CV:村治学
概要
王下七武海の海賊ドンキホーテ・ドフラミンゴや元海軍中佐ドンキホーテ・ロシナンテの実父で元世界貴族(天竜人)である。
妻も彼も一般的な天竜人と比べると極めて異端な良心を持ち合わせた人物であり、自分たちは「人間」だと語り、天竜人としての暮らしを放棄して人間として暮らすことを選んだ。
33年前、人間的な暮らしを求めて天竜人の位を放棄し、家族を連れて世界政府非加盟国に住居を構えた。しかし、幼いドンキホーテ・ドフラミンゴが「奴隷はいないのか」「人々がひれ伏さない」と人前で怒ったことなどが原因で現地の人々に自分達が天竜人だとばれてしまい、天竜人の横暴に憎悪を抱く移住先の住民から壮絶な差別や暴行を受けた挙句、自分を地獄のような境遇に追い落としたことを逆恨みした息子ドフラミンゴの手により殺害されてしまう。
世界貴族の特権を否定し、「天竜人は神ではなく同じ人間」と語るなど、一般的な天竜人と比べると極めて異端な良心を持ち合わせた人物である……ように見えるが、確かに他の連中よりはマシとはいえ、彼もまた天竜人ならではの歪みを抱えている。
その行動のあまりの甘さは言うまでもないが、それ以外にも、他の天竜人の意識を改めようとするでもなく、息子たちに情操教育を行うでもなく、「ただ自分が地位を捨てて人間的な暮らしが出来ればそれで良い」と思っている節がある。
何より、自身を引き止めに来た者の中にボロボロの奴隷の上に乗った天竜人もいたにも関わらず、それに対して一切の行動もリアクションも取っていない(むしろ当たり前のように受け入れている)。それは一般的な「人間的な暮らし」とは程遠く、結局彼の行動は「なんとなく庶民の暮らしをしてみたくなった」程度の、かなり浮世離れした物だった事が伺える。
(彼が無垢な善人であればわざわざこのシーンで奴隷を描写する理由はないため、作者側としても意図してこのような浮世離れぶりを描いていると思われる)
アニメ版では、正体が人々に露見した理由が変更され、移住先の住人の前で堂々と自分の素性を素直に喋る場面が追加されており、当然その行動で自分達が天竜人である事がバレてしまったのは言うまでもない…。
とはいえ、迫害を受けた後天竜人達に(自分たちではなく)息子たちの保護を求めたり、死ぬ間際も恨み言ひとつ言わず、自分のふがいなさを恥じ、息子達に詫びるなど、良心を持っているのも間違いと言う訳ではない。少なくとも、傍若無人を繰り返す他の天竜人に比べれば善人なのは確かだろう。だが、極まった世間知らずと浮世離れが美点を台無しにし、自分や家族を追い詰めてしまった。
まあ天竜人と言う立場で世間を知る事は難しいため、彼だけにその責任を負わせるのも酷ではあるが……。彼がいかにしてこのような良心に目覚めたのかは劇中には描かれていないが、中途半端な良心に目覚めてしまったゆえの不幸、と言えるかもしれない。