二つの秘封倶楽部
「秘封倶楽部」には、主に同人サークル上海アリス幻樂団作品に登場するものとして二つの要素がある。
一つは同サークルによる「 音樂CD 」のシリーズの一つである「ZUN's Music Collection」に登場するサークル活動であり、もう一つは東方Projectに登場するサークル活動である。いずれも「 オカルトサークル 」。
2015年6月現在では両者の関係性はそれぞれの作中では語られておらず、関連性は不明である。
本記事では双方の秘封倶楽部について記述するが、このとき、記述の状況に合わせて前者の「秘封倶楽部」をサークルメンバーである宇佐見蓮子とマエリベリー・ハーン(愛称:メリー)の名前または愛称から「蓮子とメリーの秘封倶楽部」と呼称し、後者の「秘封倶楽部」をこちらのサークルメンバーである宇佐見菫子の名前から「菫子の秘封倶楽部」と呼称する。
特に指定無く単に「秘封倶楽部」と記述されている場合は作品発表の時系列的経緯から「蓮子とメリーの秘封倶楽部」である場合が主であり、次いで両者の「秘封倶楽部」を包括した呼称である場合とが含まれる。
なお「菫子の秘封倶楽部」が初登場した作品である『東方深秘録』は上海アリス幻樂団と黄昏フロンティアの共同制作による作品である。
「秘封倶楽部」における「秘封」の読み方については従来諸説あったが、2016年4月、原作者であるZUNによって「ひふう」と読むことが明言された。詳細は後述の<「秘封」の読み>項目を参照。
蓮子とメリーの秘封倶楽部
京都のとある大学に通う学生、宇佐見蓮子とマエリベリー・ハーン(通称メリー)による二人組。近未来の日本、遷都によって首都となった京都で活躍する不良オカルトサークルである。
「ZUN's Music Collection」の第二作である「蓮台野夜行 ~ Ghostly Field Club」から蓮子やメリーとともにその活動として登場し、以後も同シリーズに登場している。STGや弾幕アクションはじめとしたゲームや各書籍などで語られる東方Projectの世界観に密接に関係する登場人物でありながら、「幻想郷」などの場所には登場しない。彼女らの活躍は、主に上海アリス幻樂団による音楽CD(「蓮台野夜行」など。登場作品の項参照)のブックレットにおけるショートストーリーで知ることが出来る(最新作が「七夕坂夢幻能」の現在時点)。
ゲームなどの主舞台である「幻想郷」や幻想郷的世界観に類する世界の住民でもなく、活躍する時代すら違うことが暗示されているが、「蓮台野夜行」において冥界を覗き見たり、「夢違科学世紀」において、メリーが数百年前の幻想郷と思われる場所に迷い込んだりしている。先述のような幻想郷等で語られる各種の物語との直接的な関わりはないが、外側からの観測者または何らかの形で実際に両世界を行き来する存在として、特殊なポジションから東方Projectの世界観に関わっているといえるだろう。
また、公認二次創作作品である東方ロストワードの生放送にて秘封ロストワード実装の際、ロスワ側が当時生放送に同席していたZUNに「秘封倶楽部を東方に組み込んで欲しい」という趣旨の発言をしていたが、これに対してZUNは肯定はしておらず、明らかに境界線を濁す発言をしており、少なくとも本人の中で線引き自体はされている。
「ZUN's Music Collection」以外では、『東方求聞史紀』における稗田阿求著による「幻想郷縁起」に付録された「未解決資料」において、数百年前に発見されたものとして「蓮子」の名前が記されたメモらしきものが掲載されている。メモには筆記者が「 夢の中 」にいるらしいことと、目が覚めたら今の体験を「蓮子」に話してみようと思っていること等が綴られている。この内容から、まず間違いなくメリーが書いたメモと思われる。
阿求はメモについて「未だに解読不能」としつつも、メモに書かれている「夢の世界」という言葉について関心を寄せている。
菫子の秘封倶楽部
『深秘録』に初登場した菫子は、「秘封倶楽部初代会長」として語られている。
現在時点では蓮子とメリーの秘封倶楽部との関連性は語られていないが、そのサークル活動の内容や志向する方向性、あるいはごく少数のメンバー構成であるなど共通点も持つ。
菫子が秘封倶楽部を結成した経緯と『深秘録』作中での動向、あるいはその後等については「宇佐見菫子」記事や「秘封倶楽部初代会長」記事を参照。
登場作品
「ZUN's Music Collection」
蓮台野夜行 ~ Ghostly Field Club
夢違科学世紀 ~ Changeability of Strange Dream
卯酉東海道 ~ Retrospective 53 minutes
大空魔術 ~ Magical Astronomy
鳥船遺跡 ~ Trojan Green Asteroid
伊弉諾物質 ~ Neo-traditionalism of Japan.
燕石博物誌 ~ Dr.Latency's Freak Report.
旧約酒場 ~ Dateless Bar "Old Adam".
七夕坂夢幻能 〜 Taboo Japan Disentanglement.
なお「ZUN's Music Collection」の第一作である「蓬莱人形」には蓮子、メリーの両者は登場しておらず、「秘封倶楽部」も登場していない。
東方Project・ゲーム
東方深秘録 ~ Urban Legend in Limbo.
東方Project・書籍
東方求聞史紀 ~ Perfect Memento in Strict Sense.
東方求聞口授 ~ Symposium of Post-mysticism.
東方茨歌仙 ~ Wild and Horned Hermit.
