マジコンとは、ゲーム機用の機材の一つである。
概要
ROMカートリッジ媒体によってゲームソフトを提供しているゲームハードに対し、正規のROMカートリッジの動作を模倣することであたかも正規のROMカートリッジのように動作する機材である。
その上で、正規のROMカートリッジや本体BIOSの内容を、フロッピーディスクやフラッシュメモリカード等の汎用的メディアに複製したり、逆にこれらに記録されているROMカートリッジイメージデータを起動させるものである。
マジコンという名前は「マジックコンピューター」の略称であるとされる。名前はスーパーファミコン用のソフトウェアコピーツールの製品名にちなむとされる。
その特性上、不法コピーを行ったソフトウェアを起動させるために用いられることが非常に多い。据え置き型のゲーム機では2011年現在、ROMカートリッジを供給媒体とするメジャーハードは存在しないため、マジコン問題は一応収束した形となっている(あくまでマジコンを使用した不法コピーが物理的に不可能になったというだけであり、不法コピー問題自体は継続している)。
しかしながら、携帯型ゲーム機では諸々の事情から今でもROMカートリッジメディアが使用されており、特にニンテンドーDSにおける被害は、本体の普及率の高さや、同時期に不法コピーソフトウェアの流通基盤としてのP2Pファイル交換問題が浮上したことも相まって、社会問題になる程莫大なものとなっており、また問題の拡大に従って「本来押しとどめるべきである親が、むしろ費用削減策として積極的に子供にマジコンを与える」「学校等で周囲が皆使用しているため、子供達が違法性を全く認識できない」というモラルハザード問題も同時に浮上している。
マジコンに限った話ではなく、不法コピーが行われれば当然その分本来ソフトハウスに渡るべき利益は目減りし、企業経営が難しくなって行く。さらに不法コピーされたソフトウェアが動作しないようプロテクト機構を盛り込む必要性も発生し、それによってさらに開発原価が膨れ上がることになってしまい、これも企業経営を圧迫する要素足りえる。このため、マジコン問題を始めとするカジュアルコピー問題は、ゲーム業界に限らず、ソフトウェア業界では重大な問題と捉えられている。
なお、当然ながら各国で流通・所持に対して法的規制を行う動きが出ており、日本でもマジコンは改正不正競争防止法に抵触する機材であるとする東京地裁判決が下っている。同法は、コピー防止機構を迂回することを目的とした機材を、有償無償を問わず流通・譲渡することを禁じており(たとえ無償譲渡であっても「他人に渡す」こと自体が抵触する)、これによりマジコンの流通は違法とされている。しかしながら同法には罰則がないため実質的には流通が停止しておらず、罰則を盛り込むための法整備が急ピッチで進められている。
権利者の許諾なく、ゲームソフトをインターネットを通じて配信・配布することは
著作権を侵害する違法行為であり、民事上、刑事上の法的責任を問われる虞があります。
また、違法なインターネット配信と知りながらダウンロードする行為も
私的利用目的の複製とは見做されず、違法行為とされています。
みなさまのご理解とご協力をお願いいたします。
余談
- しばしば、ゲーム改造ツール(所謂チートエンジン)と混同される。
- コナミのパワプロクンポケット11の公開質問コーナーに、マジコン対策についての質問が行われ、回答者が激昂するという騒動が起きたことがある。
- コンパイルハートの超次元ゲイムネプテューヌシリーズでは、マジコン問題をメインに取り上げており、作中にはマジコンを擬人化した悪役キャラクターや、上記のカジュアルコピー問題、モラルハザード問題などが登場する。
- 不法コピー対策としては、不法コピーされたソフトウェアは全く動作しない、というものも多いが、中には正規の動作を行わず、ゲームが事実上進行できなくなる、というものもある。これはPC用ゲームでよく見られた対策であり、敵があり得ない程強くなる、本来入るべき場所に入れなくなる、などのケースが見られた。中にはゲームでの攻略手順ミスであると錯覚し、ゲーム誌の攻略情報質問コーナーに質問を行なってしまうユーザーも居た。
- 現在のレトロPC・レトロゲーム界隈では、同人ハードウェアの作成が活発であり、自作ゲーム開発キットという扱いでAtari 2600専用のフラッシュカートリッジが販売されるほどにまで拡大している。
外部リンク
Ultimate Guide To Retro Gaming Flash Cards, Cartridges & Backup Devices