概要
人口が減少していく事。死亡者が出生者の数を上回る(自然減)ことや、転出者が転入者の数を上回る(社会減)ことなどでおこる。
日本と同程度かそれ以上の人口減少が進んでいる国はイタリア、ドイツ、ポルトガル、ギリシャ、ポーランド、ハンガリー、ルーマニア、ウクライナなど東欧・南欧の国が多い。これらの国はいずれも少子化が激しく、東欧はそれに加えて西欧への人口流出(移民)が続いていることがその原因となっている。
ブルガリアに至っては1989年に900万人であった人口が2010年代には700万人を切り、2050年までに500万人を割り込むとの予測もされている。
日本における人口減少
日本では2008年の1億2808万人をピークに人口の自然減の状態が続いており、2050年までには1億人を割り込む。日本全体としては国外の大量移住が起こっている状態ではないが、三大都市圏以外の地方では、若い世代の大都市への流出が続いているため人口減少が激しくなっており、多くの地方自治体の将来的な消滅が予想されている。
人口減少は労働力不足や市場の縮小などデメリットが強調され、社会問題として認識されやすいが、環境負荷の低減やエネルギー自給率の向上などメリットもある。人口減少のペースに合わせて、過剰なインフラをうまく縮小させ、無人化した市街地を農地や太陽光発電の場にしたり、自然災害のリスクが高い地域などを自然豊かな湿地や山野に戻していくことができれば豊かさを実感できるだろう。
日本においては、人口増加が続いた20世紀に、本来は居住に適さない山間部を無理に切り開いたり、遊水池の役割を果たしていた湿地を埋め立てて自然災害を招いたり、広い優良農地を乱開発(スプロール化)して細切れの非効率な土地利用にしてしまったりした経緯がある。特に高度経済成長期以降は「マイホーム」が経済政策の要に据えられ、土地が投機対象とされたことから開発の過熱(その最たるものが原野商法)が発生し、今日の空き家・「負動産」問題をもたらした。人口減少が続く21世紀には、土地取引の規制強化や持ち家政策の方向転換、強くなりすぎた土地所有権を見直すなどして、こういった過去の負の遺産を精算していくべきであろう。