虚空蔵菩薩とは、仏教の尊格の一尊である。
概説
梵名を「アーカーシャ・ガルバ【आकाशगर्भ/[Ākāśagarbha]】」、または「ガガナ・ガンジャ【गगनगञ्ज/[gaganagañja]】」といい、虚空蔵は「アーカーシャ・ガルバ」の漢訳にあたる。
その意味は「虚空(≒宇宙)の胎内(蔵)」とされている。
そこから転じ、「宇宙のように広大無辺の智慧と慈悲を持つ菩薩」とされる。
文殊菩薩・普賢菩薩・勢至菩薩と並ぶ“智慧の菩薩”で、救い求める者に応じて膨大な知識から最適の答えを導いてださるという。
智慧の菩薩としては“閃き”を司る文殊に対し、身に付けた“知識”で人々を救うことを本分とする。
砕いて言うなら、パズルなどの直感力を得意とするのが文殊、クイズなど知識量が試される分野が得意なのが虚空蔵、と考えられる。
弘法大師こと空海がおこなった記憶力増進の修行「虚空蔵求聞持法」(こくうぞうぐもんじほう)でも知られる菩薩で、空海はこの修行を修めたことで虚空蔵菩薩から膨大な知識と強い験力を授かったとされている。
多くの菩薩には対になる存在(文殊に対する普賢、勢至に対する観世音菩薩)がいるものだが、虚空蔵菩薩に限っては該当する存在が見当たらない珍しい菩薩様でもある。
御利益
学業成就、記憶力増進、頭脳明晰、商業繁栄、技芸向上、丑年・寅年の守り本尊
御真言
通常
オン バサラ アラタンノウ オン タラク ソワカ
求聞持法
ノウボウ アキャシャ ギャラバヤ オン アリキャ マリ ボリ ソワカ