東方香霖堂 ~ Curiosities of Lotus Asia.(第二期)
「秘封」の読み
「封」については、ファンの間で「フウ」と「ホウ」の二つの読みが想定されていた。
すなわち、「秘封」は「ひ-ふう」と「ひ-ほう」の二つの読みの可能性が想定されていたのである。
これは原作作中などにおいて長らくその読みが明示されていなかったことに由来する。
この状況にあって、2016年4月に行われたニコニコ生放送に原作者であるZUNが出演した際、その読みついてZUNによって「ひふう」であると明言された。
これはその読みについての質問に対してZUNが「ひふう」であると回答したものである。
同時にZUNにおいては「ひほう」の読み方がそもそも想定されていなかった様子も語られており、本記事が示すところのサークル名に加えて上海アリス幻樂団作品において各種登場する「秘封」の読みについて、原作ではいずれも「ひふう」である様子をここから見て取ることができる。
このような経緯があるので、例えば長ければ10年以上いずれかの呼び方に馴染んできたファンなどの間などでは、以後も当分は表記や声に出すときなどは「ひふう」と「ひほう」の両方があり得るだろう。
東方Projectの設定部分においては先述の現在時点以前の「秘封倶楽部」の読み方と同様に漢字などの読みが明示されていないものもあり、例えばスペルカードなどにその様子がみられる。
二次創作
蓮子とメリー
東方Projectのファンの間でも二人の繋がりは非常に強く捉えられており、二次創作などでも二人はともにストーリーに関連することが非常に多い。
コンビとしての二人を描いたイラストや、
原作のようにカフェ(原作ではカフェテラスだったが)でまったり会話する作品、
二人が倶楽部の活動として様々な場所を旅するという設定の風景画など、バリエーションは豊かである。
また、いわゆる百合的なアプローチで描かれることもある(蓮メリ)。この場合、「蓮子」「メリー」「ちゅっちゅ」で割と成り立つ。もはや秘封夫婦扱いである。蓮メリちゅっちゅ。
お互い以外のキャラクターとあまり深い関わりがないため、二次創作でのバカップルぶりに割って入る者がほぼいない。倶楽部に二人しか居ないということもあいまって、「公式からして百合臭がする」と言われることも。
しかし紫=メリー説などではいずれの別れが想像できるせいか、悲恋・悲劇の結末となりがちである。
一方で、同立場に立つ作品のあり方の一つには紫(メリー)の行動基盤やメンタリティの根幹部分に蓮子の存在があるという捉え方もあり、なんらかの別れ(あるいは別れに相当する事柄)を経てメリーが「紫」となってなお蓮子のことを想い続けているという、「蓮メリ」の延長ないしは「蓮メリ」のさらに深化したあり方の一つとして描かれることもある。
また、紫=メリー説を基盤にしつつもその悲劇を覆す方向性で創作されるものもあり、その際の原動力や不可欠な牽引役となるもの蓮子、あるいは蓮子への強い思いであることが多い。
秘封倶楽部の二人にまつわる創作は、二人によるラブラブ、ちゅっちゅ、シリアス、あるいはサークル活動を通した日常・ほのぼの、コメディなど多岐に渡り、多様な創作アプローチによって様々な「秘封倶楽部」の活動が描かれているのである。
二次創作では同床も異夢もお馴染みだったが、旧約酒場にて「二日酔いの同床異夢」という曲目が出てほぼ公式化してしまった。
『東方深秘録』以降
菫子が登場して以降も両者の接点が作中では語られていない事もあり、従来の通りの蓮子とメリーの秘封倶楽部と、新たに語られた菫子の秘封倶楽部とがそれぞれの在り方で描かれる場合も多い。
一方で二つの秘封倶楽部が何らかの形で交錯したり接触したり、あるいは元々深い関係性があったとするストーリーも想像されている。
そして菫子の登場以後、なんと「秘封」を冠したゲームタイトルの公式作品が発売された。
今後の動向が注目されると同時に、「秘封倶楽部」は新たなベクトルを得て想像の幅を広げている。
なお「秘封倶楽部」は先述のとおり蓮子とメリーの二人によるものだけであったため、ファンなどにおいて「秘封倶楽部」といえば蓮子とメリーの二人のもの、あるいは二人のカップリング性などの関係性を指すものとして捉えられてきた。
菫子の「秘封倶楽部」を指す場合は菫子の役職名を用いて「会長」でその意味を示すものや本記事のように「菫子の秘封倶楽部」とする場合が見られる。
ただし今後の経緯によって「秘封倶楽部」の名称に込められる意味とその運用はさらに変化する可能性もあるため、注意が必要である。
アレンジ曲について
東方アレンジ関連は壁サークルであっても手がける割合が低い傾向が見られたが、境界から視えた外界・科学世紀のカフェテラスの第1回が立ち上げられたころから急速にアレンジ曲の割合(特にボーカル)が増加している。
ボーカルアレンジCDだと、SYNC.ART'Sが2008年8月に頒布した「ソラとトキと二色のチョウ」がその開祖といえるかもしれない。
2015年秋には、これに特化したアレンジ曲のライブイベント「あの日視た幻想」が開催されるまでに至っている。
東方キャラの日
二次創作設定の東方キャラの日では、1(ひ)2(ふ)うの語呂合わせや、更に9(く)らぶを足した複数の日が提案された。
一覧は「秘封倶楽部の日」参照。
関連イラスト
※菫子の「秘封倶楽部」のイラストについては、「宇佐見菫子」記事などを参照。
関連タグ
全般
秘封倶楽部オンリーイベント
東方キャラの日・関連企画
秘封倶楽部の日(一覧記事) 12/9は秘封倶楽部の日など
蓮子とメリーの秘封倶楽部
イラスト関連
カップリング・グループ関連
蓮メリ(メリ蓮) / 秘封夫婦 / これはいい秘封 / 蓮メリちゅっちゅ / 秘封組
菫子の秘封倶楽部
(その他関連タグの詳細は「宇佐見菫子」記事を参照。)