概要
同人サークル上海アリス幻樂団の作品である東方Projectに登場する宇佐見菫子と「ZUN's Music collection」に登場する宇佐見蓮子、マエリベリー・ハーン(メリー)の三名によるグループ。
菫子は『東方深秘録』(2015年5月発表)、蓮子とメリーは「蓮台野夜行」(2003年12月発表)にそれぞれ初登場した。
2015年6月現在、蓮子とメリーは同じストーリーの上で共に登場するキャラクターたちであるが、菫子については蓮子・メリーの二人と出逢っている様子は語られていない。両者がそれぞれ登場する作品群である東方Projectと「ZUN's Music collection」の間の時間的・空間的差異についてはその有無を含め作中では明確に語られていないため、接触の在り方、あるいは可能性についても同現在時点では不明である。
一方、ファンの間では菫子と蓮子・メリーの三者は複数の共通する語とキャラクター性とによって関連性が見出されており、二次創作などにおいて様々なストーリーが生み出されている。
秘封倶楽部
各原作において直接の接触の無い菫子と蓮子・メリーであるが、それぞれの活動の基盤にして各人の大切なアイデンティティの一つに同じ名前を持つものがある。
それが、「秘封倶楽部」である。
蓮子とメリーの「秘封倶楽部」は「 良くあるただの霊能者サークル 」である。周囲からは「 まともな霊能活動をした事ない不良サークル 」とも評されているようである(メリー、「蓮台野夜行」、少女秘封倶楽部)。
しかしその実際は「 張り巡らされた結界を暴くサークル 」として活動しており、これは蓮子とメリーの世界では禁止されている事でもある(メリー、「蓮台野夜行」、魔術師メリー)。
蓮子とメリーの「秘封倶楽部」は、「 結界の境目 」が見えるというメリーの力と蓮子の情熱とによって様々な「 不思議 」を求める活動を続けている。メリーはその活動について「 結界の切れ目を捜しては、別の世界に飛び込んでみる 」とも語っており、その様を「 神隠し 」とも例えている(「夢違科学世紀」、華胥の夢)。
特にメリーは「 夢 」を通して「 色んな世界 」を体験しており、時にはその世界から物品を「 現 」側へと持ち帰っているなど、それがただの「 夢 」で完結していない様子が描かれている。
メリーと蓮子は互いの能力や想いによって世界の不思議を求め、時に怖い体験に身を晒しながらも活動を続けている。
菫子の「秘封倶楽部」もまた、「 異世界の秘密を自分の足で曝く 」ことをその活動とする「 非公認オカルトサークル 」である。菫子は「秘封倶楽部初代会長」ともされる。
ただしその設立の経緯には菫子の別の意図があった。
詳細は「秘封倶楽部初代会長」記事を参照。
いずれの「秘封倶楽部」も自身が住まう世界とは異なる世界を求めるオカルトサークルであり、その活動を通してメンバーが実際に複数の世界に出会っている事が共通している。
なお、蓮子とメリーが初登場した「蓮台野夜行」において「 幻想郷を知らない世代のオカルトサークル 」(上海アリス幻樂団「蓮台野夜行」公式ページ)と語られているが、菫子が『深秘録』において介入した場所こそ、他でもない「幻想郷」である。
菫子と蓮子とメリー
菫子については、上述の「秘封倶楽部」という共通項以外にも本人や本人に強く関連する事柄などに蓮子とメリーの両者を彷彿とさせる要素が語られている。
蓮子については、例えば同じく「宇佐見」の姓と花の名前に由来する名前とを持つとともに他の世界を積極的に求めるメンタリティを備えている。身に纏う特徴的な黒帽子も共通している他、学業面での優秀さや知識の豊富さも両者に共通するものである。
メリーに関連して、菫子の場合はアイテムを通してではあるがメリーのように別の世界へと至ることに成功しており、さらにその後はメリーが「 夢 」を通して異なる世界へと移動するように菫子もまた眠りと夢を通して別の世界へと移動することが可能となっている。
なぜそれが出来るのか本人に判らない点も共通している。
また先述のようにメリーは異なる世界からアイテムを持ち帰ることがあるが、菫子の場合はこれとは逆に持ち込んだアイテムを異なる世界で放出的に使用または紛失している。オカルトボールもこの一つである。
『深秘録』での騒動以後、オカルトボール以外に使用または紛失したものについて、そのうちの一種類は人伝手に回収され菫子の手元に戻ったが、他の物は拾った人物が地底にまで持ち帰ってしまっている。
ただし東方Projectにおいて稗田阿求が著作「幻想郷縁起」に「 未解決資料 」として掲載したメモ書きについて、その記述内容からこのメモ書きを記したのがメリーであるとみるとき、メリーもまた異なる世界に自らの手が触れたものを残しているといえる(『東方求聞史紀』)。
加えて菫子は夢から覚めた後も異なる世界で負ったダメージが何らかの形で残る様子であることが語られているが、メリーもまた「夢」で負ったダメージが現実に現れている。
「 蓮子にとってはただの夢かも知れないが、彼女にとっては現実と変わらない。
だから、彼女だけが怪我をしたのだ。」(「伊弉諾物質」、ハートフェルトファンシー)
