映画」として製作される理念を根幹においている。
そのため全体的なドラマ性を重視し、複雑な人間関係やストーリー性を基幹に据えた“一作品としての完成度”が高いことで知られる。
余談
その記念すべき第一作目のタイトルはというと――
「団地妻 昼下がりの情事」
このほか、女教師・女子高生・修道院・喪服など、現代のエロスのイメージを含んだ単語の発信源となった側面がある。
もっとも、そういうのが大好きな国民の性癖を見越していたと言った方が妥当か。