概要
AOS-5201「ひびき」は三井造船玉野事業所で建造され、1991年1月30日に竣工・就役した「ひびき」型音響測定艦の1番艦。数百キロにおよぶとされる探知範囲を誇る高性能曳航式ソナー「SURTASS」を展開しながら日本近海を航行し、他国潜水艦の音響情報(音紋)を収集すべくつくられた。海上自衛隊の艦艇の中でも、もっとも秘密のヴェールに包まれた艦であるといわれる。
いかにも音響測定艦らしい、この「ひびき」という艦名は日本海軍の駆逐艦「響」の名を受け継いだが、命名法則が日本海軍の響(初代および2代目)とは異なり、3代目にあたる本艦は、関門海峡を擁する響灘に由来している。参考までに、2代目響は暁型駆逐艦の1隻で、戦後、旧ソヴィエト連邦に賠償艦として引き渡され「ヴェールヌイ」に改称されたことで有名である。
また本艦は非武装だが、さらに海自艦艇で初めてとなる双胴型の艦体を持つ。これは動揺を抑え、緻密な観測データを得るためのもの。
同型艦として、同じ三井造船玉野事業所で建造され、翌1992年3月10日に竣工したAOS-5202「はりま」があり、こちらの名称は播磨灘に由来する。
「ひびき」「はりま」ともに海洋業務群に所属、定係港は呉である。
・基準排水量:2850t
・主要寸法:全長62m×幅29.8m×深さ15.3m
・最大速力:11ノット
・乗員:40人
「艦隊これくしょん」のメディアミックスで観られる響×「ひびき」
艦これの公式コミックス「いつか静かな海で」の1巻において、響が主役となる回があり、ここで本艦「ひびき」との関連が描かれている(響本人の項目も参照)。
第六駆逐隊つながりになるが、「ひびき」が定係港にしている呉基地は、電の名前を継いだ、むらさめ型汎用護衛艦5番艦の4代目「いなづま」の定係港でもある点が興味深い。ちなみにこの「いなづま」は三菱重工長崎造船所で建造された。
関連タグ
本艦と同じ三井玉野で建造された海自艦
あぶくま/おおよど・・・あぶくま型沿岸護衛艦の1番艦と3番艦でどちらも日本海軍の軽巡洋艦の名を継いだ2代目。「おおよど」は本艦と同じ1991年の竣工で、「あぶくま」は本艦と同じく呉を定係港にしている(「おおよど」の定係港は大湊)。
はるさめ・・・前述の「いなづま」と同じ「むらさめ」型汎用護衛艦(新)の2番艦でこちらも4代目。定係港は佐世保。