「 夢の中でも肉体ごとこっちに来てるのねぇ 」(博麗霊夢、対菫子戦勝利セリフ、『深秘録』)
特殊なアイテム
先の記述にも関連して、菫子と蓮子・メリーは、それぞれのストーリーにおいて異なる世界に関連した特殊なアイテムとともに語られている。
菫子は『深秘録』または『深秘録』以前からオカルトボールを用いて幻想郷へと介入し、それは『深秘録』本編のエピソードに繋がる。
蓮子とメリーについては「夢違科学世紀」においてメリーが「 夢 」から持ち帰った品々が蓮子の決意に繋がる一つの要素にもなり、「伊弉諾物質」でメリーが「 地底奥深くの不思議な世界 」持ち帰ってきた「 石片 」はメリーに新たなビジョンを与えるともにそのビジョンを蓮子と共有するアイデアの基点として蓮子にはおぼろげながらではあるものの二人に同じ景色を見せた。
そして二人が共有した「 神々の世界の映像 」が、蓮子とメリーの新しい冒険へと開いた。
菫子のオカルトボールは「 外の世界のパワーストーン 」であり、名前の通りオカルト的な出自と性質とを持ち、夢の中でメリーが得た品々、特に「 イザナギオブジェクト 」はメリー曰く日本の創世に関わる時代の品という神話的な物である。
さらにオカルトボールには菫子の意図の他に紛れ込んだものもあり、これもまた、東方Projectと「ZUN's Music Collection」の双方の世界観でともすれば神話的な世界観を継承する世界に由来するものでもある。
二次創作では
『深秘録』において菫子が「秘封倶楽部初代会長」として「秘封倶楽部」の要素とともに登場したことで二次創作においても蓮子とメリーの二人や二人の「秘封倶楽部」との関係がさらなるベクトルからも考察されることとなった。
同じく不思議を求めるアクティブな心をもち、特殊な能力も活用しつつ時に様々な感情を体験しつつも出会った世界で新たな経験を重ねる菫子と蓮子・メリーについて、創作ごとのそれぞれのあり方による「秘封倶楽部」が描かれている。
また菫子と蓮子とメリーの三人の交流を想像することは先述の現在時点ではまだ語られていない東方Projectと「ZUN's Music collection」の両世界観の結びつき、あるいはその境界のあり方を想像するアプローチにもつながる。これは『深秘録』において菫子が東方Projectの時間軸における「幻想郷」と出逢っているためである。
菫子と蓮子・メリーの同時存在性を考察することは菫子が出会った東方Projectの面々(特に人間などの時間の経過と繊細に連動した変化の要素を持つ存在)と蓮子・メリーの同時存在性を考察することと同義でもあり、あるいは両世界間の時間の流れの有無を考察するものでもある。
そして両世界の接点や『深秘録』で語られたような結界のあり方、「幻想郷」と「外の世界」との関わり方を想像するものでもあるなど、三名に想いを馳せることは世界観そのものに想いを馳せることとにも繋がるのである。
それは「秘封倶楽部」という語についてもいえることであり、例えば複数の世界で奇しくも同種のコンセプトの活動が「秘封倶楽部」と名づけられたのか、いずれかの「秘封倶楽部」がもう一方の「秘封倶楽部」を継承なり復活なりさせたのか、など多様な可能性が考察されている。そしてその考察が、菫子と蓮子とメリーの三名の創作中の在り方を表現する一端ともなるのである。
例えば無関係であったならそれぞれの「秘封倶楽部」の運命的な符合は何を意味するのか、あるいは復活させたのなら先行していたのはどちらか、といったアプローチは、そのまま三名の交流のあり方の道筋と連動するものでもある。
『深秘録』において菫子の「秘封倶楽部」の「 夏 」が新たに始まったが、もう一方の「伊弉諾物質」においても蓮子とメリーの新しい「秘封倶楽部」の活動がはじまっている。
「 世界の深秘に触れた 」菫子と「 不思議を受け入れた者 」達である蓮子とメリーの物語は、二次創作においてもさらに多様なありかたで広がっていくことだろう。
その他の関連グループ
「すみ蓮メリ」に特に関連したグループとして、「ゆか蓮メリ」がある。
「ゆか蓮メリ」は、メンバーが菫子ではなく東方Projectに登場する八雲紫が参加するものである。東方Projectの登場キャラクターと「ZUN's Music collection」の二人からなるグループは複数あるが、「すみ蓮メリ」と「ゆか蓮メリ」との比較においては特徴的な要素がある。
例えば二次創作において「すみ蓮メリ」のメンバー見る時、菫子は特に蓮子と多様な共通点を持つが、一方の「ゆか蓮メリ」のメンバーを見る時、紫はメリーと特に共通点が見出されており、創作のあり方によっては同一アイデンティティの存在として語られる事もある。メンバーの強い関連性を見る時、「すみ蓮メリ」と「ゆか蓮メリ」は補完し合うような関係として見出すこともできる。
「すみ蓮メリ」と「ゆか蓮メリ」はそれぞれのキャラクター性などから創作の文脈は異なる性質となる事も多いが、俯瞰の視点から両者のグループを眺める時、紫と菫子、そして両者を交えた蓮子とメリーとは様々な関連性を見出す事の出来る関係性といえるものでもある。
関連イラスト
関連タグ
個別のカップリング
関連グループ
- ゆか蓮メリ
- 紫、蓮子、メリーの三名によるグループ