秘封世界
ひふうせかい
上海アリス幻樂団の作品である「ZUN's Music Collection」では、第二弾「蓮台野夜行」以降は秘封倶楽部という二人組を主人公としており、以降のシリーズ作は同様に秘封倶楽部と呼称されている。
秘封倶楽部は東方Projectの視点から見れば「外の世界」とも言える、幻想郷とは異なる世界で主に物語が展開される。
ただし、時間軸は東方Projectとは異なり、科学技術が現代より発展した近未来的な世界観を持つ。
秘封倶楽部では東方Projectと共通する地名または概念が様々な文脈で登場しており、例えば蓮台野夜行で名称が登場した博麗神社や、具体的な名称こそ登場してないがファンの間では紅魔館ではないかと考察されている真っ赤なお屋敷 、迷いの竹林と思しき 夜の竹林 などがそれに当たる。
一般名詞かもしれないが、冥界や月の都といった地名なども両作品に登場する。
しかし、東方Projectと秘封倶楽部の明確な関連性は示されてはいない。東方Projectにおける外の世界の未来が、そのまま秘封倶楽部の世界に繋がるのかは不明である。
発展した科学は人々の生活を変え、一般化した情報の公平性は人間のメンタリティをも変化させた。
世界と人々の変化は、秘封倶楽部の複数の作品で様々に語られている。
このような世界にあって、同作に登場する宇佐見蓮子とマエリベリー・ハーンの二人は、その活動である秘封倶楽部を通して世界に隠された秘密を見つけ出そうとしているのである。
詳細は不明だが、蓮子の専攻する「超統一物理学」と、メリーの専攻する「相対性精神学」という学問が存在する。
物理学は観測できる最小限界まで観測し尽くしたため終焉を迎え、解釈と哲学を行うのみとなっている。
VRなどの技術が進んだ結果、ヴァーチャルとリアルは区別出来ないと言うのが常識となっている。
あらゆる病気の治療法が確立されているが、簡単に治せない症状は未知の病気であるとして、電波も通じないような山奥のサナトリウムに隔離されてしまう。
治癒すれば普通に退院する事が出来る。
医療が進化しすぎて誰もが長生きをするため、計画的に寿命を決めようとする動きがある。
奈良県の寿命統制は際立って進んでいるらしい。
合成によって人工的に食品を作り出す技術が普及している。一方で、天然物は存在感が薄くなっている。
タケノコといった素材となる食材や、ケーキの材料となる卵やイチゴも全て合成品らしい。
酒場は新型酒を提供する店と旧型酒を提供する店に分かれている。
新型酒は合成で作られており、アルコール分解酵素を含むため、悪酔いしない。店は清潔である。
旧型酒は従来通りの発酵により作られており、酔っぱらうため店に来る客質も悪い。しかし、旧型酒は高級品であり、金持ちがわざわざ酔い潰れるために足を運んでいる。
東京、京都間を結ぶ卯酉新幹線が作られている。
東海道新幹線も現役で運用されているが、東北人とインド人とセレブぐらいしか使わないらしい。
自動車は前時代的な乗り物とされて利用が減り、アスファルト舗装は補修されなくなった。ひび割れた道路は茎と赤い花弁だけの奇妙な花で覆われつつある。