概要
奈良時代における大和朝廷の文官で、日本最古の歴史書である『古事記』の制作者の一人として知られ、元明天皇の命により、舎人であった稗田阿礼が暗記して口述した各家に伝わる歴史伝承を筆録編纂し、古事記を書き上げた。
彼は古事記の執筆において、古代日本語を重視し、漢字を原則的に表音文字として使用して、日本語を日本語の発音のままに記そうとする努力を示しており、もし彼が古代日本語を発音の通りに遺す努力をしていなければ、漢字文化が入ってくる以前の日本の言葉がどのようなものであったかが解らなくなっていたとされる。
更に表音的に記されたその文章には、表意的なもの混じっていて、そのため表音文字として使った漢字は後に仮名の元となり、漢字の一部を音として使ったものが『片仮名(カタカナ)』に、その借字を草書で簡単に書いたものが『平仮名(ひらがな)』となった。