概要
上海アリス幻樂団による「 音樂CD 」のシリーズである「ZUN's Music Collection」第二弾「蓮台野夜行 ~ Ghostly Field Club」に収録された楽曲。
同作に登場する宇佐見蓮子とマエリベリー・ハーン(メリー)の二人のテーマ曲とされる(『東方文花帖』書籍版)。
「蓮台野夜行」は蓮子とメリーの秘封倶楽部の二人がシリーズにはじめて登場した作品であり、「 張り巡らされた結界を暴くサークル 」(「蓮台野夜行」、魔術師メリー)としての活動が最初に語られた作品でもある。
同作では二人の「 蓮台野 」にあるという「 入口 」を求める活動が描かれており、「月の妖鳥、化猫の幻」と重ねられたストーリーでは蓮子がどのような能力を持っているか、同時に本曲の一つ前のストーリーで語られたメリーの「 境界が見える 」という「 眼 」について蓮子がメリーにどう語っているか、翻ってメリーが蓮子の能力をどう思っているかが語られるなど、二人のパーソナリティやその能力面が語られる二人による物語の一つとなっている。
「幻想の音覚」
博麗神主によって文々。新聞に寄稿された音楽コラム「 幻想の音覚 」の一つに本曲に関する記述がある。
先述のように、博麗神主曰くこの曲は「 蓮子とメリーの二人の曲 」である。
曲名にある二つのモチーフと曲の構成がそれぞれ二人に関連しており、「 妖鳥 」と曲の前半部分の「 スピード感のある部分 」が蓮子、「 化猫 」と曲の後半部分の「 奇妙なリズムの部分 」がメリーである。
さらに作曲に際してぞれぞれのパートに明確なイメージがある事が語られており、いずれも「 街 」をどういった視点で、どのように見ているか、というイメージとなっているようである。
しかし曲のテーマ部分を考慮せずに聴くと「 訳のわからない曲 」であるともし、コラムでは曲の取り扱い方についても一考している。
一方、博麗神主は本曲を「 お気に入り 」とも綴っているなど、愛着のある作品である様子が語られている。
二次創作では
秘封倶楽部の二人のテーマという事もあり、曲名を構成する「月の妖鳥、化猫の幻」の全ての語がそれぞれを表す象徴的な要素として捉えられることもある。
例えば月をバックにした黒い鳥といえば黒帽子や黒スカートをまとう事の多い蓮子を、「境界」を背にあやしくこちらを見つめる猫といえばメリー、といった具合に、それぞれのシンボリックな要素として描かれる事があるのである。
さらになぜそれぞれのテーマとして蓮子に「妖鳥」が、メリーに「化猫」があてられたのかを考察するものもあるなど、本曲は秘封倶楽部にまつわる多様な考察や創作を展開させるものの一つとなっている。
また二人のテーマであるということはそれぞれのパートがそれぞれのパーソナリティと重なるものでもあり、原作では主に文章で展開される蓮子とメリーの二人というものを聴覚的に語るものともなっている。
本曲は文中で語られる「文字の蓮子とメリー」と並行した、「音楽の蓮子とメリー」の一つでもある。