概要
スクールバスの一種。幼稚園の園児の登園・帰宅に使われるバスで、ベース車はマイクロバスないしワンボックスカーなどの中型自動車が多い。
マイクロバスは一般に定員が30人未満であり、本邦においては法律上非常口の設置が不要とされているが、幼稚園バスに関しては小柄な園児が乗ることを前提に定員が多く取られているので、法律で設置が義務化されている。
他にも以下の点が法律で定められている。
我が国では園児をはじめ子供達が親しみやすいように、また「幼稚園バスらしさ」を出すことで他の運転者に対し穏やかに安全上の注意や配慮の気持ちを喚起する目的で可愛らしいデコレーションがされている車両も多い。
幼稚園によってはピカチュウやアンパンマンなどの意匠を施したデザインのバスが使われている事も。クレヨンしんちゃんファンなら、猫の意匠が施されたあのバスを思い浮かべるだろう。
近年は車内に子供を気づかずに置き去りにしてしまい、熱中症で死亡させてしまう事故が増えているため、メーカー側も置き去り事故防止対策を始めている。車両の後方にあるボタンを押さないと警報が解除されないような構造にして必ず後方まで見回るようにするなどの事故防止用品が登場してきている。
特撮の幼稚園バスジャックについて
往年の特撮ヒーロー番組に登場する「悪の組織」の代表的な悪事として「幼稚園バスジャック」を思い浮かべる人は多い。
しかし、悪の組織の大御所たるショッカーは路線バスを怪人の実験場にした事があるが、幼稚園バスをジャックしたことは一度としてない。
仮面ライダーXの第5話でGOD機関の一つ目怪人キクロプスが行った犯行が、特撮史上初の幼稚園バスジャックとされる。
翌年に放送された秘密戦隊ゴレンジャーの第1話で描かれた黒十字軍の犯行が幼稚園バスジャックであったため「悪の組織」の代表的な悪事として印象付けられたと思われる。
この他、快傑ズバットや東映版スパイダーマンでも幼稚園バスジャックが行われている。
仮面ライダーシリーズでは仮面ライダーBLACK第37話にてゴルゴムのケラ怪人に洗脳されたヒロインの紀田克美が幼稚園バスジャックを行っている。
特捜エクシードラフトでは第1話が「死の幼稚園バス」というそのまんまなサブタイトルであった。
幼稚園バスという車種に限らないのであれば、乗り物をジャックしたり、襲ったりすると言うパターンは往往にして見られる。
バスなどの乗り物は逃げ場のない閉鎖空間であり、そこを狙って悪事に利用する奴らは現在に到るまで数多く存在しているのである。
クリント・イーストウッド主演の映画『ダーティハリー』の第1作でスクールバスが犯罪者に乗っ取られる展開があり、バスジャック演出の発祥として語られることがある。
悪の組織としてのメリット
- 子供達は怪人に抵抗する力を持っておらず、低リスクな人質としては最適。
- 純粋な子供は誘拐して手駒として育成させるのに丁度いい。
- 子供は将来性の高さなどから人質の中では優先的に救出される事が多い存在なので、身代金も要求できるし、世間からの注目も引きやすい。そして、ヒーローを誘き寄せる為の餌としても利用できる。
- 閉鎖空間である為、よっぽどの事がない限り邪魔が入らない。
- ヒーローが事故で子供を死傷させようものなら、ヒーローの名誉や信頼(上手く行けば幼稚園やヒーローの支援組織の類も)を失墜させる事が出来る。
番組制作としてのメリット
- 乗り物が登場するので、乗り物を持っているヒーローの活躍を描きやすい。
- メイン視聴層の子供達の日常の象徴であるバスを登場させると「恐怖」の感情を自己投影させやすく臨場感が生まれる。
- 身動きの取りづらい車上や車内でのアクションシーンを描く事ができる。
- 変身ブームの当時、過激派などによって民間人がターゲットにされるテロリズムが相次いでおり、リアル感がある。
21世紀以降は増加した厄介クレーマー、それに伴う自主規制強化といった懸念から、あまりシチュエーションとして採用されることはなくなった。
とはいえ意外な作品でバス以外の舞台だが、敵の標的となるシーンがあり、令和の世でもこの手のシチュエーションを表現している(しかも敵の中の人は特撮ヒーローを演じたことがある)。